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言
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ごと
ふりがな文庫
“
言
(
ごと
)” の例文
だから
稱
(
とな
)
へ
言
(
ごと
)
のうちにも、
神
(
かみ
)
のお
言葉
(
ことば
)
があり、ものがたりのうちにも、
神
(
かみ
)
のお
言葉
(
ことば
)
が
挿
(
はさ
)
まれてゐるもの、と
考
(
かんが
)
へ
出
(
だ
)
したのであります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
商人は、なにしろ
肌
(
はだ
)
の下まで雪がしみとおっていたので、かまわず
炉
(
ろ
)
の火でからだをかわかしながら、ひとり
言
(
ごと
)
のようにいいました。
ラ・ベルとラ・ベート(美し姫と怪獣)
(新字新仮名)
/
ガブリエル=シュザンヌ・バルボ・ド・ヴィルヌーヴ
(著)
はじめ、かなり私への
心遣
(
こころづか
)
いで話しかけているつもりでも、いつの間にか自分独りだけで古典思慕に入り込んだ
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
になっている。
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「もう、これなら、だれにも
負
(
ま
)
けず、どんなところへでも
飛
(
と
)
んでいける。」と、すずめは、
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
を
見上
(
みあ
)
げて、ひとり
言
(
ごと
)
をしました。
温泉へ出かけたすずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
沈思にふけっていたお蓮様、胸の思いが声に出て、思わず、あれやこれやとひとり
言
(
ごと
)
をもらしていたことは、彼女自身気がつかない。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
こんなさいに、領下の名主や神職たちが、土豪の門へ、
祝
(
いわ
)
い
言
(
ごと
)
をのべに来る例はあっても、かかる前例は、かつて聞いたことがない。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「命さえ助けてくるるなら伯父様に王の位を進ぜるものを」と兄が
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
のようにつぶやく。弟は「
母様
(
ははさま
)
に
逢
(
あ
)
いたい」とのみ云う。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こう
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
を
言
(
い
)
いながら、
道
(
みち
)
ばたの
石
(
いし
)
の上に「どっこいしょ。」と
腰
(
こし
)
をかけて、つづらを
下
(
お
)
ろして、
急
(
いそ
)
いでふたをあけてみました。
舌切りすずめ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
此筆を燒き此塚を
發
(
あば
)
き一葉の舟を江河に流せば、舟は斷崖の
下
(
もと
)
を流れて舟中に二人の影あるべし。御かへり
言
(
ごと
)
こそ待たるれ。かしこ
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「お前、誰れかひが
言
(
ごと
)
を云う者があって、あの池の蓮華をあれは蓮華ではない、梅だ桜だと云うた者があってもお前はそれを信ずるか」
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
されど、百万遍の
迷
(
まよ
)
い
言
(
ごと
)
何の
益
(
えき
)
なけれど聞いてつかわすべしとの仰せを
幸
(
さいわい
)
、おのが心事を偽らず飾らず
唯
(
ただ
)
有りのままに申し上ぐべく候。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
もうルセットもいない、
乳
(
ちち
)
もない、バターもない、これでは、
謝肉祭
(
しゃにくさい
)
もなにもないと、わたしはつまらなそうに
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
を言った。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
煙草
(
たばこ
)
の世に行はれしは、
亜米利加
(
アメリカ
)
発見以後の事なり。
埃及
(
エジプト
)
、
亜剌比亜
(
アラビア
)
、
羅馬
(
ロオマ
)
などにも、喫煙の俗ありしと云ふは、
青盲者流
(
せいまうしやりう
)
のひが
言
(
ごと
)
のみ。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
松住町
(
まつずみちょう
)
じゃねえぜ。
朝
(
あさ
)
っぱらから、
素人芝居
(
しろうとしばい
)
の
稽古
(
けいこ
)
でもなかろう。いい
若
(
わけ
)
え
者
(
もの
)
がひとり
言
(
ごと
)
をいってるなんざ、みっともねえじゃねえか」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
顳顬
(
こめかみ
)
に
即効紙
(
そっこうし
)
をはって、
夜更
(
よふ
)
けまで賃仕事にいそしむ母親の
繰
(
く
)
り
言
(
ごと
)
を聞くと、いかなる犠牲も
堪
(
た
)
えなければならぬといつも思う。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「なけりゃいいが、わしにゃあそいつがほんとに信じられねえ。」と車掌が無愛想な
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
のように言った。「おういおい!」
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
立んとて此大雪に出で行きたれ
共
(
ども
)
何
(
なん
)
の
甲斐
(
かひ
)
やあらん
骨折損
(
ほねをりぞん
)
の
草臥
(
くたびれ
)
所得
(
まうけ
)
今に
空手
(
からて
)
で歸り
來
(
こ
)
んアラ
笑止
(
せうし
)
の事やと
獨
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
留守
(
るす
)
してこそは居たりけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
を云ったがちょうどこの頃、太郎丸の屋敷の屋根棟で、同じく星を眺めながら、話をしている人物があった。島津太郎丸と西川正休。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
地方文化、あなどるべからず、ナンマンダ、ナンマンダ、などと、うわごとに似たとりとめない
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
を
呟
(
つぶや
)
いて、いつのまにか眠ったようだ。
母
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今は美術家の間に立ちまじりて、
唯
(
ただ
)
面白くのみ日を暮せり。されどグスタアフ・フライタハはさすがそら
言
(
ごと
)
いひしにあらず。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
一通りの方法で所要の状態に陥らない場合には、一人を取囲んで多勢で
唱
(
とな
)
え
言
(
ごと
)
をしたり、または単調な楽器の音で四方からこれを責めたりした。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「武男、
卿
(
おまえ
)
はの、男かい。女じゃあるまいの。親にわび
言
(
ごと
)
いわせても、やっぱい浪が恋しかかい。恋しかかい。恋しかか」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
君が
言
(
げん
)
好
(
よ
)
し、昔は目なしどち目なしどち後について来ませとか聞きぬ、われさるひじりを学ぶとはなけれど覚えたる限りはひが
言
(
ごと
)
まじりに伝へん
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
向
(
むか
)
ふの
主人
(
しゆじん
)
もお
前
(
まへ
)
の
姿
(
すがた
)
を
褒
(
ほ
)
めて
居
(
ゐ
)
るさうに
聞
(
き
)
いたぞと、
録
(
ろく
)
でもなき
根
(
ね
)
すり
言
(
ごと
)
、
懶怠者
(
なまけもの
)
だ
懶怠者
(
なまけもの
)
だ、
我
(
お
)
れは
懶怠者
(
なまけもの
)
の
活地
(
いくぢ
)
なしだと
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
に
寐
(
ね
)
そべつて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
また同じ語部の
語
(
かた
)
り
言
(
ごと
)
の中に、
久延毘古
(
くえびこ
)
が少彦名命の事を知っているとの事を、述べたという
多邇具久
(
たにぐく
)
も、従来谷蟆すなわち蟾蜍と解せられているが
くぐつ名義考:古代社会組織の研究
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
その中年の侍は古風な育ちとみえ、道にころがっている石ころのように古くさい、きまり文句でながながと
詫
(
わ
)
び
言
(
ごと
)
を並べ、自分の思い違いを悔やんだ。
ひとごろし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「畜生! 畜生!」と
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
を云いだしたかと思うと、矢庭に側の太い電柱にとびつき、危険に気がつかぬものか
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
去
(
い
)
ぬる文禄三年の秋、わざ/\邸へ呼びつけられて怠慢の
廉
(
かど
)
を
咎
(
とが
)
められ、厳しい叱責を蒙った折には、畳に額を
擦
(
す
)
りつけて
詑
(
わ
)
び
言
(
ごと
)
を述べておきながら
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ぽつりとひとり
言
(
ごと
)
をもらし、いくとおりもの
新聞
(
しんぶん
)
をかきあつめ、
机
(
つくえ
)
の上にひろげて、むさぼるように読みはじめた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
靴
(
くつ
)
の先で
甲板
(
かんばん
)
をこつこつとたたいて、うつむいてそれをながめながら、帯の間に手をさし込んで、木村への伝言を古藤はひとり
言
(
ごと
)
のように葉子にいった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
今の文学者の言論文章を読んでも多くは不平
怨嗟
(
えんさ
)
の声だ。ヒステリー患者のよまい
言
(
ごと
)
に似ていて不平や怨嗟の声を発するのが文学者の本領と心得ている。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
時ならぬ忠告は有害ならぬまでも、無益におわる場合多ければ、
葬式
(
そうしき
)
に
祝詞
(
しゅくじ
)
を呈し、めでたき折に泣き
言
(
ごと
)
を述ぶるに
等
(
ひと
)
しきことは常識に
任
(
まか
)
せて
謹
(
つつし
)
みたい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
裕佐は青年の同情ある慰め
言
(
ごと
)
にかえって立腹したかのように、顔を火のごとくほてらせて
苦々
(
にがにが
)
しくこういった。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
彼はそんな
世迷
(
よまよ
)
い
言
(
ごと
)
を叫びながら、白い柔いものを、くびれて切れてしまう程、ぐんぐんとしめつけて行った。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そよ風が暗い
木立
(
こだち
)
の中でざわざわと
身震
(
みぶる
)
いして、どこか地平のはるかな
彼方
(
かなた
)
では、まるで
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
のように、
雷
(
かみなり
)
が腹立たしげな
鈍
(
にぶ
)
い声でぶつぶつ言っていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
実は母が八十の高齢で遂に昨日死んだとの
悼
(
くや
)
み
言
(
ごと
)
、釜貞は仏前へ差出す一物もなく、まして非常の際に無心に来たとも言はれもせず、茫然自失の
体
(
てい
)
であつた。
名工出世譚
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
『かうやつて君を待たせておいて』——
俯
(
うつむ
)
きながら
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
のやうに『なぜ今絵なぞを描くか知つてゐるかね』
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
爺さんの
繰
(
く
)
り
言
(
ごと
)
は、まるで耳に入らないもののように、鶏は強く羽ばたきしては舞い逃げよう、とする。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
青木さんはふと一人
言
(
ごと
)
のやうにさうつぶやいて、
軒
(
のき
)
先に
見
(
み
)
える
晴
(
は
)
れた
夜
(
よ
)
空をぢつと
見
(
み
)
上げた。が、さういふ空
想
(
さう
)
の明るさとは
反対
(
はんたい
)
に
氕持
(
きもち
)
は
妙
(
めう
)
に
暗
(
くら
)
く
沈
(
しづ
)
んで
行
(
い
)
つた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
夢の
醒
(
さ
)
め
際
(
ぎわ
)
に少し身を
顫
(
ふる
)
わしていたが、暫くしてから気が附いたらしく、口中で低声に何か
唱
(
とな
)
え
言
(
ごと
)
をしているように見えた。それは「南無」というように聞える。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
レコードではベルリオーズの『はかなき
憾
(
うら
)
み
言
(
ごと
)
』と『最後の難船』(J八四八八)が本格的で良かろう。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
御寢
(
みね
)
ませる時に、御夢に
覺
(
さと
)
してのりたまはく、「我が宮を、
天皇
(
おほきみ
)
の
御舍
(
みあらか
)
のごと
修理
(
をさ
)
めたまはば、御子かならずま
言
(
ごと
)
とはむ」とかく覺したまふ時に、
太卜
(
ふとまに
)
に
占
(
うら
)
へて
六
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
你
(
なんぢ
)
、
三五九
人ならぬ心より、我を
纏
(
まと
)
うて幾度かからきめを見するさへあるに、
三六〇
かりそめ
言
(
ごと
)
をだにも此の恐ろしき
報
(
むく
)
いをなんいふは、いと
三六一
むくつけなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
むしろ泣き
言
(
ごと
)
に終始しているよりも、このように明るい気持で扱っている方がよいのかも知れない。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
返し
言
(
ごと
)
をするから先方でも御立腹なさるのです……
併
(
しか
)
しあなた私が斯う衣の片袖を此の者へ掛ければお助けなさる筈、お武家さまだけに御存じで入らっしゃいましょうがな
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あとのほうはひとり
言
(
ごと
)
のようにつぶやきながら、びっくりして
二
(
に
)
の句もつげないでいる先生をのこして、ぷりぷりしながら引きかえすと、となりの
川本大工
(
かわもとだいく
)
のおかみさんに
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
で、
其果
(
それ
)
をまず第一に主人からしてちょいと右の手でつまんで何か
唱
(
とな
)
え
言
(
ごと
)
を言いながら空中へ三度ばかりばらばらと
撒
(
ま
)
き、そうして
其果
(
それ
)
の幾分を自分の
掌裡
(
てのひら
)
に取って喰うのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
底を
籠
(
かご
)
にして、上の方は
鹽瀬
(
しほぜ
)
の鼠地に白く
蔦模樣
(
つたもやう
)
の
刺繍
(
ぬひ
)
をした
手提
(
てさ
)
げの
千代田袋
(
ちよだぶくろ
)
を取り上げて、お光は見るともなく見入りながら、
潤
(
うるほ
)
ひを含んだ眼をして、
獨
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
のやうに言つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
八カ月もの間、壁と壁と壁と壁との間に——つまり小ッちゃい独房の
一間
(
ひとま
)
に、たった一人ッ切りでいたのだから、自分で自分の声をきけるのは、
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
でもした時の外はないわけだ。
独房
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
それにどんなに見に行きたいにしたところで、一人っきりで、一人っきりの女を誘うようなことはできないたちだったので、お座なりに、独り
言
(
ごと
)
のような調子でばつを合わせたのだった。
謎の女
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“言”を含む語句
戯言
言出
無言
言語
祝言
囈言
虚言
宣言
言葉
伝言
言上
嘘言
寡言
狂言
方言
言付
言伝
譫言
言問
言立
...