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空
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むな
ふりがな文庫
“
空
(
むな
)” の例文
件
(
くだん
)
の
古井戸
(
ふるゐど
)
は、
先住
(
せんぢう
)
の
家
(
いへ
)
の
妻
(
つま
)
ものに
狂
(
くる
)
ふことありて
其處
(
そこ
)
に
空
(
むな
)
しくなりぬとぞ。
朽
(
く
)
ちたる
蓋
(
ふた
)
犇々
(
ひし/\
)
として
大
(
おほ
)
いなる
石
(
いし
)
のおもしを
置
(
お
)
いたり。
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
松向寺殿の御居城
八代
(
やつしろ
)
に相詰め候事と相成り、あまつさえ殿御上京の御供にさえ
召具
(
めしぐ
)
せられ、繁務に
逐
(
お
)
われ、
空
(
むな
)
しく月日を相送り候。
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
のみならずついに何事をもなさず何をしでかすることなく一生
空
(
むな
)
しく
他
(
ひと
)
の厄介で終わるということは彼にとって多少の苦痛であった。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼女は
動悸
(
どうき
)
を抑へながら、暫くは唯幌の下に、
空
(
むな
)
しい逡巡を重ねてゐた。が、俊吉と彼女との距離は、見る見る内に近くなつて来た。
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
六対十の比率に安心していたのも
空
(
むな
)
しく、今自分達が出て奮戦しないと、この
儘
(
まま
)
懐しい故郷へ帰れないことになるらしいのであった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
「どうしたものだろう?」茫然と、事件の
裡
(
うち
)
に自失して、その処置も方針もつかず、幾日かを、ただ困惑と
空
(
むな
)
しい捜索に暮れていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と博士は
記
(
しる
)
せり。中にも鶯横町はくねり曲りて殊に分りにくき処なるに尋ね迷ひて
空
(
むな
)
しく帰る俗客もあるべしかし。(一月十八日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
怪しげな旅の男はそれを知って、山の中へ逃げ込んで、かいくれ姿を隠したから、追いかけて行った同心は
空
(
むな
)
しく帰って来ました。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は水に映る
空
(
むな
)
しき影を追うて疲れ、雲ひときれを捕える前に、おそらくはやがてこの妄想の犠牲となって、死に果てるであろう。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
が、万一自分が鴎外に先んじたらこの一場の約束の実現を遺言するはずだったが、鴎外が死んでしまったのでその希望も
空
(
むな
)
しくなった。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ただの一度の仕合に
傷
(
きずつ
)
きて、その
創口
(
きずぐち
)
はまだ
癒
(
い
)
えざれば、赤き血架は
空
(
むな
)
しく壁に古りたり。これを
翳
(
かざ
)
して思う如く人々を驚かし給え
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
付させられ
懷姙
(
くわいにん
)
し母お三婆の
許
(
もと
)
へ歸る
砌
(
みぎり
)
御手づから御
墨付
(
すみつき
)
と御
短刀
(
たんたう
)
を
添
(
そへ
)
て下し置れしが御懷姙の
若君
(
わかぎみ
)
は御
誕生
(
たんじやう
)
の夜
空
(
むな
)
しく
逝去遊
(
おかくれあそ
)
ばせしを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかれども一人一手にてせいするゆゑ、けふはうりきらしたりとてつかひの重箱
空
(
むな
)
しくかへる事度々なり、これ
余
(
よ
)
が
目前
(
もくぜん
)
したる所なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
しかもこの「東方の巡礼」は、既に幾度か出発し、西にあこがれて行き、そして国境のあたりをさまよい、
空
(
むな
)
しくまた家に帰って来た。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
瘳二子及び門人
王稌
(
おうじょ
)
等
(
ら
)
拾骸
(
しゅうがい
)
の功また
空
(
むな
)
しからず、万暦に至って墓碑
祠堂
(
しどう
)
成り、
祭田
(
さいでん
)
及び
嘯風亭
(
しょうふうてい
)
等備わり、
松江
(
しょうこう
)
に
求忠書院
(
きゅうちゅうしょいん
)
成るに及べり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
野は平らかに、静かに、広く、さびしく、しかも心地よく刈り取られて、
榛
(
はん
)
のひょろ長い
空
(
むな
)
しい幹が青い空におすように見られた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
それが、一夜限りの
空
(
むな
)
しい夢と消えないで、実生活の上に、ちゃんとした根を下して来たことが、信一郎には
此
(
この
)
上なく嬉しかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
若しやといふ
果敢
(
はか
)
ない期待が
空
(
むな
)
しく持ち續けられて半年も經つと、本當に世の中が眞暗になつて了つたやうな氣がするのであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
よく見ると右の腕はつけ元からなくて洋服の袖は
空
(
むな
)
しくだらりと下がっている。一足二足進み寄るのを見ると足も片方不随であるらしい。
小さな出来事
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
二時間以上も
空
(
むな
)
しく待ったでしょうか。もう辛抱し切れなくなった彼は、やがてとぼとぼと力ない足どりで山を下り始めました。
算盤が恋を語る話
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
山を越え川を渡り、谷峡を
辿
(
たど
)
る
嶮
(
けわ
)
しい旅路を続けて、飯田城下も
空
(
むな
)
しく過ぎ、赤穂という小さな駅に泊ったときのことであった。
足軽奉公
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
若者
(
わかもの
)
は、せっかくここまできながら、
望
(
のぞ
)
みの
島
(
しま
)
に
着
(
つ
)
くこともできず、
空
(
むな
)
しく
海底
(
かいてい
)
のもくずになってしまうのかと
残念
(
ざんねん
)
がりました。
一本の銀の針
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
痂を取つたところの溝がだんだん深くなるのに気付いてもそれを母や父に打明けることが出来ない。僕は
空
(
むな
)
しく二月を過ごした。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
船室に置いておいたら、いつの間にか
誰
(
だれ
)
か食ってしまい、ぼくには、そんな
空
(
むな
)
しい
贈
(
おく
)
り物をする、だぼはぜ嬢さんが
哀
(
あわ
)
れだった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
すなわちヨルダン川にて洗礼者ヨハネのバプテスマを受け給うたことから筆を起こして、墓の
空
(
むな
)
しくあったことに終わっている。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
其後
(
そのご
)
の
一週間
(
いつしゆうかん
)
も
空
(
むな
)
しく
※去
(
すぎさ
)
つたならば、
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
も
終
(
つひ
)
には
覺悟
(
かくご
)
を
定
(
さだ
)
めて、
稀世
(
きせい
)
の
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
と
共
(
とも
)
に、
海
(
うみ
)
の
藻屑
(
もくづ
)
と
消
(
き
)
えてしまう
事
(
こと
)
であらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
俺が行かない間は、共同弁護人はみんな手を
空
(
むな
)
しくして待つて居る。俺をさしおいて審理に取りかかるやうな事は決して無い。
畜生道
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
同じく漂流漂着という中でも、結果のあったものと
空
(
むな
)
しいものとがあって、
勿論
(
もちろん
)
上古には第二の方が、悲しいほども多かったにちがいない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
こうなっては
空
(
むな
)
しく引き揚げるのほかはなかったが、それでも年造の平素の行状や、死亡前の模様などを一応取り調べて置く必要があるので
半七捕物帳:55 かむろ蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そう思うと、
俄
(
にわか
)
に、そのように見えて来る
空
(
むな
)
しかった一ヶ月の緊張の溶け崩れた
気怠
(
けだ
)
るさで、いつか彼は空を見上げていた。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
私が私自身に帰ろうとして、外界を機縁にして私の
当体
(
とうたい
)
を築き上げようとした試みは、
空
(
むな
)
しい失敗に終らねばならなかった。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
心がかりの時間を、
空
(
むな
)
しく他の稽古の明くのを待っていた芸術座の座員たちは、
漸
(
ようや
)
く翌日の午前二時という夜中に楽屋で扮装を解いていると
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
今は批判の時代であり意識の時代である。よき審判者たる幸が吾々に許されてある。私たちは時代の恵みとしてそれを
空
(
むな
)
しくしてはならない。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
宮崎運転士が、必死の力をふりしぼって差し出した手も、
空
(
むな
)
しく押し返されて、ひとびとは、それっきり、はなればなれに遠ざかって行った。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
眞理を
漁
(
あさ
)
りて、
技
(
わざ
)
を有せざる者は、その歸るや出立つ時と
状
(
さま
)
を異にす、
豈
(
あに
)
空
(
むな
)
しく岸を離れ去るのみならんや 一二一—一二三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
万里の
波濤
(
はとう
)
を
俯瞰
(
ふかん
)
し
睥睨
(
へいげい
)
する大ホテル現出の雄図、
空
(
むな
)
しく
挫折
(
ざせつ
)
した石橋弥七郎氏の悲運に同情するもの、ただひとり故柳田青年のみならんや!
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
私どもは、とかく「明日あり」という、その心持にひかれて、つい「今日の一日」を
空
(
むな
)
しく過ごすことがあります。いや、それが多いのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
研究せざれば無用の
冗費
(
じょうひ
)
のみ
累
(
かさ
)
なりて人は
空
(
むな
)
しく金銭を浪費するのみ。主人の中川新式の火鉢とスープ鍋を客の前に
出
(
いだ
)
さしめ
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
大
(
おほ
)
きな
藏々
(
くら/″\
)
の
建物
(
たてもの
)
が
空
(
むな
)
しく
成
(
な
)
る
程
(
ほど
)
一
切
(
さい
)
の
傭人
(
やとひにん
)
が
桃畑
(
もゝばたけ
)
に一
日
(
にち
)
の
愉快
(
ゆくわい
)
を
竭
(
つく
)
すやうになれば
病氣
(
びやうき
)
もけそりと
忘
(
わす
)
れるのが
例
(
れい
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
空
(
むな
)
しき
脱穀
(
ぬけがら
)
のごとくに、その魂を後方に脱ぎ捨てる。人生は死と復活との連続である。クリストフよ、よみがえらんがために死のうではないか。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
これらはいずれもが、漫然出来得ると軽率にも誤認し、それを
空
(
むな
)
しく求めているだけだと、私の常識と経験はいつでも断言を
吝
(
おし
)
まないのである。
素人製陶本窯を築くべからず:――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
この有様を見て、その批評をする新聞はどういう風であるかというと、新聞の批評も心を
空
(
むな
)
しくして見れば、果して正確なる批評であるや否や。
政治趣味の涵養
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
前者を無視し、または前者と後者との考察の順序を
顛倒
(
てんとう
)
するにおいては「いき」の把握は単に
空
(
むな
)
しい意図に終るであろう。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
その才の故にかえって四方に敵を作り
空
(
むな
)
しく
埋
(
うも
)
れ果てたのは自業自得ではあるけれどもまことに不幸と云わねばならぬ。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一日は
空
(
むな
)
しく暮れて行った。夕日は二階の部屋に満ちて来た。壁も、障子も、
硝子戸
(
ガラスど
)
も、何もかも深い色に輝いて来た。岸本の心は実に暗かった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
朕
黎元
(
れいぐわん
)
を
撫育
(
むいく
)
する
事
(
こと
)
梢
(
やや
)
に
年歳
(
とし
)
を経たり。
風化
(
ふうくわ
)
尚
(
なほ
)
壅
(
よう
)
して、
囹圄
(
れいご
)
未
(
いま
)
だ
空
(
むな
)
しからず。
通旦
(
よもすがら
)
寝
(
しん
)
を忘れて
憂労
(
いうらう
)
茲
(
ここ
)
に
在
(
あ
)
り。
頃者
(
このごろ
)
天
(
てん
)
頻
(
しきり
)
に
異
(
い
)
を
見
(
あら
)
はし、地
数
(
しばしば
)
震動す。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
ただ
空
(
むな
)
しく
有耶無耶
(
うやむや
)
としているもののように見える場合に云うので、極端にえらい人やえらくない人、大人物を装うものや負け惜しみの強い卑怯者
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私
(
わたくし
)
の
決心
(
けっしん
)
の
飽
(
あく
)
まで
固
(
かた
)
いのを
見
(
み
)
て、
両親
(
りょうしん
)
も
無下
(
むげ
)
に
帰家
(
きか
)
をすすめることもできず、そのまま
空
(
むな
)
しく
引取
(
ひきと
)
って
了
(
しま
)
われました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
……そんな
空
(
むな
)
しい努力の後、やっと私の頭に
浮
(
うか
)
んだのは、あのお
天狗
(
てんぐ
)
様のいる
丘
(
おか
)
のほとんど頂近くにある、あの
見棄
(
みす
)
てられた、古いヴィラであった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
免職の事を
吹聴
(
ふいちょう
)
したくも言出す
潮
(
しお
)
がないので、文三は余儀なく聴きたくもない
咄
(
はなし
)
を聞て
空
(
むな
)
しく時刻を移す内、
説話
(
はなし
)
は漸くに
清元
(
きよもと
)
長唄
(
ながうた
)
の優劣論に移る。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
“空”の解説
空(そら、霄、en: sky)とは、地上から見上げたときに頭上に広がる空間のこと。天。
(出典:Wikipedia)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
“空”を含む語句
空腹
空洞
空虚
空想
空手
虚空
空間
蒼空
空嘯
空々
青空
空中
碧空
大空
空地
中空
空気
空車
空隙
空室
...