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山中さんちううらにて晝食ちうじき古代こだいそつくりの建場たてばながら、さけなることおどろくばかり、斑鯛ふだひ?の煮肴にざかなはまぐりつゆしたをたゝいてあぢはふにへたり。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから計算してみると、大垣から見た山頂の仰角は、相当に大きく、たとえば、しまから富士を見るよりは少し大きいくらいである。
伊吹山の句について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
づこんなりふれた問答もんだふから、だん/\談話はなしはながさいて東京博覽會とうきようはくらんくわいうはさ眞鶴近海まなづるきんかい魚漁談ぎよれふだんとう退屈たいくつまぬかれ、やつとうらたつした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
……ほとりには柳やえんじゅのみどりが煙るようだし、亭の脚下きゃっかをのぞけば、蓮池はすいけはちすの花が、さながら袖を舞わす後宮こうきゅうの美人三千といった風情ふぜい
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小さなに来ると、人間の子供たちが、大ぜい集まっていました。みんなまっぱだかで、水の中をピチャピチャはねまわっていました。
此夜彼龍女も同時に戦場を引取り、直様屋敷に此よしを告げしめ、後ハ共〻京の屋敷引取り今ハ長崎江共〻出づ。(此頃余程短銃上達す。)
日和ひよりおりなどにはわたくしはよく二三の腰元こしもとどもにかしずかれて、長谷はせ大仏だいぶつしま弁天べんてんなどにおまいりしたものでございます。
熱海に着きたる頃はいたく疲れて飢にせまりけれども層楼高閣の俗境はわが腹を肥やすべきの処にあらざればここをも走り過ぎてうらへと志し行く。
旅の旅の旅 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
ファンから貰ったかあるいは貰った感じのなになにさんと書いた可愛い薬玉くすだまとか、その他少女の好みそうな小さな玩具が、いかにも大事そうに置いてある。
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
「だれだいきみは、やはりしまへきているのかい。ぼくといっしょにあそぼうじゃないか。」といいました。
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれ阿曇の連等は、その綿津見の神の子宇都志日金拆うつしひがなさくの命の子孫のちなり。その底筒の男の命、中筒の男の命、上筒の男の命三柱の神は、すみの三前の大神一四なり。
ええ、そもそも羽田の浦を、扇ヶ浜おうぎがはまと申しまするで、それで、それ、此地を要島、これは見立で御座いますな。相州そうしゅうしま弁財天べんざいてんと同体にして、弘法大師こうぼうだいしの作とあります。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
図の上半部を成してゐる彼方むかふには翠色すゐしよく悦ぶべき遠山が見えてゐる、其手前には丘陵が起伏してゐる、其間に層塔もあれば高閤かうかふもあり、黒ずんだ欝樹が蔽ふた岨もあれば
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
なんでも、わたしが子どものじぶんきいた話に、むかし、むかし、このみずの浜に、浦島太郎という人があって、ある日、舟にのってつりに出たまま、帰ってこなくなりました。
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「ついでに、しまをまわってくるといい。おれも、行きたくなったな。行こうかな」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
てるさんは向ひの仏師屋ぶつしやの子で、私より二つの歳上としうへでしたが、背丈は私の方が高いのでした。おはるさんはその人のねえさんでした。隣の藍玉屋あゐだまやには、よりさんと云ふ子がありました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
よりはふと机から頭をもちあげて硝子戸ガラスどへ顔をくっつけてみました。暗くて、ざわざわ木がゆれているきりで、何だかさびしい晩でした。ときどき西の空で白いような稲光いなびかりがしています。
(新字新仮名) / 林芙美子(著)
ある時夫人が、しまに遊んだ土産みやげとして、大きな法螺貝ほらがいを買って帰った。
千々岩ちぢわ灘に添う十五里の沿岸道路は、平坦な道のすくない代り、風景の捨難すてがたいところが多く、退屈を覚えない。うら辺りから海が見え出し、海上にはいくつかの小島も見え、無数の漁船も見える。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
そしてそこにらないものを預けて、しまのほうまで車を走らした。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
郊外だとか、時には鎌倉かまくらしまなど……
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
同 同 騰波とば村大字筑波島つくはしま土腐どぶ
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
なやましき、さはどろ沈澱おどみより
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一 真白ましろ富士ふじ みどりしま
七里ヶ浜の哀歌 (新字新仮名) / 三角錫子(著)
秋のに打ち込むくいの響かな
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一声ひとこゑに横たふや時鳥ほととぎす
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ちゝをゆく船に似て
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あまの少女をとめみづ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
一例として「えんこう」の話をとると、夕涼みに口川くちがわの橋の欄干に腰をかけているとこの怪物が水中から手を延ばして肛門を抜きに来る。
重兵衛さんの一家 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
見ると、庭にはレモンやオレンジの木がえていて、門の前には高いシュロの木が立っています。海は、ここで小さなになっていました。
「して、どう落ちのびまするか。ここは川ノ辻です。西へ下れば、摂津のすみ。北へ行けば、淀川へ出てしまいますが」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今年ことし夏休なつやすみに、正雄まさおさんは、かあさんやねえさんにれられて、しま別荘べっそう避暑ひしょにまいりました。
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんぞかへつてみづかいろまよふことをなして、女子ぢよし愛戀あいれんし、あまつさ關帝くわんていひげべにる。言語道斷ごんごだうだんぢやと。すでたけかごつくらしめ、これにりてなかしづめんとす。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
図の上半部を成している彼方むこうには翠色すいしょく悦ぶべき遠山が見えている、その手前には丘陵が起伏している、その間に層塔そうとうもあれば高閤こうこうもあり、黒ずんだ欝樹うつじゅおおうたそばもあれば
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
むかし、むかし、丹後たんごの国みずうらに、浦島太郎というりょうしがありました。
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
うらへ一時半じはんあひだのぼりであるが多少たせう高低かうていはある。くだりもある。喇叭らつぱく、くて棧道さんだうにかゝつてからだい一の停留所ていりうじよいたところわすれたが此處こゝ熱海あたみから人車じんしやりちがへるのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「こンれ! にしア、江戸もんけ? は広かべアなあ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
底にごるの波暮れて
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
「まア、お上がンなすって。いや、いっそ、の向う浦へ行きましょうや。ちょッとおつな旗亭のみやがありますぜ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
春の日のぽかぽかあたっているみずの浜べで、りょうしたちがげんきよく舟うたをうたいながら、あみをひいたり舟をこいだりしているところを、まざまざと夢に見るようになりました。
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
船頭おやぢ辨當べんたう使つかあひだ、しばらくはふね漂蕩へうたうながるゝにまかせて、やがて、かれひまして、ざぶりとふなべりあらさまに、割籠わりごむとてみづが、船脚ふなあしよりはながいて、うごくもののないおも
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
げんの三兄弟も、それぞれ小舟にもどり、やがて呉用をのせて、夕波のぎ渡って、家路についた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の妻子をのせた三艘の苫船とまぶねは、なるべく、葦やよしの茂みをさおさして、臆病な水鳥のように、まる一昼夜を、北へ北へ逃げ遡り、やがて広河ひろがわのあたりに、深く船影をひそめて、ひとまず
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)