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方
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あた
ふりがな文庫
“
方
(
あた
)” の例文
而して此間に
方
(
あた
)
りて白眼天下を
睥睨
(
へいげい
)
せる
布衣
(
ほい
)
の学者は日本の人心を改造したり、少くとも日本人の中に福沢宗と
曰
(
い
)
ふべき一党を形造れり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
豪傑知事
安場保和
(
やすばやすかず
)
から福岡市の対岸に
方
(
あた
)
る向い浜(今の西
戸崎
(
とざき
)
附近)の松原の官林を貰って薪を作り、福岡地方に売却し始めた。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
文運日を追ふて隆盛に
赴
(
おもむ
)
く時に
方
(
あた
)
りて、木くづ竹ぎれにも劣りてつまらぬ貞門の俳諧がいつまでか能く人心を喜ばしむべき。
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
吾輩は先刻申す通り大事件の
余瀾
(
よらん
)
を
描
(
えが
)
きつつある。しかしてこの珍客はこの余瀾を描くに
方
(
あた
)
って逸すべからざる材料である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二十三節以下の言を発するに
方
(
あた
)
りてヨブの態度に左の如き変化ありし者と見て、その意味を解する事が容易になると思う。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
▼ もっと見る
斯
(
こ
)
の時に
方
(
あた
)
つて、天下岌岌、生民死を救うて
暇
(
いとま
)
あらず、士大夫乃ち流宕
此
(
かく
)
の如し。歎ずべけんや。或は無聊の故に出づるか。(渭南文集、巻三十)
放翁鑑賞:07 その七 ――放翁詩話三十章――
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
自分の今眼を塞がれて通って居る処は、浅草から
何
(
ど
)
の辺に
方
(
あた
)
って居るのか、唯それだけを是非とも知って見たくなった。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
晏子
(
あんし
)
が
莊公
(
さうこう
)
の
尸
(
し
)
に
伏
(
ふ
)
し、
之
(
これ
)
を
哭
(
こく
)
して
禮
(
れい
)
を
成
(
な
)
し
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
去
(
さ
)
るに
方
(
あた
)
つて、
豈
(
あ
)
に
所謂
(
いはゆる
)
(七二)
義
(
ぎ
)
を
見
(
み
)
て
爲
(
な
)
さざるは
勇
(
ゆう
)
無
(
な
)
き
者
(
もの
)
邪
(
か
)
。
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
北村君は石坂昌孝氏の娘に
方
(
あた
)
る、みな子さんを
娶
(
めと
)
って、二十五歳(?)の時には早や愛児のふさ子さんが生れて居た。
北村透谷の短き一生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その中を冒して突進、不動坂を駆け上がるのが髯将軍、早くも胸つき八丁の上に
方
(
あた
)
りてまたぞろ雨中でウエーウエー。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
その上に
前山
(
まえやま
)
、すこし東に
方
(
あた
)
って
朝熊
(
あさま
)
山が見え、それを繋ぐ山と山との肩の間から、
群山
(
ぐんざん
)
を
睥睨
(
へいげい
)
するように、
突兀
(
とっこつ
)
として、剣のような一峰が望まれた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
事物の是非を判つの常識を失はんとするに
方
(
あた
)
り、学者と論客は挙つて之に附和雷同し、余等非戦論者の言動を以て社会の秩序と安寧に害あるものと言ふ。
外交の後援:(敵愾にあらず至誠にあり)
(新字旧仮名)
/
大石誠之助
(著)
それなら二葉亭は旧人として小説を書くに
方
(
あた
)
っても天下国家を
揮廻
(
ふりまわ
)
しそうなもんだが、芸術となるとそうでない。
二葉亭追録
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
既
(
も
)
う札幌に着くのかと思つて、時計を見ると一時を五分過ぎてゐた。窓から顔を出すと、行手に
方
(
あた
)
つて
蓊乎
(
こんもり
)
とした木立が見え、大きい白ペンキ塗の建物も見えた。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
甲府の牢屋は甲府城の東に
方
(
あた
)
ってお濠と境町の通りを隔てて相対し、三方はお組屋敷で囲まれている。そのお組屋敷の東は御代官の陣屋になっているのであります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
変事に
方
(
あた
)
り人情に基づいて行った必要なる処置であって、釈放しても帰って来る理由があってしたのであるけれども、太宗が大辟囚を縦ったのは、常の場合において
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
彼は
猶
(
なお
)
能
(
よ
)
く
其
(
その
)
顔を見届けようと、
朧
(
おぼろ
)
の
雪明
(
ゆきあかり
)
を
便宜
(
たより
)
に
凝
(
じっ
)
と見詰めている時、
忽
(
たちま
)
ち我が
背後
(
うしろ
)
に
方
(
あた
)
って物の
気息
(
けはい
)
を聴いたので、忠一は驚いて
屹
(
きっ
)
と
顧
(
みかえ
)
ると、物の
音
(
おと
)
は又
止
(
や
)
んだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此の時此の家の奥の室とも云う可き所に
方
(
あた
)
る一つの窓の
戸帳
(
とばり
)
を内から
颯
(
さっ
)
と開いた者が有る、何でも遽しい余の馬の足音に驚き何事かと外を窺いた者らしい、併し其の者
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
後に負へる松杉の緑は
麗
(
うららか
)
に
霽
(
は
)
れたる空を
攅
(
さ
)
してその
頂
(
いただき
)
に
方
(
あた
)
りて
懶
(
ものう
)
げに
懸
(
かか
)
れる雲は
眠
(
ねむ
)
るに似たり。
習
(
そよ
)
との風もあらぬに花は
頻
(
しきり
)
に散りぬ。散る時に
軽
(
かろ
)
く舞ふを
鶯
(
うぐひす
)
は争ひて歌へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
理由の第二は、今の多事の時に
方
(
あた
)
って、二、三の有力者に託するに藩の大事を以てし、これに
掣肘
(
せいちゅう
)
を加うることなく、当主を輔佐して臨機の処置に
出
(
い
)
でしむるを有利とするからである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
一日
昧爽
(
まいそう
)
、
櫛沐
(
しつもく
)
ニ
方
(
あた
)
リ、打門ノ声甚ダ急ナルヲ聞キ、楼欄ニ
憑
(
よ
)
ツテ
之
(
これ
)
ヲ観ルニ、客アリ。
清癯
(
せいく
)
鶴ノ如シ。戸ニ当リテ立ツ。スミヤカニ
倒屣
(
とうし
)
シテ之ヲ迎フ。既ニシテ門ニ入リ名刺ヲ出ダス。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ちょうど我々が下女下男を使うに
方
(
あた
)
って、出来るだけ手当を薄くして給与を節約するよりも、面倒を見てやって親切に厚遇した方が、結局家のためになるという慈善論と同一の筆法である。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
信飛の国界に
方
(
あた
)
りて、
御嶽
(
おんたけ
)
・乗鞍・穂高・槍の四喬岳のある事は、
何人
(
なんぴと
)
も
首肯
(
しゅこう
)
する
処
(
ところ
)
、だが槍・穂高間には、なお一万尺以上の高峰が沢山群立している、という事を知っている者は
稀
(
まれ
)
である。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
潭
云
(
いわ
)
く何ぞ下り去らざると、山遂に珍重して
簾
(
れん
)
を
掲
(
かか
)
げて出で、外面の黒きを見て、
卻回
(
きゃっかい
)
して云く、門外黒しと。潭遂に紙燭を点じて山に
度与
(
どよ
)
せむとす。山接せむとするに
方
(
あた
)
って潭
便
(
すなわ
)
ち
吹滅
(
ふきけ
)
す。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
右手に
方
(
あた
)
って遠山が鋸の歯のように尖んがった処に、黄いろな一抹の横雲が夕映の名残りを染めて見えていた。
章
(
しょう
)
はぼんやりした眼で、その横雲の方を見ながら、
糧食
(
べんとう
)
の残りの餅を
喫
(
く
)
っていた。
狼の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
敵の一将を追うことはなはだ急なりしが
竟
(
つい
)
に及ばずして還る、信長勝三にいう、
曰
(
いわ
)
く、今の逃将は必ず神子田長門である、およそ追兵のはなはだ急なる時に
方
(
あた
)
っては、
怯懦
(
きょうだ
)
の士必ず反撃して死す
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
遂に辱められたるを以て
恨
(
うらめ
)
しとなす〉とあり、『古事記』には〈その産に
方
(
あた
)
っては八尋の
和邇
(
わに
)
と化りて匍匐い
逶蛇
(
もこよ
)
う〉とあり、その前文に〈すべて
佗国
(
あだしくに
)
の人は産に臨める時、
本国
(
もとつくに
)
の形を以て
産生
(
う
)
む
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
新しき世界に古き精神を
逗
(
とゞ
)
めたる明治の初年に
方
(
あた
)
りては、彼の喝破せし此主義が如何に開化党に歓迎せられて守旧党に驚愕せられたるよ。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
三山は墓標に
揮毫
(
きごう
)
するに
方
(
あた
)
って幾度も筆を措いて
躊躇
(
ちゅうちょ
)
した。この二葉亭四迷は故人の最も憎める名であった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
すると、遥か河下に
方
(
あた
)
って百雷の轟ろくがごとき音響が地を鳴らして聞える。なんだろう? 早速吾輩が飛んでく。河に沿うて
凡
(
およ
)
そ三丁ばかり、一大飛瀑発見! 大滝!
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
斯様
(
かよう
)
な
慌
(
あわただ
)
しい際に斯様な話を持ち出すのも
如何
(
いかが
)
であるけれども、自分が神戸を去るに
方
(
あた
)
って一番心懸りなのは、何とかして自分の力でと思っていた雪子お嬢さんの御縁を
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
北村君は又芝公園へ移ったが、
其処
(
そこ
)
は紅葉館の裏手に
方
(
あた
)
る処で、土地が高く樹木が欝蒼とした具合が、北村君の性質によく
協
(
かな
)
ったという事は、書いたものの中にも出ている。
北村透谷の短き一生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
文
(
ぶん
)
曰
(
いは
)
く、『
主
(
しゆ
)
少
(
わか
)
うして
國
(
くに
)
疑
(
うたが
)
ひ、
大臣
(
だいじん
)
未
(
いま
)
だ
附
(
つ
)
かず、百
姓
(
せい
)
信
(
しん
)
ぜず、
是
(
こ
)
の
時
(
とき
)
に
方
(
あた
)
つて
之
(
これ
)
を
子
(
し
)
に
屬
(
ぞく
)
せん
乎
(
か
)
、
之
(
これ
)
を
我
(
われ
)
に
屬
(
ぞく
)
せん
乎
(
か
)
』と。
起
(
き
)
、
默然
(
もくぜん
)
たること
良
(
やや
)
久
(
ひさ
)
しうして
曰
(
いは
)
く、『
之
(
これ
)
を
子
(
し
)
に
屬
(
ぞく
)
せん』
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
闇中に跳躍する事なきにあらず、
是時
(
このとき
)
に
方
(
あた
)
つて、わが身心には秩序なく、系統なく、思慮なく、分別なく、只一気の盲動するに任ずるのみ、若し海嘯地震を以て人意にあらずとせば
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
南に
方
(
あた
)
りて
箒川
(
ははきがわ
)
の
緩
(
ゆる
)
く
廻
(
めぐ
)
れる
磧
(
かはら
)
に臨み、
俯
(
ふ
)
しては、
水石
(
すいせき
)
の
粼々
(
りんりん
)
たるを
弄
(
もてあそ
)
び、仰げば西に、富士、
喜十六
(
きじゆうろく
)
の
翠巒
(
すいらん
)
と対して、清風座に満ち、
袖
(
そで
)
の沢を
落来
(
おちく
)
る流は、二十丈の絶壁に懸りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
余は曙覧を論ずるに
方
(
あた
)
りて実にその
褒貶
(
ほうへん
)
に迷えり。もしそれ曙覧の人品性行に至りては
磊々落々
(
らいらいらくらく
)
世間の名利に拘束せられず、正を守り義を取り
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に
愧
(
は
)
じざる、けだし絶無
僅有
(
きんゆう
)
の人なり。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
太閤ノ時ニ
方
(
あた
)
リ、其ノ天下ニ布列スル者、
概
(
おほむ
)
ネ希世ノ雄也、而シテ
尽
(
ことごと
)
ク其ノ用ヲ為シテ敢ヘテ
叛
(
そむ
)
カシメザルハ必ズ術有ラン、
曰
(
いは
)
ク其意ニ
中
(
あた
)
ル也、曰ク其意ノ外ニ出ヅル也——程度で尽きるだろう。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
維新の始めに
方
(
あた
)
りてや、所謂智識を世界に求むるの精神は
沛乎
(
はいこ
)
として抑ゆべからず。天下の人心は飢渇の如く新しき思想新しき智識を追求めたり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
河原の温泉を過ぎて吾妻川の峡谷を
遡
(
さかのぼ
)
れば、前面に
方
(
あた
)
りて何となく物凄き一大魔形の山が見える。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
椿岳及び寒月が淡島と名乗るは維新の新政に
方
(
あた
)
って町人もまた
苗字
(
みょうじ
)
を戸籍に登録した時、屋号の淡島屋が世間に通りがイイというので淡島と改称したので、本姓は
服部
(
はっとり
)
であった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
忽
(
たちま
)
ち兵営の門前に
方
(
あた
)
りて人の叫ぶが聞えぬ、間貫一は二人の
曲者
(
くせもの
)
に囲れたるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
青門
老圃
(
らうほ
)
独
(
ひと
)
り一室の中に坐し、
冥思
(
めいし
)
遐捜
(
かさう
)
す、両頬
赤
(
せき
)
を発し火の如く、
喉間
(
こうかん
)
咯々
(
かく/\
)
声あるに至る、稿を
属
(
しょく
)
し日を積まざれば出でず、思を構ふるの時に
方
(
あた
)
つて大苦あるものの如し、既に来れば則ち大喜
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
先刻松林の奥から見えたのは、ちょうどその月の真下に
方
(
あた
)
って、最も強く光っている部分なのである。その海の部分は、単に光るばかりでなく、光りつつ針金を
捩
(
ね
)
じるように動いているのが分る。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
吾
(
われ
)
聞
(
き
)
く、
君子
(
くんし
)
は
己
(
おのれ
)
を
知
(
し
)
らざる
者
(
もの
)
に
(五二)
詘
(
くつ
)
して、
己
(
おのれ
)
を
知
(
し
)
る
者
(
もの
)
に
信
(
の
)
ぶと。
吾
(
われ
)
・
縲紲
(
るゐせつ
)
の
中
(
うち
)
に
在
(
あ
)
るに
方
(
あた
)
り、
(五三)
彼
(
かれ
)
、
我
(
われ
)
を
知
(
し
)
らず。
(五四)
夫子
(
ふうし
)
既
(
すで
)
に
(五五)
感寤
(
かんご
)
し、
我
(
われ
)
を
贖
(
あがな
)
へり、
是
(
こ
)
れ
己
(
おのれ
)
を
知
(
し
)
るなり。
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
然
(
しか
)
してその鬱屈に
方
(
あた
)
つてや
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
而して其人と事を論ずるに
方
(
あた
)
つても彼れには決して気を以て人を圧するが如きこと無く、静かにして而も
少
(
ちひ
)
さき声にて微笑しながら語るなりき。余は之に反せり。
透谷全集を読む
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
この
偏寄
(
かたよ
)
った下層興味にしばしば誤まられて、例えば婦人を観察するに
方
(
あた
)
っても、英語の出来るお嬢さんや女学校出の若い奥さんは人形同様で何の役にも立たないと頭から
蔑
(
けな
)
しつけ
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
虚子の小説を評するに
方
(
あた
)
っては
是丈
(
これだけ
)
の事を述べる必要があると思う。
高浜虚子著『鶏頭』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
吾人は我教会に
斯
(
かく
)
の如き空論家多きものありと曰はず。教師に空論の説教を為す者ありと曰はず。
然
(
しか
)
れども今日の時に
方
(
あた
)
りて何人も自ら此点に就て省みるの必要は必ず有りと信ずる者也。
信仰個条なかるべからず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
眉山が債権者と折衝するに
方
(
あた
)
って相談
対手
(
あいて
)
としたのは
専
(
もっぱ
)
らこの男で、世帯を畳んだ時に身の廻りのものを預けたのもこの男の家なら、放浪から帰ると直ぐ
頼
(
たよ
)
ったのもこの男の家であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
“方”の解説
方(ほう)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“方”を含む語句
彼方
此方
何方
先方
其方
地方
前方
行方
方法
遠方
四方
彼方此方
貴方
東方
大方
上方
一方
外方
片方
南方
...