四角しかく)” の例文
それはまるつかまへほうびて四角しかくになつたかたちで、ちょっとむかしくちひろつぼせて、よこからたようなかたちをしてゐるものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そして気をつけて見ると、そこらには、ひづめの二つある足跡あしあとのついたいわが、四角しかくに十ばかり、きれいに切り取られて番号ばんごうがつけられてありました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
挨拶をして、部屋を出て、玄関正面へて、向を見ると、長い廊下のはづれ四角しかくに切れて、ぱつとあかるく、おもてみどりうつあがぐちに、池の女が立つてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
来たナ、と思わずつぼにるのを隠し、あわててはずしかけたのれんを戻すと上へけあがって、ひざ四角しかく
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
少々せう/\さむし、不景氣ふけいき薄外套うすぐわいたうそで貧乏びんぼふゆすりにゆすつてると、算木さんぎ四角しかくならべたやうに、クツシヨンにせきつてきやくが、そちこちばら/\と立掛たちかゝる。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こんな四角しかくな布で足をふいていたからという人もあるが、それがどうして荷物を包むものになったのか、今は風呂にも敷かないのに、どうしてそんな名をつけたのか
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その咳ばらいを聞くと、御書院番の連中は急に居ずまいを直して、四角しかくくなった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
きつはなして急催促きふさいそく言譯いひわけすべきほどもなくたちま表向おもてむきの訴訟沙汰そしようざたとはれりけるもと松澤まつざは數代すだい家柄いへがら信用しんようあつければ僅々きん/\せん二千にせんかね何方いづかたにても調達てうたつ出來得できうべしと世人せじんおもふは反對うらうへにて玉子たまご四角しかくまだ萬國博覽曾ばんこくはくらんくわいにも陳列ちんれつ沙汰さた
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それはまへ四角しかくうしろまるいといふ意味いみであります。このつか模型もけいとくいてありますから、それを御覽ごらんになるとよくわかります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
山脈さんみゃくの雪はまっ白にえ、の前の野原はいろや茶のしまになってあちこちこされたはたけとびいろの四角しかくなきれをあてたように見えたりしました。
おきなぐさ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
縁先えんさきみぎはう小六ころくのゐる六でふまがつて、ひだりには玄關げんくわんしてゐる。そのむかふをへいえん平行へいかうふさいでゐるから、まあ四角しかく圍内かこひうちつてい。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もつと間近まぢかかつたのを、よくた。が、しろ風呂敷ふろしきけめは、四角しかくにクハツとあいて、しかもゆがめたるくちである。結目むすびめみゝである。墨繪すみゑ模樣もやう八角はつかくまなこである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しまいには亜鉛トタンの板で張った四角しかくの箱を、カンカラといってまた背負いあるくようになっている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
またそのうしろまるいところと、まへ四角しかくなところとのつなぎめのところの兩側りようがはに、ちひさいまるをかがついてゐることがあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
宗助そうすけつぎにある亞鉛とたんおとしのいた四角しかく火鉢ひばちや、やすつぽいいろをした眞鍮しんちゆう藥鑵やくわんや、ふるびたながしのそばかれたあたらしぎる手桶てをけながめて、かどた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたしをついてかしこまると、先生せんせいにはお客分きやくぶん仔細しさいないのに、宙外ちうぐわいさんもけむかれて、かた四角しかくすわなほつて、さけのいきを、はあはあと、もつぱらピンとねたひげんだ。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
障子しやうじかして、たゝみおよ半疊はんでふばかりの細長ほそなが七輪しちりんに、いつつづゝした眞白まつしろ串團子くしだんごを、大福帳だいふくちやう權化ごんげした算盤そろばんごとくずらりとならべて、眞赤まつかを、四角しかく團扇うちはで、ばた/\ばた
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小六ころくこのしもばかりりた四角しかく地面ぢめんにして、しきりに障子しやうじかみがしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
このまるいのが海、この三角が山、この四角しかくいのが田圃たんぼだと思えばそれでもようござんす。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
このたびのは、一昨日をとゝひあさからかゝつた仕事しごとで、ハヤそのなかばいた。たけ間半けんはん小口こぐちじやくまはり四角しかくくすのき眞二まつぷたつにらうとするので、與吉よきちは十七の小腕こうでだけれども、このわざにはけてた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おごつた、じまの郡内ぐんないである。通例つうれいわたしたちがもちゐるのは、四角しかくうすくて、ちよぼりとしてて、こしせるとその重量おもみで、すこあぶんで、ひざでぺたんとるのだが、そんなのではない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もしびれたか、きゆつときしむ……水口みづくちけると、ちやも、かまちも、だゞつぴろおほきなあな四角しかくならべて陰氣いんきである。引窓ひきまどす、なんかげか、うすあかりに一目ひとめると、くちびるがひツつツた。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
地形ちけい四角しかくなるところすなは桝形ますがたなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)