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ふりがな文庫
“
促
(
うなが
)” の例文
この小説家のために一歩の発展を
促
(
うなが
)
されて、開化の進路にあたる
一叢
(
ひとむら
)
の
荊棘
(
いばら
)
を切り開いて貰ったと云わねばならんだろうと思います。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だが、そうしてようやく内治が
調
(
ととの
)
ったと思うと、こんどは国外からの圧迫がひしひしと、この一小国にも、
旗幟
(
きし
)
の鮮明を
促
(
うなが
)
して来た。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は何やら考込みながら、八五郎を
促
(
うなが
)
しました。ものの判斷は
覺束
(
おぼつか
)
ないが、見ることと聞くことは人後に落ちない筈の八五郎です。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見送っていた法外先生と千浪は、ほっと溜息を残してしょんぼりと、
促
(
うなが
)
し合って梯子段を、二階の
自室
(
へや
)
へ帰って行こうとしている。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
小池助手は途中で、幾度も朗読をやめようかと思ったが、川手氏の目が、先を先をと
促
(
うなが
)
すものだから、やっとのことで読み終った。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
治修はもう一度
促
(
うなが
)
すように、同じ言葉を繰り返した。が、今度も三右衛門は
袴
(
はかま
)
へ目を落したきり、容易に口を開こうともしない。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかるにこの政府を恐れて訴うることを知らず、きたなくも他人の名目を借り他人の暴威によりて返金を
促
(
うなが
)
すとは卑怯なる挙動ならずや。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
帆村は私を
促
(
うなが
)
して診察室を出た。調剤室はすこし離れた玄関脇にあった。その中へ入ると、プーンと痛そうなくすりの匂いが鼻をうった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかしすぐにまた弓を
韔
(
かわぶくろ
)
に収めてしまった。再び
促
(
うなが
)
されてまた弓を取出し、あと二人を
斃
(
たお
)
したが、一人を射るごとに目を
掩
(
おお
)
うた。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
夫人は、奔放にそう云い放つと、青年が何う返事するかも待たないで、美奈子を
促
(
うなが
)
しながら、一台の自動車に、ズン/\乗ってしまった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
たとへば輪に舞ふ人々が、悦び増せば、これに
促
(
うなが
)
され引かれつゝ、相共に聲を高うし、姿に樂しみを現はすごとく 一九—二一
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
それは絶望の叫びであって同時に覚悟の決定を
促
(
うなが
)
すように聞えたから、一同は暫らく無言で酒井の
面
(
かお
)
を見ていると、酒井は
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
まことによいところへ気がついてくれたと、そう思った乳母は不安がる娘を
促
(
うなが
)
し立てゝ、
行者
(
ぎょうじゃ
)
に案内されながら河原へ降りて行ったのである。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「どうれ、おめえ
等
(
ら
)
饂飩粉
(
うどんこな
)
少
(
ちつ
)
と
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
て
見
(
み
)
せえ、一ツ
爪尻
(
つまじり
)
でえゝんだ、おゝえ
持
(
も
)
つて
來
(
こ
)
うな、おつぎでもえゝや、よう」と
兼
(
かね
)
博勞
(
ばくらう
)
は
促
(
うなが
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
三左衛門は若党を
促
(
うなが
)
して走るように山をおりて
温泉宿
(
ゆやど
)
へ帰ったが、どうも不審でたまらないのですぐ宿の
主翁
(
ていしゅ
)
を呼んだ。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ロイドはそれに
見惚
(
みほ
)
れていて、着物を脱ごうとしなかった。マアガレットが
促
(
うなが
)
すと、彼はそのままシャツの腕まくりをして、浴槽へ近づいて来た。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
促
(
うなが
)
し「玉江や、モー十二時だよ」玉江「オヤマア、大変にお
邪魔
(
じゃま
)
をしましたね」と遂に両人とも
暇
(
いとま
)
を告げて辞し去りぬ。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
将軍が大堰川へ船遊びの際、
伴船
(
ともぶね
)
に使う屋根船で、めったに人の手に
触
(
ふ
)
れません。昭青年は苫を破り分けて早百合姫をその中へ入るよう
促
(
うなが
)
しました。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
人間の生計あるいは生活あるいは
品行
(
ひんこう
)
においていわゆる
表裏
(
ひょうり
)
(ことにいわゆるなる文字を使うことに注意を
促
(
うなが
)
したい)
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
余は麦畑に踏込む犬を
叱
(
しか
)
り、
道草
(
みちくさ
)
摘
(
つ
)
む女児を
促
(
うなが
)
し、品川堀に沿うて北へ行く。
路傍
(
みちばた
)
の尾花は霜枯れて、かさ/\鳴って居る。
丁度
(
ちょうど
)
七年前の此月である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
けれども熊城君。僕はなにも職業的な観賞家じゃないのだからね、猟館や瘤々した自然橋などを持ち出してまで、君達に瞑想を
促
(
うなが
)
そうとする魂胆はない。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
これによって仏道へはいれと仏の
促
(
うなが
)
すのをしいて知らぬふうに世の中から離脱することのできなかったために
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そんな話をしながら父は上機嫌だつたが、隣りの家主から二つ溜まつてゐる家賃の催促が来たところで、急に興ざめのした形で、妹を
促
(
うなが
)
して帰つて行つた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
去って一月、また二月、保護者に
促
(
うなが
)
されて書いた手紙だろうが、時々無事と疎開地生活の
満足
(
まんぞく
)
を知らせてくる。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
それは多くの農夫の為に、一日の
疲労
(
つかれ
)
を
犒
(
ねぎら
)
ふやうにも、楽しい
休息
(
やすみ
)
を
促
(
うなが
)
すやうにも聞える。まだ野に残つて働いて居る人々は、いづれも仕事を急ぎ初めた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
更
(
さ
)
らに二氏の答書を
促
(
うなが
)
したる
手簡
(
しゅかん
)
ならびに二氏のこれに答えたる返書を後に附記して、読者の参考に供す。
瘠我慢の説:01 序
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
しかして若きダルガスのこの言を実際に
試
(
ため
)
してみましたところが実にそのとおりでありました。小樅はある程度まで大樅の成長を
促
(
うなが
)
すの
能力
(
ちから
)
を持っております。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
こう言って、二人はいくらかその時分のことの追憶の興に
促
(
うなが
)
されたように、じっと互に顔を見合わした。
雪の日
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「
行
(
い
)
こ行こ。」妹の貞子は、二人を
促
(
うなが
)
し、さっさと歩いて、そうして、ただもう、にこにこしている。
律子と貞子
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
無理
(
むり
)
に
堪
(
こら
)
へてうしろを
振返
(
ふりかへ
)
つて
見
(
み
)
ようといふ
元氣
(
げんき
)
もないが、むず/\するので
考
(
かんが
)
へるやうに、
小首
(
こくび
)
をふつて、
促
(
うなが
)
す
處
(
ところ
)
ある
如
(
ごと
)
く、はれぼつたい
眼
(
め
)
で、
巡査
(
じゆんさ
)
を
見上
(
みあ
)
げた。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
新しき時代が
促
(
うなが
)
しつくらしめる
凡
(
すべ
)
てのものが過去に比較して劣るとも優っておらぬかぎり、われわれは丁度かの沈滞せる英国の画界を覚醒したロセッチ一派の如く
霊廟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
舟
(
ふね
)
がまた一
間半
(
けんはん
)
ばかり
岸
(
きし
)
を
離
(
はな
)
れた
時
(
とき
)
、
玄竹
(
げんちく
)
は
下男
(
げなん
)
を
促
(
うなが
)
して
兩掛
(
りやうが
)
けを
擔
(
かつ
)
がせ、
大急
(
おほいそ
)
ぎで
岸
(
きし
)
へ
駈
(
か
)
け
付
(
つ
)
けて
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
さては彼、東京に永住せんとするにやあらん、棄て置きなば、いよいよ帰国の念を減ぜしむべしとて、
国許
(
くにもと
)
より父の病気に托して帰国を
促
(
うなが
)
し来ることいと
頻
(
しき
)
りなり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
と
言
(
い
)
ひ
終
(
をは
)
つて、
少年
(
せうねん
)
が
默
(
だま
)
つて
點頭
(
うなづ
)
くのを
笑
(
え
)
まし
氣
(
げ
)
に
打
(
う
)
ち
見
(
み
)
やりつゝ、
他
(
た
)
の
三人
(
みたり
)
を
促
(
うなが
)
して
船室
(
キヤビン
)
を
出
(
で
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「先刻から殿がおたずねでござる。早うあれへお越しなされ」と、清治は
促
(
うなが
)
すように重ねて言った。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
翌朝フエデリゴは博士マレツチイと共に我客舍に來て
促
(
うなが
)
し立て、打ち連れて馬車に上りぬ。車は
拿破里
(
ナポリ
)
の入江を
匝
(
めぐ
)
りて行くに、爽かなる朝風は海の面より吹き來れり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
此事
(
このこと
)
は
教師
(
きようし
)
父兄
(
ふけい
)
の
注意
(
ちゆうい
)
を
促
(
うなが
)
すと
共
(
とも
)
にわが
小國民
(
しようこくみん
)
に、
向
(
むか
)
つても
直接
(
ちよくせつ
)
に
戒
(
いまし
)
めて
置
(
お
)
きたいことである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
洋々
(
やう/\
)
たるナイル
河
(
かは
)
、
荒漠
(
くわうばく
)
たるサハラの
沙漠
(
さばく
)
、
是等
(
これら
)
は
大
(
おほい
)
に
化物思想
(
ばけものしさう
)
の
發達
(
はつたつ
)
を
促
(
うなが
)
した。
埃及
(
えじぷと
)
の
神樣
(
かみさま
)
には
化物
(
ばけもの
)
が
澤山
(
たくさん
)
ある。
併
(
しか
)
し
之
(
これ
)
が
希臘
(
ぎりしや
)
へ
行
(
い
)
くと
餘程
(
よほど
)
異
(
ことな
)
り、
却
(
かへ
)
つて
日本
(
にほん
)
と
似
(
に
)
て
來
(
く
)
る。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
もう一度俊亮が
促
(
うなが
)
した。俊三はやはり返事をしない。そして相変らずお芳に何か囁いている。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
方孝孺堅く
京
(
けい
)
を守りて
勤王
(
きんのう
)
の師の
来
(
きた
)
り
援
(
たす
)
くるを待ち、事
若
(
も
)
し急ならば、
車駕
(
しゃが
)
蜀
(
しょく
)
に
幸
(
みゆき
)
して、後挙を為さんことを請う。時に
斉泰
(
せいたい
)
は
広徳
(
こうとく
)
に
奔
(
はし
)
り、黄子澄は
蘇州
(
そしゅう
)
に奔り、徴兵を
促
(
うなが
)
す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
老人は、まだ夢のような
心地
(
ここち
)
でいる次郎七と五郎八とを
促
(
うなが
)
して、村へ帰ってゆきました。
狸のお祭り
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
私は姉が両側の
飾窓
(
シヨウウインド
)
の前に立つたり、見世物の看板を眺めながら立つて居たりするのが、憎らしく
自烈
(
じれつ
)
たくてならなかつた。併し姉を
促
(
うなが
)
して帰らうとするにも行く所がなかつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
更にそのような歴史的発展や政治的変革を
促
(
うなが
)
す要因についても、それを一義的に種族闘争に求めたり、あるいは階級闘争に求めたりする説のあることは、前に述べた通りである。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
村瀬の腕だつた。明子は村瀬と一つ影になつて
失踪
(
しっそう
)
した。白痴的なこの最後の芝居が、一つの決定を
促
(
うなが
)
すことになつた。彼等の失踪の翌夜、伊曾と劉子の情死が行はれたのである。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
斯
(
こ
)
んな
事
(
こと
)
を
話
(
はな
)
してくれながら、お
爺
(
じい
)
さんは
私
(
わたくし
)
を
促
(
うなが
)
して
山
(
やま
)
の
修行場
(
しゅぎょうば
)
を
出掛
(
でか
)
けたと
思
(
おも
)
うと、そのまま一
気
(
き
)
に
途中
(
とちゅう
)
を
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
して、
忽
(
たちま
)
ち一
望
(
ぼう
)
眼
(
め
)
も
遥
(
はる
)
かなる、
広
(
ひろ
)
い
広
(
ひろ
)
い
野原
(
のはら
)
に
出
(
で
)
て
了
(
しま
)
いました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
一人を
追躡
(
ついじょう
)
して
銀明水
(
ぎんめいすい
)
の
側
(
かたわら
)
まで来りしに、吹雪一層烈しく、大に悩み居る折柄、二人は予らに面会を
了
(
おわ
)
りて下るに
遇
(
あ
)
い、
切
(
しき
)
りに危険なる由を
手真似
(
てまね
)
して引返すべきことを
促
(
うなが
)
せしかば
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
その調子がいかにも
黒人
(
くろうと
)
じみてゐて、今迄の努力の廢止を
促
(
うなが
)
す絶對の合圖となつた。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
彼は自分を
促
(
うなが
)
したてるように、明日に迫る月末の苦しさを一度に思い起してみた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
『さァ、
早
(
はや
)
く』と
帽子屋
(
ばうしや
)
は
促
(
うなが
)
して、『それでないと、
又
(
また
)
お
前
(
まへ
)
が
眠
(
ねむ
)
つて
了
(
しま
)
ふからさ』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と、そばから
主人
(
しゅじん
)
に
促
(
うなが
)
されると、
気
(
き
)
づいたように、また、せっせと
働
(
はたら
)
きました。
ちょうと三つの石
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
促
常用漢字
中学
部首:⼈
9画
“促”を含む語句
催促
督促
促織
局促
促進
居催促
御催促
促音
促迫
短促
督促使
息促
急催促
貿易促進
促々
急促込
齷促
急促
御促
厳談酷促
...