“辰:たつ” の例文
“辰:たつ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治21
佐々木味津三7
野村胡堂6
幸田露伴3
林不忘3
“辰:たつ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.6%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.4%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「おっとった。そのあしがられちゃかなわない。たつどん、うらたらいみずみな」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
たつ一は、のどもやぶれよとばかりに、大声おおごえげて、万歳ばんざいたびとなえたのでした。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
たつめでしは修業の足しにとにはあらざれど、これを妻にめかけ情婦いろになどせんと思いしにはあらず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それもこれも承知せぬではなかろうが若い人の癖とてあのおたつに心をうばわれ、しかも取残されたうらみはなく
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
つづいてそのわきの下をくぐりぬけながら、まめまめしく飛び出したのは、のどかなお公卿くげさまの善光寺たつでした。
縁ならぬ縁でしたが、目をかけた配下の善光寺たつが死んでみれば、まだ四十九日もたたないうちに、めでたいどころの騒ぎでない。
王者は笑って聴いていた。たつの刻からうまの刻になって始めて脱稿だっこうした。王者はそれを見て非常に悦んだ。
織成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
両軍対陣のまま、たつこくからの刻の頃おいまで、ただひたひたと河波の音を聞くばかりで、戦端はひらかれなかった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さて、つぎの寄合は土用のたつの日とする。場所は河岸かしをかえて上総かずさ鹿野山かのうざん、場所は上総の鹿野山」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たつ一は、むねそこからこみげてくる感激かんげきを、どうすることもできなくてさけびました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうど、その時分、とら門際もんぎわたつくちに工部省で建てた工部学校というものが出来ました。
うしとらたつ、——と、きゃくのないあがりかまちにこしをかけて
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
かくて駒ヶ林をひだりに、刈藻川かるもがわの川尻沖まで来ると、時刻はたつとき(午前八時)になっていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
明朝たつ下刻げこく(午前九時)までには、かならず寺中から挨拶に出向く——という雪岑長老の口約束をとって。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『おおたつ洒落しゃれた苦情をいうなあ。この賭場とばばかりじゃねえ。何処の場でも、てめえの小細工は名うての事じゃねえか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中には六十を越して、中風で身動きもならぬ母親のおたつが、眠るとも覚めるともなく寝ているのでしょう。
夏痩は、たつくちといふ温泉の、叔母の家で、従姉いとこの処へわきから包ものがとゞいた。
いろ扱ひ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「む、きまった。明朝たつこくここを発足する。諸事はかねがねすすめておいた運びどおりでよい」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲軍は越軍が川中島に来るのはたつの刻(午前八時)とかんがえ、厳然たる隊形は整えずにいたらしい。
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
いや三月十三日のとらノ一てん(午前四時)からたつこく(午前八時)までとあるから厳密には早朝一ト煙の市街戦だったといってよい。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いておくれ染物そめものやのたつさんがことを、昨日きのふ川田かはだやがみせでおちやつぴいのお六めと惡戲ふざけまわして
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
神戸家へ重々かさねがさね世話になるのは気の毒だと云うので、宇平一家はやはり遠い親戚に当る、添邸の山本平作方へ、八日のたつの刻過に避難した。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
たつの下刻に親戚山本平作、桜井須磨右衛門が麻上下あさがみしもで附き添って、御用部屋に出た。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「はいこの頃は、明けの卯之刻うのこくからたつのあいだに、潮がきりまして——左様、もうそろそろ潮が上げ始めている頃あいでござりまする」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
煙管きせるくわえて、後手うしろで組んで、起きぬけに田の水を見るたつじいさんの眼に、露だらけの早稲わせが一夜に一寸も伸びて見える。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
上半身に十二支の内、うしとらたつうま、の七つまで、墨と朱の二色で、いとも鮮やかに彫ってあるのでした。
たつの下刻には、すべてそろい、こくには、総大名衆すべて、大広間に着席していた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
造兵へ出るたつさんが肌を抜いで酒をんでいると、御酒を呑んでてよと御母さんに話す。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たつのやつア走りながら刺子さしこを着て、もう行っちめえやがった。はええ野郎だ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
足はドンドン加速度になって、またたくうちに外神田から鎌倉河岸——評定所ひょうじょうしょのあるたつくち和田倉門わだくらもんはもうすぐそこだ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陽を仰ぐと、まだたつ下刻げこく(午前九時)ごろだ。長い。またみじかい。どッちといっていいか、たれの頭にも、時間の観念が、もういつもの日ではない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巾着切たつ三などもその一人で、相手は御法の網の目をくゞる、雜魚ざこのやうな男。
「さあ、みんなでやろう。たつちゃん、もうすこしあそんでいたって、いいだろう。」
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いいか、日は土用の初めのたつの日、時刻はよいの六ツ半から七刻ななつの間、鹿野山の額堂がくどうに集まることだぜ。忘れねえようによく耳へとめておけ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
となりたつとなるまでもちっとも止まず励ましたつれば、数万すまん眷属けんぞく勇みをなし、水を渡るは波を蹴かえし、おかを走るはすなを蹴かえし
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ながらへばとらたつやしのばれん、うしとみし年今はこひしき。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「こんじつたつの日で、よろず新しく立つといういい日でございまするから、こんじつ以来、日本もいい運に向いてまいりましょうでございます。おめでとうございます」
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
たま/\屋敷下やしきしたを荷車挽いて通りかゝったたつじいさんが、
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
種吉では話にならぬから素通りして路地のおくへ行き種吉の女房にょうぼうけ合うと、女房のおたつは種吉とは大分ちがって、借金取の動作に注意の目をくばった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
こうして、両雄の闘いは、たつこくからうまの刻にまで及んだが、まだ勝負がつかなかったのみか、馬のほうが疲れてしまったので、日没とともに、勝負なしで引分けとなった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「総がかりは、明朝たつこく(午前八時)。おぬかりあるな」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おたつどん、すまないが、ここをちょっと貸しておくんなさい」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十二支というのは、子、うしとら、卯、たつうまひつじさるとりいぬの十二で、午の年とか酉の年とかいうあの呼び方なのです。
大金塊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
たつよりひつじに至って、両軍たがいに勝ち互に負く。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
朝のたつどき(午前七時—九時)に初めてその前列を見て、夕のとりどき(午後五時—七時)にいたる頃、その全部がようやく行き尽くしたのであって、その長さ実に幾里であるか判らない。
智者は機に投ずるを貴ぶ、帰来はすべからくたつに及ぶべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
——前章の化け右門事件で、名人右門の幕下に、新しく善光寺たつなる配下が一枚わき役として加わり、名人、伝六、善光寺辰と、およそ古今に類のない変人ぞろいの捕物とりもの陣を敷きまして
小島成斎は藩主阿部正寧まさやすの世には、たつくちの老中屋敷にいて、安政四年に家督相続をした賢之助けんのすけ正教まさのりの世になってから、昌平橋うちの上屋敷にいた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「生臭食ったらたつが泣くよ。だいいち、さっきの精霊しょうりょうだながまだでき上がっていねえじゃねえか。早くこしらえておいてやらねえと、あしたの晩やって来ても、寝るところがねえぜ」
右門捕物帖:23 幽霊水 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
「エオたつウ、コウ、いやに長く待たせるじゃあねえか」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
陽あしは、たつこく(午前八時)頃かと見られる。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが、その朝のたつ上刻じょうこく(七時)ごろ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
急はすぐ八方に知れて、このことを松平方へ早打ちする役人もあり、また、たつくちへ報ずる者もあって、丹後守とは縁戚の老中秋元但馬守は、真っ先に駈けつけて来て一同を鎮撫ちんぶした。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとえば、たつ年に生まれたるものは剛邁ごうまいの気性を有し、とら年に生まれたるものは腕力を有し、年に生まれたるものは臆病なりというごとき類は、世間にてよくいうことであります。
妖怪学一斑 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「主人の義理の弟のたつ之助——店の支配をして居る四十男ですがね、無口で愛嬌者だが、散々道楽をした揚句の堅気だから、何時いつ精進落しょうじんおちするかわかったものじゃない。——それから」
明日たつの刻ごろまでに自身当寺へ来たるべし、かねてその方工事仰せつけられたきむね願いたる五重塔の儀につき、上人直接じきにお話示はなしあるべきよしなれば、衣服等失礼なきよう心得て出頭せよと
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
時刻といえば、すでにたつこくだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たつこく頃より馬場へ出御しゅつぎょ、大場重玄をまん中に立たせ、清八、鷹をと御意ありしかば、清八はここぞと富士司を放つに、鷹はたちまち真一文字まいちもんじに重玄の天額をかいつかみぬ。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
たつ下刻げこく(午前九時)だった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同じ年十二月、亀千代ぎみ元服、九日たつの刻登城。兵部さま右京さまの両後見、ならびに東市正いちのかみ(兵部の世子)さま、遠州(宇和島藩主、伊達宗利)さまお供。黒書院にて将軍家(家綱)に謁を賜う。
たつこく(午前八時)に出さる
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
追つて、翌十日は、朝来小雨有之候へどもたつの下刻より春雷を催し、やや、晴れ間相きざし候折から——村郷士梁瀬やなせ金十郎殿より、迎への馬差し遣はされ、検脈致し呉れ候様、申し越され候間、早速馬上にて
尾形了斎覚え書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「善光寺たつと申しますんで——」
新革屋町しんかわやちょうの染物屋の娘おたつ、同じ神田鍋町の酒屋伊勢直いせなおへ嫁入りさせましたが、どこでどうり替えられたか、向うへ行って、綿帽子を取ってみると、花嫁が変っていたというのです。
新革屋町しんかわやちょうの染物屋の娘おたつ、同じ神田鍋町の酒屋伊勢直いせなおへ嫁入りさせましたが、どこでどうり替えられたか、向うへ行って、綿帽子を取ってみると、花嫁が変っていたというのです。
「どうで私の話だから昔のことだよ。そのつもりで聴いて貰わなけりゃあならないが……。江戸時代の天保三年、これは丑年じゃあないたつ年で、例の鼠小僧次郎吉が召捕りになった年だが、その正月二日の朝の出来事だ。」
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「あすたつこく発向だぞ」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「都門を立つはたつこく
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たつこく、お蔵びらき。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
精霊だなをこしらえながら、いいこころもちになってあの世のたつと話をしているさいちゅう、どこから忍び込んで、いつのまに庭先までもはいってきたのか、不意にしょんぼりと目の前に立ちふさがりながら、いきなり「もしえ」と
右門捕物帖:23 幽霊水 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
たつくち評定所ひょうじょうしょ——あの右側の御門にある目安箱へ、この上書をソッと投げ込んで来てくれまいか——つまりこの一書は、弦之丞がいよいよ阿波へ発足する口火となるもの。早速、行ってきて貰いたい」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たつこくです」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弟はたつと云った。
生い立ちの記 (新字新仮名) / 小山清(著)
たつです」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
かくてん雪催ゆきもよひ調とゝのふと、矢玉やだまおとたゆるときなく、うしとらたつ刻々こく/\修羅礫しゆらつぶてうちかけて、霰々あられ/\また玉霰たまあられ
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
紙幣さつと菓子との二つ取りにはおこしをおくれと手を出したる物なれば、今の稼業に誠はなくとも百人の中の一人に真からの涙をこぼして、聞いておくれ染物やのたつさんが事を、昨日きのふも川田やが店でおちやつぴいのお六めと悪戯ふざけまわして
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかも、あわただしげに目顔で名人をお招きなさったものでしたから、すわ大事出来しゅったいとばかり、いろめきたちながら聞き耳立てていると、だが、伊豆守のわざわざお運びになったのは、名人に用があったのではなく、善光寺たつへのご用なのでした。
十年前の言草なんか誰が覚えているものか、しかしあの石塔に帰泉院殿きせんいんでん黄鶴大居士こうかくだいこじ安永五年たつ正月とってあったのだけはいまだに記憶している。あの石塔は古雅に出来ていたよ。引き越す時に盗んで行きたかったくらいだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人々の答えによると、井戸を隔ててお菊方と向いあって、眼玉の大きいところから蜻蛉のたつと呼ばれている中年者が住んでいるが、去年の夏、女郎上りのかかあに死なれてからは、昼は家にごろごろして日暮れから夜鳴饂飩よなきうどんを売りに出ているとのこと。
一人の女と一人の女形おやま、その美しい円味まるみ、匂いこぼれるようななまめかしさ、悩ましさはともかくとして、おりふし「青楼十二時」でもひもどいて、たつこくの画面に打衝ぶつかると、ハタと彼は、その折帖おりちょうを伏せてしまうのだった。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「それには及ばぬ。今日のうち正式に、閣老から武蔵先生へお召状がさがるはず。それを持って明日は、たつの口のお控え所まで参り、登城のおゆるしが出れば、即日、将軍家に拝謁はいえつすることになろう。——だから、老中のお使いが見え次第に、わしがお迎えに行かねばならぬ」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あれは札差ふださし檀那衆だんなしゅ悪作劇いたずらをしておいでなすったところへ、おたつさんが飛び込んでお出なすったのでございます。き散らしてあったお金をそのままにして置いて、檀那衆がおにげなさると、お辰さんはそれを持っておかえりなさいました」といった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
上野の三枚橋を中にして、双方がにらみ合ってる中に、父の弟分なり乾児こぶんなりであった肴屋さかなやたつという六尺近くもある大男の豪のものが飛び出して、相手を一拉ひとひしぎにしたので、兼松の名が一層仲間のものに知られたという話もあります、こんな話は数々あるがまず略します。
いらざるむだ口を善光寺たつにたたいておいて、横っとびに向こうへ飛んでいったと思われましたが、ほどなく宿場育ちの屈強な裸人足を引き連れてまいりましたので、いよいよここにまこと伝六のことばのごとく、城持ち大名と捕物名人の古今未曽有みぞうな力と知恵の一騎打ちが、いまぞ開始されんず形勢とあいなりました。
けれど彼はなお自軍の大兵力をたのんで、「われ奇兵を以て勝つべし」といい、「明日のたつの刻を期し、自身二千余騎でこの山を下って、わざと逃げ走るから、汝らは薛喬せっきょうの部隊そのほかと三万余人で、石亭の南北にわかれ、山添いに埋伏しておれ。——徐盛を捕えんことたなごころであろう」と、その準備をしていた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いいえ、こないだたつのふた七日なのかの日にね、あんまり気がめいってならねえから、通りの釈場にいったら講釈師がいったんですよ。あたりめえの人間の気違いはかええそうだが、王さまで気の触れているのは何をしでかすかわからねえから、あぶなくてしようがねえんだ、とこういうわけあいなんだそうながね、なかなかうめえことをいうじゃござんせんか。