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路
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みち
ふりがな文庫
“
路
(
みち
)” の例文
加之
(
おまけ
)
に
路
(
みち
)
が悪い。
雪融
(
ゆきど
)
けの時などには、夜は
迂濶
(
うっかり
)
歩けない位であった。しかし
今日
(
こんにち
)
のように
追剥
(
おいはぎ
)
や
出歯亀
(
でばかめ
)
の噂などは甚だ稀であった。
思い出草
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
路
(
みち
)
のわかるまで私の白い
燈火
(
あかり
)
を見せましょう。路がわかっても、声を出さないで下さい。上へ行き着いた時にも呼ばないで下さい」
世界怪談名作集:06 信号手
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
陸
(
おか
)
の麦畑の間にある
路
(
みち
)
から、
中脊
(
ちゅうぜい
)
の
肥満
(
ふと
)
った
傲慢
(
ごうまん
)
な顔をした長者が、
赤樫
(
あかがし
)
の
杖
(
つえ
)
を
引摺
(
ひきず
)
るようにしてあるいて来るところでありました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
不思議
(
ふしぎ
)
な
姉
(
あね
)
は、
町
(
まち
)
の
中
(
なか
)
を
通
(
とお
)
って、いつしか、
寂
(
さび
)
しい
路
(
みち
)
を、
北
(
きた
)
の
方
(
ほう
)
に
向
(
む
)
かって
歩
(
ある
)
いていました。
夜
(
よる
)
になって、
空
(
そら
)
には
星
(
ほし
)
が
瞬
(
またた
)
いています。
灰色の姉と桃色の妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
雪のふかく降りつもっている
路
(
みち
)
を歩いているとき、一羽の小鳥が飛んで来て彼の周囲を舞い歩いた。少年の栖方はそれが面白かった。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
私はその娘さんが、あとから来るのだろう、来るのだろうと、見返り見返りしながら手を曳かれて行ったが、なかなか
路
(
みち
)
は遠かった。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
路
(
みち
)
ばたで声のするように、こうした
上方
(
かみがた
)
女郎衆の輸送は、三日にあげず通った。もちろん流れてゆく先は、新開発の江戸表である。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
神楽坂
(
かぐらざか
)
へかゝると、
寂
(
ひつそ
)
りとした
路
(
みち
)
が左右の
二階家
(
にかいや
)
に
挟
(
はさ
)
まれて、
細長
(
ほそなが
)
く
前
(
まへ
)
を
塞
(
ふさ
)
いでゐた。中途迄
上
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
たら、それが急に鳴り
出
(
だ
)
した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
本郷の
村落
(
むら
)
を通って、
路
(
みち
)
はまた土手の上にのぼった。昨日向こう岸から見て下った川を今日はこの岸からさかのぼって行くのである。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
路
(
みち
)
の上や小屋のかげに
膝先
(
ひざさき
)
ついて、見るような見ないような——そのくせまざまざと自分の大切な人を感じながら静かに控えていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
『
軽
(
かる
)
の
路
(
みち
)
は吾妹子が里にしあれば、……吾妹子が止まず出で見し
軽
(
かる
)
の
市
(
いち
)
に』とあるので、仮に人麿考の著者に従つてかく仮名した。
人麿の妻
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ある日小ぐまさんが
路
(
みち
)
ばたであそんでゐますと、お
猫
(
ねこ
)
さんが通りがゝりました。お猫さんは、ふところから 赤いものをとりだして
小ぐまさん の かんがへちがひ
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
まるで
人気
(
ひとけ
)
がないように感じられたそうですが、それでも婆さんが歩いていると、
路
(
みち
)
にころがっている石も一つ一つはっきりと見えて
世界怪談名作集:11 聖餐祭
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
二人の青年
紳士
(
しんし
)
が
猟
(
りょう
)
に出て
路
(
みち
)
を
迷
(
まよ
)
い、「
注文
(
ちゅうもん
)
の多い
料理店
(
りょうりてん
)
」にはいり、その
途方
(
とほう
)
もない
経営者
(
けいえいしゃ
)
からかえって注文されていたはなし。
『注文の多い料理店』新刊案内
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
白はただ夢のように、ベンチの
並
(
なら
)
んでいる
路
(
みち
)
ばたへ出ました。するとその路の曲り角の向うにけたたましい犬の声が起ったのです。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蛍さえもひどく暗いところで鮮かにぴかりぴかり光り、ときどき並みはずれてよく光るのが
路
(
みち
)
を横ぎって流れ、彼をおどろかした。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
こうした山里の夜の
路
(
みち
)
などを歩くことをあまり経験せぬ人であったから、身にしむようにも思い、またおもしろいように思われた。
源氏物語:47 橋姫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
路
(
みち
)
はその丘の
麓
(
ふもと
)
までほの白く真直ぐに伸びているけれど、丘に突き当ってそれから先はどうなるのだか、
此処
(
ここ
)
からはよく分らない。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
路
(
みち
)
の二三丁も歩いたが、桂はその間も愉快に話しながら、
国元
(
くにもと
)
のことなど聞き、今年のうちに一度
故郷
(
くに
)
に帰りたいなどいっていた。
非凡なる凡人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
別にこれという意味はなかったのだけれど、
恰度
(
ちょうど
)
その方向が、帰り
路
(
みち
)
になっていたせいもあり、又、彼の「
閑
(
ひま
)
」がそうさせたのだ。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
帆村はまるで迷路の中に
路
(
みち
)
を失ってしまったように感じた。かれはポケットを探ってそこに
皺
(
しわ
)
くちゃになった一本の
莨
(
たばこ
)
を発見した。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
現に我々の親・おおじの通って来た
路
(
みち
)
が是であり、今でも一部の同胞が天然に
阻
(
はば
)
まれて、なお脱却しかねている境涯も是だからである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あなたはあなたの
路
(
みち
)
を別々に
辿
(
たど
)
られたのも致方は無いものゝ、先生が肉の
衣
(
ころも
)
を脱がれた今日、私は金婚式でも
金剛石婚式
(
こんごうせきこんしき
)
でもなく
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その間に広き敷石詰めの廻り
路
(
みち
)
がある。普通の僧侶はその廻り路へ集まって来ますので、その二階三階にも僧侶の集まるところがある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「三つ
子
(
ご
)
の心は百までも」「老馬
路
(
みち
)
を忘れず」という。青年時代に植えた
種子
(
たね
)
は、よかれ、
悪
(
あ
)
しかれ、いつまでも身辺に
纒
(
まと
)
いつく。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
往還
(
わうくわん
)
よりすこし
引入
(
ひきい
)
りたる
路
(
みち
)
の
奥
(
おく
)
に
似
(
に
)
つかぬ
幟
(
のぼり
)
の
樹
(
た
)
てられたるを何かと問へば、
酉
(
とり
)
の
市
(
まち
)
なりといふ。
行
(
ゆ
)
きて見るに
稲荷
(
いなり
)
の
祠
(
ほこら
)
なり。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
髪は二寸も延びて、さながら丹波栗の毬を
泥濘
(
ぬかり
)
路
(
みち
)
にころがしたやう。目は? 成程独眼竜だ。然しヲートルローで失つたのでは無論ない。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
わしには、一つ、いい考えがあるのです。相談に乗って下さい。何も皆、正義のためです。わしの行くべき
路
(
みち
)
は、それだけです。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「なんだか、ぼんやりした。あのお
粂
(
くめ
)
のことがあってから、おれもどうかしてしまった。はて、おれも
路
(
みち
)
に迷ったかしらん……」
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一
腔
(
こう
)
の
怨毒
(
えんどく
)
いずれに向かってか吐き尽くすべき
路
(
みち
)
を得ずば、自己——千々岩安彦が五尺の
躯
(
み
)
まず破れおわらんずる
心地
(
ここち
)
せるなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
引返して馬車を雇はうと思つたが
此
(
この
)
停車場
(
ステエシヨン
)
には馬車が居ないと曙村が云ふ。
路普請
(
みちぶしん
)
をして居る土方に聞くと、
此
(
この
)
路
(
みち
)
を
真直
(
まつすぐ
)
に
行
(
ゆ
)
け。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
すなわちその
路
(
みち
)
とは
他
(
た
)
なし、今の学校を
次第
(
しだい
)
に
盛
(
さかん
)
にすることと、上下士族
相互
(
あいたがい
)
に
婚姻
(
こんいん
)
するの風を
勧
(
すすむ
)
ることと、この二箇条のみ。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
もちろんハッキリとではなかったが、そうしてひどく狭くもあったが、
路
(
みち
)
らしいものがウネウネと一筋ついていたからである。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
路
(
みち
)
のまん中の勘の
死骸
(
しがい
)
をとりまいているので、周囲のほうは
稀薄
(
きはく
)
になりつつある、そのまばらなところを縫って、ずんずん行ってしまった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
抽斎の姉
須磨
(
すま
)
が
飯田良清
(
いいだよしきよ
)
に嫁して生んだ
女
(
むすめ
)
二人
(
ふたり
)
の中で、長女
延
(
のぶ
)
は
小舟町
(
こぶねちょう
)
の
新井屋半七
(
あらいやはんしち
)
が妻となって死に、次女
路
(
みち
)
が残っていた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
路
(
みち
)
は前の山路よりも更に悪くって自動車の動揺がはげしい。二、三里も来たろうと思うころ、お花畠ともいうべき秋草の咲いている所に出た。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
『国民の友』の春季附録には、
江見水蔭
(
えみすいいん
)
、
星野天知
(
ほしのてんち
)
、
後藤宙外
(
ごとうちゅうがい
)
、泉鏡花に加えて彼女の「別れ
路
(
みち
)
」が出た。評家は口をそろえて彼女を
讃
(
たた
)
えた。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼等
(
かれら
)
が
幾夜
(
いくよ
)
も
踊
(
をど
)
つて
不用
(
ふよう
)
に
歸
(
き
)
した
時
(
とき
)
には、それが
彼等
(
かれら
)
の
歩
(
ある
)
いた
路
(
みち
)
の
傍
(
はた
)
に
埃
(
ほこり
)
に
塗
(
まみ
)
れながら
到
(
いた
)
る
處
(
ところ
)
に
抛棄
(
はうき
)
せられて
散亂
(
さんらん
)
して
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
母と青年とが、いつもの散歩
路
(
みち
)
を、寄り添いながら、親しそうに歩いている姿だけが、頭の中にこびり付いて離れなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
けれども両方がふいに出合うか、どうしても顔を合せる
外
(
ほか
)
仕方のないような
路
(
みち
)
ででも出合うと、熊も絶体絶命になって、激しく襲い掛るのです。
熊
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
そのうち、どうしたことか、いつも
馴
(
な
)
れきつてゐる森の中で、すつかり
路
(
みち
)
をまよつて、どうしても出られなくなりました。
幸坊の猫と鶏
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
今夜の宿は
路
(
みち
)
に向って古い手すりのある
旅籠
(
はたご
)
だ。
御茶菓子
(
おちゃがし
)
に EISEIGIYO という判を押した
最中
(
もなか
)
が出た。明日は朝早く海峡を渡る……
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
そればかりでなく、プセットが通り
路
(
みち
)
にまごまごしていると、つかまえて、頭といわず、肩といわず、殊に横っ腹を厭というほどひっぱたいた。
老嬢と猫
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
玉川に遊ぶ者は、
路
(
みち
)
世田が谷村を
経
(
へ
)
ん。東京城の西、青山街道を行く
里余
(
りよ
)
、平岡
逶迤
(
いい
)
として起伏し、
碧蕪
(
へきぶ
)
疎林
(
そりん
)
その間を
点綴
(
てんてい
)
し、鶏犬の声相聞う。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
初めの一里ばかりは
馬君
(
うまくん
)
風を
斫
(
き
)
って駆けたが、次第に暗くはなるし、山路の事とて
路
(
みち
)
は素敵に悪るい。路の中には大きな石がゴロゴロしている。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
空も
路
(
みち
)
も暗かった。三人はポルタ・ヌオバの門番に
賂
(
まいない
)
して
易々
(
やすやす
)
と門を出た。門を出るとウムブリヤの平野は真暗に遠く広く眼の前に
展
(
ひら
)
け
亘
(
わた
)
った。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
(前にもいへり)
往来
(
ゆきゝ
)
の
路
(
みち
)
にも掘あげありて山をなすゆゑ、春雪のこほるにいたれば、この雪の山に
箱梯
(
はこばしご
)
のごとく
階
(
だん
)
を
作
(
つく
)
りて往来のたよりとす。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
と小兼はお蘭を連れて
路
(
みち
)
を聞き/\竹ヶ崎の山へ来て見ると、芝を積んで
枳殻
(
きこく
)
を植え、大きな丸太を二本立て、表門があり、
梅林
(
うめばやし
)
が有りまして
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その
路
(
みち
)
はまだ一度も通ったことのない路であった。そして、ある
城郭
(
まち
)
へいったが、そこは帝王のいる都のようであった。
考城隍
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
馬琴の口述を嫁のお
路
(
みち
)
さんが泣き泣き紙に写したというが、最後の原稿である「八犬伝
跋文
(
ばつぶん
)
」はひじょうな名文である。
平次と生きた二十七年
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
路
常用漢字
小3
部首:⾜
13画
“路”を含む語句
小路
通路
行路
街路
径路
迷路
大路
道路
岐路
朱雀大路
路傍
帰路
海路
路上
山路
四馬路
野路
駅路
線路
遠路
...