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潛
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ひそ
ふりがな文庫
“
潛
(
ひそ
)” の例文
新字:
潜
呼吸
(
いき
)
を
詰
(
つ
)
めて、うむと
堪
(
こら
)
へて
凍着
(
こゞえつ
)
くが、
古家
(
ふるいへ
)
の
煤
(
すゝ
)
にむせると、
時々
(
とき/″\
)
遣切
(
やりき
)
れなく
成
(
な
)
つて、
潛
(
ひそ
)
めた
嚔
(
くしやめ
)
、ハツと
噴出
(
ふきだ
)
しさうで
不氣味
(
ぶきみ
)
な
眞夜中
(
まよなか
)
。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ヂュリ おゝ、パリスどのと
祝言
(
しうげん
)
をせう
程
(
ほど
)
なら、あの
塔
(
たふ
)
の
上
(
うへ
)
から
飛
(
と
)
んで
見
(
み
)
い、
山賊
(
やまだち
)
の
跳梁
(
はびこ
)
る
夜道
(
よみち
)
を
行
(
ゆ
)
け、
蛇
(
へび
)
の
棲
(
す
)
む
叢
(
くさむら
)
に
身
(
み
)
を
潛
(
ひそ
)
めいとも
言
(
い
)
はッしゃれ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
彼等
(
かれら
)
は
自己
(
じこ
)
の
心
(
こゝろ
)
のある
部分
(
ぶぶん
)
に、
人
(
ひと
)
に
見
(
み
)
えない
結核性
(
けつかくせい
)
の
恐
(
おそ
)
ろしいものが
潛
(
ひそ
)
んでゐるのを、
仄
(
ほの
)
かに
自覺
(
じかく
)
しながら、わざと
知
(
し
)
らぬ
顏
(
がほ
)
に
互
(
たがひ
)
と
向
(
む
)
き
合
(
あ
)
つて
年
(
とし
)
を
過
(
すご
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
横笛
潛
(
ひそ
)
めし聲に力を入れて、『
大方
(
おほかた
)
ならぬ由あればこそ、夜陰に
御業
(
おんげふ
)
を驚かし參らせしなれ。庵は往生院と覺ゆれば、主の御身は、小松殿の御内なる齋藤瀧口殿にてはお
在
(
は
)
さずや』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
あの
深
(
ふか
)
い
山岳
(
さんがく
)
の
奧
(
おく
)
には
屹度
(
きつと
)
何
(
なに
)
か
怖
(
おそろ
)
しいものが
潛
(
ひそ
)
んでゐるに
相違
(
さうゐ
)
ないと
考
(
かんが
)
へた。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
▼ もっと見る
理合
(
きめ
)
は
粗
(
あら
)
いのに、皮膚の色が黄ばんで黒い——
何方
(
どちら
)
かと謂へば
營養不良
(
えいやうふりやう
)
といふ色だ。
迫
(
せま
)
ツた眉には
何
(
な
)
んとなく
悲哀
(
ひあい
)
の色が
潛
(
ひそ
)
むでゐるが、眼には
何處
(
どこ
)
となく
人懷慕
(
ひとなつこ
)
い
點
(
とこ
)
がある。
謂
(
い
)
はゞ
矛盾
(
むじゆん
)
のある顏立だ。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
落
(
お
)
ち
落
(
お
)
ちて
森
(
もり
)
寂
(
しづか
)
に、
風
(
かぜ
)
留
(
や
)
むで
肅殺
(
しゆくさつ
)
の
氣
(
き
)
の
充
(
み
)
つる
處
(
ところ
)
、
枝
(
えだ
)
は
朱槍
(
しゆさう
)
を
横
(
よこた
)
へ、
薄
(
すゝき
)
は
白劍
(
はくけん
)
を
伏
(
ふ
)
せ、
徑
(
こみち
)
は
漆弓
(
しつきう
)
を
潛
(
ひそ
)
め、
霜
(
しも
)
は
鏃
(
やじり
)
を
研
(
と
)
ぐ。
峻峰
(
しゆんぽう
)
皆
(
みな
)
將軍
(
しやうぐん
)
、
磊嚴
(
らいがん
)
盡
(
こと/″\
)
く
貔貅
(
ひきう
)
たり。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
御互
(
おたがひ
)
が
御互
(
おたがひ
)
に
飽
(
あ
)
きるの、
物足
(
ものた
)
りなくなるのといふ
心
(
こゝろ
)
は
微塵
(
みぢん
)
も
起
(
おこ
)
らなかつたけれども、
御互
(
おたがひ
)
の
頭
(
あたま
)
に
受
(
う
)
け
入
(
い
)
れる
生活
(
せいくわつ
)
の
内容
(
ないよう
)
には、
刺戟
(
しげき
)
に
乏
(
とぼ
)
しい
或物
(
あるもの
)
が
潛
(
ひそ
)
んでゐる
樣
(
やう
)
な
鈍
(
にぶ
)
い
訴
(
うつたへ
)
があつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
花
(
はな
)
の
顏
(
かほ
)
に
潛
(
ひそ
)
む
蝮
(
まむし
)
の
心
(
こゝろ
)
! あんな
奇麗
(
きれい
)
な
洞穴
(
ほらあな
)
にも
毒龍
(
どくりう
)
は
棲
(
すま
)
ふものか?
面
(
かほ
)
は
天使
(
てんし
)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
天地開闢以來
(
てんちかいびやくいらい
)
未
(
いま
)
だ
斧鉞
(
ふいつ
)
の
入
(
い
)
らざる
大森林
(
だいしんりん
)
、
到
(
いた
)
る
處
(
ところ
)
に
蓊鬱
(
おううつ
)
として
居
(
ゐ
)
る。
印度河
(
いんどかは
)
、
恒河
(
こうか
)
の
濁流
(
だくりう
)
は
澎洋
(
ほうやう
)
として
果
(
はて
)
も
知
(
し
)
らず、
此
(
この
)
偉大
(
ゐだい
)
なる
大自然
(
たいしぜん
)
の
内
(
うち
)
には、
何
(
なに
)
か
非常
(
ひぜう
)
に
恐
(
おそ
)
るべきものが
潛
(
ひそ
)
んで
居
(
ゐ
)
ると
考
(
かんが
)
へさせる。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
月より外に立聞ける人ありとも知らで、件の侍は聲
潛
(
ひそ
)
ませて
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
蟲
(
むし
)
のやうだと
言
(
い
)
つたが、あゝ、
一層
(
いつそ
)
、くづれた
壁
(
かべ
)
に
潛
(
ひそ
)
んだ、
波
(
なみ
)
の
巖間
(
いはま
)
の
貝
(
かひ
)
に
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
る。——
此
(
これ
)
を
思
(
おも
)
ふと、
大
(
おほい
)
なる
都
(
みやこ
)
の
上
(
うへ
)
を、
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
つて
立
(
た
)
つて
歩行
(
ある
)
いた
人間
(
にんげん
)
は
大膽
(
だいたん
)
だ。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
專門
(
せんもん
)
は
工科
(
こうくわ
)
の
器械學
(
きかいがく
)
だから、
企業熱
(
きげふねつ
)
の
下火
(
したび
)
になつた
今日
(
こんにち
)
と
雖
(
いへども
)
、
日本中
(
にほんぢゆう
)
に
澤山
(
たくさん
)
ある
會社
(
くわいしや
)
に、
相應
(
さうおう
)
の
口
(
くち
)
の
一
(
ひと
)
つや
二
(
ふた
)
つあるのは、
勿論
(
もちろん
)
であるが、
親讓
(
おやゆづ
)
りの
山氣
(
やまぎ
)
が
何處
(
どこ
)
かに
潛
(
ひそ
)
んでゐるものと
見
(
み
)
えて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
根
(
ね
)
に
潛
(
ひそ
)
んで、
親鳥
(
おやどり
)
が、けたゝましく
呼
(
よ
)
ぶのに、
親
(
おや
)
の
心
(
こゝろ
)
、
子
(
こ
)
知
(
し
)
らずで、きよろりとしてゐる。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蛇
(
くちなは
)
の
料理
(
れうり
)
鹽梅
(
あんばい
)
を
潛
(
ひそ
)
かに
見
(
み
)
たる
人
(
ひと
)
の
語
(
かた
)
りけるは、(
應
(
おう
)
)が
常住
(
じやうぢう
)
の
居所
(
ゐどころ
)
なる、
屋根
(
やね
)
なき
褥
(
しとね
)
なき
郷
(
がう
)
屋敷田畝
(
やしきたんぼ
)
の
眞中
(
まんなか
)
に、
銅
(
あかゞね
)
にて
鑄
(
い
)
たる
鼎
(
かなへ
)
(に
類
(
るゐ
)
す)を
裾
(
す
)
ゑ、
先
(
ま
)
づ
河水
(
かはみづ
)
を
汲
(
く
)
み
入
(
い
)
るゝこと
八分目
(
はちぶんめ
)
餘
(
よ
)
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
水底
(
みなそこ
)
には
蒼龍
(
さうりう
)
のぬしを
潛
(
ひそ
)
めて、
大
(
おほい
)
なる
蠑螈
(
ゐもり
)
の
影
(
かげ
)
の、
藻
(
も
)
に
亂
(
みだ
)
るゝ、と
聞
(
き
)
くものを。
十和田の夏霧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れると、
意氣地
(
いくぢ
)
はない。その
鳥
(
とり
)
より
一層
(
いつそう
)
もの
凄
(
すご
)
い、
暗闇
(
やみ
)
の
翼
(
つばさ
)
に
蔽
(
おほ
)
はれて、いま
燈
(
ともしび
)
の
影
(
かげ
)
に
息
(
いき
)
を
潛
(
ひそ
)
める。
其
(
そ
)
の
翼
(
つばさ
)
の、
時々
(
とき/″\
)
どツと
動
(
うご
)
くとともに、
大地
(
だいち
)
は
幾度
(
いくど
)
もぴり/\と
搖
(
ゆ
)
れるのであつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
灼熱
(
しやくねつ
)
の
天
(
てん
)
、
塵
(
ちり
)
紅
(
あか
)
し、
巷
(
ちまた
)
に
印度
(
インド
)
更紗
(
サラサ
)
の
影
(
かげ
)
を
敷
(
し
)
く。
赫耀
(
かくえう
)
たる
草
(
くさ
)
や
木
(
き
)
や、
孔雀
(
くじやく
)
の
尾
(
を
)
を
宇宙
(
うちう
)
に
翳
(
かざ
)
し、
羅
(
うすもの
)
に
尚
(
な
)
ほ
玉蟲
(
たまむし
)
の
光
(
ひかり
)
を
鏤
(
ちりば
)
むれば、
松葉牡丹
(
まつばぼたん
)
に
青蜥蜴
(
あをとかげ
)
の
潛
(
ひそ
)
むも、
刺繍
(
ぬひとり
)
の
帶
(
おび
)
にして、
驕
(
おご
)
れる
貴女
(
きぢよ
)
の
裝
(
よそほひ
)
を
見
(
み
)
る。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それでも
少時
(
しばらく
)
は、ひつそりして
音
(
おと
)
を
潛
(
ひそ
)
めた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
潛
部首:⽔
15画
“潛”を含む語句
潛戸
潛込
掻潛
水潛
潛伏
潛女
潛門
潛龍沙魚