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明
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あかる
ふりがな文庫
“
明
(
あかる
)” の例文
行書で太く書いた「鳥」「
蒲焼
(
かばやき
)
」なぞの
行燈
(
あんどう
)
があちらこちらに見える。
忽
(
たちま
)
ち左右がぱッと
明
(
あかる
)
く開けて電車は
一条
(
ひとすじ
)
の橋へと登りかけた。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吃驚
(
びっくり
)
したようにあたりを見ながら、夢に、
菖蒲
(
あやめ
)
の花を三本、
莟
(
つぼみ
)
なるを手に提げて、暗い処に立ってると、
明
(
あかる
)
くなって、
太陽
(
ひ
)
が
射
(
さ
)
した。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あら八っちゃんどうしたんです。口をあけて
御覧
(
ごらん
)
なさい。口をですよ。こっちを、
明
(
あかる
)
い方を向いて……ああ碁石を呑んだじゃないの」
碁石を呑んだ八っちゃん
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
何でも以前は
荒尾
(
あらを
)
但馬守
(
たじまのかみ
)
様の
御供押
(
おともお
)
しか何かを勤めた事があるさうで、お屋敷方の案内に
明
(
あかる
)
いのは、そのせゐださうでございます。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ロミオ (炬火持に對ひ)
俺
(
おれ
)
に
炬火
(
たいまつ
)
を
與
(
く
)
れい。
俺
(
おれ
)
には
迚
(
とて
)
も
浮
(
う
)
かれた
眞似
(
まね
)
は
出來
(
でき
)
ぬ。
餘
(
あんま
)
り
氣
(
き
)
が
重
(
おも
)
いによって、
寧
(
いっ
)
そ
明
(
あかる
)
いものを
持
(
も
)
たう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
やがて雨足も弱って霧が
明
(
あかる
)
くなり、途切れ始めた雲の中に、遠く笠ヶ岳の頭が夢のように浮き出した時は救われたように感じた。
一ノ倉沢正面の登攀
(新字新仮名)
/
小川登喜男
(著)
余は
室内
(
しつない
)
には大小種々の
棚
(
たな
)
の有りし事を
信
(
しん
)
ずる者なり。入り口の他にも
數個
(
すうこ
)
の
窓
(
まど
)
有りしなるべければ、
室内
(
しつない
)
は
充分
(
じうぶん
)
に
明
(
あかる
)
かりしならん。(續出)
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
是故にわが筆
跳越
(
をどりこ
)
えてこれを
録
(
しる
)
さじ、われらの想像は、
况
(
まし
)
て言葉は、かゝる
襞襀
(
ひだ
)
にとりて色
明
(
あかる
)
きに過ればなり 二五—二七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
庭に向へる
肱懸窓
(
ひぢかけまど
)
の
明
(
あかる
)
きに
敷紙
(
しきがみ
)
を
披
(
ひろ
)
げて、宮は
膝
(
ひざ
)
の上に
紅絹
(
もみ
)
の
引解
(
ひきとき
)
を載せたれど、針は持たで、
懶
(
ものう
)
げに火燵に
靠
(
もた
)
れたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
青柳は
頭顱
(
あたま
)
の地がやや薄く透けてみえ、
明
(
あかる
)
みで見ると、
小鬢
(
こびん
)
に
白髪
(
しらが
)
も幾筋かちかちかしていたが、顔はてらてらして、張のある美しい目をしていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
人間が見込を
外
(
はづ
)
されてぽかんとしてゐる間に、いつしか十月に入り、十月も終りに近くなり、あの快い乾いた、いくらか冷えを感じさせる
明
(
あかる
)
い空気が
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
それでは空知太にお出になつたら三浦屋といふ
旅人宿
(
やどや
)
へ上つて御覧なさい、其処の
主人
(
あるじ
)
がさういふことに
明
(
あかる
)
う御座いますから聞て御覧なつたら
可
(
よ
)
うがす
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「パリと
異
(
ちが
)
って、こんな
明
(
あかる
)
いところでも、そんなに淋しいのですか。そのうちにまた京都へ行きましょう。」
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
洗
(
あら
)
つては
乾
(
かわか
)
し/\
屡
(
しば/\
)
それが
反覆
(
はんぷく
)
されてだん/\に
薄青
(
うすあを
)
く、さうして
闇
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
をさへ
明
(
あかる
)
くする
程
(
ほど
)
純白
(
じゆんぱく
)
に
曝
(
さら
)
された。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
渓川の水は暮近い空を映して
明
(
あかる
)
かつた。二人は其の上の橋の、危なげに丸太を結つた欄干に背を
靠
(
もた
)
せて列んだ。其処からはもう学校まで十一二町しかなかつた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今は其を
明
(
あかる
)
い
日光
(
ひかり
)
の中に経験する。
種々
(
いろ/\
)
な恐しい顔、嘲り笑ふ声——およそ人種の
憎悪
(
にくしみ
)
といふことを表したものは、右からも、左からも、丑松の身を
囲繞
(
とりま
)
いた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
此時にいたりて去年十月
以来
(
このかた
)
暗
(
くら
)
かりし
坐敷
(
ざしき
)
もやう/\
明
(
あかる
)
くなりて、
盲人
(
まうじん
)
の
眼
(
め
)
のひらきたる心地せられて、雛はかざれども桃の節供は名のみにて花はまだつぼみなり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
里俗鰡堀
(
りぼくりゅうぼり
)
へ
差懸
(
さしかか
)
ると
俄然
(
がぜん
)
、
紫電一閃
(
しでんいっせん
)
忽
(
たちま
)
ち足元が
明
(
あかる
)
く
成
(
なっ
)
た、
驚
(
おどろい
)
て見ると丸太ほどの火柱が、光りを放って空中へ上る事、幾百メートルとも、測量の出来ぬくらいである
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
雨が
疎
(
まばら
)
になると谷が
明
(
あかる
)
くなって、正面に向い合った奥鐘山の絶壁から、忽ち一条二条続いて五、六条の大瀑布が、虚空を跳って
滾々
(
こんこん
)
と崩落するのを木の間越しに望んだ。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
始めて
洋燈
(
ランプ
)
が移入された当時の洋燈は、パリーだとか
倫敦辺
(
ロンドンあたり
)
で出来た舶来品で、割合に
明
(
あかる
)
いものであったが、困ることには「ほや」などが
壊
(
こわ
)
れても、部分的な破損を補う事が不可能で
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
朝日が母屋の上からさしていて、雨戸を開けたらかっと眼のくらむ程
明
(
あかる
)
かった。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
あたりには女の子なぞが二三人で、
明
(
あかる
)
みと闇との堺をかけ廻つてさわいでゐた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
明
(
あかる
)
い
空
(
そら
)
、明い空氣、由三は暗い心の底の底まで照らされるやうな感じがした。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
ああ斯くして船は思ひも掛けない
白晝
(
まつぴるま
)
の
明
(
あかる
)
い世界へ出る
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
君江はぶらぶら
堀端
(
ほりばた
)
を歩みながら、どこか静な
土手際
(
どてぎわ
)
で電燈の光の
明
(
あかる
)
い処でもあったらもう一度読み直そうという気もしたのである。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
電燈の球は
卓子
(
テイブル
)
の上を
這
(
は
)
ったまま、朱を
灌
(
そそ
)
いだように
颯
(
さっ
)
と
赫
(
あか
)
くなって、ふッと消えたが、白く
明
(
あかる
)
くなったと思うと、
蒼
(
あお
)
い光を放つ!
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それ所か、
明
(
あかる
)
い空気
洋燈
(
ランプ
)
の光を囲んで、しばらく膳に向っている
間
(
あいだ
)
に、彼の細君の
溌剌
(
はつらつ
)
たる才気は、すっかり私を敬服させてしまいました。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
思いがけなくも
此処
(
ここ
)
で、今まで試みた事のない技術をうまく使ったという喜びが、皆の顔を
明
(
あかる
)
くした。
一ノ倉沢正面の登攀
(新字新仮名)
/
小川登喜男
(著)
此時にいたりて去年十月
以来
(
このかた
)
暗
(
くら
)
かりし
坐敷
(
ざしき
)
もやう/\
明
(
あかる
)
くなりて、
盲人
(
まうじん
)
の
眼
(
め
)
のひらきたる心地せられて、雛はかざれども桃の節供は名のみにて花はまだつぼみなり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私が想像した黒部の谷は、想ったより
明
(
あかる
)
い谷であったが、
此処
(
ここ
)
は想ったよりも暗い所であった。
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
我等はこゝの
一隅
(
かたほとり
)
、廣き
明
(
あかる
)
き高き處に退きてすべてのものを見るをえたりき 一一五—一一七
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
お島は
頭脳
(
あたま
)
が一時に
赫
(
かっ
)
として来た。女達の姿の動いている
明
(
あかる
)
いそこいらに、
旋風
(
つむじ
)
がおこったような気がした。そしてじっと
俛
(
うつむ
)
いていると、体がぞくぞくして来て
為方
(
しかた
)
がなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
いたる所が透いて、
明
(
あかる
)
く、からりとした空気の中を時々つんと強い山の匂ひがした。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
満枝は
忽
(
たちま
)
ち声を
斂
(
をさ
)
めて、物思はしげに
差俯
(
さしうつむ
)
き、莨盆の
縁
(
ふち
)
をば
弄
(
もてあそ
)
べるやうに
煙管
(
きせる
)
もて
刻
(
きざみ
)
を打ちてゐたり。折しも電燈の光の
遽
(
にはか
)
に
晦
(
くら
)
むに驚きて顔を
挙
(
あぐ
)
れば、又
旧
(
もと
)
の如く
一間
(
ひとま
)
は
明
(
あかる
)
うなりぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
今宵
(
こよひ
)
、
陋屋
(
らうをく
)
にて、
地
(
ち
)
を
蹈
(
ふ
)
む
明星
(
みょうじゃう
)
が
群
(
む
)
れ
輝
(
かゞや
)
き、
暗天
(
やみぞら
)
をさへも
明
(
あかる
)
う
照
(
て
)
らすを
御覽
(
ごらん
)
あれ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
元禄時代の如きは非常に
明
(
あかる
)
い気持があったがやはり江戸時代は暗かった。
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
それは今、私がこの邸を
退
(
の
)
きますと、もう隅々まで家中が
明
(
あかる
)
くなる。明さんも思い直して、またここを出て
旅行
(
たび
)
立ちをなさいます。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
陰気な
燈火
(
ともしび
)
の下で
大福帳
(
だいふくちょう
)
へ
出入
(
でいり
)
の
金高
(
きんだか
)
を書き入れるよりも、川添いの
明
(
あかる
)
い二階家で
洒落本
(
しゃれほん
)
を読む方がいかに面白かったであろう。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
立てきった
障子
(
しょうじ
)
にはうららかな日の光がさして、
嵯峨
(
さが
)
たる老木の梅の影が、
何間
(
なんげん
)
かの
明
(
あかる
)
みを、右の端から左の端まで画の如く
鮮
(
あざやか
)
に領している。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
日は大分前に落ちてゐるが、空はまだすつきりと
明
(
あかる
)
い。路の傍の青田の上にうす青い影のやうなものが一面に漂つて、どこからか煙の匂ひがする。土堤から河辺に下りる路は狭く急だ。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
ト日があたって
暖
(
あたた
)
たかそうな、
明
(
あかる
)
い
腰障子
(
こししょうじ
)
の内に、
前刻
(
さっき
)
から静かに水を
掻廻
(
かきまわ
)
す
気勢
(
けはい
)
がして居たが、ばったりといって、
下駄
(
げた
)
の音。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
陰気
(
いんき
)
な
燈火
(
ともしび
)
の下で
大福帳
(
だいふくちやう
)
へ
出入
(
でいり
)
の
金高
(
きんだか
)
を書き入れるよりも、
川添
(
かはぞ
)
ひの
明
(
あかる
)
い二階
家
(
や
)
で
洒落本
(
しやれほん
)
を読む
方
(
はう
)
がいかに
面白
(
おもしろ
)
かつたであらう。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
しかもその途端に一層私を
悸
(
おび
)
えさせたのは、突然あたりが赤々と
明
(
あかる
)
くなって、火事を想わせるような煙の
匀
(
におい
)
がぷんと鼻を打った事でございます。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ト
日
(
ひ
)
があたつて
暖
(
あた
)
たかさうな、
明
(
あかる
)
い
腰障子
(
こししやうじ
)
の
内
(
うち
)
に、
前刻
(
さつき
)
から
靜
(
しづ
)
かに
水
(
みづ
)
を
掻𢌞
(
かきまは
)
す
氣勢
(
けはひ
)
がして
居
(
ゐ
)
たが、ばつたりといつて、
下駄
(
げた
)
の
音
(
おと
)
。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
日本の冬の
明
(
あかる
)
さと
暖
(
あたゝか
)
さとはおそらくは多島海の牧神をしてこゝに来り遊ばしむるも猶快き夢を見させる魅力があつたであらう。
冬日の窓
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
しかしその陶然と赤くなつた顔は、この
索寞
(
さくばく
)
とした部屋の空気が、
明
(
あかる
)
くなるかと思ふ程、男らしい活力に
溢
(
あふ
)
れてゐた。
南京の基督
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
兼太郎のあけた窓の明りで二階中は
勿論
(
もちろん
)
の事、
梯子段
(
はしごだん
)
の下までぱっと
明
(
あかる
)
くなった処からこの
家
(
や
)
の女房は兼太郎の起きた事を知ったのである。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかも梅の影がさして、窓がぽつと
明
(
あかる
)
くなる時、
縁
(
えん
)
に
蚊遣
(
かやり
)
の
靡
(
なび
)
く時、折に触れた今までに、つい
其夜
(
そのよ
)
の如く
香
(
か
)
の高かつた事はないのである。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
元姫君
(
もとひめぎみ
)
と云われた
宗教
(
むねのり
)
の内室さえ、武芸の道には
明
(
あかる
)
かった。まして宗教の
嗜
(
たしな
)
みに、
疎
(
おろそか
)
な所などのあるべき筈はない。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたしは何の聯絡もなく、ふと村の娘が
明
(
あかる
)
い昼中に好きな男と忍逢ふのは、野中のかう云ふ場所かも知れないと思つたのです。
畦道
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
“明”の解説
歴史学/東洋史中国
明(みん)は、中国の王朝である。1368年から1644年まで存在し、明朝あるいは大明とも号した。朱元璋が元を北へ逐って建国し、李自成軍による滅亡の後には、清が李自成政権(順)と明の再建を目指す南明政権を制圧して中国大陸を支配した。
(出典:Wikipedia)
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
“明”を含む語句
明日
分明
明瞭
明朝
明白
黎明
光明
明星
薄明
灯明
説明
燈明
松明
明々
無明
打明
判明
鮮明
清明
明後日
...