さが)” の例文
新字:
「まア行つて見るが宜い。俺はそれより先に一萬兩の方をさがすよ。材木置場を一と通り見るだけでも、三日や四日はかゝるだらうから」
かれにはには節制だらしのないさわぎのこゑみゝ支配しはいするよりもとほかつはるかやみ何物なにものをかさがさうとしつゝあるやうにたゞ惘然ばうぜんとしてるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼方あつち此方こつちさがす中、やつとのことで大きな無花果いちじく樹蔭こかげこんでるのをつけし、親父おやぢ恭々うや/\しく近寄ちかよつて丁寧ていねいにお辭儀じぎをしてふのには
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
さがさう、たづねようとおもまへに、土塀どべいしやがんで砂利所じやりどころか、石垣いしがきでも引拔ひきぬいて、四邊あたり八方はつぱう投附なげつけるかもわからなかつたんです。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うしても、ありや萬里ばんり長城ちやうじやう向側むかふがはにゐるべき人物じんぶつですよ。さうしてゴビの沙漠さばくなか金剛石ダイヤモンドでもさがしてゐればいんです
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ロミオ 心臟しんざう此處こゝのこってゐるのに、なんかへることが出來できようぞい? どん土塊つちくれめ、引返ひッかへして、おのが中心たましひさがしをれ。
切て駈付かけつけ來り兩人にて又々彼方此方かなたこなたと尋ね廻り地内の鎭守稻荷堂或ひは薪部屋まきべや物置等ものおきとうのこらずさがしけれ共かげだに見えざれば掃部は不審いぶかりもう此上は和尚を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
寢間着ねまきの上に上衣うはぎを引かけ、靴なしでそつと寢室を忍び出た、そしてテムプル先生のお室をさがしに出かけた。
彼女かのぢよは、片山かたやま同志どうしのKうちせて、かれ居所ゐどころさがしてゐたが、そのかれが、I刑務所けいむしよ未決監みけつかんにゐるとわかつたのは、行方不明ゆくへふめいになつてから、半年はんとしもののちだつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
はなしではあるが一月ひとつきのうちに生命せいめいあやふいとかつたさうな、いてるとあまこゝろよくもないに當人たうにんしきりといやがる樣子やうすなり、ま、引移ひきうつりをするがからうとて此處こゝさがさせてはたが
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
或は又新しい心のあぢはひをさがしに、ぶらりぶらりと長い廊下を傳つて行く。
嘘をつく日 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
素問そもん靈樞れいすうでもむやうな醫者いしやさがしてめてゐたのではなく、近所きんじよんでゐてぶのに面倒めんだうのない醫者いしやかつてゐたのだから、ろくなくすりませてもらふことが出來できなかつたのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
多勢手が揃つたところでいろ/\手分けをしてさがすと、第一番に縁の下に役り込んであつた血だらけの玄翁げんのうを文七が見付けてくれます。
わたしあをくなつた——(るならたづねる。)を——(るならさがす。)——巖谷氏いはやしのわけのわからなかつたのは無理むりはない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
カピ妻 方法てだて自身じしん工夫くふうしやれ、使者つかひわしさがしませう。それはさうと、めでたい報道しらせってたぞや。
雲飛は所謂いはゆ掌中しやうちゆうたまうばはれ殆どなうとまでした、諸所しよ/\に人をしてさがさしたが踪跡ゆきがたまるしれない、其中二三年ち或日途中とちゆうでふと盆石ぼんせきを賣て居る者に出遇であつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
置忘おきわすれ小用に立し中紛失ふんじつ仕まつりしにより諸所相さがし候へども一向に見當り申さず餘儀よぎなく歸宅仕つりしところ其節私し妻の實母年回に付上新田村なる無量庵むりやうあん大源和尚だいげんをしやうへ供養を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「家の廻りから土藏の土臺下を掘つたのはその爲——つまり小判をさがすたためだつたと思ひます。誰が掘つたか、私にはわかりませんが」
さがすとります。……昨日きのふ鐵砲打てつぱううち旦那だんなに、わしがへい、おともで、御案内ごあんないでへい、立派りつぱたせましたので。」
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
乳母 はや居間ゐまへゆかしゃれ。おまへよろこばす眞實ほん/″\のロミオをさがしてう。その居處ゐどこってをる。これの、こちのロミオどのは、今宵こよひこゝへやしゃるはずぢゃ。わしがんでう。
取落したるとや夫はゆめにても見しならん萬一もしまことに落したり共此所の店にては有まじ夫れは外をさがされよかうた處が二十兩は扨置さておき二兩の金も持るゝ樣な人物ひとがらならずと散々に罵りければ老人はかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「大層お困りの樣子ですから、お孃樣をさがし出してあげた上、町人や奉公人に惡いのがあつたら、それは容赦をいたしません」
まさか自動車じどうしやで、ドライブして、さがしてまはるほどのかねはなし……えんれめか、よしはらすゞめ、當分たうぶんせかれたと斷念あきらめてると、當年たうねん五月ごぐわつ——房州ばうしうつた以前いぜんである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ね、錢形の親分。あんまり樣子が變だから、内々八五郎兄哥の留守るすを狙つて、あの叔母の家といふのをさがして見ると——」
小戻こもどりして、及腰およびごしに、ひつくやうにバスケツトをつかんで、あわててすべつて、片足かたあしで、怪飛けしとんだ下駄げたさがしてげた。どくさうなかほをしたが、をんなもそツとつてる。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さがすがいゝ。黒衣があつたら念入りに見るんだぜ。それから道化の衣裳——有平樣あるへいたうのやうなかみしもがもう一と揃ひある筈だ。それも見て來るがいゝ
あくる晩飯ばんめし支度前したくまへに、臺所だいどころから女中部屋ぢよちうべやけて、をんなたちがしきり立迷たちまよつて、ものをさがす。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「殺した者がなきや、あの男が僞物に決つて居るぢやありませんか——私は片瀬江の島へかけて、もう一度、あの時の死骸もさがす積りですよ」
切符きつぷ三枚さんまいたのむと、つれをさがしてきよろついた樣子やうすあんじて、赤帽君あかばうくん深切しんせつであつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「八丁堀の旦那方からも、内々でお達しがあつたよ、天下の通用金の贋を、うんと拵へる場所があるに違げえねえ、手一杯にさがして見ろ——とな」
銭形平次捕物控:274 贋金 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
一呼吸ひといきいていて、唐突だしぬけに、ばり/\ばり/\、びしり、どゞん、廊下らうか雨戸外あまどそとのトタン屋根やねがすさまじく鳴響なりひゞく。ハツときて、廊下らうかた。退治たいぢではない、逃路にげみちさがしたのである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「茶にしちやいけません。五日四晩、江戸から、房州、神奈川まで、下つ引と三人、夜の目も寢ずにさがした揚句——」
ほんつてさぐりみにさがしましてもどれがなんだかわかりません。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「少しも大丈夫ぢやないよ。でも、斯うなれば行がかりだ、夜の明ける迄に、下手人をさがし當てる外はあるまいよ」
えゝ、さぐりみにさがしましても、どれがなんだかわかりません。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なほもよくさがして居ると、上から落ちたらしい大石の下から、一枚の小判と何やら書いた紙片を見つけました。
ね、親分、三十になるまで、獨身ひとりみが面白くてたまらない兄貴だつたんですもの。家の者なんかさがすより、外へ出て、町内の娘や後家をあさつて御覽なさい。
「親分、あきらめた方が無事ですぜ、あれだけさがして見付からないんだから、いよ/\神隱しとでも思はなきア」
「身に覺えがあるなら、其處で怒鳴どなつて居るわけもなく、俺のところへ飛んで來る道理もねえ。まア作松は放つて置いて外をさがして見ようぢやないか、兄哥」
(——三味線をひき乍らさがしてゐたんだとよ、迷子の/\幸三郎やアい——なんてのはいゝ節廻しだぜ——)
磯屋の裏をグルリと一と廻り、平次は家の中へ忍び込めさうな場所をさがす樣子でしたが、伽羅大盡と言はれた構へだけに、さすがに忍び込む場所もありません。
往來で駕籠を見かけた人をさがすことなどは、時も時、正月三日の江戸の街でも、思ひも寄らぬことです。
「八、この野郎は容易に口を割るめえ。請人をさがして、うんと絞つてみろ。どうせ所名前もにせだらう。本當の素姓が判つたら、親も女房子も皆な縛り上げて來い」
「私が、大金を何處かに隱してあるに違ひないと思ひ込んだことでせう、二つの土藏をさがし拔いた上、床下から天井裏、壁を叩いたり、落しに首を突つ込んだり」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「行つて見ませう。守袋をさがさなきや、わざ/\此處まで來たのは無駄骨折になるぢやありませんか」
「お願ひでございます、姉をさがして下さい。——明後日になると、芝田樣がお見えになる筈で——」
くすぐつてえや、野郎、何が望みで人の身體をさがすんだ。へそなんか摘むと噛み付いてやるぞ、畜生ツ」
「洗つたばかり? あの娘の部屋をさがしませうか、三本の手紙は何處かに隱してあるに違ひない」
「親分の見立てですよ、——親の大金を持出した息子だの、身投げの場所をさがす女房だの——」
引返して一色友衞をさがすと、何時の間にやら稽古場けいこばに引込んで、春日藤左衞門が置き忘れたままの『禁制の祕曲』の前に、愛管あいくわんに息を入れて、一生懸命工夫をして居ります。