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鉛
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なまり
ふりがな文庫
“
鉛
(
なまり
)” の例文
おまけにまた人間の女と来た日には、その生白い顔や手足へ一面に
鉛
(
なまり
)
の
粉
(
こ
)
をなすっているのだよ。それだけならばまだ
好
(
い
)
いのだがね。
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
省三は気が
注
(
つ
)
くと手で
頬
(
ほお
)
や首筋に
止
(
とま
)
った
蚊
(
か
)
を叩いた。そして、思いだして
鉛
(
なまり
)
のようになった頭をほぐそうとしたがほぐれなかった。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ロミオ いや/\、
滅相
(
めっさう
)
な。
足下
(
きみ
)
の
舞踏靴
(
をどりぐつ
)
の
底
(
そこ
)
は
輕
(
かる
)
いが、
予
(
わし
)
の
心
(
こゝろ
)
の
底
(
そこ
)
は
鉛
(
なまり
)
のやうに
重
(
おも
)
いによって、
踊
(
をど
)
ることはおろか、
歩
(
ある
)
きたうもない。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
何だか先に
錘
(
おもり
)
のような
鉛
(
なまり
)
がぶら下がってるだけだ。
浮
(
うき
)
がない。浮がなくって釣をするのは寒暖計なしで熱度をはかるようなものだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
話が途断れると、屋根の上をコト/\と鴉の歩き廻る音がする……由三は
鉛
(
なまり
)
のやうな
光彩
(
ひかり
)
すらない生涯を思浮べながら、フト横に轉がツた。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
▼ もっと見る
しかも、一方では、
興国塾
(
こうこくじゅく
)
との交歓会をひかえて、その同じ胸が、空洞どころか、重い
鉛
(
なまり
)
でもつめこんだように心配で一ぱいになっていた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
四十恰好のデップリした武士、人品骨柄には申分ありませんが、恐ろしい心配に打ちひしがれて、さすがに顔色が
鉛
(
なまり
)
のように沈んでおります。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と思った途端に、刀は
鉛
(
なまり
)
のように重たいばかりの物だった。ひょいと、逃げ口を振り向いた隙に、くそ度胸のある敵の
大刀
(
どす
)
が真っ向へ迫った。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところがほかの
子供
(
こども
)
らは、いままで祭りを延ばされたり、
鉛
(
なまり
)
の
兎
(
うさぎ
)
を見舞いにとられたりしたので、なんともおもしろくなくてたまりませんでした。
ざしき童子のはなし
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この子たちは、『孤児院の子』と
呼
(
よ
)
ばれていた。首の回りに番号のはいった
鉛
(
なまり
)
の
札
(
ふだ
)
をぶら下げていた。ひどいみなりをして、よごれくさっていた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
その時計は赤や緑でたいへんきれいに
塗
(
ぬ
)
ってありました。そして上にはカッコウがとまっていて、下には重い
鉛
(
なまり
)
のおもりが垂れ下がっていました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
連日
(
れんじつ
)
の雪や雨にさながら
沼
(
ぬま
)
になった悪路に
足駄
(
あしだ
)
を踏み込み/\、彼等夫妻は
鉛
(
なまり
)
の様に重い心で次郎さんの家に往った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
よく調べてみると、四本の足のようなものがあって、その先に小さな
鉛
(
なまり
)
のおもしがついていることがわかりました。
おれは二十面相だ
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
暗室の内では、
鉛
(
なまり
)
の
前垂
(
まえだれ
)
をしめた赤星探偵が、大きな石盤のような形をした
蛍光板
(
けいこうばん
)
を目の高さにさしあげ、壁とすれすれにそれを上下に動かしています。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どうやら風向きも変つたらしく、北の空めがけてどす黒い
鉛
(
なまり
)
いろの雲が、ひしめき上つてゆくのが見えました。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
炎天
(
えんてん
)
の
海
(
うみ
)
は
鉛
(
なまり
)
を
溶
(
と
)
かして、とろ/\と
瞳
(
ひとみ
)
を
射
(
い
)
る。
風
(
かぜ
)
は、そよとも
吹
(
ふ
)
かない。
斷崖
(
だんがい
)
の
巖
(
いは
)
は
鹽
(
しほ
)
を
削
(
けづ
)
つて
舌
(
した
)
を
刺
(
さ
)
す。
山
(
やま
)
には
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
の
影
(
かげ
)
もない。
草
(
くさ
)
いきれは
幻
(
まぼろし
)
の
煙
(
けむり
)
を
噴
(
ふ
)
く。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
斷割
(
たちわら
)
れ
鉛
(
なまり
)
の
熱湯
(
ねつたう
)
は
愚
(
おろ
)
か
水責
(
みづぜめ
)
火責
(
ひぜめ
)
海老責
(
えびぜめ
)
に成とも白状なすまじと覺悟せしが御奉行樣の
御明諭
(
ごめいゆ
)
により今ぞ我が
作
(
な
)
せし惡事の
段々
(
だん/\
)
不殘
(
のこさず
)
白状
(
はくじやう
)
せんと長庵が其決心は殊勝にも又
憎體
(
にくてい
)
なり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
お絹の胸にも不安のかたまりが
鉛
(
なまり
)
のように重く沈んでいる。おとといの晩の気まぐれは自分でも深く後悔している。自分の男は林之助のほかにないという事がつくづく思い沁みた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ブリキ細工の雀が時計の振子のように左右に動いているのを、小さい
鉛
(
なまり
)
の弾で撃つのだ。
尻尾
(
しっぽ
)
に当っても、胴に当っても落ちない。頭の
口嘴
(
くちばし
)
に近いところを撃たなければ絶対に落ちない。
雀
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
同じくこれ焼直しなりとも
金
(
きん
)
と
鉛
(
なまり
)
とは
自
(
おのずか
)
ら価値に大差あり。初学者
惑
(
まど
)
ふ莫れ。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
例
(
たと
)
えば、
溶解
(
ようかい
)
せる
鉛
(
なまり
)
を
口
(
くち
)
に
入
(
い
)
るるとも、
少
(
すこ
)
しも
不思議
(
ふしぎ
)
には
思
(
おも
)
わぬであろう。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
黄釉というのは
鉛
(
なまり
)
からとる
釉薬
(
うわぐすり
)
でありまして、他の窯では余り用いられません。西洋では大変多いのでありますが、日本では
稀
(
まれ
)
であります。他の大部分の窯では鉛ではなく灰が釉に用いられます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
藤三は
鉛
(
なまり
)
色の光のなかに
妖
(
あや
)
しく浮いた白い肉体と、その刺青を見た。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
と源三郎は、
鯱
(
しゃち
)
が
鉛
(
なまり
)
を
鋳込
(
いこ
)
まれたように、真っ四角にかたくなって
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
嗚呼
鉄
(
くろがね
)
の筆と
鉛
(
なまり
)
とをもて永く磐石に
鐫
(
えり
)
つけおかんことを。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
鉛
(
なまり
)
の
中毒
(
ちゅうどく
)
春 第五十一 水道の水
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
強
(
つよ
)
き
薫
(
くゆり
)
のなやましさ、
鉛
(
なまり
)
の
室
(
むろ
)
は
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
鉛
(
なまり
)
のなかを
秋の瞳
(新字旧仮名)
/
八木重吉
(著)
ドストイェフスキーはかくして法律の
捏
(
こ
)
ね丸めた熱い
鉛
(
なまり
)
の
丸
(
たま
)
を
呑
(
の
)
まずにすんだのである。その代り四年の月日をサイベリヤの野に暮した。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
明
(
あ
)
け
方
(
がた
)
彼は彼自身を、大きな湖の岸に見出した。湖は曇った空の下にちょうど
鉛
(
なまり
)
の板かと思うほど、波一つ揚げていなかった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
四十恰好のデツプリした武士、人品骨柄には申分ありませんが、恐ろしい心配に打ちひしがれて、さすがに顏色が
鉛
(
なまり
)
のやうに沈んで居ります。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ピュッと
唸
(
うな
)
って飛んできた
捕縄
(
とりなわ
)
! 縄の先には
鉛
(
なまり
)
がある。
小具足術
(
こぐそくじゅつ
)
の息一つ、クルクルッと、お十夜の首にからみついた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
而ると
鉛
(
なまり
)
のやうに重く
欝結
(
うつけつ
)
した頭が幾分輕く滑になつて、體中がぞく/\するやうに
擽
(
くすぐ
)
ツたくなる………何か
引
(
ひ
)
ツ
攫
(
つか
)
むでもしやくしやにして見たい。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
……あゝ、
老人
(
らうじん
)
といふものは、
死
(
し
)
んでゞもゐるかのやうに、
太儀
(
たいぎ
)
さうに
緩漫
(
のろ/\
)
と、
重
(
おも
)
くるしう、
蒼白
(
あをじろ
)
う、
鉛
(
なまり
)
のやうに……
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
五日の月が、西の
山脈
(
さんみゃく
)
の上の黒い
横雲
(
よこぐも
)
から、もう一ぺん顔を出して、山に
沈
(
しず
)
む前のほんのしばらくを、
鈍
(
にぶ
)
い
鉛
(
なまり
)
のような光で、そこらをいっぱいにしました。
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
おもい
鉛
(
なまり
)
のついたくつをはいて、ふたりの潜水夫は、作業船の外がわについた鉄ばしごを、つたいおり、ブクブクとあわをたてて、青い海の中へ、はいっていきました。
海底の魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
鉛
(
なまり
)
の
重
(
おもり
)
かとおもふ
心持
(
こゝろもち
)
、
何
(
なに
)
か
木
(
き
)
の
実
(
み
)
でゞもあるか
知
(
し
)
らんと、二三
度
(
ど
)
振
(
ふつ
)
て
見
(
み
)
たが
附着
(
くツつ
)
いて
居
(
ゐ
)
て
其
(
その
)
まゝには
取
(
と
)
れないから、
何心
(
なにごゝろ
)
なく
手
(
て
)
をやつて
掴
(
つか
)
むと、
滑
(
なめ
)
らかに
冷
(
ひや
)
りと
来
(
き
)
た。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
軟泥
(
なんでい
)
の中に、
鉛
(
なまり
)
の靴がずぶずぶとめりこんで、あたりは煙がたちこめたように
濁
(
にご
)
ってしまった。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
薄ぐもりの空の下で、黄海の波が
鉛
(
なまり
)
いろにうねつてゐた。人つ子ひとりゐない。ペンキの
褪
(
あ
)
せた海水小屋がぽつりぽつりと立つてゐる。みんな鍵がかけてある。僕はそれを一つ一つ
覗
(
のぞ
)
いて廻つた。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
例
(
たと
)
へば、
溶解
(
ようかい
)
せる
鉛
(
なまり
)
を
口
(
くち
)
に
入
(
い
)
るゝとも、
少
(
すこ
)
しも
不思議
(
ふしぎ
)
には
思
(
おも
)
はぬであらう。が、
若
(
も
)
し
是
(
これ
)
が
他
(
た
)
の
所
(
ところ
)
に
於
(
おい
)
ては
如何
(
どう
)
であらうか、
公衆
(
こうしゆう
)
と、
新聞紙
(
しんぶんし
)
とは
必
(
かなら
)
ず
此
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
き
監獄
(
バステリヤ
)
は、とうに
寸斷
(
すんだん
)
にして
了
(
しま
)
つたであらう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
はた、胸に、
床
(
ゆか
)
の
鉛
(
なまり
)
に……
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
よく注意したまえと云った津田君の言葉と、悪いから御気をつけなさいと教えた巡査の言葉とは似ているなと思うとたちまち胸が
鉛
(
なまり
)
のように重くなる。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鎌倉の
枢機
(
すうき
)
で
咡
(
ささや
)
かれたその一言が、いまでも彼には、
鉛
(
なまり
)
を呑んで帰ったように、心を重くしていたのだった。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貝
(
かい
)
の火はまるで
鉛
(
なまり
)
の玉のようになっています。ホモイは
泣
(
な
)
きながら
狐
(
きつね
)
の
網
(
あみ
)
のはなしをお父さんにしました。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「あゝ、僕あもう
絶望
(
ぜつぼう
)
だよ!」
投出
(
なげだ
)
すやうな
調子
(
てうし
)
で友は云ツた。私の胸は
鉛
(
なまり
)
のやうに
重
(
おも
)
くなツた。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
鉛
(
なまり
)
の
錘
(
おもり
)
かとおもう心持、何か木の実ででもあるかしらんと、二三度振ってみたが
附着
(
くッつ
)
いていてそのままには取れないから、何心なく手をやって
掴
(
つか
)
むと、
滑
(
なめ
)
らかに
冷
(
ひや
)
りと来た。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
情婦は、思い
余
(
あま
)
って、自殺の意を決し、自分の働いている工場の
熔融炉
(
キューポラ
)
に飛びこんで、ドロドロに
熔
(
と
)
けた
鉛
(
なまり
)
の湯の中に
跡方
(
あとかた
)
もなく死んでしまった。こんどは、若い男の番だった。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「少年」と「探偵」にあたる英語の
頭字
(
かしらじ
)
BとDとの組み合わせ文字で、百円銀貨ほどの大きさの
鉛
(
なまり
)
のメダルをたくさんこしらえさせ、団員が、めいめい三十枚ずつほど持っている
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
鉛
(
なまり
)
の如く變つて、クワツと見開いた眼は、底知れぬ恐怖に
翳
(
かげ
)
つて、恐らくこの生命を
喪
(
うしな
)
つた
瞳
(
め
)
のうちにこそ、最後に映つた兇惡無殘な、下手人の面影がこびり付いてゐることでせう。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鉛
(
なまり
)
めく首のあたりゆ
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“鉛”の意味
《名詞》
(なまり) 金属元素の一つ。黒錫。
(出典:Wiktionary)
“鉛”の解説
鉛(なまり、en: Lead、de: Blei、la: Plumbum、fr: Plomb)とは、典型元素の中の金属元素に分類される、原子番号が82番の元素である。元素記号は Pb である。
(出典:Wikipedia)
鉛
常用漢字
中学
部首:⾦
13画
“鉛”を含む語句
亜鉛
亜鉛葺
亜鉛板
亞鉛
鉛筆
鉛粉
鉛錘
鉛玉
鉛華
黒鉛
鉛丹
鉛筆画
鉛色
亜鉛屋根
色鉛筆
鉛管
亜鉛塀
赤鉛筆色
亞鉛張
亞鉛塊
...