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ゆだん
ふりがな文庫
“
油断
(
ゆだん
)” の例文
旧字:
油斷
油断
(
ゆだん
)
をしているうちに、
達二
(
たつじ
)
はいきなり山男に足を
捉
(
つか
)
まいて
倒
(
たお
)
されました。山男は達二を組み
敷
(
し
)
いて、刀を
取
(
と
)
り上げてしまいました。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「ねずみさん、
油断
(
ゆだん
)
をしてはいけません。
昨日
(
きのう
)
の
昼間
(
ひるま
)
、
人間
(
にんげん
)
がねずみとり
薬
(
ぐすり
)
を
食
(
た
)
べ
物
(
もの
)
の
中
(
なか
)
へいれて、その
辺
(
へん
)
にまいたようですから……。」
ねずみとバケツの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
油断
(
ゆだん
)
をつかれたように、母親はびっくりした。出発の前晩まで、母親はいろいろにくどいた。父親はだまっていたが、
勿論
(
もちろん
)
賛成ではなかった。
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
それッと、検事は部下たちに目くばせして、博士のうしろに
油断
(
ゆだん
)
なくついていかせた。検事自身は博士と並んでいく。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
するとかねてから
為朝
(
ためとも
)
のゆくえをさがしていた
平家
(
へいけ
)
の
討
(
う
)
っ
手
(
て
)
が
向
(
む
)
かって、
為朝
(
ためとも
)
の
油断
(
ゆだん
)
をねらって、
大勢
(
おおぜい
)
一
度
(
ど
)
におそいかかってつかまえてしまいました。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
▼ もっと見る
で、
何事
(
なにごと
)
も
油断
(
ゆだん
)
なく、よくよく
心
(
こころ
)
の
眼
(
まなこ
)
を
開
(
あ
)
けて、
乙姫様
(
おとひめさま
)
から
愛想
(
あいそ
)
をつかされることのないよう
心懸
(
こころが
)
けてもらいたい……。では
俺
(
わし
)
はこれで
帰
(
かえ
)
りますぞ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
前髪立ちの
若衆
(
わかしゅう
)
と、三十前の
年増
(
としま
)
だ……年上の女に可愛がられていい気でいる奴もあれば、ずんと年下の男を
滅法界
(
めっぽうかい
)
に好く女もあらあ——
油断
(
ゆだん
)
がなるものか。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その時よりして
畏気
(
おじけ
)
附き、
白昼
(
ひる
)
は更なり、
夜
(
よ
)
も里方へはいで来らず、をさをさ
油断
(
ゆだん
)
なかりしが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
民部
(
みんぶ
)
も
龍太郎
(
りゅうたろう
)
も、一
党
(
とう
)
の人々は、見しらぬ
旅
(
たび
)
の
侍
(
さむらい
)
に
油断
(
ゆだん
)
はならないとたぶんな
懐疑
(
かいぎ
)
をもった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……
私等
(
わしら
)
も
又
(
また
)
、
油断
(
ゆだん
)
なく
奥様
(
おくさま
)
の
行衛
(
ゆくゑ
)
な
捜
(
さが
)
しますだで、えら、
心
(
こゝろ
)
を
狂
(
くる
)
はさつしやりますな。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
また木にのぼっていないときでも恭一君はよく、もののかげや、うしろから、わっといってびっくりさせるのでした。ですから小さい太郎は、恭一君の家の近くにくると、もう
油断
(
ゆだん
)
ができないのです。
小さい太郎の悲しみ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
「正成一流のたばかりでもあろうぞ。
油断
(
ゆだん
)
して
裏掻
(
うらか
)
かるるな」
赤坂城の謀略
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
どうせ
油断
(
ゆだん
)
はならないと思っている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「
北
(
きた
)
の
国
(
くに
)
では、そうでありましても、こちらへきては、なかなか
油断
(
ゆだん
)
がなりません。へびが
子
(
こ
)
どもをねらっていますから。」と
答
(
こた
)
えました。
南方物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それは蜂矢が
油断
(
ゆだん
)
をしていたときのことだったので、かれはぎくりとして、手にしていた短かいタバコをその場へとり落とし、うしろへふりかえった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
童子
(
どうじ
)
はこういって、
大
(
おお
)
ぜいの
腰元
(
こしもと
)
や
家来
(
けらい
)
にいいつけて、
酒
(
さけ
)
さかなを
運
(
はこ
)
ばせました。
酒呑童子
(
しゅてんどうじ
)
はそれでもまだ
油断
(
ゆだん
)
なく、六
人
(
にん
)
の
山伏
(
やまぶし
)
を
試
(
ため
)
してみるつもりで
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
少
(
すこ
)
しの
油断
(
ゆだん
)
があれば、
姿
(
すがた
)
はいかに
殊勝
(
しゅしょう
)
らしく
神様
(
かみさま
)
の
前
(
まえ
)
に
坐
(
すわ
)
っていても、
心
(
こころ
)
はいつしか
悪魔
(
あくま
)
の
胸
(
むね
)
に
通
(
かよ
)
っている。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
きょうの
午
(
ひる
)
ごろまでは、じぶんと一しょに、砦のおくの
櫓
(
やぐら
)
に、きのうと同じように
油断
(
ゆだん
)
なく
小太郎山
(
こたろうざん
)
を
見張
(
みは
)
っていたのに、いつのまにか櫓を下りていったきりかえってこない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
... さるに
怎麼
(
いか
)
なればかく、
鈍
(
おぞ
)
くも足を
傷
(
やぶ
)
られ給ひし」ト、
訝
(
いぶ
)
かり問へば黄金丸は、「これには深き
仔細
(
しさい
)
あり。原来某は、彼の金眸と聴水を、
倶不戴天
(
ぐふたいてん
)
の
仇
(
あだ
)
と
狙
(
ねら
)
ふて、常に
油断
(
ゆだん
)
なかりしが。 ...
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
それで二人が
神楽坂
(
かぐらざか
)
のところまで来ると、紙屑買いは足が痛い痛いと言い出す。どうやらおれを
蒔
(
ま
)
く気だなと悟った七兵衛は、わざと
油断
(
ゆだん
)
をしていると、ふいと路地を切れて姿を隠す。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そのようすで、
悪意
(
あくい
)
のないのを
悟
(
さと
)
りはしたけれど、なお
母
(
はは
)
ねこは、
油断
(
ゆだん
)
をせず、
餌
(
えさ
)
に
近
(
ちか
)
づこうとしませんでした。
どこかに生きながら
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「へえ、そうかね。私たちは、スパイじゃないから安心なものだが、
油断
(
ゆだん
)
のならない話だね。で、その七八人の荒くれ男というのは一体、どこの国の人たちかね」
暗号音盤事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
だから、弦之丞も、お綱を引っ抱えて海へ入ったのは、おそらく、逃げるだけの自信があってしたことに違いないし、船も阿波の沖へ近づいていたといえば、かたがた
油断
(
ゆだん
)
はなるまいというのだ
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頼光
(
らいこう
)
はこんな
山奥
(
やまおく
)
で
不思議
(
ふしぎ
)
だと
思
(
おも
)
って、これも
鬼
(
おに
)
の
化
(
ば
)
けたのではないかと
油断
(
ゆだん
)
のない目で
見
(
み
)
ていますと、おじいさんたちはその
様子
(
ようす
)
を
覚
(
さと
)
ったとみえて、にこにこしながら、ていねいに
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げて
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ある
朝
(
あさ
)
のこと、すこしの
油断
(
ゆだん
)
を
見
(
み
)
はからって、
彼
(
かれ
)
は、一
座
(
ざ
)
から
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
しました。そして、どこというあてもなく、ただ
遠方
(
えんぽう
)
へと、
足
(
あし
)
に
委
(
まか
)
せて
走
(
はし
)
ったのです。
サーカスの少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
なにしろその後、烏啼の
消息
(
しょうそく
)
がさっぱり分らないので、
油断
(
ゆだん
)
はならないとのことであった。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こうして
為朝
(
ためとも
)
一人
(
ひとり
)
に
射
(
い
)
すくめられて、その
守
(
まも
)
っている
門
(
もん
)
にはだれも
近
(
ちか
)
づきませんでしたが、なんといっても
向
(
む
)
こうは
人数
(
にんずう
)
が
多
(
おお
)
い上に、こちらの
油断
(
ゆだん
)
につけ
込
(
こ
)
んで
夜討
(
よう
)
ちをしかけて
来
(
き
)
たのですから
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
幼少ながら、かれの
行
(
ゆ
)
く
末
(
すえ
)
は
浜松城
(
はままつじょう
)
の
呪
(
のろ
)
いであった。それを
捕
(
と
)
らえ
得
(
え
)
たのは近ごろの
快事
(
かいじ
)
、いずれも
斬刑
(
ざんけい
)
のすみしだいに、
恩賞
(
おんしょう
)
におよぶであろうが、その日のくるまでは、かならず
油断
(
ゆだん
)
せまいぞ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ほんとうに、いつこの
光
(
ひか
)
る
大事
(
だいじ
)
な
品
(
しな
)
を
盗
(
ぬす
)
まれるかしれないから、
油断
(
ゆだん
)
はできないぞ。」と、
甲
(
こう
)
と
乙
(
おつ
)
とはいい
合
(
あ
)
って、
二人
(
ふたり
)
は、それを
大事
(
だいじ
)
に
守
(
まも
)
っていました。
幸福に暮らした二人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「この尊い犠牲を生かさねば、われわれの義務は果せませんぞオ。——さあ全員配置について、スピードをあげましょう。ここは丁度、恐ろしい無引力空間の近くです。
油断
(
ゆだん
)
は
禁物
(
きんもつ
)
!」
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人間
(
にんげん
)
にも
油断
(
ゆだん
)
ができなければ、
犬
(
いぬ
)
や、また、ほかのねこたちにも、けっして
心
(
こころ
)
を
許
(
ゆる
)
せなかったからです。
ねこ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのうちに千田や船員が
油断
(
ゆだん
)
をするだろうから、脱出も出来ようと考えた。但し脱出したのがよいか、しないで辛抱していた方が安全か、これは
篤
(
とく
)
と考えてみなければならない問題だと思った。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
小
(
ちい
)
さな
白鳥
(
はくちょう
)
は、はじめて、これによって、
敏捷
(
びんしょう
)
な、
本性
(
ほんしょう
)
を
目
(
め
)
ざめさせられたのです。こののち、どんなときに、
油断
(
ゆだん
)
をしてはならないかということを
知
(
し
)
りました。
魚と白鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「魚眼レンズを使っているのか? よおし、
油断
(
ゆだん
)
はしないぞ」
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あたりが、やっとおちついて、
昔
(
むかし
)
のような
平和
(
へいわ
)
がきたと
思
(
おも
)
ったら、いつのまにか、
人間
(
にんげん
)
の
心
(
こころ
)
が
変
(
か
)
わってしまって、
信用
(
しんよう
)
どころか、なんだか
危険
(
きけん
)
で、
油断
(
ゆだん
)
ができなくなったよ。
春はよみがえる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「とんでもない。
彼奴
(
あいつ
)
は
油断
(
ゆだん
)
のならない喰わせ者だよ」
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「いいえ、ここにいる
年
(
とし
)
とったねこは、それはりこうで、
木
(
き
)
に
登
(
のぼ
)
ることが
上手
(
じょうず
)
です。いつか、
私
(
わたし
)
ですら、もうちょっとで
捕
(
つか
)
まるところでしたから、
油断
(
ゆだん
)
をしてはいけません。」
木の上と下の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これは
油断
(
ゆだん
)
のならぬ世の中になったものである。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ここにすんでいればこそ
安心
(
あんしん
)
なんだよ。それは、もっと
里
(
さと
)
に
近
(
ちか
)
い
野原
(
のはら
)
にゆけば
食物
(
しょくもつ
)
もたくさんあるし、おまえたちの
喜
(
よろこ
)
びそうな
花
(
はな
)
や、
流
(
なが
)
れもあるけれど、すこしも
油断
(
ゆだん
)
はできないのだ。
兄弟のやまばと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「こいつは、
油断
(
ゆだん
)
がならないぞ!」
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ほんとうに、
油断
(
ゆだん
)
がなりませんのね。あなたが
注意
(
ちゅうい
)
してくださらなければ、もうちょっとでわたしは、
網
(
あみ
)
にかかるところでした。」と、ちょうは、
花弁
(
はなびら
)
の
上
(
うえ
)
にとまって、
心
(
こころ
)
から
感謝
(
かんしゃ
)
しました。
くもと草
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
油断
(
ゆだん
)
なき警戒
奇賊悲願:烏啼天駆シリーズ・3
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
海
(
うみ
)
のすさまじい
鳴
(
な
)
り
音
(
おと
)
が、
空
(
そら
)
にまでとどろいて
聞
(
き
)
こえました。いつやみそうもない
暴風
(
ぼうふう
)
は、
油断
(
ゆだん
)
をすると、いまにも
吹
(
ふ
)
きつけて、この
怖
(
おそ
)
ろしい
波
(
なみ
)
のうず
巻
(
ま
)
きの
中
(
なか
)
へ、
自分
(
じぶん
)
を
突
(
つ
)
き
落
(
お
)
とそうとしました。
小さな金色の翼
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それは、
白
(
しろ
)
い
雲
(
くも
)
の、あわただしく
流
(
なが
)
れる
日
(
ひ
)
でした。この
雄
(
おす
)
のほおじろは、このあいだから、つけねらっていた
町
(
まち
)
の
鳥刺
(
とりさ
)
しのために、すこしの
油断
(
ゆだん
)
を
見
(
み
)
すかされて、ついに
捕
(
と
)
らえられてしまいました。
平原の木と鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
猟師
(
りょうし
)
はすこしも
油断
(
ゆだん
)
をせずに
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
へはいってゆきました。
猟師と薬屋の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“油断”の意味
《名詞》
油 断(ゆだん)
続けるべき注意や集中が途切れる、不注意になること。隙を見せること。
(出典:Wiktionary)
油
常用漢字
小3
部首:⽔
8画
断
常用漢字
小5
部首:⽄
11画
“油”で始まる語句
油
油揚
油然
油壺
油画
油蝉
油斷
油火
油単
油煙