こほ)” の例文
西日にしびかわ井戸端ゐどばた目笊めざるに、のこンのさむさよ。かねいまだこほの、きたつじ鍋燒なべやき饂飩うどんかすかいけいしひゞきて、みなみえだつきすごし。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今朝けさはたべたかねえかんな、われかまあねえで出來できたらたべたはうがえゝぞ」おしなはいつた。またこほつためし雜炊ざふすゐられた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
屋根やねあり、天井てんじやうあり、かべのあるとふばかり、野宿のじゆくつゆあはれさにまさつて、それはつめたいなさけない、こぼれるなみだこほらぬが不思議ふしぎ御座ござります。
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御米およね臺所だいどころで、今年ことし去年きよねんやう水道すゐだうせんこほつてれなければたすかるがと、くれからはるけての取越苦勞とりこしぐらうをした。よるになると夫婦ふうふとも炬燵こたつにばかりしたしんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
雪いまだきえず、山々はさら也田圃たはた渺々べう/\たる曠平くわうへい雪面せつめんなれば、枝川えだかはは雪にうづもれ水は雪の下を流れ、大河といへども冬の初よりきしの水まづこほりて氷の上に雪をつもらせ
しのぎつゝ親子が涙のかわく間もなくわづかの本資もとで水菓子みづぐわしや一本菓子などならおき小商こあきなひの其のひまにはそゝぎ洗濯せんたく賃仕事ちんしごとこほあぶらあかりを掻立かきたてつゝ漸々やう/\にして取續き女心の一トすぢ神佛かみほとけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その支度したく朝湯あさゆにみがきげてとしもこほあかつき、あたゝかき寢床ねどこうちより御新造ごしんぞ灰吹はいふきをたゝきて、これ/\と、此詞これ目覺めざましの時計とけいよりむねにひゞきて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女房にようばうくらがりの路地ろぢあしひかれ、あな掴込つかみこまれるやうに、くびから、かたから、ちりもと、ぞツとこほるばかりさむくなつた。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しなうすあかじみた蒲團ふとんへくるまると、身體からだまたぞく/\としてひざママしらがこほつたやうにつてたのをつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
詮議せんぎするぞ有樣にぬかせばよし若し此上にも取隱とりかくさば憂目うきめを見せんと云へども知ぬとばかりゆゑ立花左仲は立掛たちがゝりお島を引立ひきたてには連行つれゆき衣類いるゐはぎゆきこほりし松の木にしばつけ割竹わりたけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
むかしの冰室といふは雪のこほりむろなるべし。
我が良人をつと今宵こよひも帰りのおそくおはしますよ。我が子は早くねむりしに、帰らせ給はゞきようなくやおぼさん。大路おほぢの霜に月こほりて、踏む足いかに冷たからん。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けた。そとやみこほつたかとおもふやうにたゞしんとした。蒟蒻こんにやくみづにもかみごとこほりぢた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もツとのこれからふゆになりましてやま宛然まるでこほつてしまひ、かはがけ不残のこらずゆきになりましても、貴僧あなた行水ぎやうずゐあそばした彼処あすこばかりはみづかくれません、うしていきりがちます。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むかしの冰室といふは雪のこほりむろなるべし。
もう一度いちどおぼえてない。いづれも大事だいじいたらなかつたのは勿論もちろんである。が、家中いへぢうみづつて、こほつた。三年目さんねんめときごときは、翌朝よくあさめししるてて、のき氷柱つらゝいたかつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
良人をつと今宵こよひかへりのおそくおはしますよ、はやねぶりしにかへらせたまはゞきようなくやおぼさん、大路おほぢしもつきこほりてあしいかにつめたからん、炬燵こたつもいとよし、さけもあたゝめんばかりなるを
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
屹度きつとくるま今少いますこしの御辛防ごしんばうかるゝこほりつくやうなりうれしやとちかづいてればさてもやぶぐるまモシとこゑはかけしが後退あとじさりするおくりの女中ぢよちゆうソツとおたか袖引そでひきてもうすこまゐりませうあまりといへばとあと小聲こごゑなりをりしもふりしきるゆきにおたか洋傘かうもり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)