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や
ふりがな文庫
“
止
(
や
)” の例文
「船中」と「同窓」は中途で厭になつて
止
(
や
)
めたのを後に加筆稿了し「楡の樹蔭」はその頃の日記の中から拾ひ集めた彼地の夏の小景を
貝殻追放:010 「海上日記」の序
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
かつら (やがて砧の手をやめる)
一晌
(
いっとき
)
あまりも擣ちつづけたので、肩も腕も
痺
(
しび
)
るるような。もうよいほどにして
止
(
や
)
みょうでないか。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ねえお母様、お京さんはやっぱり大森がいやだって、もう二日したら帰るんだって云ってよこしたんです、雨が
止
(
や
)
まなくちゃあ困る。
千世子(二)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そうヨ、去年は皇太子殿下がおいでになるというてここも道後も騒いだのじゃけれど、またそれが
止
(
や
)
みになったということで、皆精を
初夢
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
痛い所へさわられた様な気がしたんだね——君の話を中途で
止
(
や
)
めさせて
終
(
しま
)
ったが、今、おれは、その同じ疑いに悩まされているのだ。
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
盛夏
三伏
(
さんぷく
)
の頃ともなれば、影沈む緑の
梢
(
こずえ
)
に、月の
浪
(
なみ
)
越すばかりなり。冬至の第一日に至りて、はたと
止
(
や
)
む、あたかも
絃
(
げん
)
を断つごとし。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
哲郎は起って女と並んだ時、
爪立
(
つまだ
)
ちを
止
(
や
)
めた女の体がもったりと
凭
(
もた
)
れて来た。哲郎はその女の体を支えながらボール箱に手をやった。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
もうこの
頃
(
ころ
)
じゃ、門附けは
流行
(
はや
)
らんでな。ことしあもう
止
(
や
)
めよかと思うだ。五、六年前まであ、東京へ行った連中も旅費の
外
(
ほか
)
に小金を
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
これをよい時機として役者を
止
(
や
)
めようとしたのであったならば、貞奴の光彩のなくなったのも
尤
(
もっと
)
もだと、
頷
(
うなず
)
かなければならないのは
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
相接する機会が多く、じっさい、何だかんだとしじゅう一しょに噂の種を
蒔
(
ま
)
いて世間の
脚下灯
(
きゃっかとう
)
に立っているんだから、
止
(
や
)
むを得ない。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「もうええ、ええ。その話
止
(
や
)
めといて。———私
等
(
ら
)
が悪かったよってに、これからきっとそないするわ。顔が壊れてしまうやないか」
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何
(
なん
)
となく
心配
(
しんぱい
)
さうな
顏
(
かほ
)
で、
左樣々々
(
さやう/\
)
、
々々
(
/\
)
、と、
打濕
(
うちしめ
)
つて
云
(
い
)
つてるかと
思
(
おも
)
ふと、やれヴオツカを
止
(
よ
)
せの、
麥酒
(
ビール
)
を
止
(
や
)
めろのと
勸
(
すゝめ
)
初
(
はじ
)
める。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
時勢の推移をいま少し静観してもおそくはない——彼らはそう主張して
止
(
や
)
まなかったのだ。おそかったか早かったか。それは判らぬ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
一人を罰するに依って万人の平和を保つ事が出来るなれば、その一人は死刑に処しても万人の平和を保たんためには
止
(
や
)
むを得ない。
余が平和主義の立脚点
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
満員電車を
止
(
や
)
めて二三台あとの
空
(
す
)
いた車に
載
(
の
)
りたいと思う心じゃ。わかるかな。それが人間を、地球以外の遊星へ植民を計画させる
遊星植民説
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これをお
聞
(
き
)
きになった、
王
(
おう
)
さまは、
深
(
ふか
)
い
憂
(
うれ
)
いに
沈
(
しず
)
まれました。いつしかかがり
火
(
び
)
は
消
(
き
)
えて、
管弦
(
かんげん
)
の
音
(
ね
)
も
止
(
や
)
んでしまったのでございます。
北海の白鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
勝氏は
真実
(
しんじつ
)
の攘夷論者に非ざるべしといえども、
当時
(
とうじ
)
の
勢
(
いきおい
)
、
止
(
や
)
むを得ずして攘夷論を
装
(
よそお
)
いたるものならん。その
事情
(
じじょう
)
以
(
もっ
)
て知るべし。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
……私の書斎に、遠くの村祭の、陽気な太鼓の音がきこえてきましたが、昨日からばつたりと、その音が鳴り
止
(
や
)
んでしまひました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
「秀さん、私ももウ今夜ぎりで帰るのですから、仲よく遊びましょう。ね。さア。もウ泣くものではありません、さア泣き
止
(
や
)
んで」
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
夜
(
よる
)
のこたァ、こっちが
寝
(
ね
)
てるうちだから、
何
(
なに
)
をしても
構
(
かま
)
わねえが、お
天道様
(
てんとうさま
)
が、
上
(
あが
)
ったら、その
匂
(
におい
)
だけに
止
(
や
)
めてもらいてえッてよ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ぼくはこんなことを、日本選手でもあり、立派な
紳士
(
しんし
)
、
淑女
(
しゅくじょ
)
でもある
皆
(
みな
)
さんに、お話するのは、じつに残念であるが、
止
(
や
)
むを得ん。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
啓之助の気持も妙に
荒
(
すさ
)
んできて、食いちがっている二人の心と心とが、行く所まで、いがみあわなければ
止
(
や
)
まないのが常であった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは
予
(
よ
)
の
意志
(
いし
)
ぢゃ、
予
(
よ
)
を
重
(
おも
)
んじておくりゃらば、
顏色
(
がんしょく
)
を
麗
(
うるは
)
しうし、
其
(
その
)
むづかしい
貌
(
かほ
)
を
止
(
や
)
めておくりゃれ。
祝宴最中
(
いはひもなか
)
に
不似合
(
ふにあひ
)
ぢゃわい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「君それは違ふ、ひどい違ひだよ。僕が禁めたといふのは、新聞の発行をぢやないんだ。唯購読を
止
(
や
)
めたといふに過ぎないんだ。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
現世
(
げんせ
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
なら
愛
(
あい
)
と
欲
(
よく
)
との
二筋
(
ふたすじ
)
で
結
(
むす
)
ばれるのも
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ぬが、一たん
肉体
(
にくたい
)
を
離
(
はな
)
れた
上
(
うえ
)
は、すっかり
欲
(
よく
)
からは
離
(
はな
)
れて
了
(
しま
)
わねばならぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
従来の
行懸
(
いきがか
)
りに迫られ、岩瀬肥後守、松平伊賀守の苦請に応じ、満腔徳川氏の威信を重んずるよりして、
止
(
や
)
むを得ずここに至りしなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そしてあの、おいらを
捕
(
つか
)
まえたときの、騒がずあわてぬとりなし、役者を
止
(
や
)
めさせて、泥棒にしても押しも押されもされぬ人間だ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
雑草の
蔓
(
はびこ
)
るに任せた庭のように、あまりに
関
(
かま
)
わずにあるところから来ていると考えたからで——
止
(
や
)
むを得ない家庭の事情から言っても
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「一度に餘り澤山はいけないよ——お
止
(
や
)
め。」彼女の兄は云つた、「それ位で澤山だ。」そして彼はミルクとコップとを引込めた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
大いに困ったが、この言葉の方は、すでに慎重な会議をなんべんも開いて、採用に決定していたので、
止
(
や
)
めるわけには行かない。
天災は忘れた頃来る
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
こんなことにかかりあっていてはよくないなと、薄うす自分は思いはじめた。しかし自分は執念深くやめなかった。また
止
(
や
)
まらなかった。
泥濘
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
どうにも
仕方
(
しかた
)
がありませんでした。それで
皆
(
みな
)
は
相談
(
そうだん
)
して、その
癖
(
くせ
)
が
止
(
や
)
むまでしばらくの
間
(
あいだ
)
、王子を広い
庭
(
にわ
)
に
閉
(
と
)
じこめることになりました。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
夏期の降霜はまったく
止
(
や
)
みました。今や小麦なり、砂糖大根なり、北欧産の穀類または野菜にして、成熟せざるものなきにいたりました。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
閑子は急に明るい顔になり、子供たちの泣き声もそれで
止
(
や
)
んだ。だがそのままいてくれとはいわない。だから閑子は出かけねばならない。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
女子 銀の竪琴の音は、
暗
(
やみ
)
の中を荒れ狂っている、赤い焔のように鳴っている。……暗の中の血薔薇のように。(オーケストラの音
止
(
や
)
む)
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし、その途上でも、まだすっかりは昔の病の
脱
(
ぬ
)
け切っていない悟浄は、依然として独り言の癖を
止
(
や
)
めなかった。
渠
(
かれ
)
は
呟
(
つぶや
)
いた。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その内に
真裸体
(
まっぱだか
)
の赤ん坊が、糸の無い月琴を弾き
止
(
や
)
めると、皆一時にピタリと踊りを
止
(
や
)
めて、手に手に持っている道具を藍丸王に渡した。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
西人
(
せいじん
)
の永く北斎を崇拝して
止
(
や
)
まざるは全くこれがためにして我邦人の
中
(
うち
)
動
(
やや
)
もすれば北斎を卑俗なりとなすものあるもまたこれがためなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
軟
(
やはら
)
かさに
滿
(
み
)
たされた
空氣
(
くうき
)
を
更
(
さら
)
に
鈍
(
にぶ
)
くするやうに、
榛
(
はん
)
の
木
(
き
)
の
花
(
はな
)
はひら/\と
止
(
や
)
まず
動
(
うご
)
きながら
煤
(
すゝ
)
のやうな
花粉
(
くわふん
)
を
撒
(
ま
)
き
散
(
ち
)
らして
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『そんな
事
(
こと
)
は
止
(
や
)
め!』と
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
叫
(
さけ
)
んで、『
眩暈
(
めまひ
)
がする』それから
薔薇
(
ばら
)
の
木
(
き
)
に
振向
(
ふりむ
)
いて、『
何
(
なに
)
をお
前方
(
まへがた
)
は
此處
(
こゝ
)
でして
居
(
ゐ
)
たのか?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
お聞き済みがなければ
止
(
や
)
むを得ざれど、お
聞届
(
きゝとゞ
)
け下されば
忝
(
かたじけ
)
ない、清次殿どうして
貴殿
(
きでん
)
は僕が助右衞門殿を殺したことを御存じでござるな
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は、夫人の至上命令のため、
止
(
や
)
むなく自動車に乗ったものの、内心の不安と苦痛と
嫌悪
(
けんお
)
とは、その
蒼白
(
あおじろ
)
い顔にハッキリと現われていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
倐忽
(
たちまち
)
に
瞳
(
ひとみ
)
を
凝
(
こら
)
せる貫一は、愛子の
面
(
おもて
)
を熟視して
止
(
や
)
まざりしが、やがてその
眼
(
まなこ
)
の中に浮びて、輝くと見れば
霑
(
うるほ
)
ひて出づるものあり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
今から考えると、いかにもそれらはばかげているように見えますけれども、しかし古い時代にはそれも
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
なかったのでありましょう。
ロバート・ボイル
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
その声は私の机のある窓近くでもあるので、書きものゝ気を散らせるので、
止
(
や
)
めて
貰
(
もら
)
はうと私は靴を
爪先
(
つまさき
)
につきかけて、玄関先へ出てみた。
蔦の門
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
それが十一時半になるとぴたりと
止
(
や
)
んで、午前一時まで二たび啼くのを待つてゐたが、到頭啼かずにしまつたといふのである。
仏法僧鳥
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
午後
(
ごゝ
)
は
降
(
ふ
)
り
止
(
や
)
んだが
晴
(
は
)
れさうにもせず
雲
(
くも
)
は
地
(
ち
)
を
這
(
は
)
ふようにして
飛
(
と
)
ぶ、
狹
(
せま
)
い
溪
(
たに
)
は
益々
(
ます/\
)
狹
(
せま
)
くなつて、
僕
(
ぼく
)
は
牢獄
(
らうごく
)
にでも
坐
(
すわ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
氣
(
き
)
。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
(ほとんど突然と音楽の声
止
(
や
)
む。)や、音楽が止んだ。己の心を深く動かした音楽が、神と人との間の不思議を
聞
(
きか
)
せるような音楽が止んだ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
で、私の話は、フィービ孃の
彈
(
ひ
)
いたオルガンの低音が、まだ靜かに餘韻を殘してゐる間に
止
(
や
)
めるのが一番いゝやうに思はれる。
水車のある教会
(旧字旧仮名)
/
オー・ヘンリー
(著)
裏の雑木林では、何かが燃え出しでもしたかのように、蝉がひねもす
啼
(
な
)
き
止
(
や
)
まなかった。樹脂のにおいさえ、開け放した窓から漂って来た。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
止
常用漢字
小2
部首:⽌
4画
“止”を含む語句
停止
笑止
中止
静止
小止
挙止
踏止
休止
取止
波止場
立止
行止
押止
廃止
制止
駒止
思止
默止
発止
底止
...