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歎
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なげ
ふりがな文庫
“
歎
(
なげ
)” の例文
源氏が二条の院へ帰って見ると、ここでも女房は
宵
(
よい
)
からずっと
歎
(
なげ
)
き明かしたふうで、所々にかたまって世の成り行きを悲しんでいた。
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
この変った姿で帰ったら、この月のうちには祝言をしようと言うことになっていた、
許嫁
(
いいなずけ
)
のお新はどんなに驚き
歎
(
なげ
)
くことでしょう。
銭形平次捕物控:056 地獄から来た男
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
新吉
(
しんきち
)
は、九つのとき、ほんの一
夜
(
や
)
、
病気
(
びょうき
)
になって
臥
(
ね
)
たばかりで
死
(
し
)
んでしまいました。
弥吉
(
やきち
)
じいさんの、
歎
(
なげ
)
きは
一通
(
ひととお
)
りでありません。
都会はぜいたくだ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ば喰べさせよった学校の小使いの
婆
(
ばあ
)
さんがなあ。代られるもんなら代ろうがて云うてなあ。自分の孫が死んだばしのごと
歎
(
なげ
)
いてなあ……
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかるに少し気の小さな人が、自分のことを
噂
(
うわさ
)
され、あるいは新聞雑誌に悪く掲げらるれば、再び
起
(
た
)
つ
能
(
あた
)
わざる窮地に
陥
(
おちい
)
るごとく
歎
(
なげ
)
く。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
文を売りて米の乏しきを
歎
(
なげ
)
き、意外の報酬を得て思わず打ち笑みたる彼は、ここに至って名利を見ること門前のくろの糞のごとくなりき。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
俳諧
(
はいかい
)
、謠曲、
淨瑠璃
(
じやうるり
)
に至るまで、(淨瑠璃のある部分を除く外は)おほむね理想詩(叙情派)に屬すといひて、世相派の詩少きを
歎
(
なげ
)
きつ。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
しかしながら愛せんと欲する者にはつねに愛し得ざる
歎
(
なげ
)
きがあり、生まんとする者は絶えず生みの悩みを経験しなければならぬ。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
茶を弁えたる者からいえば、今の茶碗では茶が飲めないと
歎
(
なげ
)
く……が、それは仕方のないことなのである。あえて茶碗にかぎるのではない。
現代茶人批判
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
赤い
焔
(
ほのお
)
に
包
(
つつ
)
まれて、
歎
(
なげ
)
き叫んで手足をもだえ、落ちて参る五人、それからしまいに
只
(
ただ
)
一人、
完
(
まった
)
いものは
可愛
(
かわい
)
らしい天の
子供
(
こども
)
でございました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
遠
(
とほ
)
ざかるが
最期
(
さいご
)
もう
縁
(
ゑん
)
の
切
(
き
)
れしも
同
(
おな
)
じこと
取
(
と
)
りつく
島
(
しま
)
の
頼
(
たの
)
みもなしと、
我
(
わ
)
れ
振
(
ふ
)
りすてられしやうな
歎
(
なげ
)
きにお
園
(
その
)
いよ/\
心細
(
こヽろぼそ
)
く
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
妹がもしいたら、年ごろになっても「要視察人」の俺のためにどこへもお嫁に行けないと、妹をさぞかし
歎
(
なげ
)
かせたことだろう。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
でもわしは、
歎
(
なげ
)
かないつもりだ。そこでわしが、不平を云わずによく働けば、かならずまた、次の世界には、富んだ家の者になれるのだからな
トシオの見たもの
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ヤレお前さんの身になったらさぞ母親さんに面目があるまいと、
人事
(
しとごと
)
にしないで
歎
(
なげ
)
いたり
悔
(
くやん
)
だりして心配してるとこだから
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
おのが生きむとする道を宗教に
択
(
えら
)
びたるは、一つは神を求むる心より、一つはかの
歎
(
なげ
)
きの底より浮びたる時にあたり恐るべき世の
冷
(
つめた
)
さに触れ
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
其内
(
そのうち
)
に
識
(
し
)
るともなく父鬼村博士の陰謀に気付き、夜に昼を
継
(
つ
)
いで
歎
(
なげ
)
きかなしんだため、
到頭
(
とうとう
)
ひどく身体を壊してしまった。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
……
乳母
(
おんば
)
、
先
(
さき
)
へ
往
(
ゆ
)
きゃれ。
姫
(
ひめ
)
によう
傳
(
つた
)
へたもれ、
家内中
(
かないぢゅう
)
を
早
(
はや
)
う
就褥
(
ねか
)
しめさと
被言
(
おしゃ
)
れ、
歎
(
なげ
)
きに
疲
(
つか
)
れたれば
眠
(
ね
)
むるは
定
(
ぢゃう
)
ぢゃ。ロミオは
今直
(
いますぐ
)
參
(
まゐ
)
らるゝ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
その悲しみに比べると、今の彼の寂しさが、より強いものとは思われなかった。が、一人の母を恋い
歎
(
なげ
)
くより、より大きいと云う心もちはあった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのくせ利家には、
歎
(
なげ
)
いているふうはなかった。むしろ、この一奇児を、ひそかに珍重している
容子
(
ようす
)
さえどこかにある。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
深
(
ふけ
)
え馴染の中だで
思出
(
おめえだ
)
して
歎
(
なげ
)
きが増して
母様
(
かゝさま
)
が泣くべえ、それに
種々
(
いろ/\
)
用があって
来
(
き
)
ねえでいたが悪く思ってくれるなって、
大
(
でか
)
い身体アして泣いただ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
暫時
(
しばし
)
と止め
種々
(
さま/″\
)
に
請勸
(
ときすゝ
)
めし
故
(
ゆゑ
)
澁々
(
しぶ/\
)
に
文
(
ふみ
)
取上て
封
(
ふう
)
押切
(
おしきり
)
讀
(
よむ
)
に
隨
(
したが
)
ひ小夜衣は少しも知らぬ
眞心
(
まごころ
)
見
(
み
)
え伯父長庵が惡事を
歎
(
なげ
)
き我身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そして、遂には、あの思出してもゾッとする夢中の犯罪、あああ、
俺
(
おれ
)
は何という因果な男だろう。彼はただもう、身の不幸を
歎
(
なげ
)
く
外
(
ほか
)
はないのである。
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
亡
(
な
)
くなった父は昔よく「
慎
レ
独
ひとりをつつしむ
」ということを教えた。私がこんなことを書くのを知ったら、どんなにか私の堕落を
歎
(
なげ
)
くであろう。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いよいよ離別の杯を取れり、阿園は長々世話になりしことを謝し、里方の無慈悲を怨み、あかぬ別れを
歎
(
なげ
)
き、身の薄命を悲しみ、佐太郎が親切を嘆じ
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
わたしは母にわかれてからもう五十年にもなるが、それでもこの歌を聴くと思い出して、いつも孝行の足りなかったことを
悔
(
くや
)
み
歎
(
なげ
)
かずにはいられない。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
史朗も憤慨したものらしく、清川が葉子に値いしないことを
歎
(
なげ
)
いていたが、それきり葉子の消息も絶えてしまった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
歎
(
なげ
)
きに枝を添うるがいたわしさに包もうとは
力
(
つと
)
めたれど……何を
匿
(
かく
)
そう、
姫御前
(
ひめごぜ
)
は鏁帷子を着けなされたまま
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
そうした
場合
(
ばあい
)
、
人間
(
にんげん
)
というものはさてさて
惨
(
むご
)
いことをするものじゃと、
俺
(
わし
)
はどんなに
歎
(
なげ
)
いたことであろう……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
(御機屋の事初編に委しく記せり)手を
停
(
とゞ
)
め
居
(
を
)
れば日限に
後
(
おく
)
る、娘はさらなり、
双親
(
ふたおや
)
も此事を
患
(
うれ
)
ひ
歎
(
なげ
)
きけり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
現実の充たされない世界に於て自我の欲情する
観念
(
イデヤ
)
(理念)を掲げ、それへの
止
(
や
)
みがたい思慕からして、訴え、
歎
(
なげ
)
き、
哀
(
かな
)
しみ、怒り、叫ぶところの芸術である。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
この指環が、私に幾多の苦と
歎
(
なげ
)
きとを与へてくれましたお蔭で、どうやらかうやら、私は一人前の人間にならねばならぬという奮発心を起こしましたからの事で。
こわれ指環
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
汝
(
なんじ
)
らは決して我が死を
歎
(
なげ
)
くに及ばぬ、我が
業力
(
ごうりき
)
ここに尽きて今日めでたく往生するのは取りも直さずわが
悪因業
(
あくいんごう
)
ここに消滅して今日より善因業を生ずるのである。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
蛼は啼くために生れて来たその
生命
(
いのち
)
のかなしさを、ただわけも知らず
歎
(
なげ
)
いているのだと、知れざる言葉を
以
(
もっ
)
て、生命の苦悩と悲哀とを訴えるように思われるからだ。
虫の声
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
自分の魂を打ち込んで焦心苦慮したことがまるで水の泡になってしまったことを
慨
(
なげ
)
いても
歎
(
なげ
)
いても足りないで私はひとり胸の中で天道を怨みかこつ心になっていた。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
士官たちの
歎
(
なげ
)
き! けれども当の
M
(
エム
)
大尉はすこしも
落胆
(
らくたん
)
しないのみか、にっこりとしておりました。
国際射的大競技
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
途中でも
私
(
わたくし
)
が、お喜ばしい、おめでたい儀と申しました。決してお
歎
(
なげ
)
きなさいます事はありません。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人
(
ひと
)
の
寐
(
ね
)
る
味宿
(
うまい
)
は
寐
(
ね
)
ずて
愛
(
は
)
しきやし
君
(
きみ
)
が
目
(
め
)
すらを
欲
(
ほ
)
りて
歎
(
なげ
)
くも 〔巻十一・二三六九〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
私と
同棲
(
どうせい
)
してからも一年に三四箇月は郷里の家に帰っていた。田舎の空気を吸って来なければ身体が保たないのであった。彼女はよく東京には空が無いといって
歎
(
なげ
)
いた。
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
といつて、やはり
月
(
つき
)
の
出
(
で
)
る
時分
(
じぶん
)
になると、わざ/\
縁先
(
えんさき
)
などへ
出
(
で
)
て
歎
(
なげ
)
きます。
翁
(
おきな
)
にはそれが
不思議
(
ふしぎ
)
でもあり、
心
(
こゝろ
)
がゝりでもありますので、ある
時
(
とき
)
、そのわけを
聞
(
き
)
きますと
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
わたしは彼女のことをいくたび
歎
(
なげ
)
いたか分かりません。いまだに彼女のことを後悔しています。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
実際すでに不正な銭のご
馳走
(
ちそう
)
になったのである、こんなことが母に知れたら母はどんなに怒るだろう、怒られても仕方がないが、母が
歎
(
なげ
)
きのあまり病気になりはしないか
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
嘗
(
かつ
)
てあるフランスの作家のものが某名家の訳で一世を
風靡
(
ふうび
)
し、いわゆる新興芸術派の一部に浅ましい亜流を輩出したとき、わが
畏友
(
いゆう
)
吉村鉄太郎がひそかに
歎
(
なげ
)
いたことがある
翻訳遅疑の説
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
初めはただの
歎
(
なげ
)
きであったが、のちにはそれが悩みを起こして、彼の心に深く喰い入った。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
親を失つて
歎
(
なげ
)
いてゐるものや、生活に何の
差障
(
さしさは
)
りもないのに、人と争ひ、人を憎んでゐるものの苦しみです。かういふ苦しみから、人々を救はねばならないと、私は思ふのです。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
善くこれを開発すれば小島も能く大陸に
勝
(
ま
)
さるの産を産するのであります。ゆえに国の小なるはけっして
歎
(
なげ
)
くに足りません。これに対して国の大なるはけっして誇るに足りません。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
何の罪とがも無き勝太郎をむざむざ目前に
於
(
お
)
いて死なせたる苦しさ、さりとては、うらめしの世、丹後どのには他の男の子ふたりあれば、
歎
(
なげ
)
きのうちにもまぎれる事もありなんに
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
御
(
おん
)
おもかげの変りたる時にこそ
浅墓
(
あさはか
)
ならぬ
我
(
わが
)
恋のかわらぬ者なるを
顕
(
あらわ
)
したけれと、無理なる
願
(
ねがい
)
をも神前に
歎
(
なげ
)
き
聞
(
きこ
)
え
候
(
そろ
)
と、愚痴の数々まで記して丈夫そうな状袋を
択
(
えら
)
み、封じ目油断なく
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
遊廓通
(
ゆうかくがよ
)
いの
外
(
ほか
)
に余念なきこそ道理なれ、さりとては
歎
(
なげ
)
かわしさの
極
(
きわ
)
みなるかな。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
元來
(
がんらい
)
日本
(
につぽん
)
の
古墳
(
こふん
)
の
研究
(
けんきゆう
)
は、かの
高山彦九郎
(
たかやまひこくろう
)
、
林子平
(
はやししへい
)
などゝ
共
(
とも
)
に
寛政
(
かんせい
)
の
三奇士
(
さんきし
)
といはれた
蒲生君平
(
がまうくんぺい
)
が、
御歴代
(
ごれきだい
)
の
御陵
(
ごりよう
)
の
壞
(
こは
)
れたり、わからなくなつてゐるのを
歎
(
なげ
)
いて、
自分
(
じぶん
)
で
各地
(
かくち
)
の
御陵
(
ごりよう
)
を
探索
(
たんさく
)
し
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
周防は非常に
歎
(
なげ
)
いたが、
女
(
むすめ
)
の
乳母
(
うば
)
の口から、
女
(
むすめ
)
が生前畠山六郎を思うていたと云うことを聞かされると、
女
(
むすめ
)
の姿を絵に
画
(
か
)
かし、そのうえ木像もこしらえて、
切通
(
きりどおし
)
三
間
(
げん
)
の堂を建ててそれを収めた。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
歎
漢検準1級
部首:⽋
15画
“歎”を含む語句
歎息
愁歎
悲歎
嗟歎
歎悲
御歎
歎願
驚歎
讃歎
浩歎
歎賞
歎異鈔
大歎息
御愁歎
長歎息
歎願書
哀歎
感歎
慨歎
詠歎
...