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ふりがな文庫
“
来
(
きた
)” の例文
旧字:
來
さりながら歴史を進展せしむる動力は断じてこれのみではないのであります。述べ
来
(
きた
)
った二ツの力も確かに歴史を動かす動力である。
流れ行く歴史の動力
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
追放の刑を受けて他国に赴いたものが、容易に安住の場所を得難かった事は、別項「
来
(
きた
)
り
人
(
にん
)
の地位と職業」中にも述べた通りである。
エタ源流考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
何ぞ
若
(
し
)
かん、俗に混じて、しかも
自
(
みづか
)
ら俗ならざるには。
籬
(
まがき
)
に菊有り。
琴
(
こと
)
に
絃
(
げん
)
無し。
南山
(
なんざん
)
見
来
(
きた
)
れば常に悠々。
寿陵余子
(
じゆりようよし
)
文を
陋屋
(
ろうをく
)
に売る。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たまたま
外
(
そと
)
より基督信徒の
来
(
きた
)
るあれば我らは旧友に会せしがごとく、敵地に
在
(
あり
)
て味方に会せしがごとく、うち悦びてこれを迎えたり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
双
(
そう
)
の
掌
(
て
)
と、外套の袖口と、膝の処が泥だらけになりおれども、顔面には何等苦悶の
痕
(
あと
)
なく、明け放ちたる入り
来
(
きた
)
る冷風に吹かれおり。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
良民社会に対して容易ならぬ恩人なるを知り我が前に行く目科の身が急に重々しさを増し
来
(
きた
)
り、其
背長
(
せたけ
)
さえ七八寸も延しかと疑わる
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
と蚊の
呻
(
うめ
)
くようなる声して、ぶつぶついうその音調は、一たび口を出でて、唇を垂れ
蔽
(
おお
)
える鼻に
入
(
い
)
ってやがて他の耳に
来
(
きた
)
るならずや。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一が去り、二が
来
(
きた
)
り、二が消えて三が生まるるがために
嬉
(
うれ
)
しいのではない。初から
窈然
(
ようぜん
)
として
同所
(
どうしょ
)
に
把住
(
はじゅう
)
する
趣
(
おもむ
)
きで嬉しいのである。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また従来から久しく人口に
膾炙
(
かいしゃ
)
し
来
(
きた
)
って口に慣れているので、今殊更にこれを改めなくてもあえて不都合を感じないからでもあった。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
その
蜿蜓
(
えんえん
)
と廻り廻って上から下までずっと流れ去り流れ
来
(
きた
)
る有様はちょうど一流の旗が大地に引かれて居るような有様に見えたです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
抽斎が優善のために座敷牢を作らせたのは、そういう
失踪
(
しっそう
)
の間の事で、その早晩
還
(
かえ
)
り
来
(
きた
)
るを
候
(
うかが
)
ってこの
中
(
うち
)
に投ぜようとしたのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
尚
(
な
)
ほ一層の探索と一番の熟考とを
遂
(
と
)
げて後、
来
(
きた
)
る
可
(
べ
)
くは再び来らんも
晩
(
おそ
)
からず、と失望の
裏
(
うち
)
別に幾分の得るところあるを
私
(
ひそか
)
に喜べり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
かの戦争に
如何
(
いか
)
なる意義があったか、如何なる効果をかの戦争の犠牲に由って持ち
来
(
きた
)
したか、戦争の名は
如何様
(
いかよう
)
に美くしかったにせよ
婦人と思想
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
丹治は大きな獲物の落ち
来
(
きた
)
る
刹那
(
せつな
)
の光景を想像しながら鶴の方を見た。鶴は平気で長い
頸
(
くび
)
を
傾
(
かし
)
げるようにしていた。丹治は眼を
睜
(
みは
)
った。
怪人の眼
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その時、
往手
(
ゆくて
)
の林の中から、いかにもあわただしく転がり出して、こけつまろびつ、こちらへ向って走り
来
(
きた
)
る二つの物体がありました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
わたくしは一葉柳浪鏡花等の作中に現れ
来
(
きた
)
る人物の境遇と情緒とは、江戸浄瑠璃中のものに彷彿としてゐる事を言はねばならない。
里の今昔
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
後世
(
こうせい
)
地上
(
ちじょう
)
に
来
(
きた
)
るべき
善美
(
ぜんび
)
なる
生活
(
せいかつ
)
のこと、
自分
(
じぶん
)
をして一
分
(
ぷん
)
毎
(
ごと
)
にも
圧制者
(
あっせいしゃ
)
の
残忍
(
ざんにん
)
、
愚鈍
(
ぐどん
)
を
憤
(
いきどお
)
らしむる
所
(
ところ
)
の、
窓
(
まど
)
の
鉄格子
(
てつごうし
)
のことなどである。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
太子問ひたまふ所の義、師(
慧慈
(
ゑじ
)
)も通ぜざる所有り。太子夜の夢に金人の
来
(
きた
)
りて不解
之
(
の
)
義を教ふるを見たまふ。太子
寤
(
さ
)
めて後即ち
之
(
これ
)
を
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
『
春告鳥
(
はるつげどり
)
』の中で「入り
来
(
きた
)
る
婀娜者
(
あだもの
)
」は「
褄
(
つま
)
をとつて白き足を見せ」ている。浮世絵師も種々の方法によって
脛
(
はぎ
)
を露出させている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
来
(
きた
)
る七月十四日、ジロ楽園カーニバル
祭
(
さい
)
の当夜、殺人遊戯の大団円が来るのだ。その夜残り
少
(
すくな
)
のメンバー達は、みなごろしになる。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
自
(
おのずか
)
ら南は人口も多く、町々も多くまた
繁昌
(
はんじょう
)
を
来
(
きた
)
しました。しかしどういうものか、それに比べ手仕事が特に
豊
(
ゆたか
)
だとは申されません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
山三郎は石塔の際へ馬を
止
(
とゞ
)
めて居る。圖書は山三郎はまだ
来
(
きた
)
らんと心得てぱっ/\と土煙を立って参りますと、
傍
(
わき
)
から声を掛けまして
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だが、だが、激しい陣痛の兆候は
来
(
きた
)
る。生まれんとする者は胎内に張りつめる。何としても、死んでも生まなければならないのだ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
赤々として熱そうな、
日入
(
いりひ
)
の影が
彼方
(
むこう
)
の松林に照りつけると、蜩の声は深山の
渓間
(
たにま
)
で鳴くのである。もはや帰るべき時は
来
(
きた
)
った。
森の妖姫
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
むやみと放棄し
来
(
きた
)
った過去の
無定見
(
むていけん
)
を反省し、さらにさらに研究して、ふぐの存在を充分有意義ならしめたいと私は望んでいる。
河豚は毒魚か
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
通つて来る二三人の家庭教師に
就
(
つ
)
かされてゐるが、実は父が家庭に於ける
享楽
(
きょうらく
)
生活に手不足を
来
(
きた
)
すのを、父は極力嫌つたためでもあつた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
防者は皆打者の球は常に自己の前に落ち
来
(
きた
)
る者と
覚悟
(
かくご
)
せざるべからず。
基人
(
ベースマン
)
は常に自己に向って球を投げらるる者と覚悟せざるべからず。
ベースボール
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
商売運の目出たい笑名は女運にも果報があって、
老
(
おい
)
の
漸
(
ようや
)
く
来
(
きた
)
らんとするころとうとう一の
富
(
とみ
)
を突き当てて妙齢の美人を妻とした。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
道義の力、習俗の力、機会一度至ればこれを破るのは
帛
(
きぬ
)
を裂くよりも容易だ。
唯
(
ただ
)
、容易に
来
(
きた
)
らぬはこれを破るに至る機会である。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
かかる現象にありては或原因の結果として起った者が必ずしも合目的とはいわれない、全体の目的と一部の現象とは衝突を
来
(
きた
)
す事がある。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
彼は思えり、その
来
(
きた
)
らざるを
恃
(
たの
)
むなく、我が待つあるを恃むべしと。彼は思えり、食を足し、兵を足す、これ国防の主眼なりと。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
この日同志の一人大高源吾はふたたび宗匠山田宗徧の
許
(
ところ
)
から、
来
(
きた
)
る十四日いよいよ上野介の自邸において納めの茶会が
催
(
もよお
)
される
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
是も宝暦年間(一七五一)の『倉橋風土記』に、「本浦の人
来
(
きた
)
って畑を開く。
鼠害
(
そがい
)
甚だしき故にこれを
棄
(
す
)
つ」とあるそうである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
僕のごときも今日まで幾度となくこの
過
(
あやま
)
ちを繰り返し
来
(
きた
)
ったもので、今にしてこれを
顧
(
かえりみ
)
ると
済
(
す
)
まぬことをしたと思うことがたびたびある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
……と私は考えるのです。そう思い去り思い
来
(
きた
)
ると、何十万の白骨もくるめて、上下なく、誰も彼も、ただあわれでなりません。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分が従来服従し
来
(
きた
)
ったところのものに対して或る反抗を起さねばならぬような境地(と私は言いたい。
理窟
(
りくつ
)
は
凡
(
すべ
)
て後から生れる者である)
性急な思想
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
未明
(
みめい
)
食事を
終
(
おは
)
りて出立し又
水流
(
すいりう
)
を
溯
(
さかのぼ
)
る、無数の瀑布を
経過
(
けいくわ
)
して五千五百呎の
高
(
たかき
)
に至れば水流
全
(
まつた
)
く
尽
(
つ
)
き、源泉は
岩罅
(
かんこ
)
より
混々
(
こん/\
)
として出で
来
(
きた
)
る
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
或は川をわたり、或は裏口より突然に
来
(
きた
)
るあり。或は跡より追い来るの人あり。其混雑なるは実に一種の世界たるを覚えたり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
新らしい奉公人はその古い奉公人の為し
来
(
きた
)
ったことを少し見習って、その古い奉公人の出て行ったあとは自分で
凡
(
すべ
)
ての事に当るようになる。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
だから私の有する知識とは、要するに私の過去を整理し、未来に起り
来
(
きた
)
るべき事件を取り扱う上の参考となるべき用具である。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「我らは遠く山を越えて
来
(
きた
)
れる
不弥
(
うみ
)
の者。我らを放せ。」と訶和郎はいった。反耶の視線は訶和郎から卑弥呼の方へ流された。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
と、論じ
来
(
きた
)
れば、ドリー助教授は自席で目を白黒してあわてていた。じつは老学者にも、この研究問題は、まだ解けていなかったのである。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すると第十六世紀になって所謂文芸復興期が
来
(
きた
)
り、今日の科学者の先駆があらわれ、人体の解剖生理の学が発達して、再び機械説が勝利を得
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
児
(
じ
)
を
分娩
(
ぶんべん
)
すると同時に、又も
一
(
いつ
)
の苦悶は出で
来
(
きた
)
りぬ。そは
重井
(
おもゐ
)
と公然の夫婦ならねば、
児
(
じ
)
の籍をば
如何
(
いか
)
にせんとの事なりき。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
その上に、もし
一度
(
ひとたび
)
興起り、想
漲
(
みなぎ
)
り
来
(
きた
)
って、無我の境に筆をとる時の、
瞳
(
ひとみ
)
は輝き、青白い
頬
(
ほお
)
に紅潮のぼれば、それこそ他の模倣をゆるさない。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
此
(
これ
)
を
仮
(
か
)
り
来
(
きた
)
りて
以
(
もっ
)
て建文の位を
遜
(
ゆず
)
れるに涙を
堕
(
おと
)
し、
燕棣
(
えんてい
)
の国を奪えるに歯を
切
(
くいしば
)
り、
慷慨
(
こうがい
)
悲憤して以て回天の業を
為
(
な
)
さんとするの
女英雄
(
じょえいゆう
)
となす。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
以上は漢語の、支那における発音に基づいたものであって、勿論多少日本化しているのであろうが、多分平安朝以来用い
来
(
きた
)
ったものであろう。
国語音韻の変遷
(新字新仮名)
/
橋本進吉
(著)
「
来
(
きた
)
る」は
良
(
ら
)
行四段の動詞である。「み冬つき春は
吉多礼登
(
キタレド
)
」(巻十七・三九〇一)「冬すぎて
暖来良思
(
ハルキタルラシ
)
」(巻十・一八四四)等の例がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
と
直
(
す
)
ぐ通じなくてはならない、それがこうだろうといっても、さようですかいな
解
(
わか
)
りまへんでは
癪
(
しゃく
)
が起る、これが度々重なると魂は衰弱を
来
(
きた
)
す
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
余
(
よ
)
は人に
助
(
たす
)
けられて
高所
(
たかきところ
)
に
逃登
(
にげのぼ
)
り
遙
(
はるか
)
に
駅中
(
えきちゆう
)
を
眺
(
のぞめ
)
ば、
提灯
(
ちやうちん
)
炬
(
たいまつ
)
を
燈
(
とも
)
しつれ大勢の男ども
手
(
てに
)
々に
木鋤
(
こすき
)
をかたげ、雪を
越
(
こえ
)
水を
渉
(
わたり
)
て
声
(
こゑ
)
をあげてこゝに
来
(
きた
)
る。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
来
常用漢字
小2
部首:⽊
7画
“来”を含む語句
往来
出来
将来
入来
元来
以来
性来
帰来
従来
去来
御入来
後来
被来
生来
由来
雁来紅
在来
来歴
新来
旧来
...