トップ
>
平生
>
へいぜい
ふりがな文庫
“
平生
(
へいぜい
)” の例文
だから、
小僧
(
こぞう
)
がものをいう
時分
(
じぶん
)
には、
耳
(
みみ
)
たぶが
赤
(
あか
)
くなって、
平生
(
へいぜい
)
でさえ、なんとなく、そのようすがあわれに
見
(
み
)
られたのであります。
初夏の不思議
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と
平生
(
へいぜい
)
から
嘲
(
あざけ
)
るものは
嘲
(
あざけ
)
るが、
心優
(
こゝろやさ
)
しい
衣絵
(
きぬゑ
)
さんは、それでも
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
がつて、
存分
(
ぞんぶん
)
に
沸
(
わ
)
かして
飲
(
の
)
むやうにと
言
(
い
)
つた
厚情
(
こゝろざし
)
なのであつた。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平生
(
へいぜい
)
腰かがみて
衣物
(
きもの
)
の
裾
(
すそ
)
の引きずるを、三角に取り上げて前に縫いつけてありしが、まざまざとその通りにて、
縞目
(
しまめ
)
にも
見覚
(
みおぼ
)
えあり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
平生
(
へいぜい
)
私の処に
能
(
よ
)
く来るお
婆
(
ばば
)
さんがあって、私の母より少し年長のお婆さんで、お
八重
(
やえ
)
さんと云う人。今でも
其
(
そ
)
の人の
面
(
かお
)
を覚えて居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
時にお登和さん、私はこういう話を聞ました。東京のある氷店の主人が大層アイスクリームを上手に
拵
(
こしらえ
)
て
平生
(
へいぜい
)
客に自慢するそうです。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
十六日の
口書
(
くちがき
)
、三奉行の
権詐
(
けんさ
)
、
吾
(
われ
)
を
死地
(
しち
)
に
措
(
お
)
かんとするを知り、
因
(
よ
)
ってさらに生を
幸
(
こいねが
)
うの心なし、これまた
平生
(
へいぜい
)
学問の
得
(
とく
)
か
然
(
しか
)
るなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
また私ははたして政府の人であるかあるいは純粋の仏教僧侶であるか、またその
平生
(
へいぜい
)
の行為はいかがであるかを逐一調査せられたい。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
單純
(
たんじゆん
)
なレウマチス
性
(
せい
)
の
頭痛
(
づつう
)
ではあつたが、
閭
(
りよ
)
は
平生
(
へいぜい
)
から
少
(
すこ
)
し
神經質
(
しんけいしつ
)
であつたので、
掛
(
か
)
かり
附
(
つけ
)
の
醫者
(
いしや
)
の
藥
(
くすり
)
を
飮
(
の
)
んでもなか/\なほらない。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
金銭のことを口にするのは卑しいことだと、おちぶれ士族の娘である母はかたく信じていて、
平生
(
へいぜい
)
から子供たちにいいきかせてあった。
大人の眼と子供の眼
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
其婦人は三十何年間日本にゐて、平安朝文学に関する造詣深く、
平生
(
へいぜい
)
日本人に対しては自由に雅語を駆使して応対したといふ事である。
弓町より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
こんな
狂人
(
きやうじん
)
じみた女のおほ袈裟な言葉を釣り出し、それを根據にまたこちら自身の
平生
(
へいぜい
)
を人が世間に廣告しては甚だ以つておほ迷惑だ。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
いふ
心夢
(
しんむ
)
とは
常
(
つね
)
平生
(
へいぜい
)
こゝろに思ふ事を見るをいふなりこの時
奧方
(
おくがた
)
の見給ふは
靈夢
(
れいむ
)
にして天下の
主將
(
しゆしやう
)
に
成
(
なる
)
べき
兆
(
さが
)
を
後々
(
のち/\
)
思ひしられたり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いや、そのとき
慌
(
あわ
)
てて構えずとも、外的な事故によって内なるものが動揺を受けないように、
平生
(
へいぜい
)
から構えができてしまっている。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
平生
(
へいぜい
)
は一
本
(
ぽん
)
きり
帶
(
さ
)
してゐないけれども、二
本帶
(
ほんさ
)
して
歩
(
ある
)
く
資格
(
しかく
)
を
有
(
も
)
つてゐて、
與力
(
よりき
)
や
京武士
(
みやこぶし
)
の
後
(
あと
)
へ
廻
(
まは
)
らなくてもいいだけの
地位
(
ちゐ
)
になつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
また実際仲間の若者たちも彼の秘密を
嗅
(
か
)
ぎつけるには、余りに
平生
(
へいぜい
)
の
素戔嗚
(
すさのお
)
が、恋愛とは
遥
(
はるか
)
に縁の遠い、
野蛮
(
やばん
)
な生活を送り過ぎていた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
湖山は唐の
白居易
(
はくきょい
)
がその友
元微之
(
げんびし
)
から贈られた詩を屏風に書きつけたという風雅の故事に
倣
(
なら
)
い、江戸当時の詩人の中
平生
(
へいぜい
)
師と尊び
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お父様は
平生
(
へいぜい
)
決して妓楼へはいらっしゃらないのですが、その折は前以て病気の人でもあってはと、お出になったかに聞きました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
それぞれ
御用
(
ごよう
)
が
異
(
ちが
)
うので、
平生
(
へいぜい
)
は
別々
(
べつべつ
)
になってお
働
(
はたら
)
きになり、
偶
(
たま
)
にしか
御
(
ご
)
一
緒
(
しょ
)
になって、お
寛
(
くつろ
)
ぎ
遊
(
あそ
)
ばすことがないと
申
(
もう
)
します……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
病人は
平生
(
へいぜい
)
から自分の持っている両蓋の銀側時計を弟の健三に見せて、「これを今に御前に遣ろう」と
殆
(
ほと
)
んど
口癖
(
くちくせ
)
のようにいっていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この夫に対する
仕向
(
しむけ
)
は両三年来の
平生
(
へいぜい
)
を貫きて、彼の性質とも病身の
故
(
ゆゑ
)
とも許さるるまでに
目慣
(
めなら
)
されて又
彼方
(
あなた
)
よりも咎められざるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ここにおいてわが
輩
(
はい
)
は日々の
心得
(
こころえ
)
、
尋常
(
じんじょう
)
平生
(
へいぜい
)
の
自戒
(
じかい
)
をつづりて、自己の
記憶
(
きおく
)
を新たにするとともに同志の人々の考えに
供
(
きょう
)
したい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
こう思うと、われわれの
平生
(
へいぜい
)
は、ただ
方便
(
ほうべん
)
を
主
(
しゅ
)
とすることばかりおおくて、かえってこの花前に
気恥
(
きは
)
ずかしいような感じもする。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
平生
(
へいぜい
)
は往来も少なく、昼でも寂しい場所であるから、この方面から忍び込んで死骸をかつぎ出すようなことが無いとは云えない。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
父は
平生
(
へいぜい
)
から、物を見る標準を金に置いていた。品物を買うのにも、まず値段をきいて、それで品物のよいわるいを決めていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
自分は幼い時から
動
(
やや
)
もすると死の不安に襲われて
平生
(
へいぜい
)
少しの病気もない健かな
身体
(
からだ
)
でありながらかえって若死をする気がしてならなかった。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
二人共
平生
(
へいぜい
)
の通りの樣子をしようと
努
(
つと
)
めた。しかし彼等が戰はねばならぬ悲しみは完全に征服され、または隱し
覆
(
おほ
)
はれるものではなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「
此
(
こ
)
の
野郎
(
やらう
)
こんな
忙
(
せは
)
しい
時
(
とき
)
に
轉
(
ころ
)
がり
込
(
こ
)
みやがつてくたばる
積
(
つもり
)
でもあんべえ」と
卯平
(
うへい
)
は
平生
(
へいぜい
)
になく
恁
(
こ
)
んなことをいつた。
勘次
(
かんじ
)
は
後
(
あと
)
で
獨
(
ひと
)
り
泣
(
な
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
しかしいつも覆面しているので顔も判らず、又
平生
(
へいぜい
)
は、どんな生活をしているひとなのだか、それも殆んど判っていない。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
平生
(
へいぜい
)
、好んで、パンを何もつけずに食うのである。で、その晩もやはり、兄貴のフェリックスより早く歩く——自分が先に貰いたいからである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
その句の傾向は
平生
(
へいぜい
)
目睹
(
もくと
)
する卑近な人事景色の内から、比較的趣味の深い趣向を見つけ出して、屈折をつけて平凡でないように叙するのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
正岡君は
平生
(
へいぜい
)
君を知っていたらしいのでまず君の名が星田代二であると信じている。けれど、まず僕はそれから取調べてかからなければならない。
殺人迷路:08 (連作探偵小説第八回)
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
平生
(
へいぜい
)
はふつうの人のはいれない、離宮や
御
(
ぎょ
)
えんや、
宮内省
(
くないしょう
)
の一部なども開放されたので、人々はそれらの中へもおしおしになってにげこみました。
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
そしてくやしまぎれに、ありもしないことをいろいろとこしらえて、お
姫
(
ひめ
)
さまが
平生
(
へいぜい
)
大臣
(
だいじん
)
のお
娘
(
むすめ
)
に
似合
(
にあ
)
わず、
行儀
(
ぎょうぎ
)
の
悪
(
わる
)
いことをさんざんに
並
(
なら
)
べて
一寸法師
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
東鶏冠山
(
とうけいかんざん
)
の
北堡塁
(
ほくほうるい
)
や、松樹山の補備砲台は、
平生
(
へいぜい
)
セメントや
煉瓦
(
れんが
)
をいぢくる商売がら、つい熱心に見て廻つたが、けつきよく僕にわかつたことは
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
それから西浦賀の
上成寺
(
じょうせいじ
)
は
平生
(
へいぜい
)
有りそうに思って其の夜忍び込み、此の寺で二百両で、金は随分あるにもせよ肴がなくてはお淋しかろうと存じて
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自分は
平生
(
へいぜい
)
誰でも顔の中に其人の
生涯
(
しやうがい
)
が
顕
(
あらは
)
れて見えると信じて居る一人で、悲惨な歴史の織り込まれた顔を見る程心を動かす事は無いのであるが
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「殿様はお酒をおあがりなさるとお気が荒いけれど、
平生
(
へいぜい
)
は親切なお方だから、
御機嫌
(
ごきげん
)
の取りにくいことはありませぬ」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
平生
(
へいぜい
)
は誠に温順で君子と言はれるやうな人が、碁将棋となるとイヤに人をいぢめるやうな汚ない手をやつて喜んで居る。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
大きく呼ぶと階下にいた愛子が
平生
(
へいぜい
)
に似合わず、あたふたと
階子段
(
はしごだん
)
をのぼって来た。葉子はふとまた倉地を念頭に浮かべていやな気持ちになった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
平生
(
へいぜい
)
から骨董がかつた物に余り興味を持つてない自分は、
況
(
ま
)
して自分の生活と
全
(
まつた
)
く交渉の無い地下の
髑髏
(
どくろ
)
などは
猶更
(
なほさら
)
観たくないが、好奇心の多い
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
不意の
闖入者
(
ちんにゅうしゃ
)
があったので、びっくりして離れ離れになって
起
(
た
)
ちあがったが、入って来た者が奴さんだと知ると、
平生
(
へいぜい
)
からばかにしきっている女は
雨夜草紙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
確乎
(
かっこ
)
たる
見込
(
みこみ
)
ありての事なり、未練らしう包み隠さずして、
有休
(
ありてい
)
に申し立ててこそ汝らが
平生
(
へいぜい
)
の振舞にも似合わしけれとありければ、
尤
(
もっと
)
もの事と思い
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
平生
(
へいぜい
)
無口な非社交的な先生としては、それがどれほどの努力であるかという事が、はっきり感ぜられるほど、一生懸命に私をもてなして呉れるのだった。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
これは
後
(
のち
)
ほどお
話
(
はなし
)
をする
朝鮮
(
ちようせん
)
の
古墳
(
こふん
)
からも
出
(
で
)
るもので、かような
靴
(
くつ
)
や
冠
(
かんむり
)
は、もちろん
平生
(
へいぜい
)
使
(
つか
)
つたものでなく、
儀式
(
ぎしき
)
のときなどに
用
(
もち
)
ひたものでありませう。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
この馬鹿七は
平生
(
へいぜい
)
から、狸山へ行つて一度その狸の腹鼓を聞いて見たいものだ、狸の踊る様子を見てやりたいものだと言つてゐましたが、
或
(
あ
)
る日の夕暮に
馬鹿七
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
私は山荘の住人で、
平生
(
へいぜい
)
竹や草や昆虫ばかりの中に立ち交っているので、身のまわりなぞは清潔にはしているが、少くとも野趣そのままにちがいなかった。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
平生
(
へいぜい
)
頑健な上に右眼を失ってもさして不自由しなかったので、一つはその頃は碌な町医者がなかったからであろう、碌な手当もしないで棄て置いたらしい。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
平生
(
へいぜい
)
からお
人好
(
ひとよ
)
しで、
愚圖
(
ぐづ
)
で、
低能
(
ていのう
)
な
彼
(
かれ
)
は、もともとだらしのない
男
(
をとこ
)
だつたが、
今
(
いま
)
は
全
(
まつた
)
く
正體
(
しやうたい
)
を
失
(
うしな
)
つてゐた。
彼
(
かれ
)
は
何度
(
なんど
)
私
(
わたし
)
の
肩
(
かた
)
に
倒
(
たふ
)
れかゝつたか
知
(
し
)
れなかつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
余は
茲
(
こゝ
)
に至り初て目科が
毎
(
いつ
)
もより
着飾
(
きかざり
)
たる訳を知れり、彼は
斯
(
か
)
く藻西が家の近辺にて買物を
素見
(
ひやか
)
しながら店の者に藻西の
平生
(
へいぜい
)
の行いを聞集めんと思えるなり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
平生
(
へいぜい
)
田畑の
青
(
あを
)
々した気色
計
(
ばか
)
り
眺
(
なが
)
めて居るものが折々
賑
(
にぎ
)
やかな都へ出ることですから見るものが珍らしく、小さな魂はみんな
眼
(
め
)
一ツへ集つた心地がして居り
升
(
まし
)
た。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
“平生”の意味
《名詞・形容動詞》
普段。常日頃。
(出典:Wiktionary)
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
“平生”で始まる語句
平生着
平生服
平生帶
平生穿
平生夢寐
平生由緒