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威勢
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いせい
ふりがな文庫
“
威勢
(
いせい
)” の例文
昼
(
ひる
)
すこし
前
(
まえ
)
にはもう
二人
(
ふたり
)
の
兄
(
にい
)
さんが
前後
(
ぜんご
)
して
威勢
(
いせい
)
よく
帰
(
かえ
)
って
来
(
き
)
た。
一人
(
ひとり
)
の
兄
(
にい
)
さんの
方
(
ほう
)
は
袖子
(
そでこ
)
の
寝
(
ね
)
ているのを
見
(
み
)
ると
黙
(
だま
)
っていなかった。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人を
馬鹿
(
ばか
)
にしていらあ、こんな所に
我慢
(
がまん
)
が出来るものかと思ったが仕方がない。
威勢
(
いせい
)
よく一番に飛び込んだ。
続
(
つ
)
づいて五六人は乗ったろう。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
秀吉公
(
ひでよしこう
)
の
威勢
(
いせい
)
をもおそれず、都へ
入
(
い
)
りこんでくるとは、
不敵
(
ふてき
)
なやつ。この呂宋兵衛の
手並
(
てなみ
)
にもこりず、わざわざ
富士
(
ふじ
)
の
裾野
(
すその
)
から討たれにきたか
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ジョバンニはにわかに顔いろがよくなって
威勢
(
いせい
)
よくおじぎをすると、台の下に
置
(
お
)
いた
鞄
(
かばん
)
をもっておもてへ
飛
(
と
)
びだしました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
でも一度そうなれば、それはりっぱな紳士になりきって、どんな向こう見ずな、どんな
乱暴
(
らんぼう
)
な人間でも、その
威勢
(
いせい
)
におされてしまうのであった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
『
其時
(
そのとき
)
は、
此
(
この
)
武村新八郎
(
たけむらしんぱちらう
)
が
先鋒
(
せんぽう
)
ぢや/\。』と
威勢
(
いせい
)
よくテーブルの
上
(
うへ
)
を
叩
(
たゝ
)
き
廻
(
まわ
)
すと、
皿
(
さら
)
は
跳
(
をど
)
つて、
小刀
(
ナイフ
)
は
床
(
ゆか
)
に
落
(
お
)
ちた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
着物が湿っているので、
威勢
(
いせい
)
よくは燃え上らぬ。青い焔が、着物の裾や袖を、
人魂
(
ひとだま
)
みたいに、不気味に這っている。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何
(
ど
)
の家でも、五人六人子供の無い
家
(
うち
)
は無い。この
部落
(
ぶらく
)
でも、
鴫田
(
しぎだ
)
や寺本の様に
屈強
(
くっきょう
)
な
男子
(
おとこのこ
)
の五人三人持て居る
家
(
うち
)
は、
家
(
いえ
)
も
栄
(
さかえ
)
るし、何かにつけて
威勢
(
いせい
)
がよい。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
私どもは馬に一むちくれて、
威勢
(
いせい
)
よくつぎの
餌肉
(
えにく
)
のところへいった。はたしてそこにもない。私は
狂喜
(
きょうき
)
して
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
すると、いままで、
威勢
(
いせい
)
よく、きらきらと
燈火
(
あかり
)
が
輝
(
かがや
)
いて、
荘厳
(
そうごん
)
に
見
(
み
)
えた
都会
(
とかい
)
が、たちまち
真
(
ま
)
っ
暗
(
くら
)
となって、すべての
機械
(
きかい
)
の
鳴
(
な
)
る
音
(
おと
)
が、
止
(
と
)
まってしまいました。
ぴかぴかする夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
刹那
(
せつな
)
に、今までじっとしていた蝗は急に
威勢
(
いせい
)
よく、
大飛躍
(
だいひやく
)
をした。古ぼけた麦稈帽子からひらりと身をかわすと、
青天鵞絨
(
あおビロオド
)
の座席の上へ一気に飛び下りた。
蝗の大旅行
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
だれがなんといったって、
世界中
(
せかいじゅう
)
でおれの
威勢
(
いせい
)
にかなう
者
(
もの
)
はあるまい。おれが
一声
(
ひとこえ
)
うなれば、十
里
(
り
)
四
方
(
ほう
)
の
家
(
いえ
)
に
地震
(
じしん
)
が
起
(
お
)
こって、
鍋釜
(
なべかま
)
に
残
(
のこ
)
らずひびがいってしまう。
物のいわれ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
矢野は家を出るときはすこぶる
威勢
(
いせい
)
よく出たけれど、汽車ちゅう
退屈
(
たいくつ
)
してよけいな事を考えたり、汽笛の声が妙に悲しく聞こえたり、いやにはかない人の話を聞いたり
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と、そこまでは、
威勢
(
いせい
)
のいい声を出して、
見得
(
みえ
)
を切ったが、その後で、急に
情
(
なさ
)
けない声になって
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
実朝の歌はただ器用というのではなく力量あり見識あり
威勢
(
いせい
)
あり、時流に染まず世間に
媚
(
こ
)
びざるところ例の
物数奇
(
ものずき
)
連中や死に歌よみの
公卿
(
くげ
)
達ととても同日には論じがたく
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
朝
(
あさ
)
っぱらの
柳湯
(
やなぎゆ
)
は、
町内
(
ちょうない
)
の
若
(
わか
)
い
者
(
もの
)
と、
楊枝削
(
ようじけず
)
りの
御家人
(
ごけにん
)
と
道楽者
(
どうらくもの
)
の
朝帰
(
あさがえ
)
りとが、
威勢
(
いせい
)
のよしあしを
取
(
とり
)
まぜて、
柘榴口
(
ざくろぐち
)
の
内
(
うち
)
と
外
(
そと
)
とにとぐろを
巻
(
ま
)
いたひと
時
(
とき
)
の、
辱
(
はじ
)
も
外聞
(
がいぶん
)
もない
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
さて翌日になると
禿鷹
(
はげたか
)
は、こんどこそは大丈夫だと思って、
威勢
(
いせい
)
よく、飛んでゆきました。
コーカサスの禿鷹
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そこへ、ガラッ!
威勢
(
いせい
)
よくおもての
格子
(
こうし
)
があいて、聞き
慣
(
な
)
れない人の
訪
(
おとず
)
れる声がする。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
酔払った連中は、二つ返事で
銘々
(
めいめい
)
美女を
相
(
あい
)
擁
(
よう
)
し、
威勢
(
いせい
)
よくシャムパングラスを左手に
捧
(
ささ
)
げ立った
処
(
ところ
)
を、ポッカアンとマグネシュウムが
弾
(
はじ
)
けて一同、写真に撮られてしまいました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
その実これは歴史から来る
迷信
(
めいしん
)
であり、過去の法制局長官に非常に
威勢
(
いせい
)
のよい政治家が多かったことと、昔の
官僚
(
かんりょう
)
政治の中で、法制局が内閣の
智恵袋
(
ちえぶくろ
)
の役割をつとめた事から来ている。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
「ワカチアタエル」のだから、こいつは
愛嬌
(
あいきょう
)
をふりまくことにもなるし、能力や人情をわかちあたえることにもなるであろう。どっちにしても
威勢
(
いせい
)
のいい文字であることだけは確かである。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
そうすると海じゅうの、あらゆる大小の魚が、のこらず
駈
(
か
)
けよって来て、すっかりのお船をみんなで
背中
(
せなか
)
にお
担
(
かつ
)
ぎ申しあげて、わッしょいわッしょいと、
威勢
(
いせい
)
よく
押
(
お
)
しはこんで行きました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
例
(
いつも
)
は
威勢
(
いせい
)
よき
黒
(
くろ
)
ぬり
車
(
くるま
)
の、それ
門
(
かど
)
に
音
(
おと
)
が
止
(
と
)
まつた
娘
(
むすめ
)
ではないかと
兩親
(
ふたおや
)
に
出迎
(
でむか
)
はれつる
物
(
もの
)
を、
今宵
(
こよひ
)
は
辻
(
つぢ
)
より
飛
(
とび
)
のりの
車
(
くるま
)
さへ
歸
(
かへ
)
して
悄然
(
しよんぼり
)
と
格子戸
(
かうしど
)
の
外
(
そと
)
に
立
(
た
)
てば、
家内
(
うち
)
には
父親
(
ちゝはゝ
)
が
相
(
あひ
)
かはらずの
高聲
(
たかごゑ
)
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
灰色の石油コンロは、
円
(
まる
)
い飛行機のような音をたてて
威勢
(
いせい
)
よく鳴っている。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
家の
玄関
(
げんかん
)
へつくと、車夫がとても
威勢
(
いせい
)
の
好
(
よ
)
い大きな声で、『オ帰リイ』と
叫
(
さけ
)
ぶ。すると家中の者がぞろぞろ出て来る。妻や女中たちが、玄関の畳に
列
(
なら
)
び坐って、『お帰り遊ばせ』とお
辞儀
(
じぎ
)
をする。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
威勢
(
いせい
)
のよい少女の、よくひびく声が大石先生をはっとさせた。あっと
叫
(
さけ
)
びそうになったほど、心にひびく声であった。このあたりにはめずらしい、
縄
(
なわ
)
のれんの店の中からそれはひびいてきたのだった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
馬鹿な
威勢
(
いせい
)
です。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ジョバンニは
俄
(
にわ
)
かに顔いろがよくなって
威勢
(
いせい
)
よくおじぎをすると台の下に置いた
鞄
(
かばん
)
をもっておもてへ飛びだしました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ところがある日三階から
威勢
(
いせい
)
よく下りて今日も泳げるかなとざくろ口を
覗
(
のぞ
)
いてみると、大きな札へ黒々と湯の中で泳ぐべからずとかいて
貼
(
は
)
りつけてある。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
司馬仲達
(
しばちゅうたつ
)
を
追
(
お
)
ッかけまわす
孔明
(
こうめい
)
のごとき高き
気概
(
きがい
)
。なんだか、自分ひとりの
威勢
(
いせい
)
のために、
咲耶子
(
さくやこ
)
の
胡蝶
(
こちょう
)
の
陣
(
じん
)
が
逃
(
に
)
げくずれてゆくような気持がして——。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
牛乳屋
(
ぎゅうにゅうや
)
さんはいそがしそうに、いい
残
(
のこ
)
して、また
威勢
(
いせい
)
よく
走
(
はし
)
っていきました。
小石
(
こいし
)
の
上
(
うえ
)
を
箱
(
はこ
)
がおどるようです。ふり
向
(
む
)
くと、ほこりが
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれていました。
野菊の花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
表の往来から聴えて来る
威勢
(
いせい
)
のいい玄米パンの呼声、自動車の警笛、自転車の
鈴
(
ベル
)
、そして、障子を照す
眩
(
まぶ
)
しい白日の光、どれもこれも、彼の暗澹たる計画に比べては
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
むかし、むかし、
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
に
竜王
(
りゅうおう
)
とお
后
(
きさき
)
がりっぱな
御殿
(
ごてん
)
をこしらえて
住
(
す
)
んでいました。
海
(
うみ
)
の中のおさかなというおさかなは、みんな
竜王
(
りゅうおう
)
の
威勢
(
いせい
)
におそれてその
家来
(
けらい
)
になりました。
くらげのお使い
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
寸志の一包と、吾れながら
見事
(
みごと
)
に出来た
聖護院
(
しょうごいん
)
大根
(
だいこ
)
を三本
提
(
さ
)
げて、挨拶に行く。
禾場
(
うちば
)
には祝入営の旗が五本も
威勢
(
いせい
)
よく立って、広くもあらぬ家には
人影
(
ひとかげ
)
と
人声
(
ひとごえ
)
が一ぱいに溢れて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「
威勢
(
いせい
)
よくやんねえ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
遠山のお嬢さんと
明日
(
あした
)
から
結婚
(
けっこん
)
さして、一ヶ月ばかり東京へでも遊びにやってやりたい気がした矢先だから、やお湯ですか、さあ、こっちへお懸けなさいと
威勢
(
いせい
)
よく席を
譲
(
ゆず
)
ると
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それからいかにも
退屈
(
たいくつ
)
そうに、わざと大きなあくびをして、両手を頭のうしろに組んで、行ったり来たりやっていた。ところが象が
威勢
(
いせい
)
よく、
前肢
(
まえあし
)
二つつきだして、小屋にあがって来ようとする。
オツベルと象
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ある時、東京式に若者が二人
威勢
(
いせい
)
よく盤台を
担
(
かつ
)
いで来たので、珍らしい事だと出て見ると、大きな盤台の中は
鉛節
(
なまりぶし
)
が五六本に
鮪
(
まぐろ
)
の切身が少々、それから此はと驚かされたのは
血
(
ち
)
だらけの
鯊
(
さめ
)
の頭だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そして、彼のラッパは
益々
(
ますます
)
威勢
(
いせい
)
よく、益々快活に鳴り渡るのである。
木馬は廻る
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そう
思
(
おも
)
うと、
達者
(
たっしゃ
)
な
馬
(
うま
)
は、
威勢
(
いせい
)
よく、はやく
歩
(
ある
)
いていくのに、びっこの
馬
(
うま
)
はそれに
負
(
ま
)
けまいとして、
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
していっしょうけんめいに
歩
(
ある
)
いているけれど、どうしてもおくれがちになるのでありました。
びっこのお馬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こういって、
為朝
(
ためとも
)
はここでも
王
(
おう
)
さまのような
威勢
(
いせい
)
になりました。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ホモイができるくらい
威勢
(
いせい
)
よく
言
(
い
)
いました。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
運転手が
威勢
(
いせい
)
よく答える。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“威勢”の意味
《名詞》
威 勢(いせい)
人を威圧する勢い。
活気のある勢い。
(出典:Wiktionary)
威
常用漢字
中学
部首:⼥
9画
勢
常用漢字
小5
部首:⼒
13画
“威”で始まる語句
威
威嚇
威張
威猛高
威丈高
威厳
威力
威儀
威圧
威嚴