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出
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いで
ふりがな文庫
“
出
(
いで
)” の例文
その女は夜分に男を引入れたりなんかしまして……私達もこれまでは
秘密
(
ないしょ
)
にしておきましたが、どうも警察の方がお
出
(
いで
)
になった上は
見開いた眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
何かと遠慮いたされまする
斯
(
か
)
かる
申
(
もう
)
し
出
(
いで
)
ゆえ、ずいぶん躊躇もいたしましたけれども、いろいろとそちらの御様子などお聞きいたし
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
明月記は千
写
(
しや
)
百
摹
(
も
)
の書なれば七は六の
誤
(
あやまり
)
としても氷室を
出
(
いで
)
し六月の氷
朝
(
あした
)
を
待
(
まつ
)
べからず。
盖
(
けだし
)
貢献
(
こうけん
)
の後
氷室守
(
ひむろもり
)
が私に
出
(
いだ
)
すもしるべからず。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
出
(
いで
)
芝八山へと急ぎ行次右衞門道々考へけるは天一坊家來に
九條殿
(
くでうどの
)
の浪人にて大器量人と
噂
(
うはさ
)
ある山内伊賀亮には
逢度
(
あひたく
)
なし
然
(
され
)
ば赤川大膳を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「喜田さんにしても、あなたの為めをお考えになって直ぐにお
出
(
いで
)
下すったんですから、兎に角御用心丈けはなさる方が宜いでしょう」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
御国より
出
(
いで
)
しものゝ内一人西洋イギリス学問所ニいりおり候。日本よりハ三
十斗
(
人
)
も渡り候て、共ニ稽古致し候よし。実ニ盛なる事なり。
手紙:017 慶応元年九月九日 坂本乙女、おやべあて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
ああ何も御存じなしにあのやうに喜んでお
出
(
いで
)
遊ばす物を、どの顔さげて離縁状もらふて下されと言はれた物か、
叱
(
し
)
かられるは必定
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
これらの幻像の出るのは、鑓ガ岳の南に続く
大雪田
(
だいせつでん
)
、土地の人がオ
出
(
いで
)
ッ
原
(
ぱら
)
と呼ぶ処で、その南側、奥不帰の連峯に寄った辺である。
残雪の幻像
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
こういうわけで、少年はすぐさまその
申
(
もう
)
し
出
(
いで
)
を
承知
(
しょうち
)
しました。そして、小人が
這
(
は
)
いだせるように、網をゆり動かすのをやめました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
こう落ちついて聞くと、女の語調にどこか聞き覚えがあるばかりでなく、いう注文がいよいよ
出
(
いで
)
ていよいよ不思議に聞かれたのである。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
万田龍之助は、お染を振り返って「安心して待ってお
出
(
いで
)
」と言わぬばかりの
瞬
(
まばたき
)
をして見せ、男に従って、元来た小路を戻りました。
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お
出
(
いで
)
やす、何あげまほ」などと、通りがかりの客と思ひ込んで、私がそれを名乗つても、尚ほ容易に信じ兼ねてゐたものだつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「この間はどんな本をお求めになりましたの。二晩もつづけてお
出
(
いで
)
になるのは、よほどお気に入ったからでしょうと思いました。」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
父
(
とう
)
さんは
枝
(
えだ
)
から
枝
(
えだ
)
をつたつて
登
(
のぼ
)
つて、
時
(
とき
)
にゆすつたりしても
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
は
怒
(
おこ
)
りもしないのみか、『もつと
遊
(
あそ
)
んでお
出
(
いで
)
。もつと
遊
(
あそ
)
んでお
出
(
いで
)
。』
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ホラ、お
出
(
いで
)
お出だ。今度はフラフラダンス。失敬失敬。体操だ体操だ。オイチニオイチニ。又かわるよ。赤旗になったから……」
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
しかしそれがなかなか極まらないので、お父様は心配してお
出
(
いで
)
なさる。僕は平気で小菅の官舎の四畳半に
寝転
(
ねころ
)
んで、本を見ている。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
武「いや一緒に行かんでも宜しい、エ、明日お筆さんをお前が引取に来なければならんから、組合を連れて
印形
(
いんぎょう
)
持参でお
出
(
いで
)
を願い
度
(
た
)
い」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「左様か。拙者の屋敷も、御覧の通り無人で手広いから、いつなりともお世話するほどに、明日からでもお
出
(
いで
)
になってはどうか」
仇討禁止令
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
足の向くがまゝ
芝口
(
しばぐち
)
へ
出
(
いで
)
候に付き、
堀端
(
ほりばた
)
づたひに
虎
(
とら
)
の
門
(
もん
)
より
溜池
(
ためいけ
)
へさし掛り候時は、秋の日もたっぷりと暮れ果て、唯さへ寂しき片側道。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
過ぎて新街道
大釜戸
(
おほかまど
)
といふより
御嶽
(
みたけ
)
へ出づ元は大井より
大久手
(
おほくて
)
細久手
(
ほそくて
)
を經て
御嶽
(
みたけ
)
へ
出
(
いで
)
しなれど高からねど山阪多きゆゑ
釜戸
(
かまど
)
の
方
(
かた
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
お前が
可厭
(
いや
)
なものを無理にお
出
(
いで
)
といふのぢやないのだから、断るものなら早く断らなければ、だけれど、今になつて断ると云つたつて……
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
サアお
出
(
いで
)
だというお
先布令
(
さきぶれ
)
があると、
昔堅気
(
むかしかたぎ
)
の百姓たちが一同に
炬火
(
たいまつ
)
をふり
輝
(
て
)
らして、
我先
(
われさき
)
と二里も三里も
出揃
(
でぞろ
)
って、お
待受
(
まちうけ
)
をするのです。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
何をお思いになってお
出
(
いで
)
であろうか、または、何についてお
談話
(
はなし
)
をなされてであったろうかと、ふと何ともいえぬ
懐
(
なつか
)
しみが
湧
(
わ
)
き上りました。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
われらがこの家を
出
(
いで
)
たる時、日はいまだ昇らざりき。われらは
鶉
(
うずら
)
を
猟
(
あさ
)
らんがために、手に手に散弾銃をたずさえて、ただ一頭の犬をひけり。
世界怪談名作集:04 妖物
(新字新仮名)
/
アンブローズ・ビアス
(著)
もしまた梅の花が見えて居るのに「かをる」といひたりとすればそは昔より歌人の陥り居りし穴をいまだ
得
(
え
)
出
(
いで
)
ずに居る者なり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
代助は、父としては
寧
(
むし
)
ろ露骨過ぎるこの政略的結婚の申し
出
(
いで
)
に対して、今更驚ろく程、始めから父を買い
被
(
かぶ
)
ってはいなかった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
(代匠記)か「鹿島の神に
祈願
(
こひいのり
)
て
官軍
(
すめらみいくさ
)
に
出
(
いで
)
て来しものをいかでいみじき
功勲
(
いさを
)
を立てずして帰り来るべしや」(古義)かのいずれにかになる。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
いかにと
申
(
まを
)
せば
彼等
(
かれら
)
早朝
(
まだき
)
に
時
(
とき
)
を
定
(
さだ
)
めて、ちよ/\と
囀出
(
さへづりい
)
だすを
機
(
しほ
)
に
御寢室
(
ごしんしつ
)
を
出
(
いで
)
させ
給
(
たま
)
はむには
自然
(
しぜん
)
御眠氣
(
おねむけ
)
もあらせられず、
御心地
(
おんこゝち
)
宜
(
よろ
)
しかるべし
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『さうです。
君
(
きみ
)
の
出
(
で
)
られた
學校
(
がくかう
)
です。
三田
(
みた
)
ですか、
早稻田
(
わせだ
)
ですか。』と
高等商業
(
かうとうしやうげふ
)
の
紳士
(
しんし
)
は
此二者
(
このにしや
)
を
出
(
いで
)
じといふ
面持
(
おもゝち
)
で
問
(
と
)
ふた。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
かゝる中へ一人の男
来
(
きた
)
りてお辰様にと手紙を渡すを見ると
斉
(
ひとし
)
くお辰あわただしく其男に
連立
(
つれだち
)
て
一寸
(
ちょっと
)
と
出
(
いで
)
しが其まゝもどらず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
広太郎にとっては一生懸命、相手の
右手
(
めて
)
の膝のあたりへ、太刀先をつけて構え込んだ。いわゆる、「
獅子
(
しし
)
のほら
出
(
いで
)
」である。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼れの
言条
(
いいじょう
)
は
愈々
(
いよ/\
)
出
(
いで
)
て愈々明白なり、
流石
(
さすが
)
の目科も絶望し、今まで熱心に握み居たる此事件も殆ど見限りて捨んかと思い初めし様子なりしが
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
其様に出たければあなた一人で勝手に何処へでもお
出
(
いで
)
なさい、何処ぞへ仕事を探がしに
御出
(
おいで
)
なさい、と
突慳貪
(
つっけんどん
)
に云うンです。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その文明論の極端を公言して人心を激したるは、亦
是
(
こ
)
れ人生の獣勇、闘争を好むの情に
出
(
いで
)
たることならんと、今より回想して
自
(
みず
)
から悟る所なり。
〔気品の泉源、智徳の模範〕
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
旦那がお
出
(
いで
)
になって、例の処で始めますと、昼の雨が利いたのでしょう、打ち込むや否懸り始めて、三年四年以上の
計
(
はか
)
り、二十一本挙げました。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
汝等の名は草の色のあらはれてまたきゆるに似たり、しかして草をやはらかに地より
生
(
は
)
え
出
(
いで
)
しむるものまたその色をうつろはす。 一一五—一一七
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
僕もその席に侍りて、先のほどまで酒
酌
(
く
)
みしが、独り早く
退
(
まか
)
り
出
(
いで
)
つ、その
帰途
(
かえるさ
)
にかかる
状態
(
ありさま
)
、思へば死神の誘ひしならん
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
いや
私
(
わたくし
)
の
知
(
し
)
らうと
思
(
おも
)
ふのは、
何
(
なん
)
の
爲
(
ため
)
に
貴方
(
あなた
)
が
解悟
(
かいご
)
だの、
苦痛
(
くつう
)
だの、
其
(
そ
)
れに
對
(
たい
)
する
輕蔑
(
けいべつ
)
だの、
其他
(
そのた
)
の
事
(
こと
)
に
就
(
つ
)
いて
自
(
みづか
)
ら
精通家
(
せいつうか
)
と
認
(
みと
)
めてお
出
(
いで
)
なのですか。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「いいや、それはなりません。お
上
(
かみ
)
さんは、
確
(
たしか
)
に
持
(
も
)
ってお
出
(
いで
)
なされたはず。もう一
度
(
ど
)
手前
(
てまえ
)
と一
緒
(
しょ
)
に、
白壁町
(
しろかべちょう
)
のお
宅
(
たく
)
へ、お
戻
(
もど
)
りなすって
下
(
くだ
)
さりませ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
文三には昨日お勢が「
貴君
(
あなた
)
もお
出
(
いで
)
なさるか」ト尋ねた時、行かぬと答えたら、「ヘーそうですか」ト平気で澄まして落着払ッていたのが面白からぬ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「長者よ。それはわたくしが悪かった
訣
(
わけ
)
ではございませぬ。ただどの路へ曲っても、必ずその路へお
出
(
いで
)
になった
如来
(
にょらい
)
がお悪かったのでございまする。」
尼提
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
同一の環境の下に
生
(
お
)
い
出
(
いで
)
ても、多様多趣の形態を取って
萠
(
も
)
え出ずるというドフリスの実験報告は、私の個性の欲求をさながらに
翻訳
(
ほんやく
)
して見せてくれる。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
おもてに「
出
(
いで
)
さま」と女文字で書いてある。彼は行燈のそばへ寄って封をひらいた。よんでみると恋文であった。
艶書
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「すぐお料理が出来ますさかい、……あんた、これから、ちょいちょいお
出
(
いで
)
やす、姝なお
朋友
(
ともだち
)
伴
(
つ
)
れなはってな」
牡蠣船
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「はい、一度分でございました。一服だけ召し上って、もういゝからあっちへお
出
(
いで
)
、おやすみと
仰有
(
おっしゃ
)
いました」
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「
有一日
(
あるひ
)
伏姫は。
硯
(
すゞり
)
に水を
滴
(
そゝが
)
んとて。
出
(
いで
)
て
石湧
(
しみづ
)
を
掬
(
むすび
)
給ふに。
横走
(
よこばしり
)
せし
止水
(
たまりみづ
)
に。うつるわが影を見給へば。その
体
(
かたち
)
は人にして。
頭
(
かうべ
)
は正しく犬なりけり。」
云々
(
しか/″\
)
。
処女の純潔を論ず:(富山洞伏姫の一例の観察)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「いや、あなたも随分不自由な生活をしてお
出
(
いで
)
になる。お気の毒だと思って、つい控え目になったのです。」
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「林を
出
(
いで
)
て
還
(
かえ
)
ってまた林中に入る。
便
(
すなわ
)
ち是れ
娑羅仏廟
(
さらぶつびょう
)
の東、
獅子
(
しし
)
吼
(
ほ
)
ゆる時
芳草
(
ほうそう
)
緑
(
みどり
)
、象王
廻
(
めぐ
)
る
処
(
ところ
)
落花
紅
(
くれない
)
なりし」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
老伯爵はアンジェリカの告白したことは、みな狂気の言わせるでたらめだとは思ったが、それでも娘の極度の悩みに心を動かされて、その申し
出
(
いで
)
を許してやった。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
『胸算用』には「仕かけ山伏」が「祈り最中に
御幣
(
ごへい
)
ゆるぎ
出
(
いで
)
、ともし火かすかになりて消」ゆる手品の種明かし、樹皮下に
肉桂
(
にっけい
)
を注射して立木を枯らす法などもある。
西鶴と科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“出”を含む語句
出入
出来
出会
出立
外出
出來
出會
露出
思出
出発
湧出
出端
申出
言出
突出
目出度
出逢
退出
生出
抽出
...