残雪の幻像ざんせつのげんぞう
五月から六月にかけて、高根の雪が解けるにしたがい、山肌が処々に現われて来る。その山肌と雪とで作る斑紋が、見ようでは種々な物の形、例えば動物や人間などの姿に見えるものだ。その形は山肌が雪の中に黒く現わすのと、山肌に囲まれた雪が白く描くのとある …