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鷹揚
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おうやう
ふりがな文庫
“
鷹揚
(
おうやう
)” の例文
扨
(
さ
)
て、
芬
(
ぷん
)
と
薫
(
かを
)
りの
高
(
たか
)
い
抽斗
(
ひきだし
)
から、
高尾
(
たかを
)
、
薄雲
(
うすぐも
)
と
云
(
い
)
ふ
一粒選
(
ひとつぶえり
)
の
處
(
ところ
)
を
出
(
だ
)
して、ずらりと
並
(
なら
)
べて
見
(
み
)
せると、
件
(
くだん
)
の
少年
(
せうねん
)
鷹揚
(
おうやう
)
に
視
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
たが
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
少年が屋根へ登る家は小さな川のそばにあつて、黒塀が
𢌞
(
めぐ
)
つて居る。建物は古いけれども、何となく
鷹揚
(
おうやう
)
な間取で、庭も廣い。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
「さうか。それではお前はおれの
抱
(
かゝ
)
へ
医者
(
いしや
)
になるか——」
斯
(
か
)
う、万事を呑込んでゐるやうな
鷹揚
(
おうやう
)
な態度で云ふのであつた。
哀しき父
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
かう云つて彼は
鷹揚
(
おうやう
)
にワツハツハと笑つた。が、森島和作は「徳兵衛」といふ名前を聞くと後ろを鋭く振返り、その少年の顔を
凝
(
じ
)
つと見つめてゐた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
ガラツ八は自分の
懷
(
ふところ
)
見たいな顏をして、
鷹揚
(
おうやう
)
に勘定をすると、
若干
(
なにがし
)
か心付けを置いて、さて
妻楊枝
(
つまやうじ
)
を取上げました。
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
其の時は二月の末で、港の山々にはまだ雪が消え残つてゐたが波はもう春らしい丸みを見せて
鷹揚
(
おうやう
)
に揺ぎ、商船や軍艦の間を白い
鴎
(
かもめ
)
が飛び
交
(
か
)
うてゐた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
五位の
語
(
ことば
)
が
完
(
をは
)
らない中に、誰かが、
嘲笑
(
あざわら
)
つた。
錆
(
さび
)
のある、
鷹揚
(
おうやう
)
な、武人らしい声である。五位は、猫背の首を挙げて、臆病らしく、その人の方を見た。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
汽車は早くも
大船
(
おほふな
)
に着けり、一海軍将校、
鷹揚
(
おうやう
)
として一等室に乗り込みしが、
忽
(
たちま
)
ち姿勢を
正
(
ただし
)
うして「侯爵閣下」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
『然うです。美術學校で同級だつたんですが、……あゝ御存知ですか! 然うですか!』と
鷹揚
(
おうやう
)
に
頷
(
うなづ
)
いて、『
甚麽
(
どんな
)
で居るんでせう? まだ結婚しないでせうか?』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
常の湯村はたゞ
鷹揚
(
おうやう
)
に、「
何有
(
なあに
)
、喰べる位の事なら何時まで居ても好い、ユツクリ勤口を探すさ。」
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
「フム、フム」と黒幕の中で
鷹揚
(
おうやう
)
に鼻の先の軽い一笑を演じる一つの心が其れに次ぐ。
後
(
あと
)
は気の乗らない沈黙。
其間
(
そのあひだ
)
に
踠
(
もが
)
いて居た首と手とは
漸
(
やつ
)
とのことで
釦
(
ブトン
)
を入れ終つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
家庭
(
かてい
)
で
暖
(
あたゝ
)
かに
育
(
そだ
)
つた
上
(
うへ
)
に、
同級
(
どうきふ
)
の
學生
(
がくせい
)
位
(
ぐらゐ
)
より
外
(
ほか
)
に
交際
(
かうさい
)
のない
男
(
をとこ
)
だから、
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
事
(
こと
)
には
寧
(
むし
)
ろ
迂濶
(
うくわつ
)
と
云
(
い
)
つても
可
(
い
)
いが、
其
(
その
)
迂濶
(
うくわつ
)
な
所
(
ところ
)
に
何處
(
どこ
)
か
鷹揚
(
おうやう
)
な
趣
(
おもむき
)
を
具
(
そな
)
へて
實社會
(
じつしやくわい
)
へ
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
したのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
すると、池田氏は物を呉れる者に
附物
(
つきもの
)
の
鷹揚
(
おうやう
)
な
態度
(
ものごし
)
で、ポケツトに手を突込んだと思ふと、何か知ら
掴
(
つか
)
み出して黙つて相手の
掌面
(
てのひら
)
に載せて呉れる。——見ると、使ひ古しの郵便切手である。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
願
(
ねが
)
ふとの
趣
(
おもむき
)
なり此時隔の
襖
(
ふすま
)
を押明れば天一坊威儀を繕ろひ然も
鷹揚
(
おうやう
)
に此方を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
見渡せば正面に
唐錦
(
からにしき
)
の
茵
(
しとね
)
を敷ける上に、
沈香
(
ぢんかう
)
の
脇息
(
けふそく
)
に身を持たせ、
解脱同相
(
げだつどうさう
)
の
三衣
(
さんえ
)
の
下
(
した
)
に
天魔波旬
(
てんまはじゆん
)
の慾情を去りやらず、一門の榮華を三世の
命
(
いのち
)
とせる入道清盛、さても
鷹揚
(
おうやう
)
に坐せる其の傍には
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
事実、私はちんちくりんの身体の肩を怒らせ
肘
(
ひぢ
)
を張つて、廊下で行き違ふ新入生のお辞儀を
鷹揚
(
おうやう
)
に受けつゝ、ゆるく
大股
(
おほまた
)
に歩いた。さうして
鵜
(
う
)
の
目
(
め
)
鷹
(
たか
)
の
目
(
め
)
であらを見出し室長の佐伯に注進した。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
山や田地を
殖
(
ふ
)
やしたので、今では村一二の物持ちになつて、家柄なぞといふものの光のだん/\薄くなるとともに、
鷹揚
(
おうやう
)
な好人物の主人を
有
(
も
)
つたお安の
實家
(
さと
)
が、村に唯一つの
瓦葺
(
かはらぶ
)
きの大きな家と
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
と言はれて、郡視学は
鷹揚
(
おうやう
)
な
微笑
(
ほゝゑみ
)
を口元に
湛
(
たゝ
)
へ乍ら
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「今迄どこにゐたんだね。」重役は
鷹揚
(
おうやう
)
に訊いた。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
鷹揚
(
おうやう
)
にわらつてその木のしたへゆくのだけれども
『春と修羅』
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『ヌ、』とばかりで、
下唇
(
したくちびる
)
をぴりゝと
噛
(
か
)
んで、
思
(
おも
)
はず
掴懸
(
つかみかゝ
)
らうとすると、
鷹揚
(
おうやう
)
に
破法衣
(
やぶれごろも
)
の
袖
(
そで
)
を
開
(
ひら
)
いて、
翼
(
つばさ
)
の
目潰
(
めつぶし
)
、
黒
(
くろ
)
く
煽
(
あふ
)
つて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大町人らしい
鷹揚
(
おうやう
)
さを持つて居るのと反對に、痩せて、
皺
(
しわ
)
だらけで、蒼黒くて、老狐のやうな感じのする男でした。
銭形平次捕物控:295 万両息子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
大兵肥満の
晋子其角
(
しんしきかく
)
が、
紬
(
つむぎ
)
の角通しの懐を
鷹揚
(
おうやう
)
にふくらませて、憲法小紋の肩をそば立てた、ものごしの
凛々
(
りり
)
しい去来と一しよに、ぢつと師匠の容態を
窺
(
うかが
)
つてゐる。
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
其間
(
そのあひだ
)
に、
何
(
なん
)
とかして、もつと
鷹揚
(
おうやう
)
に
生
(
い
)
きて
行
(
い
)
く
分別
(
ふんべつ
)
をしなければならないと
云
(
い
)
ふ
決心
(
けつしん
)
丈
(
だけ
)
をした。三
時
(
じ
)
は
朦朧
(
もうろう
)
として
聞
(
きこ
)
えた
樣
(
やう
)
な
聞
(
きこ
)
えない
樣
(
やう
)
なうちに
過
(
す
)
ぎた。
四時
(
よじ
)
、五
時
(
じ
)
、六
時
(
じ
)
は
丸
(
まる
)
で
知
(
し
)
らなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
見ても何某と稱るゝ御殿醫先生ならんと思へば一同
敬
(
うやま
)
ひまづ此方へと
上座
(
じやうざ
)
へ
招
(
せう
)
すに元益更に辭する色なく
最
(
いと
)
鷹揚
(
おうやう
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
して打ち通りつゝ座に附ば今日は
管伴
(
ばんたう
)
忠兵衞が不在なるに依り
帳場
(
ちやうば
)
にゐる主人長左衞門は立出て
敬々
(
うや/\
)
しく
挨拶
(
あいさつ
)
なしお
茶
(
ちや
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
狐
(
きつね
)
は
鷹揚
(
おうやう
)
に笑ひました。
土神と狐
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
覺
(
おぼ
)
え
方
(
かた
)
はいけ
粗雜
(
ぞんざい
)
だが、
料理
(
れうり
)
はいづれも
念入
(
ねんい
)
りで、
分量
(
ぶんりやう
)
も
鷹揚
(
おうやう
)
で、
聊
(
いさゝか
)
もあたじけなくない
處
(
ところ
)
が
嬉
(
うれ
)
しい。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何ぢや。」利仁は、郎等たちの持つて来た
篠枝
(
ささえ
)
や
破籠
(
わりご
)
を、五位にも勧めながら、
鷹揚
(
おうやう
)
に問ひかけた。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
でも、白状したも同じことさ、顏色が變つたぜ。もう少し
鷹揚
(
おうやう
)
な心持になつて、あの晩庭で人影を
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宗助
(
そうすけ
)
はわざと
鷹揚
(
おうやう
)
な
答
(
こたへ
)
をして
又
(
また
)
寐
(
ね
)
て
仕舞
(
しま
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
鷹揚
(
おうやう
)
にうなづくと、頬のあたりに
淀
(
よど
)
んだ持前の愛嬌が、戸迷ひをしたやうにスーツと消えます。
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……
鷹揚
(
おうやう
)
に、
然
(
しか
)
も
手馴
(
てな
)
れて、
迅速
(
じんそく
)
に
結束
(
けつそく
)
し
果
(
は
)
てた
紳士
(
しんし
)
は、
其
(
そ
)
の
爲
(
ため
)
に
空
(
むな
)
しく
待構
(
まちかま
)
へて
居
(
ゐ
)
たらしい
兩手
(
りやうて
)
にづかりと
左右
(
ひだりみぎ
)
、
其
(
そ
)
の
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
の、
頸上
(
えりがみ
)
と
思
(
おも
)
ふあたりを
無手
(
むず
)
と
掴
(
つか
)
んで
引立
(
ひつた
)
てる、と
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
略
(
りやく
)
して
申
(
まを
)
すのですが、
其處
(
そこ
)
へ
案内
(
あんない
)
もなく、づか/\と
入
(
はひ
)
つて
來
(
き
)
て、
立状
(
たちざま
)
に
一寸
(
ちよつと
)
私
(
わたし
)
を
尻目
(
しりめ
)
にかけて、
爐
(
ろ
)
の
左
(
ひだり
)
の
座
(
ざ
)
についた一
人
(
にん
)
があります——
山伏
(
やまぶし
)
か、
隱者
(
いんじや
)
か、と
思
(
おも
)
ふ
風采
(
ふうさい
)
で、ものの
鷹揚
(
おうやう
)
な
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
八五郎は兄哥らしく
鷹揚
(
おうやう
)
に首をネヂ向けました。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
小母
(
をば
)
さん
頂戴
(
ちやうだい
)
な」「
其蟲
(
そのむし
)
頂戴
(
ちやうだい
)
な」と
聞
(
き
)
くうちに、
蟲
(
むし
)
は、
美
(
うつく
)
しい
羽
(
はね
)
も
擴
(
ひろ
)
げず、
靜
(
しづ
)
かに、
鷹揚
(
おうやう
)
に、そして
輕
(
かる
)
く
縱
(
たて
)
に
姿
(
すがた
)
を
捌
(
さば
)
いて、
水馬
(
みづすまし
)
が
細波
(
さゝなみ
)
を
駈
(
かけ
)
る
如
(
ごと
)
く、ツツツと
涼傘
(
ひがさ
)
を、
上
(
うへ
)
へ
梭投
(
ひな
)
げに
衝
(
つ
)
くと
思
(
おも
)
ふと
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
鷹
漢検準1級
部首:⿃
24画
揚
常用漢字
中学
部首:⼿
12画
“鷹揚”で始まる語句
鷹揚自若