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蓄
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たくは
ふりがな文庫
“
蓄
(
たくは
)” の例文
福間先生は常人よりも
寧
(
むし
)
ろ
背
(
せい
)
は低かつたであらう。
何
(
なん
)
でも
金縁
(
きんぶち
)
の
近眼鏡
(
きんがんきやう
)
をかけ、
可成
(
かなり
)
長い
口髭
(
くちひげ
)
を
蓄
(
たくは
)
へてゐられたやうに覚えてゐる。
二人の友
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
懷
(
ふところ
)
には
小錢
(
こぜに
)
を
蓄
(
たくは
)
へて
置
(
お
)
くことも
出來
(
でき
)
るのであつたが
彼
(
かれ
)
は
能
(
よ
)
くコツプ
酒
(
ざけ
)
を
傾
(
かたむ
)
けたので
彼
(
かれ
)
の
懷
(
ふところ
)
は
決
(
けつ
)
して
餘裕
(
よゆう
)
を
存
(
そん
)
しては
居
(
ゐ
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あの
方
(
かた
)
が何年間かのあなたの心を
蓄
(
たくは
)
へた
行李
(
かうり
)
を
開
(
あ
)
けて人に見せ、焼き尽しもした程
憎
(
にく
)
みを見せながらそのあなたの弟や妹に
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
実
(
じつ
)
に
此
(
この
)
音色
(
ねいろ
)
を
蓄
(
たくは
)
へて
置
(
お
)
く
等
(
など
)
といふは、
不思議
(
ふしぎ
)
と
申
(
まう
)
すも
余
(
あまり
)
あることでござりまする。
殊
(
こと
)
に親、
良人
(
をつと
)
、
誰
(
たれ
)
に
拘
(
かゝは
)
らず
遺言
(
ゆゐごん
)
抔
(
など
)
を
蓄
(
たくは
)
へて
置
(
お
)
いたら
妙
(
めう
)
でござりませう。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一の穗碎かれ、その實すでに
蓄
(
たくは
)
へらるゝがゆゑに、うるはしき愛我を招きてさらに殘の穗を打たしむ 三四—三六
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
▼ もっと見る
現金の
蓄
(
たくは
)
へは
殆
(
ほと
)
んどなく、時々庭から出入りするらしく、ひどくその邊を踏み固めて居るのが眼につきます。
銭形平次捕物控:171 偽八五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
佛人
(
フツジン
)
の
如
(
ごと
)
くに
輕佻
(
けいてふ
)
動
(
うご
)
き
易
(
やす
)
きにあらず、
默念焦慮
(
もくねんせうりよ
)
して
毒刄
(
どくじん
)
を
懷裡
(
かいり
)
に
蓄
(
たくは
)
ふるは、
實
(
じつ
)
に
露人
(
ロジン
)
の
險惡
(
けんあく
)
なる
性質
(
せいしつ
)
なり。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
あなたの鞄は結婚の旅の用意をした時のまゝ
紐
(
ひも
)
をかけ
錠
(
ぢやう
)
を下して置いてあつた。
蓄
(
たくは
)
へもなく、一錢もないまゝで、私の大事な人はどうなることかと私は訊ねた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
すぐにその
力
(
ちから
)
のなすまゝに
形
(
かたち
)
を
調節
(
ちようせつ
)
して
平均
(
へいきん
)
が
成
(
な
)
り
立
(
た
)
つため、
地震力
(
ぢしんりよく
)
が
蓄
(
たくは
)
へられることを
許
(
ゆる
)
されない。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
程
(
ほど
)
たつて、
裏山
(
うらやま
)
の
小山
(
こやま
)
を
一
(
ひと
)
つ
越
(
こ
)
した
谷間
(
たにあひ
)
の
巖
(
いは
)
の
穴
(
あな
)
に、
堆
(
うづたか
)
く、その
餅
(
もち
)
が
蓄
(
たくは
)
へてあつた。
鼬
(
いたち
)
は
一
(
ひと
)
つでない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蓄
(
たくは
)
へたりとは若いには
珍
(
めづら
)
しき人なりと感ぜしかば吾助に向ひ
遠路
(
ゑんろ
)
のところ
態々
(
わざ/\
)
御尋ね有て御身の
落着
(
おちつき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
砂糖
(
さとう
)
や
澱粉
(
でんぷん
)
といふような
含水炭素
(
がんすいたんそ
)
とよぶ
養分
(
ようぶん
)
を
造
(
つく
)
り、それを
葉
(
は
)
から
枝
(
えだ
)
へ、
枝
(
えだ
)
から
幹
(
みき
)
を
下
(
くだ
)
つて
根
(
ね
)
に
送
(
おく
)
つて、
木全體
(
きぜんたい
)
の
發育
(
はついく
)
のための
養分
(
ようぶん
)
にし、その
殘
(
のこ
)
りは
蓄
(
たくは
)
へておきます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
代助は
父
(
ちゝ
)
の様子、
父
(
ちゝ
)
の言葉
遣
(
つかひ
)
、父の主意、凡てが予期に反して、自分の決心を
鈍
(
にぶ
)
らせる傾向に
出
(
で
)
たのを心苦しく思つた。けれども彼は此
心苦
(
こゝろぐる
)
しさにさへ打ち勝つべき決心を
蓄
(
たくは
)
へた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
大坂城が陥るまで、秀吉が
蓄
(
たくは
)
へ置いた金銀は、家康を怖れさせたといふのである。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
黒餅
(
こくもち
)
に
立沢瀉
(
たちおもだか
)
の
黒紬
(
くろつむぎ
)
の羽織着たるがかく言ひて示すところあるが如き微笑を
洩
(
もら
)
せり。甘糟と呼れたるは、
茶柳条
(
ちやじま
)
の
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴を着けたる、この中にて
独
(
ひと
)
り
頬鬚
(
ほほひげ
)
の
厳
(
いかめし
)
きを
蓄
(
たくは
)
ふる紳士なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
又青貝の戸棚に並びたるは
珍駄婁
(
ちんだる
)
の媚酒、
羅王中
(
ロワンチユン
)
の紅艶酒。
蘇古珍
(
スコチン
)
の
阿羅岐
(
アラキ
)
焼酎。ギヤマン作りの香煙具。銀ビイドロの水瓶。水晶の杯なぞ王侯の品も及ばじな。前の和尚の盗み
蓄
(
たくは
)
めにやあるらむ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それでも
幾日
(
いくにち
)
か
降
(
ふ
)
り
續
(
つゞ
)
いた
雨
(
あめ
)
が
水
(
みづ
)
を
蓄
(
たくは
)
へて
低
(
ひく
)
い
畑
(
はた
)
は
暫
(
しばら
)
く
乾
(
かわ
)
くことがなかつた。
田
(
た
)
も
其
(
そ
)
の
水
(
みづ
)
の
爲
(
ため
)
に
浸
(
ひた
)
つた
箇所
(
かしよ
)
が
少
(
すくな
)
くなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
銀行も金庫も、株券も手形もなかつた時代に、金がどうして
蓄
(
たくは
)
へられたか、これは實に面白い問題でした。
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
このことだけは今日もなほ何か我我の心の底へ
滲
(
し
)
み渡る寂しさを
蓄
(
たくは
)
へてゐる。夢は既に地上から去つた。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
喰
(
くふ
)
が如く五體の
膏血
(
かうけつ
)
を
絞
(
しぼ
)
り
蓄
(
たくは
)
へたる金が今思へば我が身の
讐敵
(
あだがたき
)
とは云ものゝ親の
勤
(
つとめ
)
し
村長役
(
むらをさやく
)
を勤なば親々が
未來
(
みらい
)
の悦びと思込しが却て怨みを受る
基
(
もとゐ
)
となり無實の大
難
(
なん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
少年讀者
(
しようねんどくしや
)
は、
天文學
(
てんもんがく
)
、
地理學
(
ちりがく
)
、
地質學
(
ちしつがく
)
、
物理學
(
ぶつりがく
)
等
(
とう
)
の
應用
(
おうよう
)
によつて、わが
地球
(
ちきゆう
)
の
球體
(
きゆうたい
)
に
近
(
ちか
)
きこと、
平均密度
(
へいきんみつど
)
が五・五なること、
表面
(
ひようめん
)
に
近
(
ちか
)
き
部分
(
ぶぶん
)
の
構造
(
こうぞう
)
、
内部
(
ないぶ
)
に
蓄
(
たくは
)
へられる
高熱
(
こうねつ
)
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
性
(
せい
)
として奇怪なる事とし謂へば、見たさ、聞きたさに
堪
(
た
)
へざれども、
固
(
もと
)
より頼む腕力ありて、
妖怪
(
えうくわい
)
を退治せむとにはあらず、胸に
蓄
(
たくは
)
ふる学識ありて、怪異を研究せむとにもあらず。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
種々
(
いろ/\
)
の
世辞
(
せじ
)
を
蓄
(
たくは
)
へて置いて
之
(
これ
)
を
売
(
う
)
つたら、
嘸
(
さぞ
)
繁昌
(
はんじやう
)
をするであらう。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼
(
かれ
)
は
少
(
すこ
)
しばかり
餘
(
あま
)
してあつた
蓄
(
たくは
)
へから
蝕
(
むしくひ
)
でも
何
(
なん
)
でも
柱
(
はしら
)
になる
木
(
き
)
やら
粟幹
(
あはがら
)
やらを
求
(
もと
)
めて、
家
(
いへ
)
の
横手
(
よこて
)
へ
小
(
ちひ
)
さな二
間
(
けん
)
四
方
(
はう
)
位
(
ぐらゐ
)
な
掘立小屋
(
ほつたてごや
)
を
建
(
た
)
てる
計畫
(
けいくわく
)
をした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
妾
(
めかけ
)
を
蓄
(
たくは
)
へる制度が存在する以上、家庭の神聖が保たれぬことは、
何人
(
なんびと
)
にも見易い道理である。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大概の
醒臭
(
なまぐさ
)
坊主に引けを取らず、妾二人を
蓄
(
たくは
)
へてる外、講中の誰彼に手を出して、絶えず問題を作りますが、そんな不始末は不思議なことに狂信者達を驚かさなかつたのです。
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これより
一説
(
いつせつ
)
ある
處
(
ところ
)
、
何
(
なん
)
の
大晦日
(
おほみそか
)
を
逃
(
に
)
げた
癖
(
くせ
)
に、
尊徳樣
(
そんとくさま
)
もないものだと、
編輯
(
へんしふ
)
の
同人
(
どうにん
)
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
大
(
おほい
)
に
嘲
(
あざ
)
けるに、たじ/\となり、
敢
(
あへ
)
て
我
(
わが
)
胸中
(
きようちう
)
に
蓄
(
たくは
)
へたる
富國經濟
(
ふこくけいざい
)
の
道
(
みち
)
を
説
(
と
)
かず、
纔
(
わづか
)
に
城
(
しろ
)
の
俤
(
おもかげ
)
を
記
(
しる
)
すのみ。
城の石垣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
貞操道徳が全く
弛廢
(
ちはい
)
してしまつて、遊女崇拜が藝術の世界にまで
浸潤
(
しんじゆん
)
して來た幕府時代には、男の働きで
妾
(
めかけ
)
を
蓄
(
たくは
)
へることなどは
寧
(
むし
)
ろ名譽で、國持大名などは、その低能臭い血統の保持のために
銭形平次捕物控:194 小便組貞女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
だから
私
(
わたくし
)
は
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
に
依然
(
いぜん
)
として
險
(
けは
)
しい
感情
(
かんじやう
)
を
蓄
(
たくは
)
へながら、あの
霜燒
(
しもや
)
けの
手
(
て
)
が
硝子戸
(
ガラスど
)
を
擡
(
もた
)
げようとして
惡戰苦鬪
(
あくせんくとう
)
する
容子
(
ようす
)
を、まるでそれが
永久
(
えいきう
)
に
成功
(
せいこう
)
しない
事
(
こと
)
でも
祈
(
いの
)
るやうな
冷酷
(
れいこく
)
な
眼
(
め
)
で
眺
(
なが
)
めてゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蓄
常用漢字
中学
部首:⾋
13画
“蓄”を含む語句
貯蓄
含蓄
蓄財
蓄妾
蓄財家
蓄殖
蘊蓄
蓄音機
蓄膿症
蓄音器
蓄積
薀蓄
電蓄
蓄電池
蓄膿
蓄水池
蓄髯
蝋管蓄音機
蓄電器
貯蓄心
...