トップ
>
極
>
きわ
ふりがな文庫
“
極
(
きわ
)” の例文
尤
(
もっと
)
も稀には死人がお
葬
(
とむらい
)
の最中に
甦
(
よみがえ
)
って大騒ぎをすることもないではないが、それは
極
(
きわ
)
めて珍らしいことで、もしそんなことがあれば
火葬国風景
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
静坐法というものが一時流行を
極
(
きわ
)
めた時、何んでも人間は、腹の中へ空気を押し込まなければ死んでしまうように聞かされたものだ。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
と云いながら古竹の杖を持って無闇に振廻しますが、
盲目
(
もうもく
)
でこそあれ真影流の
奥儀
(
おくぎ
)
を
極
(
きわ
)
めた腕前の小三郎、寄り附かんように振廻す。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何しろその頃洛陽といえば、天下に並ぶもののない、
繁昌
(
はんじょう
)
を
極
(
きわ
)
めた都ですから、往来にはまだしっきりなく、人や車が通っていました。
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何故かというに僕の肉体には本能的な生の衝動が
極
(
きわ
)
めて微弱になって
了
(
しま
)
ったからである。永遠に堕ちて行くのは無為の
陥穽
(
かんせい
)
である。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
すれば、五日の夜は
必定
(
ひつじょう
)
上野介在宿に
極
(
きわ
)
まったというので、討入はおおよそその夜のことになるらしい大石殿の口ぶりでもあった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
といって、それからひとしきり、その五年前に、名古屋一等の美人だという
極
(
きわ
)
めのついている銀杏加藤の奥方の身の上話になりました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なぜなら彼は、
極
(
きわ
)
めて詩人的なるロマンチックの情熱家で、生涯を通じて夢を追い、或る異端的なる美のユートピアを求めていたから。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
極
(
きわ
)
めて習慣的な外面的な概念に捕えられて、その真相とは往々にして対角線的にかけへだたった結論に達していることはないだろうか。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
母は心配して、すぐ帰り仕度をして、車を急がせた。帰り著いて見ると、形勢は穏かでない。町筋は人と荷物で混雑を
極
(
きわ
)
めている。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
厳粛なる支那日本の古典よりその意匠を
借来
(
かりきた
)
りてこれを
極
(
きわ
)
めて卑俗なるものに応用する時は
爰
(
ここ
)
に
自
(
おのずか
)
ら
滑稽
(
こっけい
)
機智の妙を感ぜしむべし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しんしんと、肉が
凍
(
こご
)
え、骨が冷え、五体もばらばらになり、その
極
(
きわ
)
みには、かっと熱くなって、血があたまへ逆流するのが分ってくる。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
両方でそう信じているので、そうしてその信じ方に両方とも無理がないのだから、
極
(
きわ
)
めてもっともな衝突と云わなければならない。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
市谷
(
いちがや
)
、
牛込
(
うしごめ
)
、飯田町と早く過ぎた。代々木から乗った娘は二人とも牛込でおりた。電車は新陳代謝して、ますます混雑を
極
(
きわ
)
める。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
どうも
極
(
きわ
)
どい話で恐縮だすが、こんな所まで研究せんならん探偵ちゅう商売の辛い所と、苦心せんならん所を、お認め願いたい思います。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
この一首は亡妻を悲しむ心が
極
(
きわ
)
めて切実で、ただ一気に詠みくだしたように見えて、その実心の渦が中にこもっているのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
彼の出で
来
(
きた
)
る、継嗣論その
楔子
(
せっし
)
たる疑うまでもなし。当時
位
(
くらい
)
を
極
(
きわ
)
め、
驕
(
おご
)
りを極め、徳川の隆運を極めたる
家斉
(
いえなり
)
の孫家定、将軍の位に
在
(
あ
)
り。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
婚姻の原因を娘の行状に
見出
(
みいだ
)
して、これというも平生の心掛がいいからだと、口を
極
(
きわ
)
めて
賞
(
ほ
)
める、
嫁
(
よめい
)
る事が
何故
(
なぜ
)
そんなに
手柄
(
てがら
)
であろうか
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
智恵なきの
極
(
きわ
)
みは恥を知らざるに至り、
己
(
おの
)
が無智をもって貧窮に陥り飢寒に迫るときは、己が身を罪せずしてみだりに
傍
(
かたわら
)
の富める人を怨み
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
熱鬧
(
ねっとう
)
を
極
(
きわ
)
めたりし露店はことごとく形を
斂
(
おさ
)
めて、ただここかしこに見世物小屋の板囲いを
洩
(
も
)
るる
燈火
(
ともしび
)
は、かすかに宵のほどの
名残
(
なごり
)
を
留
(
とど
)
めつ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なに、向うがそう云う意見なら、此方は此方で、足りないところを家庭で補ってやればいいのだと、腹の中でそう
極
(
きわ
)
めながら
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それは
丸太
(
まるた
)
を
切
(
き
)
り
組
(
く
)
んで
出来
(
でき
)
た、やっと
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐだけの、
極
(
きわ
)
めてざっとした
破屋
(
あばらや
)
で、
広
(
ひろ
)
さは
畳
(
たたみ
)
ならば二十
畳
(
じょう
)
は
敷
(
し
)
ける
位
(
くらい
)
でございましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
複雑
極
(
きわ
)
まりなき、一切の物事をば、簡単に、原因と結果という形式だけで、解釈しようとすることは、ずいぶん無理な話ではないでしょうか。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
が、スミスの
真個
(
ほんと
)
の活動は、一九〇三年に開始されて、引き続いて六年間、彼は東奔西走席の暖まる暇もなく女狩りに従事して多忙を
極
(
きわ
)
めた。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
縦縞のうちでは
万筋
(
まんすじ
)
、
千筋
(
せんすじ
)
の如く細密を
極
(
きわ
)
めたものや、
子持縞
(
こもちじま
)
、やたら縞のごとく筋の大小広狭にあまり変化の多いものは
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
此
(
この
)
深山
(
しんざん
)
を
少
(
すこ
)
しばかり
迂回
(
うくわい
)
して
皈
(
かへ
)
つたとて、
左程
(
さほど
)
遲
(
おそ
)
くもなるまい、また
極
(
きわ
)
めて
趣味
(
しゆみ
)
ある
事
(
こと
)
だらうと
考
(
かんが
)
へたので、
私
(
わたくし
)
は
發議
(
はつぎ
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
微
(
び
)
に
入
(
い
)
り
細
(
さい
)
を
穿
(
うが
)
ち描写するに過ぎない、謂わば一人よがりの退屈
極
(
きわ
)
まる代物だったものですから、それは無理もないことと云わねばなりません。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
主題の提出を
乞
(
こ
)
い受けて、即座に豪壮
絢爛
(
けんらん
)
極
(
きわ
)
まる変奏曲をつけ、弾き終ると、驚き呆れるモーツァルトを
尻目
(
しりめ
)
に、
闥
(
たつ
)
を
鎖
(
とざ
)
して外へ出てしまった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
私は考え出すとほとんど手も足も出ないほど不自由を
極
(
きわ
)
めてくるのを感じた。そのとき私は親鸞聖人の心持ちがしみじみと仰がれる心地がした。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
マットン博士はしずかにフラスコから水を
呑
(
の
)
み
肩
(
かた
)
をぶるぶるっとゆすり腹を
抱
(
かか
)
えそれから
極
(
きわ
)
めて
徐
(
おもむ
)
ろに述べ始めました。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一歩々々臭気が
甚
(
はなはだ
)
しく鼻を打った。矢っ張りそれは死体だった。そして
極
(
きわ
)
めて
微
(
かす
)
かに吐息が聞えるように思われた。だが、そんな馬鹿なこたあない。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
このような
喧騒
(
けんそう
)
を
極
(
きわ
)
めた中でも、彼の箱の一隅で、喇叭はイレーネの肩に手をかけ、何事か一心不乱のさまで彼女の耳にかき
口説
(
くど
)
いてやまなかった。
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
極
(
きわ
)
めて無気味な恰好に拡がって、もうずっと遠くになった硝子工場の真上に
覆
(
おお
)
いかぶさろうとしているところだった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「泣いたり、怒鳴ったりするのは、まだ悲しみや怒りの
極
(
きわ
)
みじゃない。悲痛の
極
(
きょく
)
は沈黙だ。沈黙が最も深い悲痛だ。」
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
貧の原因は複雑を
極
(
きわ
)
めていて、その根本の法則というものを、突詰めたところに持って行こうとする人もすでに多い。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
前にも述べましたようにチベット政府は
腐敗
(
ふはい
)
極
(
きわ
)
まって、
賄賂
(
わいろ
)
次第でどちらへでも向くのですから、こんな政府を相手にすることは出来ないけれども
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
嗚呼
(
ああ
)
、先生は我国の
聖人
(
せいじん
)
なり。その
碩徳
(
せきとく
)
偉業
(
いぎょう
)
、宇宙に
炳琅
(
へいろう
)
として内外幾多の新聞
皆
(
みな
)
口を
極
(
きわ
)
めて
讃称
(
さんしょう
)
し、天下の人の
熟知
(
じゅくち
)
するところ、予が
喋々
(
ちょうちょう
)
を要せず。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
それで苦しい
極
(
きわ
)
み、貧しい極み、生活を否定しようとするような場合、世の中に絶望したような場合、深刻な悲痛な情緒を
愬
(
うった
)
えようとする場合にでも
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
彼にとっては
極
(
きわ
)
めて幸いであり、七日めに木戸へ戻るまでには、その部落に伝わっている故事のかずかずを聞き、住民たちにもかなり会うことができた。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
勿論
(
もちろん
)
私
(
わたし
)
などはどこへ
行
(
い
)
つても
唖
(
おし
)
の
方
(
ほう
)
であつた。
日本人
(
にほんじん
)
の
会合
(
かいごう
)
でも
話題
(
わだい
)
の
極
(
きわ
)
めて
貧弱
(
ひんじやく
)
な
方
(
ほう
)
といはなければならなかつた。しかし
照
(
て
)
れるやうなこともなかつた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
無論これは、父のような思想の持ち主にとっては、
極
(
きわ
)
めて
妥当
(
だとう
)
な、また真面目なことであったのには相違ない。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「
耐
(
たま
)
らんな、
此
(
か
)
う取付けられちや!」と周三は、
其
(
その
)
貧弱
(
ひんじやく
)
極
(
きわ
)
まる
經濟
(
けいざい
)
の
前途
(
ぜんと
)
に
向
(
むか
)
ツて、少からぬ
杞憂
(
きいう
)
を
抱
(
いだ
)
いた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
世
(
よ
)
の
建築家
(
けんちくか
)
は
勿論
(
もちろん
)
、一
般
(
ぱん
)
人士
(
じんし
)
が
絶
(
た
)
へず
建築界
(
けんちくかい
)
に
問題
(
もんだい
)
を
提出
(
ていしゆつ
)
して
論議
(
ろんぎ
)
を
鬪
(
たゝか
)
はすことは
極
(
きわ
)
めて
必要
(
ひつえう
)
なことである。
假令
(
たとひ
)
その
論議
(
ろんぎ
)
が
多少
(
たせう
)
常軌
(
じやうき
)
を
逸
(
いつ
)
しても
夫
(
それ
)
は
問題
(
もんだい
)
でない。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
性が主なのか、愛が主なのか、卵が親か、鶏が親か、いつまでも循環するあいまい
極
(
きわ
)
まる概念である。性的愛、なんて言葉はこれは日本語ではないのではなかろうか。
チャンス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
大宮から登り五十二丁と云うのだから、今からでも大丈夫頂上を
極
(
きわ
)
めて明るい間に下山することが出来ると断定して
了
(
しま
)
ったのが、
抑
(
そもそ
)
も
後
(
あと
)
に冒険のおこる発端であった。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
彼
(
かれ
)
は
極
(
きわ
)
めて
頑
(
かたくな
)
で、
何
(
なに
)
よりも
秩序
(
ちつじょ
)
と
云
(
い
)
うことを
大切
(
たいせつ
)
に
思
(
おも
)
っていて、
自分
(
じぶん
)
の
職務
(
しょくむ
)
を
遣
(
や
)
り
終
(
おお
)
せるには、
何
(
なん
)
でもその
鉄拳
(
てっけん
)
を
以
(
もっ
)
て、
相手
(
あいて
)
の
顔
(
かお
)
だろうが、
頭
(
あたま
)
だろうが、
胸
(
むね
)
だろうが
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
湯の微熱なるものと水の微冷なるものとはほとんど相近し、しかれども水はすなわち水たり、湯はすなわち湯たり、これを混同するはそのはじめを
極
(
きわ
)
めざるがゆえのみ。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
何
(
ど
)
のくらい歩いただろう、もう日は大和路の
黄
(
き
)
な菜の花のなかに、
極
(
きわ
)
めて派手な
光琳式
(
こうりんしき
)
の真赤な色に
沈落
(
しずみお
)
ちてしまってから、急いで私は淋しい古い街にある宿へ着いた。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
それらの事は
委
(
くわ
)
しく申し上げません。原文には「甚だ歓愛を
極
(
きわ
)
む」と書いてございます。夜のあける頃、女はいったん別れて去りましたが、日が暮れるとまた来ました。
中国怪奇小説集:14 剪灯新話(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
途々
(
みちみち
)
母は口を
極
(
きわ
)
めて洋行夫婦を
褒
(
ほ
)
め
頻
(
しきり
)
と
羨
(
うらや
)
ましそうなことを言っていましたが、その言葉の中には自分の娘の余り
出世間
(
しゅっせけん
)
的傾向を有しているのを残念がる意味があって
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
“極”の意味
《名詞》
(きょく)2端のうちの一方。
(ごく)1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000 = 1048を表す。載の次で恒河沙の前の位。
《形容動詞》
(ごく)程度の大きい様。
(出典:Wiktionary)
極
常用漢字
小4
部首:⽊
12画
“極”を含む語句
京極
極刑
見極
極端
極光
北極
極微
至極
極々
極彩色
取極
極月
極熱
極楽寺
感極
北極星
終極
結極
極限
極付
...