“出世間”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しゅっせけん60.0%
しゅつせけん40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
途々みちみち母は口をきわめて洋行夫婦をしきりうらやましそうなことを言っていましたが、その言葉の中には自分の娘の余り出世間しゅっせけん的傾向を有しているのを残念がる意味があって
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
出世間しゅっせけんの欲もださず、いつかまた葛木や光麻呂に逢える日のあることを信じ、泰文の遠縁にあたる白女しらめという側女にょうぼうを相手に一日中、しとみもあげずに写経ばかりして暮していた。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
これは出世間しゅつせけんの宗旨から立てた見解だが、世間法に言い替えても余りに平等ばかりの社会には、奮発とか、立志とか、同情とか、高行とかいう事がなくなり
平安期以来の皇族公卿くげたちは多く仏門に帰依きえせられ、出世間しゅつせけんの道を願われ、ただただこの世を悲しまれるばかりであったから、救いのない人の心は次第に皇室を離れて
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)