出世間しゅっせけん)” の例文
途々みちみち母は口をきわめて洋行夫婦をしきりうらやましそうなことを言っていましたが、その言葉の中には自分の娘の余り出世間しゅっせけん的傾向を有しているのを残念がる意味があって
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
出世間しゅっせけんの欲もださず、いつかまた葛木や光麻呂に逢える日のあることを信じ、泰文の遠縁にあたる白女しらめという側女にょうぼうを相手に一日中、しとみもあげずに写経ばかりして暮していた。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
出世間しゅっせけんの欲もださず、いつかまた葛木や光麻呂に逢える日のあることを信じて、花世と泰文の遠縁にあたる白女しらめという側女にょうぼうを相手に、しとみもあげずに、一日中、写経ばかりしていた。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)