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揚句
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あげく
ふりがな文庫
“
揚句
(
あげく
)” の例文
伝通院
(
でんずういん
)
の境内を逃げ廻った
揚句
(
あげく
)
、真夜中過ぎまで追いつ追われつ、とうとう、金杉水道町の袋路地へ追い込められてしまったのです。
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして随分、異人からお金を取ったんだそうです。その
揚句
(
あげく
)
、下駄でもはき捨てるように、切るの、出て行けのといったからでしょう
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
元来欧洲航路のカーゴボートの
一等運転手
(
チーフメート
)
であったのが
肺尖
(
はいせん
)
を
患
(
わずら
)
った
揚句
(
あげく
)
、この病院の新聞広告を見て静養しに来たものだそうである。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お
定
(
さだま
)
りの
女買
(
おんながい
)
に
費込
(
つかいこ
)
んだ
揚句
(
あげく
)
の
果
(
はて
)
に、ここに進退きわまって
夜更
(
よふ
)
けて劇薬自殺を
遂
(
と
)
げた……と
薄気味悪
(
わ
)
るく
血嘔
(
ちへど
)
を吐く手真似で話した。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
そこで探偵はその夜一夜まんじりともしないで脳細胞を
酷使
(
こくし
)
した
揚句
(
あげく
)
、夜の明けるのを待って、稀代の怪賊烏啼天駆の
隠家
(
かくれが
)
へ乗込んだ。
心臓盗難:烏啼天駆シリーズ・2
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
子供は、たまたま、こんなに泣いて泣いて泣き疲れた
揚句
(
あげく
)
に、棚の上に乗っている白い土器を見た。そして、微かな笑いを立てた。
森の暗き夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼らはえいえいと鉄条網を切り開いた
急坂
(
きゅうはん
)
を登りつめた
揚句
(
あげく
)
、この
壕
(
ほり
)
の
端
(
はた
)
まで来て一も二もなくこの深い
溝
(
みぞ
)
の中に飛び込んだのである。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
砂糖屋を出てから、いわゆる「主義者」の間を一、二ヶ所
居候
(
いそうろう
)
して歩いた
揚句
(
あげく
)
、とうとうまた
三
(
み
)
の
輪
(
わ
)
の大叔父の家へ転がり込んだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
その日は
伊皿子坂
(
いさらござか
)
の下で乗合馬車を待つ積りで、昼飯を済ますと直ぐ寄宿舎を出掛けた。夕立
揚句
(
あげく
)
の道は午後の日に乾いて一層熱かった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
例の諸天童子の
剣
(
つるぎ
)
にでも打たれたのか、急に目がつぶれた
揚句
(
あげく
)
、しまいには摩利の教の信者になってしまったとか申す事でございました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
揚句
(
あげく
)
にはまた、私は複雑した関係から市役所を
馘首
(
くび
)
になり、妻と二人で浮草のように漂泊しなければならない身となった。
骨を削りつつ歩む:――文壇苦行記――
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
思案、才覚、勘考、ありたけの知恵を絞った
揚句
(
あげく
)
、最後に三百円の資本をもって、めし屋を開業することに方針を決定した。
烏恵寿毛
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
人の智慧は切通しとなり
隧道
(
すいどう
)
となり、散々山の容を庭木扱いにした
揚句
(
あげく
)
、汽車の如きに至っては山道を平地にしてしまった。
峠に関する二、三の考察
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
明治二十九年の夏に子規居士が従軍中
咯血
(
かっけつ
)
をして神戸、須磨と転々療養をした
揚句
(
あげく
)
松山に帰省したのはその年の秋であった。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
実家
(
さと
)
の方は其頃
両親
(
ふたおや
)
は亡くなり、番頭を妹に
娶
(
めあ
)
はせた養子が、浄瑠璃に
凝
(
こ
)
つた
揚句
(
あげく
)
店
(
みせ
)
を売払つて大坂へ遂転したので、
断絶同様
(
だんぜつどうやう
)
に成つて居る。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
そして
鋭
(
するど
)
い
歯
(
は
)
をむき
出
(
だ
)
しながら
子家鴨
(
こあひる
)
のそばに
鼻
(
はな
)
を
突
(
つ
)
っ
込
(
こ
)
んでみた
揚句
(
あげく
)
、それでも
彼
(
かれ
)
には
触
(
さわ
)
らずにどぶんと
水
(
みず
)
の
中
(
なか
)
に
跳
(
と
)
び
込
(
こ
)
んでしまいました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そして考へる事も考へる事も、
直
(
すぐ
)
に傍へ
外
(
そ
)
れて了ツて、
斷々
(
きれぎれ
)
になり、
紛糾
(
こぐら
)
かり、
揚句
(
あげく
)
に何を考へる
筈
(
はず
)
だツたのか其すらも解らなくなツて了ふ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
島田で写真とるときはいつも何かで、お母さんのお気が揉まれ切った
揚句
(
あげく
)
ですから、いつもかたくなっていらっしゃいます。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そして真赤な熔岩の流れが、山を埋め、野を埋めて、
万物
(
ばんぶつ
)
を焼きつくした
揚句
(
あげく
)
、海に達するまでは、その怒りが解けない。
黒い月の世界
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
知れた暁には
撲
(
なぐ
)
られた
揚句
(
あげく
)
、別ればなしになるかも知れない。しかしそうなった所で、お千代の身にはさして利害はない。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
追々に飲むに従って熱くなって
吼
(
ほ
)
ゆる事獅子に同じ。飲んで飲みまくった
揚句
(
あげく
)
は、ついに泥中に
転
(
ころ
)
げ廻ってその穢を知らず、
宛然
(
さながら
)
猪の所作をする。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
お引受け申して、こりや思懸けない、と相応に苦労をしました
揚句
(
あげく
)
、まず……昔の
懺悔
(
ざんげ
)
をしますような取詰め方で、ここを頼んだのでございます。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一旦、
宿並
(
しゅくなら
)
びの店という店を、いちいち探し廻った
揚句
(
あげく
)
、また再び宮の前へ戻って、坂本方面を見通してみたが、そこにも先生の気配がありません。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だから俺は初めっからちゃんとした
仲人
(
なこうど
)
を立ててというのに年をとっているからとか、何度もやった
揚句
(
あげく
)
だから今度は決ってからにしようとか……。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
はじめから、そのつもりで両方が
虎視眈々
(
こしたんたん
)
、何か「きっかけ」を作ろうとしてあがきもがいた
揚句
(
あげく
)
の果の、ぎごちないぶざまな
小細工
(
こざいく
)
に違いないのだ。
チャンス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
痩
(
やせ
)
たりや/\、病気
揚句
(
あげく
)
を恋に
責
(
せめ
)
られ、
悲
(
かなしみ
)
に絞られて、此身細々と心
引立
(
ひきたた
)
ず、
浮藻
(
うきも
)
足をからむ
泥沼
(
どろぬま
)
の
深水
(
ふかみ
)
にはまり
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ソクラテスの女房は、
何
(
ど
)
うかして機嫌の悪い時には、一
頻
(
しきり
)
我鳴りたてた
揚句
(
あげく
)
の
果
(
はて
)
が、いきなり
水甕
(
みづかめ
)
の水を哲学者の頭に、滝のやうに
打
(
ぶ
)
ち
撒
(
ま
)
けたものだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そうして、その
揚句
(
あげく
)
、彼の父親が承知したら、——というよりも、是非頼むから、無理にも連れて行って貰いたいと、私が言出したのは言うまでもない。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
思いがけない
剛敵
(
ごうてき
)
に
出会
(
でっくわ
)
して、東京者も弱った。与右衛門さんは散々並べて
先方
(
せんぽう
)
を
困
(
こま
)
らせぬいた
揚句
(
あげく
)
、多分の
賠償金
(
ばいしょうきん
)
と
詫言
(
わびごと
)
をせしめて、やっと
不承
(
ふしょう
)
した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「ほんたうに學校へ行きたいんです。」と私は、私の瞑想した
揚句
(
あげく
)
、聽き取れるように云つた結論であつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
大勢
(
おほぜい
)
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて
己
(
おれ
)
を三つも四つも
打
(
ぶ
)
ち
倒
(
のめ
)
しアがつて、
揚句
(
あげく
)
のはてに
突飛
(
つきと
)
ばされたが、悪いところに石があつたので、
膝
(
ひざ
)
を
摺剥
(
すりむ
)
いて血が
大層
(
たいそう
)
出るからのう……。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
千々
(
ちゞ
)
に
心
(
こゝろ
)
を
碎
(
くだ
)
いた
揚句
(
あげく
)
、
遂
(
つひ
)
にあんな
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
に
托
(
たく
)
して、
私共
(
わたくしども
)
の
弦月丸
(
げんげつまる
)
に
乘組
(
のりく
)
む
事
(
こと
)
を
留
(
と
)
めやうと
企
(
くわだ
)
てたのです。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
義理と法に板挟みの
揚句
(
あげく
)
が、御念仏を唱えとうてなりませぬ時には「忘れまいぞやあのことを」「忘れまいぞやあのことを」かように申して阿弥陀さまへの申訳
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
散々
(
さん/″\
)
のお
民
(
たみ
)
が
異見
(
いけん
)
に
少
(
すこ
)
し
我
(
わ
)
が
非
(
ひ
)
を
知
(
し
)
り
初
(
そめ
)
し
揚句
(
あげく
)
、その
人
(
ひと
)
は
俄
(
にわ
)
かに
別
(
わか
)
れといふ、
幼
(
おさ
)
なき
心
(
こヽろ
)
には
我
(
わ
)
が
失禮
(
ひつれい
)
の
我
(
わが
)
まヽを
憎
(
に
)
くみて
夫故
(
それゆゑ
)
に
遠國
(
ゑんごく
)
へでも
行
(
ゆ
)
かれるやうに
悲
(
かな
)
しく
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼
(
か
)
のお葉という女は、どんな素性来歴の者か知らぬが、
豪家
(
ごうか
)
の息子を丸め込んで、
揚句
(
あげく
)
の
果
(
はて
)
に手切れとか足切れとか居直るのは、彼等社会に珍しからぬ
例
(
ためし
)
である。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その時の話でございましたが一昨年も北原からしてある部落の者が攻めて来て大合戦の
揚句
(
あげく
)
人死
(
ひとしに
)
が二、三十名もありヤクを二千疋ばかり取られてしまったそうで
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
おやぢにしたゝか打ちのめされた
揚句
(
あげく
)
、みぞれの降りしきる往来に塵のやうに掃き出されてしまつた。
骨
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
『そんな
大
(
おほ
)
きな
體
(
なり
)
をしてさ!』(
愛
(
あい
)
ちやんはよく
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ひます)『
泣
(
な
)
くなんテ!お
默
(
だま
)
んなさい、よ!』
云
(
い
)
つても
矢張
(
やつぱり
)
同
(
おな
)
じやうに
泣
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
て!
涙
(
なみだ
)
の一
斗
(
と
)
も
流
(
なが
)
した
揚句
(
あげく
)
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
それから
猶
(
なお
)
いろいろの訊問があったり、警察医の検死があったり、部屋の内と外の現場調べがあったりしたが、その
揚句
(
あげく
)
、二郎は遂に
其場
(
そのば
)
から
拘引
(
こういん
)
される事になった。
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
まだ露の乾かない公園のなかを歩きまわった
揚句
(
あげく
)
、戸が開くと同時に博物館のなかへはいって、少し汗ばんだ体にあの天井の高い室の冷やりとした空気を感じながら
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
木の葉を座敷に
撒
(
ま
)
いたり、
揚句
(
あげく
)
の果には、誰かが木の葉がお金であったらいいといったのを聞いたとかで、観音様の
御賽銭
(
おさいせん
)
をつかみ出して、それを降らせたりしたので
寺内の奇人団
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
一八九六年三月まで、オート・ロアルやコート・ドールなどを浮浪した
揚句
(
あげく
)
、ついにショーモンまで来たがそこで或る男を殴って捕まり、ボーヂェの刑務所に入れられた。
殺人狂の話:(欧米犯罪実話)
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
その父親の死後、莫大な借財に苦しめられて、学校も中途でよさなければならなかつた彼は、すつかり
荒
(
すさ
)
んで、不良少年になつたりした
揚句
(
あげく
)
、ここまで落ちて来たと云ふ。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
どうかして宴会や友達との会合などが引続いて毎日御馳走を喰っていると、その
揚句
(
あげく
)
にふいと風邪を引くというような経験がどうも実際に多いような気がして来たのである。
変った話
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ただ綿貫の迫害免れるような法律的の手段ないもんか知らん、話しように
依
(
よ
)
ったら夫かて光子さんに同情寄せんこともないやろと、困った
揚句
(
あげく
)
そんなことまで考えましてん。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
箱根から
伊豆
(
いず
)
半島の温泉へ、志ざす人々で、一杯になっている
筈
(
はず
)
の二等室も、春と夏との間の、湯治には
半端
(
はんぱ
)
な時節であるのと、一週間ばかり雨が、降り続いた
揚句
(
あげく
)
である
為
(
ため
)
とで
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
安達君は可もなく不可もない成績で卒業したけれど、就職の考査に再三失敗した
揚句
(
あげく
)
、大谷さんが○○銀行に勤めている関係から、その
肝煎
(
きもい
)
りで○○信託へ入れて貰ったのである。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
何時
(
いつ
)
の頃であったか、多分その翌年頃の夏であったろう、その年
重
(
おも
)
にお島の手に
委
(
まか
)
されてあった、
僅
(
わずか
)
二枚ばかりの蚕が、
上蔟
(
じょうぞく
)
するに
間
(
ま
)
のない或日、養父とごたごたした
物言
(
ものいい
)
の
揚句
(
あげく
)
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
このポンコツというのは我々鉄道屋仲間の言葉で
轢死
(
れきし
)
のことをいうのですが、私も昨年学校を
卒
(
で
)
てすぐ鉄道の試験を受け、幸い合格はしたもののどういう関係かさんざ
焦
(
じら
)
された
揚句
(
あげく
)
穴
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
鷲尾が知ってるだけの材料で話し終る間若者は熱心に破けたズボンの穴を
弄
(
いじ
)
くりまわしながら、
鳩
(
はと
)
のように丸い眼をクルクルさして聴いていたが、
執拗
(
しつこ
)
い程質問を繰りかえした
揚句
(
あげく
)
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
揚
常用漢字
中学
部首:⼿
12画
句
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
“揚”で始まる語句
揚
揚屋
揚子江
揚足
揚羽
揚々
揚幕
揚物
揚場
揚代