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拳
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こぶし
ふりがな文庫
“
拳
(
こぶし
)” の例文
見
(
み
)
よ、
愚劣
(
ぐれつ
)
な×
(2)
旗
(
き
)
に対して
拳
(
こぶし
)
を
振
(
ふ
)
る
子供
(
こども
)
らを、
顔
(
かほ
)
をそむけて
罵
(
のゝし
)
る
女
(
をんな
)
たちを、
無言
(
むごん
)
のまゝ
反抗
(
はんこう
)
の
視線
(
しせん
)
を
列
(
れつ
)
に
灼
(
や
)
きつける
男
(
をとこ
)
たちを!
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
何んでも手に一つの定職を習い覚え、握りッ
拳
(
こぶし
)
で毎日
幾金
(
いくら
)
かを取って来れば、それで人間一人前の能事として充分と心得たものです。
幕末維新懐古談:02 私の子供の時のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
と、その言葉が終るか終らぬうちに、鬼頭の
拳
(
こぶし
)
が斜に飛んで、神谷の頭はぐらぐらつと揺れ、そのはずみに眼鏡の一方の蔓が外れた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
和尚の
拳
(
こぶし
)
は小さい方ではないけれど、その小さい方でない拳を固めて、それを包容し得るほどに、和尚の口は大きいのでありました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その信仰や極めて
確乎
(
かっこ
)
たるものにてありしなり。海野は熱し詰めて
拳
(
こぶし
)
を握りつ。
容易
(
たやす
)
くはものも得いはで唯、唯、
渠
(
かれ
)
を
睨
(
にら
)
まへ詰めぬ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
うつくしき
顏
(
かほ
)
に
似合
(
にあは
)
ぬは
心
(
こゝろ
)
小學校通
(
せうがくかうがよ
)
ひに
紫袱紗
(
むらさきふくさ
)
對
(
つゐ
)
にせし
頃
(
ころ
)
年上
(
としうへ
)
の
生徒
(
せいと
)
に
喧嘩
(
いさかひ
)
まけて
無念
(
むねん
)
の
拳
(
こぶし
)
を
我
(
わ
)
れ
握
(
にぎ
)
る
時
(
とき
)
同
(
おな
)
じやうに
涙
(
なみだ
)
を
目
(
め
)
に
持
(
も
)
ちて
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「何をなさっていられますの?」と歩を止めて、妻は振り挙げた私の
拳
(
こぶし
)
を見下した。まるで学校の教師と生徒のような恰好であった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「みていたまえばんくん、こんどはぼくも当ててみせるよ」春彦は
拳
(
こぶし
)
で胸を叩こうとして、思い返したようにそれを中止して云った
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
こんどは交わし損ねて、その
拳
(
こぶし
)
が城太郎の耳の辺をごつんと打った。城太郎の片手がそこを抑え、
河
(
か
)
ッ
童
(
ぱ
)
あたまの毛がみな逆立ッた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく左の
拳
(
こぶし
)
を
膝
(
ひざ
)
につき、腕を直角にまげ、首飾りを解き、腰掛けにどっかとまたがり、なみなみとついだ杯を右手に持ち
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
床
(
ゆか
)
より引下し
拳
(
こぶし
)
を上て
既
(
すで
)
に
打
(
うた
)
んとなす此時
近邊
(
きんぺん
)
の者先刻よりの
聲高
(
こゑだか
)
を聞付何ことやらんと來りしが
此體
(
このてい
)
を見て
周章
(
あわて
)
て
捕押
(
とりおさ
)
へ種々靱負を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
今度は糊のごわ/\したる
白胸
(
しろむね
)
シヤツを頭からすつぽりかぶされて、ぐわさぐわさと袖を通せば是はしたり
袖
(
そで
)
、
拳
(
こぶし
)
を没すること三四寸。
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
またその骨や、その関節は、僕自身の
拳
(
こぶし
)
のように生けるがごとくに見える。……さらにまた、鏡のうちにうつる戦闘用の
斧
(
おの
)
を見ろ。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
「だから、いわない
事
(
こ
)
ッちゃない。」と蘿月は軽く握り
拳
(
こぶし
)
で
膝頭
(
ひざがしら
)
をたたいた。お豊は長吉とお糸のことが
唯
(
ただ
)
何
(
なん
)
となしに心配でならない。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ぼくは涙を浮べて君の花にくちづけする。花はここに、ぼくの心臓の上にある。ぼくはそれを、
拳
(
こぶし
)
を固めて
肌
(
はだ
)
の中に押しこむのだ。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そう云っている板倉の鼻先を、五人が一とかたまりになって駈け足の練習でもしているように握り
拳
(
こぶし
)
を両
腋
(
わき
)
に附けながら走って通った。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
とちょっと考えたもんだから、涎も拭かずに沈んでいると、長蔵さんが、ううんと
伸
(
のび
)
をして、寝たまま
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
を耳の上まで持ち上げた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
父は、又杉野子爵の態度か言葉かを思い出したのだろう、その人が、前にでもいるように、
拳
(
こぶし
)
を握りしめながら、激しい口調で云った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
やがて、彼は、
拳
(
こぶし
)
を握り固め、闇の
彼方
(
かなた
)
に、うとうとと眠りかけた村のほうへ、それを振ってみせる。そして、
大袈裟
(
おおげさ
)
な調子で叫ぶ——
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
直ちに肉体に交渉して来る池上のその
拳
(
こぶし
)
は、以前の離れて優しく使われたときよりおきみにとっては満足されるものかも知れない。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
友木の眼には涙がにじみ出た。彼はそれを払い
退
(
の
)
けるように、眼を
瞑
(
つむ
)
って頭を振ったが、彼の握りしめた
拳
(
こぶし
)
は興奮の為にブルブル顫えた。
罠に掛った人
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「なんだ、宮内その
拳
(
こぶし
)
は何処へやる気だ、刀へかけるのなら、
潔
(
いさぎよ
)
くかけろ、慎九郎は非力者が相手じゃとて、遠慮はせぬ男じゃ」
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
こうして、鷹はおとなしく老人の
拳
(
こぶし
)
に戻った。鷹は一面に
白斑
(
しらふ
)
のある鳥で、雪の山と名づけられた名鳥であると老人は説明した。
半七捕物帳:15 鷹のゆくえ
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いきなり、
拳
(
こぶし
)
を振り上げて、若松屋惣七の横面を打った。あっと叫んで、狂気のようになったお高が、ふたりのあいだにころがりこんだ。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼等は
咄嗟
(
とっさ
)
に二組に分れて、一方はこの男を囲むが早いか、一方は不慮の出来事に
度
(
ど
)
を失った素戔嗚へ、紛々と
拳
(
こぶし
)
を加えに来た。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が、帆村は「待て、しずかに……」と、目で知らせているので、中尉は
拳
(
こぶし
)
をぶるぶるふるわせながら、かろうじてその位置に立っていた。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
兄の子供は物を言おうとしても言えないという風で、口惜しそうに
口唇
(
くちびる
)
を
噛
(
か
)
んで、もう一度弟をめがけて
拳
(
こぶし
)
を振上げようとした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
今しも三人の若者が眼を
瞋
(
いか
)
らし、
拳
(
こぶし
)
を固めて、
勢
(
いきほひ
)
猛
(
まう
)
に打つて
蒐
(
かゝ
)
らうとして居るのを、傍の老人が
頻
(
しき
)
りにこれを
遮
(
さへぎ
)
つて居るところであつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
後
(
あと
)
で源助は奥の騒ぎを聞きつけて、いきなり自分の部屋を飛びだし、
拳
(
こぶし
)
を
振
(
ふる
)
って
隣家
(
となり
)
の
塀
(
へい
)
を打ち叩き、破れるような声を出して
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「叔母さんが早く氣に入つた女房を持て/\と、うるさく言ひますが、握りつ
拳
(
こぶし
)
ぢや男つ振りがどうあらうと、來てくれ手がありませんよ」
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
太き
拳
(
こぶし
)
を腰にあてて、花売りの子を暫し
睨
(
にら
)
み、『わが店にては、
暖簾師
(
のれんし
)
めいたるあきなひ、せさせぬが
定
(
さだめ
)
なり。
疾
(
と
)
くゆきね。』
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
いきなりその男の
胸倉
(
むなぐら
)
を
掴
(
つか
)
み、右手の
拳
(
こぶし
)
をしたたか
横面
(
よこつら
)
に飛ばした。二つ三つ続け様に
喰
(
くら
)
わしてから手を離すと、相手は意気地なく
倒
(
たお
)
れた。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
松次郎が胸に
閊
(
つか
)
えたので
拳
(
こぶし
)
でたたいていると、おやあいつ、お茶を持って来なかったんだな、いいつけといたのに、と
呟
(
つぶや
)
いた。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
「もうじき終ります」と、Kは言い、
打鈴
(
だれい
)
がなかったので、
拳
(
こぶし
)
で机をたたいた。それに驚いて、予審判事とその黒幕との頭が左右に分れた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「これでまいる! 素手は素手ながら三河ながらの直参旗本、早乙女主水之介が両の
拳
(
こぶし
)
、
真槍
(
しんそう
)
白刄
(
しらは
)
よりちと
手強
(
てごわ
)
いぞ。心してまいられい…」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その前日あたりから、この辺の大きな店で、道端に
大釜
(
おおがま
)
を据えて、握り
拳
(
こぶし
)
くらいある唐の芋ですが、それを
丸茹
(
まるゆで
)
にするのです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
過
(
すぎ
)
し
年
(
とし
)
北国より人ありて
拳
(
こぶし
)
の大さの
夜光
(
やくわう
)
の玉あり、よく一
室
(
しつ
)
を
照
(
てら
)
す、よき
価
(
あたひ
)
あらば
売
(
うら
)
んといひしかば、
即座
(
そくざ
)
に其人に
托
(
たく
)
して
曰
(
いはく
)
、其玉
求
(
もとめ
)
たし
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
反絵の顔は
勃然
(
ぼつぜん
)
として
朱
(
しゅ
)
を浮べると、彼の
拳
(
こぶし
)
は反耶の
角髪
(
みずら
)
を打って鳴っていた。反耶は頭をかかえて倒れながら宿禰を呼んだ。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
その
拳
(
こぶし
)
を両耳の根につけて、それを左右に揺ぶりながら、
喜悦
(
よろこばしさ
)
に
恍惚
(
うっとり
)
となった瞳で、彼女は宙になんという文字を書いていたことであろう。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
私はじっと下腹に力を入れそして
拳
(
こぶし
)
を握った。それから右手の指に強く揷んだ葉巻をすーっと吸った。その煙を吹きつけ乍ら私は扉を押した。
蠱惑
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
Bは
拳
(
こぶし
)
を固めて突っ立った。体がわなわなと顫えている。しかし恐怖の影は
面
(
おもて
)
に漂っていた。彼は、Kを押し
除
(
の
)
けて出口の方に行こうとした。
扉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と
怒鳴
(
どな
)
って、外へ飛び出そうと立直った時、彼を押込んだ運転手の右手が、鉄の様な握り
拳
(
こぶし
)
になって、パッと胸を打った。柔道の
当身
(
あてみ
)
である。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は、自分が立派な軍人になって、母や弟や、隣の
小孩
(
シャオハイ
)
や、誰や、かやに
取
(
とり
)
まかれている所を想像しながら、汗ばむほど
拳
(
こぶし
)
を握りしめていた。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
これは
柄
(
つか
)
の
頭
(
あたま
)
が
槌
(
つち
)
の
頭
(
あたま
)
、あるひは
拳
(
こぶし
)
を
曲
(
ま
)
げたような
形
(
かたち
)
をしてゐるもので、
多
(
おほ
)
くは
金
(
きん
)
めっきをした
銅
(
どう
)
で
出來
(
でき
)
て、
非常
(
ひじよう
)
にきれいなものであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
柄の頭を握っている兵馬の
拳
(
こぶし
)
が、月光の加減か、尋常ならず大きく見えたが、同じくジリリ、ジリリ、ジリリと、小次郎のほうへ寄って来る。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
分隊長のモローゾフ教授が、顎の下から左の
拳
(
こぶし
)
を抜き出して、テーブルの上に投げ出す。どすん、という激しい音がした。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
と云えども丹下は
鎮
(
しず
)
まらばこそ、今は眼を
剥
(
む
)
いて左京を一
ト
睨
(
にら
)
みし、右膝に置ける大の
拳
(
こぶし
)
に自然と入りたる力さえ見せて
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
言はれた通りに四疊へ行くと、お定は先づ兩脚を延ばして、膝頭を輕く
拳
(
こぶし
)
で叩いて見た。一方に障子二枚の明りとり、晝はさぞ暗い事であらう。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
拳
(
こぶし
)
で
荒々
(
あら/\
)
しく
戸
(
と
)
を
敲
(
たゝ
)
くと、
戸
(
と
)
は
中
(
なか
)
から
制服
(
せいふく
)
を
着
(
つ
)
けた、
圓顏
(
まるがほ
)
で
蛙
(
かはづ
)
のやうに
大
(
おほ
)
きい
眼
(
め
)
をしたモ
一人
(
ひとり
)
の
歩兵
(
ほへい
)
の
手
(
て
)
で
開
(
ひら
)
かれました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
外部では
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
で続けさまに戸をたたいている。葉子はそわそわと
裾前
(
すそまえ
)
をかき合わせて、肩越しに鏡を見やりながら涙をふいて
眉
(
まゆ
)
をなでつけた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
“拳”の解説
拳(こぶし)とは、5本の指を折り曲げ、握った状態の手のことである。握り拳(にぎりこぶし)、拳骨(げんこつ)も同義。
拳は最も原始的な闘争手段、武器の一つであり、多くの武術、格闘技に拳をつかった技法が存在する。
また、固く握られた拳は抵抗の意志を示し、突き上げた拳は主として革命主義者によって抵抗の象徴として用いられる。
(出典:Wikipedia)
拳
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“拳”を含む語句
拳銃
拳骨
拳固
握拳
鉄拳
空拳
藤八拳
徒手空拳
拳大
鐵拳
拳闘家
拳石
自動拳銃
一拳
八拳
拳闘
狐拳
拳法
拳下
赤手空拳
...