“こぶし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コブシ
語句割合
89.5%
辛夷3.8%
甲武信3.0%
1.1%
拳骨0.9%
拳固0.7%
0.5%
古武士0.2%
小節0.2%
空拳0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
何んでも手に一つの定職を習い覚え、握りッこぶしで毎日幾金いくらかを取って来れば、それで人間一人前の能事として充分と心得たものです。
村落むら處々ところ/″\にはまだすこしたけたやうなしろ辛夷こぶしが、にはかにぽつとひらいてあをそらにほか/\とうかんでたけこずゑしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
田舎の家からは、朝な夕なに甲武信こぶし三山を始め、破風はふ雁坂かりさかから雲取に至る長大なる連嶺を眺めて、絶えず心を惹かれていたのに。
思い出す儘に (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
けものがほえるような声をたて、両のこぶしを握りしめ、ぶるぶる震えて、今にもとびかかりそうです。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
醜怪な百松の眼からは、ポロポロと涙が、拳骨こぶしを傳はつて舞臺の板を濡らします。お村は默つて眼ばかり光らせました。
庄次郎は、石みたいな拳固こぶしに襟を噛まれながら、首をすくめて、お喜代の後ろ姿を見ていた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丸官はこぶしを握った。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とも二人三人召連めしつ春風はるかぜとほがけのうまり、たふのあたりにいたり、岩窟堂がんくつだう虚空蔵こくうざうにてさけをのむ——とある。古武士こぶしがけの風情ふぜいきようあり。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なぐるぞ」、哄笑、激語、悪罵、歓呼、叱咤、つやある小節こぶしの歌の文句の腸を断つばかりなる、三絃の調子の嗚咽むせぶが如き忽ちにして暴風、忽ちにして春雨しゆんう、見来れば、歓楽の中に殺気をこめ
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
彼は両手をひろげて空拳こぶしを振り上げ、さながら無形の蛇矛を握っているような体裁で、八一ねえさんに向って幾歩か突進した。「お前は彼に抵抗することが出来るか」
風波 (新字新仮名) / 魯迅(著)