その寺に近いところに、小さい二階家があって、重兵衛はその入口の木戸をあけてはいった。庭には白い辛夷の花が咲いていた。
二本の燭はこれも一隅が映っている白い包みを左右から護って、枯れた辛夷の梢越しに、晴れやかに碧い大空でゆらめいているように見えた。
同じく北國で田打櫻と呼ばれてゐる辛夷の花も氣持のいゝ花である。木蓮に似てゐるがそれよりずつと小さく、木蓮の佛臭なく、色は白である。
“辛夷(コブシ)”の解説
コブシ(辛夷、学名: Magnolia kobus)は、モクレン科モクレン属に属する落葉高木の1種である。早春に、葉が展開する前に他の木々に先駆けて白い大きな花をつける。花は3枚の萼片、6枚の花弁、らせん状についた多数の雄しべ・雌しべをもつ。多数の果実が癒合してごつごつとした集合果を形成する。北海道、本州、九州、済州島に分布するが、観賞用として広く植栽されている。ヤマアララギ、コブシハジカミ、タウチザクラなどの別名がある。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)
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