拳骨こぶし)” の例文
その頭を拳骨こぶしで、ぽかぽかなぐりつけながら、男泣きに泣いているのは、藩邸の近習番頭取——庄次郎の父、土肥半蔵だった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
醜怪な百松の眼からは、ポロポロと涙が、拳骨こぶしを傳はつて舞臺の板を濡らします。お村は默つて眼ばかり光らせました。
醜怪な百松の眼からは、ポロポロと涙が、拳骨こぶしを伝わって舞台の板を濡らします。お村は黙って眼ばかり光らせました。
毛の生えている魯達の拳骨こぶしを見ては、もうおしまいだ。銭などはビタ一文も降らず、見物の男女は、クモの子みたいに一ぺんに逃げ散ってしまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると、沢庵は拳骨こぶしをかためて、不意に武蔵の顔を横から力まかせになぐ
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)