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憂
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うれい
ふりがな文庫
“
憂
(
うれい
)” の例文
一歩は高く一歩は低くと来らア。何でも家がぐらぐらして地面が波打って居やがらア。ゲー酒は百薬の長、
憂
(
うれい
)
の
玉箒
(
たまぼうき
)
、ナンテ来らア。
煩悶
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
オレたちがお前たちの仲間に入っておれば、お前らも
後顧
(
こうこ
)
の
憂
(
うれい
)
なしというわけだ。八十吉君も竹造君も彼らと一しょに飲もうじゃないか。
明治開化 安吾捕物:07 その六 血を見る真珠
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
今消極の
憂
(
うれい
)
を
憂
(
うれえ
)
てこれを防ぐにもせよ、積極の利を
謀
(
はかっ
)
てこれを
求
(
もとむ
)
るにもせよ、旧藩地にて有力なる人物は必ずこれを心配することならん
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
余り道が遠くあるいは事の間に合わぬ
憂
(
うれい
)
もあり、かたがた貴国はチベット政府とは
甚
(
はなは
)
だ親密なる関係を持って居られる事でありますから
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
瓦斯なるために
薪炭
(
まきすみ
)
の置場を要せず、
烟突
(
えんとつ
)
を要せず、鍋釜の底の
煤
(
すす
)
に汚れる
憂
(
うれい
)
もなく、急を要する時もマッチ一本にて自在の火力を
得
(
う
)
べし。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
この書
一度
(
ひとた
)
び世に
出
(
い
)
でてより、
天下
(
てんか
)
後世
(
こうせい
)
の
史家
(
しか
)
をしてその
拠
(
よ
)
るところを
確実
(
かくじつ
)
にし、
自
(
みず
)
から
誤
(
あやま
)
りまた人を誤るの
憂
(
うれい
)
を
免
(
まぬ
)
かれしむるに
足
(
た
)
るべし。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
災害を予報し、作法方式を示し、時あって
憂
(
うれい
)
や
迷
(
まよい
)
を抱く者が、この主人を介して神教を求めんとしたことも、想像にかたくないのであった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あえて人の
憂
(
うれい
)
を見て喜ぶような男ではないが、さりとて差当りああした中の礼之進のために、その憂を憂として
悲
(
かなし
)
むほどの君子でもなかろう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
必要な場合には、いくらでも父から補助を仰ぐ事ができた。たとい仰がないでも、月々の支出に困る
憂
(
うれい
)
はけっしてなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今
憂
(
うれい
)
の
重荷
(
おもに
)
を
負
(
お
)
うて
直下
(
すぐした
)
に働いて居る彼爺さん達、
彼処
(
あち
)
此処
(
こち
)
に鳶色に
焦
(
こが
)
れた
欅
(
けやき
)
の下
樫
(
かし
)
の木蔭に平和を夢みて居る
幾個
(
いくつ
)
の
茅舎
(
ぼうしゃ
)
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
少女の
挽物細工
(
ひきものさいく
)
など
籠
(
かご
)
に入れて
売
(
う
)
りに来るあり。このお辰まだ十二三なれば、われに百円づつみ
抛出
(
なげだ
)
さする
憂
(
うれい
)
もなからん。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それじゃ
基督
(
ハリストス
)
でも
例
(
れい
)
に
引
(
ひ
)
きましょう、
基督
(
ハリストス
)
は
泣
(
な
)
いたり、
微笑
(
びしょう
)
したり、
悲
(
かなし
)
んだり、
怒
(
おこ
)
ったり、
憂
(
うれい
)
に
沈
(
しず
)
んだりして、
現実
(
げんじつ
)
に
対
(
たい
)
して
反応
(
はんのう
)
していたのです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
殊更
憂
(
うれい
)
を含む
工合
(
ぐあい
)
凄味
(
すごみ
)
あるに
総毛立
(
そうけだち
)
ながら
尚
(
なお
)
能
(
よ
)
くそこら
見廻
(
みまわ
)
せば、床に
掛
(
かけ
)
られたる一軸
誰
(
たれ
)
あろうおまえの姿絵
故
(
ゆえ
)
少し
妬
(
ねた
)
くなって一念の
無明
(
むみょう
)
萌
(
きざ
)
す途端
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
賑
(
にぎ
)
やかな拍手をもって花の慰問隊を送る工場の人々に交って、道子夫人の顔だけが、ひとり
憂
(
うれい
)
にとざされていた。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今
仮
(
か
)
りに一歩を
譲
(
ゆず
)
り、幕末に
際
(
さい
)
して
外国
(
がいこく
)
干渉
(
かんしょう
)
の
憂
(
うれい
)
ありしとせんか、その
機会
(
きかい
)
は
官軍
(
かんぐん
)
東下
(
とうか
)
、徳川
顛覆
(
てんぷく
)
の場合にあらずして、むしろ
長州征伐
(
ちょうしゅうせいばつ
)
の時にありしならん。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
余は
鰥寡孤独
(
かんかこどく
)
憂
(
うれい
)
に沈むもの、或は貧困
縷衣
(
るい
)
にして
人目
(
ひとめ
)
を
憚
(
はばか
)
るもの、或は罪に
恥
(
はじ
)
て
暗処
(
あんしょ
)
に神の
免
(
ゆるし
)
を求むるものの
許
(
もと
)
を問い、ナザレの
耶蘇
(
いえす
)
の貧と孤独と
恵
(
めぐみ
)
とを語らん
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
ところが、今遠藤の場合は、全然
疑
(
うたがい
)
を受けないで、発覚の
憂
(
うれい
)
なしに、殺人が行われ
相
(
そう
)
に思われます。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「兄さん、お願いだから、もう一度お目にかからせてね。」と×××に
憂
(
うれい
)
のきく淋しい眼元。
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
年頃
数多
(
あまた
)
の
獣類
(
けもの
)
を
虐
(
しいた
)
げ、あまつさへ人間を
傷
(
きずつ
)
け、猛威日々に
逞
(
たくま
)
しかりし、彼の金眸を討ち取りて、
獣類
(
けもの
)
のために害を除き、人間のために
憂
(
うれい
)
を払ひしは、その功けだし
莫大
(
ばくだい
)
なり
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
速かに寛永
打払
(
うちはらい
)
令の旧に復せば、また何ぞ黒船の
憂
(
うれい
)
あらんやと。外事に
聵々
(
かいかい
)
として、一日の
苟安
(
こうあん
)
を
偸取
(
とうしゅ
)
せんとする幕府は、ここにおいて異国船を二念なく打払うの令を布けり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
小諸は東西の風をうけるから、南北に向って「ウネ」を造ると、日あたりも好し、又風の為に穂の
擦
(
す
)
れ落ちる
憂
(
うれい
)
が無い、自分等は絶えずそんなことを工夫しているとも話した。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
バアナアド・ショウのような哲人でさえ、余りに多く加工的警句を、その作の中へ盛るために、
鳥渡
(
ちょっと
)
肩を聳やかしたくなる。自然に流露する警句には、そうした
憂
(
うれい
)
は少しも無い。
小酒井不木氏スケッチ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
余勢をかって
毬杖
(
ぎっちょう
)
の玉の大きなものを作り、目鼻をつけるとこれを入道清盛の首と称して、踏め、打てなどはやし立てる中を、玉を蹴り、棒で叩くなど大いに
憂
(
うれい
)
を晴らしていた。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
憂
(
うれい
)
を抱いている自分を淋しがらせてくれ、憂に
堪
(
た
)
えぬ自分ではあるが、お前の声によって一層淋しさを覚ゆるところに、かえって慰むところがあるぞよ閑古鳥、というのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
斯
(
かゝ
)
る次第ゆえ、此の始末を娘が
聞知
(
きゝし
)
る時は、
憂
(
うれい
)
に
迫
(
せま
)
り
病
(
やまい
)
重
(
おも
)
って
相果
(
あいは
)
てるか、
願
(
ねがい
)
の成らぬに力を落し、自害をいたすも知れざるゆえ、
何卒
(
どうぞ
)
此の事ばかりは娘へ
内聞
(
ないぶん
)
にして下さらば
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
天下既に乱れ身辺に内戚の
憂
(
うれい
)
多い彼が、
纔
(
わずか
)
に逃避した境地がその風流である。特に晩年の放縦と驕奢には、政治家として落第であった彼の、ニヒリズムが
暗澹
(
あんたん
)
たる影を投げて居る。
応仁の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
さすがの美人が
憂
(
うれい
)
に
沈
(
しずん
)
でる有様、白そうびが露に悩むとでもいいそうな
風情
(
ふぜい
)
を殿がフト御覧になってからは、
優
(
ゆう
)
に
妙
(
たえ
)
なお
容姿
(
ようす
)
に深く思いを
寄
(
よせ
)
られて、子爵の
御名望
(
ごめいぼう
)
にも
代
(
かえ
)
られぬ御執心と見えて
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
三年一回の
凶歳
(
きょうさい
)
ありても
飢餓
(
きが
)
の
憂
(
うれい
)
を
免
(
まぬか
)
るべき割合ではありませぬか。
禾花媒助法之説
(新字新仮名)
/
津田仙
(著)
然るに片山初め一同は、予と同情を以て大奮励するとして、
何
(
いず
)
れも予が説に伏して、初めて復常するに至れり。ああ此時に於て予も共に
憂
(
うれい
)
に沈みて活気を失う事あらば、或は瓦解に至る事あらん乎。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
同氏のように、いわば精巧極まる作品を生産する人が、そのような
憂
(
うれい
)
をいだくのは当然のことであり、私のような、無頓着な、荒削りの作品を生産するものが楽観的態度をとるのは当然のことである。
江戸川氏と私
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「
杞人
(
きじん
)
の
憂
(
うれい
)
ですか?」
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
喜びの深きとき
憂
(
うれい
)
いよいよ深く、
楽
(
たのし
)
みの大いなるほど苦しみも大きい。これを切り放そうとすると身が持てぬ。
片
(
かた
)
づけようとすれば世が立たぬ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
戯
(
たわむれ
)
にともづなの
舫
(
もやい
)
を解いて、木馬のかわりにぐらぐらと動かしても、縦横に揺れこそすれ、
洲走
(
すばし
)
りに砂を
辷
(
すべ
)
って、水に
攫
(
さら
)
われるような
憂
(
うれい
)
はない。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
他の小鳥が寝処を捜す時刻になってから、この二色の鳥ばかりが際限もなく鳴いて来る故に、
憂
(
うれい
)
ある者は
殊
(
こと
)
に耳を
欹
(
そばだ
)
てざるを得なかったのである。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それは鳥に
与
(
や
)
れば鳥に伝染の
憂
(
うれい
)
があり、また川に流せば他に伝染の憂があるというところから許されないのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
と自然に
分明
(
ぶんみょう
)
したから、細君は
憂
(
うれい
)
を
転
(
てん
)
じて喜と
為
(
な
)
し得た訳だったが、それも中村さんが、チョクに遊びに来られたお
蔭
(
かげ
)
で分ったと、上機嫌になったのであった。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
久しく民に
面
(
おもて
)
を見せたまはざりし国王なれど、さすがにいたましがりて、
憂
(
うれい
)
を含みたる顔も街に見ゆ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
牛乳屋では余り物が出来るために高く売らなければならんので、毎日余ったものが残らず売れさえすれば背負い込む
憂
(
うれい
)
がありません。その代り一升余れば一升持って来る。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
余輩
(
よはい
)
常に思うに、今の諸華族が様々の仕組を
設
(
もう
)
けて様々のことに財を費し、様々の
憂
(
うれい
)
を
憂
(
うれえ
)
て様々の
奇策
(
きさく
)
妙計
(
みょうけい
)
を
運
(
めぐ
)
らさんよりも、むしろその財の
未
(
いま
)
だ
空
(
むな
)
しく
消散
(
しょうさん
)
せざるに
当
(
あたり
)
て
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
◯ヨブはまず「わが心
生命
(
いのち
)
を
厭
(
いと
)
う、されば我れわが
憂
(
うれい
)
を包まず言い表わし、わが魂の
苦
(
くるし
)
きによりて
語
(
ものい
)
わん」との発語を述べて
後
(
の
)
ち、痛刻なる語を
以
(
もっ
)
て神と争わんとするのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
また
更
(
さ
)
らに一歩を
進
(
すす
)
めて
考
(
かんが
)
うれば、日本の内乱に際し外国
干渉
(
かんしょう
)
の
憂
(
うれい
)
ありとせんには、
王政維新
(
おうせいいしん
)
の後に至りてもまた
機会
(
きかい
)
なきにあらず。その機会はすなわち明治十年の
西南戦争
(
せいなんせんそう
)
なり。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
「だから昔から酒は
憂
(
うれい
)
の
玉箒
(
たまぼうき
)
というじゃないか。酒なくて何のおのれが桜かなだろう。お酒さえ飲んでいれァお父さんはもう何もいらない。お金もいらない。おかみさんもいらない。」
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一度その中に
這入
(
はい
)
つて善くその内部を研究し而して後に
娑婆
(
しゃば
)
に出でなば
再
(
ふたたび
)
陥る
憂
(
うれい
)
なかるべし、月並調を知らずして
徒
(
いたずら
)
に月並調を恐るるものはいつの間にか月並調に陥り居る者少からず
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
大王これを
聞
(
きこ
)
し召して、
聊
(
いささ
)
か心に恐れ給へば、
佻々
(
かるがる
)
しくは
他出
(
そとで
)
もしたまはず。さるを
今
(
いま
)
和主が、一
箭
(
ぜん
)
の
下
(
もと
)
に
射殺
(
いころ
)
したれば、わがために
憂
(
うれい
)
を去りしのみか、
取不直
(
とりもなおさず
)
大王が、
眼上
(
めのうえ
)
の
瘤
(
こぶ
)
を払ひしに等し。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
風雲をまき起す
憂
(
うれい
)
があって、企劃をヒミツにしてあるそうだ。
集団見合
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ダン艇長の顔には、深い
憂
(
うれい
)
の
皺
(
しわ
)
がうかんだ。その時
太平洋魔城
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そういう将卒の顔には、何等の
憂
(
うれい
)
の影もなかった。
赤坂城の謀略
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
喜雨到る
後顧
(
こうこ
)
の
憂
(
うれい
)
更に無し
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
国が強く戦争の
憂
(
うれい
)
が少なく、そうして他から犯される憂がなければないほど、国家的観念は少なくなってしかるべき訳で
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と繰返してまた言った。かく可哀相だと思ってやれと、色に
憂
(
うれい
)
を帯びて同情を求めること三たびであるから、判事は思わず胸が騒いで
幽
(
かすか
)
に
肉
(
ししむら
)
の動くのを覚えた。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
憂
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“憂”を含む語句
憂慮
憂鬱
憂愁
憂鬱症
鬱憂
杞憂
憂欝
憂悶
憂鬱病
憂患
物憂
憂苦
無憂樹
憂思
憂晴
憂世
憂惧
憂事
欝憂
憂欝症
...