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床屋
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とこや
ふりがな文庫
“
床屋
(
とこや
)” の例文
毎夕私は、父の
肩車
(
かたぐるま
)
に乗せられて父の頭に抱きついて銭湯の
暖簾
(
のれん
)
をくぐった。
床屋
(
とこや
)
に行くときも父が必ず、私をつれて行ってくれた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
わたしは
床屋
(
とこや
)
さんの前でかれが「なに、友だちを
捨
(
す
)
てる」とさけんだとき、どんな感じがしたか、ことばで語ることはできなかった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
床屋
(
とこや
)
の
伝吉
(
でんきち
)
が、
笠森
(
かさもり
)
の
境内
(
けいだい
)
へ
着
(
つ
)
いたその
時分
(
じぶん
)
、
春信
(
はるのぶ
)
の
住居
(
すまい
)
で、
菊之丞
(
きくのじょう
)
の
急病
(
きゅうびょう
)
を
聞
(
き
)
いたおせんは
無我夢中
(
むがむちゅう
)
でおのが
家
(
いえ
)
の
敷居
(
しきい
)
を
跨
(
また
)
いでいた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
自分はその容子が可笑しいのでくす/\笑ひながら、買つて來た机を
床屋
(
とこや
)
の硝子戸の下に据ゑて、風呂敷から硯と原稿紙を出して並べた。
胡瓜の種
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
煙草屋
(
たばこや
)
へ二町、湯屋へ三町、行きつけの
床屋
(
とこや
)
へも五六町はあって、どこへ
用達
(
ようたし
)
に出かけるにも坂を
上
(
のぼ
)
ったり
下
(
くだ
)
ったりしなければならない。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
その
後
(
ご
)
、
用事
(
ようじ
)
があって
床屋
(
とこや
)
のおじいさんがつえをついてそこを
通
(
とお
)
りかかりましたときに、
真
(
ま
)
っ
黒
(
くろ
)
な
石
(
いし
)
を
見
(
み
)
つけて
拾
(
ひろ
)
い
上
(
あ
)
げました。
てかてか頭の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この二人は浅草公園を
徘徊
(
はいかい
)
する不良の
徒
(
と
)
で、岩本は千束町に住んで活動写真の広告のビラを
貼
(
は
)
るのが商売、山西は
馬道
(
うまみち
)
の
床屋
(
とこや
)
の
伜
(
せがれ
)
であった。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
餘事
(
よじ
)
だけれど、
其
(
そ
)
の
大火
(
たいくわ
)
に——
茅場町
(
かやばちやう
)
の
髮結床
(
かみゆひどこ
)
に
平五郎
(
へいごらう
)
と
言
(
い
)
ふ
床屋
(
とこや
)
があつて、
人
(
ひと
)
は
皆
(
みな
)
彼
(
かれ
)
を(
床平
(
とこへい
)
)と
呼
(
よ
)
んだ。——
此
(
これ
)
が
燒
(
や
)
けた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ある日の事、
一緒
(
いっしょ
)
に近所の
床屋
(
とこや
)
まできた柴山と
肩
(
かた
)
をくんで、その店に入って行くと、上原がもう来ていて、娘さんとなにか笑い話をしています。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
安井
(
やすゐ
)
は
黒
(
くろ
)
い
髮
(
かみ
)
に
油
(
あぶら
)
を
塗
(
ぬ
)
つて、
目立
(
めだ
)
つ
程
(
ほど
)
奇麗
(
きれい
)
に
頭
(
あたま
)
を
分
(
わ
)
けてゐた。さうして
今
(
いま
)
床屋
(
とこや
)
へ
行
(
い
)
つて
來
(
き
)
た
所
(
ところ
)
だと
言譯
(
いひわけ
)
らしい
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「やあ、どうしたい、
床屋
(
とこや
)
の親方、どうやらおひげの手入どころではないという顔つきだが。」と、ろばはいいました。
ブレーメンの町楽隊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
あの病気の
黴菌
(
ばいきん
)
は、伝染力は極めて弱いものだけれども、鼻汁から感染しやすいものであるから、長江の行く
床屋
(
とこや
)
へ行かないようにする方がいい
文壇昔ばなし
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
頭も
床屋
(
とこや
)
にきたからでしょうが、四角なかっこうに、きれいにかりこんでいます。もとから、あまり口をきかないで、目を細くして、にこにこしていました。
いぼ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
薬罐
(
やかん
)
をさげてよろよろと歩いてくると、
床屋
(
とこや
)
の角の電信柱の前でもう歩けなくなったんでしょう、電信柱に寄り掛かってしばらく休んでいたかと思ううちに
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
床屋
(
とこや
)
のリチキは、商売がはやらないで、ひまなもんですから、あとでこの話をきいて、すぐ
勘定
(
かんじょう
)
しました。
毒もみのすきな署長さん
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
僕は
早速
(
さっそく
)
彼と一しょに
亀井戸
(
かめいど
)
に近い
場末
(
ばすえ
)
の町へ行った。彼の妹の縁づいた先は
存外
(
ぞんがい
)
見つけるのに
暇
(
ひま
)
どらなかった。それは
床屋
(
とこや
)
の裏になった
棟割
(
むねわ
)
り
長屋
(
ながや
)
の一軒だった。
彼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
役者か芸人になりたいと
思定
(
おもいさだ
)
めたが、その望みも
遂
(
つい
)
に
遂
(
と
)
げられず、空しく
床屋
(
とこや
)
の
吉
(
きち
)
さんの幸福を
羨
(
うらや
)
みながら、毎日ぼんやりと目的のない時間を送っているつまらなさ
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あの
戯作者的
(
げさくしゃてき
)
、
床屋
(
とこや
)
俳句的卑俗趣味の流行した江戸末期に、蕪村が時潮の外に孤立させられ、
殆
(
ほと
)
んど理解者を持ち得なかったことは、むしろ当然すぎるほど当然だった。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
これは
坊
(
ぼつ
)
ちやん やあ、いらつしやい いま
貴方
(
あなた
)
のお父さんと
床屋
(
とこや
)
ごつこをやつてゐましたわい
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
この村を通り過ぎると、次の村まではまた暫くの間
人家
(
じんか
)
が無かつた。次の村の入口には、
壞
(
こは
)
れた
硝子戸
(
がらすど
)
を白紙で
繕
(
つくろ
)
つた
床屋
(
とこや
)
があつた。其の村は前の村よりも貧しさうであつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
摘
(
つ
)
み
綿
(
わた
)
の師匠などが、
碁
(
ご
)
會所や
床屋
(
とこや
)
の男達のクラブに相對して、
蓮葉
(
はすつぱ
)
娘達の寄合ひ場所になつてゐた頃、縁結びから
嵩
(
かう
)
じて、附け文ごつこにまで發展し、町内から隣町へかけての
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
雄二は誕生日の前の日に、
床屋
(
とこや
)
に行きました。鏡の前には、
鉢植
(
はちうえ
)
の白菊の花が置いてありました。それを見ると、雄二はハッとしました。何か遠い澄みわたったものが見えてくるようでした。
誕生日
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
「
床屋
(
とこや
)
へいってらっしゃい。帰りにおふろへよってくるんですよ。」
美しき元旦
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
床屋
(
とこや
)
のない村では学校のバリカンがひどく役に立ち、それは男先生のうけもちだった。髪の毛をだんごにしている女の子のほうは、女先生が気をくばって、
水銀軟膏
(
すいぎんなんこう
)
をぬりこんでやらねばならない。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「巌か、
何遍
(
なんべん
)
床屋
(
とこや
)
へゆくんだ、いくら頭をかっても利口にならんぞ」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
蟹
(
かに
)
が
店
(
みせ
)
出
(
だ
)
し、
床屋
(
とこや
)
でござる。
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
角
(
かど
)
の
床屋
(
とこや
)
のガラス
戸
(
ど
)
に
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
函館
(
はこだて
)
の
床屋
(
とこや
)
の
弟子
(
でし
)
を
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
だがつまり先生が
床屋
(
とこや
)
と
同居
(
どうきょ
)
していないはずもなかった。わたしたちは中へはいった。店ははっきり二つに仕切られていた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
吉原
(
よしわら
)
だといやァ、
豪勢
(
ごうせい
)
飛
(
と
)
びゃァがるくせに、
谷中
(
やなか
)
の
病人
(
びょうにん
)
の
知
(
し
)
らせだと
聞
(
き
)
いて、
馬鹿
(
ばか
)
にしてやがるんだろう。
伝吉
(
でんきち
)
ァただの
床屋
(
とこや
)
じゃねえんだぜ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
代助は
床屋
(
とこや
)
の
鏡
(
かゞみ
)
で、わが
姿
(
すがた
)
を
映
(
うつ
)
しながら、例の如くふつくらした
頬
(
ほゝ
)
を
撫
(
な
)
でゝ、
今日
(
けふ
)
から愈積極的生活に入るのだと思つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
汚
(
きたな
)
い
床屋
(
とこや
)
へいって、
病気
(
びょうき
)
でもうつるといけないから、いつもの
床屋
(
とこや
)
へいったほうがいいでしょう。」といわれました。
すいれんは咲いたが
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そこで
友伯父
(
ともをぢ
)
さんだけは
頭
(
あたま
)
を五
分刈
(
ぶがり
)
にして
行
(
ゆ
)
くことに
成
(
な
)
りました。ところが、
村
(
むら
)
には
床屋
(
とこや
)
といふものが
有
(
あ
)
りません。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そういえばいつか小平さんが町の
床屋
(
とこや
)
さんへ、
小僧
(
こぞう
)
にいったということを、聞いたような気もします。
いぼ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
昼の日中、村に帰るのは恥かしいというのである。そこで叔父だけが先に帰って、私達は久し振りに
床屋
(
とこや
)
に行って顔を
剃
(
そ
)
ったり、祖母への
手土産
(
てみやげ
)
を買ったりなどした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
役者か芸人になりたいと
思定
(
おもひさだ
)
めたが、その望みも
遂
(
つひ
)
に
遂
(
と
)
げられず、
空
(
むな
)
しく
床屋
(
とこや
)
の
吉
(
きち
)
さんの幸福を
羨
(
うらや
)
みながら、毎日ぼんやりと目的のない時間を送つてゐるつまらなさ
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
内
(
うち
)
から
棹
(
さを
)
なんぞ……
鈎
(
はり
)
も
絲
(
いと
)
も
忍
(
しの
)
ばしては
出
(
で
)
なかつたが——それは
女房
(
にようばう
)
が
頻
(
しきり
)
に
殺生
(
せつしやう
)
を
留
(
と
)
める
處
(
ところ
)
から、つい
面倒
(
めんだう
)
さに、
近所
(
きんじよ
)
の
車屋
(
くるまや
)
、
床屋
(
とこや
)
などに
預
(
あづ
)
けて
置
(
お
)
いて、そこから
内證
(
ないしよう
)
で
支度
(
したく
)
して
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれども
大人
(
おとな
)
や
賢
(
かしこ
)
い子供らは、みんな本当にしないで、笑っていました。第一それを
云
(
い
)
いだしたのは、
剃刀
(
かみそり
)
を二
梃
(
ちょう
)
しかもっていない、
下手
(
へた
)
な
床屋
(
とこや
)
のリチキで、すこしもあてにならないのでした。
毒もみのすきな署長さん
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
概
(
おほむ
)
ね
床屋
(
とこや
)
の親方の人生観を講釈すると五十歩百歩の
間
(
かん
)
にあるが如し。
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「あわて
床屋
(
とこや
)
」である。みんながとりまいて、ついて歌う。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「
床屋
(
とこや
)
なんか——。」
美しき元旦
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
「
床屋
(
とこや
)
へゆきました」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
あわて
床屋
(
とこや
)
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ある
田舎
(
いなか
)
に、
同
(
おな
)
じような
床屋
(
とこや
)
が二
軒
(
けん
)
ありました。たがいに、お
客
(
きゃく
)
を
自分
(
じぶん
)
のほうへたくさん
取
(
と
)
ろうと
思
(
おも
)
っていました。
五銭のあたま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
仕方
(
しかた
)
なしに、
伯父
(
をぢ
)
さんが
裏
(
うら
)
の
桐
(
きり
)
の
木
(
き
)
の
下
(
した
)
へ
友伯父
(
ともをぢ
)
さんを
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
きまして、
伯父
(
をぢ
)
さんが
自分
(
じぶん
)
で
床屋
(
とこや
)
をつとめました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「いやあ、それでもきみは、音楽の調子がわからないと言うのかい」と
床屋
(
とこや
)
さんは手をたたきながら言った。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
三四郎は其日から
四日
(
よつか
)
程
床
(
とこ
)
を離れなかつた。
五日
(
いつか
)
目に
怖々
(
こわ/″\
)
ながら湯に
入
(
はい
)
つて、鏡を見た。亡者の相がある。思ひ切つて
床屋
(
とこや
)
へ
行
(
い
)
つた。
其
(
その
)
明
(
あく
)
る
日
(
ひ
)
は日曜である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
下巻には楽屋
総浚
(
そうざら
)
ひのさま面白く尾上
雷助
(
らいすけ
)
の腰掛けて髪を
結
(
ゆ
)
はする
床屋
(
とこや
)
の
店先
(
みせさき
)
、
大谷徳治
(
おおたにとくじ
)
が湯帰りの
浴衣
(
ゆかた
)
に
手拭
(
てぬぐい
)
を
額
(
ひたい
)
にのせ着物を
小脇
(
こわき
)
に
抱
(
かか
)
へて来かかるさまも一興なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と、落とした
財布
(
さいふ
)
でも見つけたように、さけびました。なるほど、その
小路
(
こうじ
)
のなかほどに、
紅
(
あか
)
と白のねじ
飴
(
あめ
)
の形をした、
床屋
(
とこや
)
の
看板
(
かんばん
)
が見えました。——克巳の家は床屋さんでした。
いぼ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
まだ四十を
越
(
こ
)
していくつにもならないというのが、一
見
(
けん
)
五十四五に
見
(
み
)
える。
髷
(
まげ
)
も
白髪
(
しらが
)
もおかまいなし、
床屋
(
とこや
)
の
鴨居
(
かもい
)
は、もう二
月
(
つき
)
も
潜
(
くぐ
)
ったことがない
程
(
ほど
)
の、
垢
(
あか
)
にまみれたうす
汚
(
ぎた
)
なさ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
床
常用漢字
中学
部首:⼴
7画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“床屋”で始まる語句
床屋子