“とこや”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
床屋55.3%
理髪店17.1%
理髪師7.9%
理髮師3.9%
理髪屋3.9%
理髮店2.6%
理髪所2.6%
剃手1.3%
理髪舗1.3%
理髪床1.3%
理髪肆1.3%
髪床1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わたしは床屋とこやさんの前でかれが「なに、友だちをてる」とさけんだとき、どんな感じがしたか、ことばで語ることはできなかった。
そこで早速さつそく理髪店とこやつてそのみゝ根元ねもとからぷつりとつてもらひました。おもてへるとゆびさして、ふものごとわらふのです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
吉さんというのは地方町じかたまちの小学校時代の友達で、理髪師とこやをしている山谷通さんやどおりの親爺おやじの店で、これまで長吉の髪をかってくれた若衆わかいしゅである。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
患者等くわんじやら理髮師とこやほかには、たゞニキタ一人ひとりれよりほかにはたれふことも、たれることもかなはぬ運命うんめいさだめられてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その左隣は近ごろ開店したらしい青ペンキのにおいのプンプンする理髪屋とこやで、右隣は貧弱な荒物屋兼駄菓子屋だ。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
『ナーニ、恰度アノ隣の理髮店とこやの嚊が、小宮の嚊と仲が惡いので、其麽そんな事を云ひ觸したに過ぎなかつたですよ。』と云つて、輕く「ハッハハハ。」と笑つたが、其實渠は其噂を材料に
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
理髪所とこやの裏が百姓で、牛のうなる声が往来まで聞こえる、酒屋の隣家となり納豆売なっとううりの老爺の住家で、毎朝早く納豆なっとう納豆と嗄声しわがれごえで呼んで都のほうへ向かって出かける。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
次の日曜日はわが「サン、カルロ」の大劇場に出づべきなり。其日の興行はセヰルラの剃手とこやにて、その末折まつせつの終りてより、我即興詩は始まるべしとぞおきてられし。
會話は甚だ輕く、交ふるに笑謔せうぎやくを以てす。セヰルラの剃手とこやの曲の爲めに登場する俳優は、たちまちち去り乍ち來り、演戲のその心をみださゞること尋常よのつねの社交舞に異ならず。
戦争の始まってから、互いにかわった新聞を一つずつ取って交換して見ようという約束ができた。国民に万朝報に東京日日に時事、それに前の理髪舗とこやから報知を持って来た。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
湯屋でも、理髪舗とこやでも、戦争の話の出ぬところはなかった。憎いロシアだ、こらしてやれというじじいもあれば、そうした大国を敵としてはたして勝利を得らるるかどうかと心配する老人もあった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
中学の門とはすに向ひ合つて、一軒の理髪床とこやがあつたが、其前で何日いつかしら菊池君を見た……否、アレは市役所の兵事係とか云ふ、同じクラスの友人のお父様とうさんの髭だつたと気がつく。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
理髪肆とこやの男の白いころもは汚れてるし、小間物屋ののきは傾いてるし、二階屋の硝子窓は塵埃ほこりに白くなつてるし、肴屋さかなやの番台は青く汚くなつてるし、古着屋の店には、古着、古足袋、古シヤツ
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
万吉郎はちょっと髪床とこやにゆくのだというのに、このばかばかしい騒ぎであった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)