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契
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ちぎり
ふりがな文庫
“
契
(
ちぎり
)” の例文
私の
徒
(
いたづ
)
らに願ひてえ果さず、その人の幸ありて成し遂げ給ふなる、君が偕老の
契
(
ちぎり
)
の上とに在るのみなることを、御承知下され度存※。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
雫
(
しづく
)
の
餘波
(
あまり
)
、
蔓
(
つる
)
にかゝりて、
玉
(
たま
)
の
簾
(
すだれ
)
の
靡
(
なび
)
くが
如
(
ごと
)
く、
頓
(
やが
)
てぞ
大木
(
たいぼく
)
を
樹上
(
きのぼ
)
つて、
梢
(
こずゑ
)
の
閨
(
ねや
)
を
探
(
さぐ
)
り
得
(
え
)
しが、
鶴
(
つる
)
が
齊眉
(
かしづ
)
く
美女
(
たをやめ
)
と
雲
(
くも
)
の
中
(
なか
)
なる
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
びぬ。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
得念は
木挽町
(
こびきちょう
)
に住居致候商家の
後家
(
ごけ
)
と、年来道ならぬ
契
(
ちぎり
)
を結び、人の
噂
(
うわさ
)
にも上り候ため
度々
(
たびたび
)
師匠よりも意見を加へられ候由。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「はい。三とせ前からついした縁が
契
(
ちぎり
)
の初めとなって、かようないとしい子供迄もなした仲でござります。お助け、お助け下さりまするか!」
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
が、この神は父の神が、まだ
聟
(
むこ
)
の神も探されぬ内に、若い都の
商人
(
あきゅうど
)
と
妹背
(
いもせ
)
の
契
(
ちぎり
)
を結んだ上、さっさと奥へ落ちて来られた。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
それはそれでいいとして、私はそのために、香折との此世の
契
(
ちぎり
)
を忘れたわけでは無い。人間には人間の営みがあり、現身には現身の暮し方がある。
奇談クラブ〔戦後版〕:07 観音様の頬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
斯
(
か
)
く君の
悲哀
(
かなしみ
)
を
汲
(
く
)
み、お雪の心情をも察するに、添い遂げらるる
縁
(
えにし
)
とも思われねば、一旦は結びたる夫婦の
契
(
ちぎり
)
を解き、今
迄
(
まで
)
を悲しき夢とあきらめ
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
斉に落着き
大夫
(
たいふ
)
国氏
(
こくし
)
の娘を
娶
(
めと
)
って二児を挙げるに及んで、かつての路傍一夜の
契
(
ちぎり
)
などはすっかり忘れ果ててしまった。
牛人
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
富子は顔をあげて「古き
契
(
ちぎり
)
を忘れ給いて、かくことなる事なき人を時めかし給うこそ、こなたよりまして
悪
(
にく
)
くなれ」
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
私は思いもかけず覚えていてくれたのが嬉しいやら、恥しいやら……到頭その夜かりそめの夢の
契
(
ちぎり
)
を結びました……
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
鉄蔵 おつ
母
(
か
)
さん、
服部
(
はつとり
)
の息子ね、僕と同じ班なんだぜ。昨日、戦友の
契
(
ちぎり
)
を結ぼうなんて、レモン・テイイをおごりやがつた。あいつ、センチだからなあ。
空の悪魔(ラヂオ・ドラマ)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
死ねば陰気盛んにして
邪
(
よこしま
)
に
穢
(
けが
)
れるものだ、それゆえ幽霊と共に
偕老同穴
(
かいろうどうけつ
)
の
契
(
ちぎり
)
を結べば、
仮令
(
たとえ
)
百歳の長寿を保つ命も其のために
精血
(
せいけつ
)
を減らし、必ず死ぬるものだ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
月の上る
頃
(
ころお
)
い、水辺の森に来て、琴を鳴らし、ああ、
頸
(
くび
)
に掛けたる
宝玉
(
たま
)
を解いて、
青年
(
わかもの
)
に
契
(
ちぎり
)
を結ぼう。
森の妖姫
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
不肖、われわれも皇叔と兄弟の義をむすび、君臣の
契
(
ちぎり
)
をかため、すでに二十年、浮沈興亡、極まりのない難路を越えてきましたが、決してまだ大志は挫折しておりません。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眼を赤くした
柊
(
ひひらぎ
)
よ、おまへの爪の
下
(
した
)
に
迸
(
ほとばし
)
る血でもつて兄弟の
契
(
ちぎり
)
を結ばせる藥が出來さうだ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
かくて十一歳の少女と十五歳の少年とは主従の上に今また師弟の
契
(
ちぎり
)
を結びたるぞ
目出度
(
めでた
)
き
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
現在、死人の戸籍に這入っているその少女は、近いうちに自分のシャン振りと負けず劣らずの、ステキ
滅法界
(
めっぽうかい
)
もない玉の如き美少年と、
偕老同穴
(
かいろうどうけつ
)
の
契
(
ちぎり
)
を結ぶ事になっているのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
猟犬は
霎時
(
しばし
)
ありて、「某今御身と
契
(
ちぎり
)
を結びて、彼の金眸を討たんとすれど、飼主ありては心に任せず。今よりわれも
頸輪
(
くびわ
)
を
棄
(
すて
)
て、御身と共に
失主狗
(
はなれいぬ
)
とならん」ト、いふを黄金丸は
押止
(
おしとど
)
め
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
「そして今夜は別れや悲しみの夢は見ないで、幸福な愛と多幸な
契
(
ちぎり
)
の夢をね。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
むしろ「年々に松打つ柱古りにけり 虚子」などという句の方に近いかと思う。尤も年に一度の「もたれ柱」は星の
契
(
ちぎり
)
と同じく、見様によってはかえって情味が深いことになるのかも知れない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
梅岡
(
うめおか
)
何某
(
なにがし
)
と呼ばれし中国浪人のきりゝとして男らしきに
契
(
ちぎり
)
を込め、浅からぬ中となりしより
他
(
よそ
)
の恋をば
贔負
(
ひいき
)
にする客もなく、線香の煙り
絶々
(
たえだえ
)
になるにつけても、よしやわざくれ身は朝顔のと短き命
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
永野の葉書には、『太宰治氏を十年の友と安んじ居ること、真情
吐露
(
とろ
)
してお伝え下され
度
(
た
)
く』とあるから、原因が何であったかは知らぬが、益々交友の
契
(
ちぎり
)
を固くせられるよう、ぼくからも祈ります。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今更にくくこそおぼゆれなど
戯
(
たはむ
)
るるに、富子
三一二
即
(
やが
)
て
面
(
おもて
)
をあげて、
三一三
古き
契
(
ちぎり
)
を忘れ給ひて、かく
三一四
ことなる事なき人を
三一五
時めかし給ふこそ、
三一六
こなたよりまして
悪
(
にく
)
くあれといふは
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
『このねぬる朝妻船のあさからぬ
契
(
ちぎり
)
を誰にまた
交
(
か
)
はすらむ』
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これ
素
(
もと
)
より
仇
(
あだ
)
なる恋にはあらで、
女夫
(
めをと
)
の
契
(
ちぎり
)
を望みしなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ねたましくそのこゑを聞く
旅商人
(
たびあきびと
)
は行く
先々
(
さきざき
)
に
契
(
ちぎり
)
をむすぶ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
契
(
ちぎり
)
を結んだ私の妻は忘れられない。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
短かき
歡樂
(
よろこび
)
あかぬ
契
(
ちぎり
)
のすゑ。
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
なに恥かしき
契
(
ちぎり
)
かは。
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「ああ、
厭
(
いや
)
だっていうんだもの、」と絶入るように
独言
(
ひとりごと
)
をした。あわれこうして、幾久しく
契
(
ちぎり
)
を
籠
(
こ
)
めよと、杉が、こうして幾久しく契を籠めよと!
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
祭礼
(
まつり
)
の
夜
(
よ
)
に
契
(
ちぎり
)
を結んだ女の色香に飽きたならば、直ちに
午過
(
ひるすぎ
)
の
市場
(
フエリヤ
)
に
行
(
ゆ
)
きて
他
(
た
)
の女の手を取り給へ。
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
吾妻屋に
身請
(
みうけ
)
されてからも、顏の一寸似てゐるのを幸ひ、弟といふことにしてつれ込み、不義の
契
(
ちぎり
)
を重ねてゐたが、矢つ張り吾妻屋永左衞門が邪魔になつて殺す氣になつたのだ
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ま、怒らずとお聴きゃれ、思い出ずれば八年前、其方に不忍池畔に出逢い、友の
契
(
ちぎり
)
を結んでより、拙者の
情誼
(
じょうぎ
)
はいつも変らぬ。拙者は絶えずそなたの身状を案じておるのじゃ。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
アヌンチヤタはいづくにか
之
(
ゆ
)
きし。ベルナルドオなかりせば、彼人は不幸に陷らで止みしならん。否、彼人のみかは、我も或は生涯の願を遂げ、即興詩人の名を成して、
偕老
(
かいらう
)
の
契
(
ちぎり
)
を
全
(
まつた
)
うせしならんか。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
契
(
ちぎり
)
もかたきみやづかへ、恋の日なれや。冷かに
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
星達の
契
(
ちぎり
)
のすゑや木々の露 白良
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
深く考うるまでもなく、
庵
(
いおり
)
の客と玉脇の妻との間には、不可思議の感応で、夢の
契
(
ちぎり
)
があったらしい。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何事も
宿世
(
しゅくせ
)
の因縁なりかし。
初手
(
しょて
)
は唯かりそめの
契
(
ちぎり
)
も
年
(
とし
)
経
(
へ
)
ぬれば人にいはれぬ深きわけ重なりてまことの涙さそはるる事も
出
(
い
)
で
来
(
き
)
ぬるなり。これらをや迷の夢と悟りし人はいふなるべし。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「道ならぬ
契
(
ちぎり
)
を重ねた隱し男」
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そゞろ
身
(
み
)
にしみて、
春
(
はる
)
の
夕
(
ゆふべ
)
の
言
(
ことば
)
の
契
(
ちぎり
)
は、
朧月夜
(
おぼろづきよ
)
の
色
(
いろ
)
と
成
(
な
)
つて、
然
(
しか
)
も
桃色
(
もゝいろ
)
の
流
(
ながれ
)
に
銀
(
しろがね
)
の
棹
(
さを
)
さして、お
好
(
かう
)
ちやんが、
自分
(
じぶん
)
で
小船
(
こぶね
)
を
操
(
あやつ
)
つて、
月
(
つき
)
のみどりの
葉
(
は
)
がくれに、
若旦那
(
わかだんな
)
の
別業
(
べつげふ
)
へ
通
(
かよ
)
つて
來
(
く
)
る
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
尤
(
もっと
)
もこの変りやすい空模様思いがけない雨なるものは昔の小説に出て来る才子佳人が
割
(
わり
)
なき
契
(
ちぎり
)
を結ぶよすがとなり、また今の世にも芝居のハネから急に降出す雨を幸いそのまま人目をつつむ
幌
(
ほろ
)
の
中
(
うち
)
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかも浅次郎はその身より十ばかりも
年嵩
(
としかさ
)
なる艶婦に
契
(
ちぎり
)
を
籠
(
こ
)
めしが、ほど経て余りにその
妬
(
ねたみ
)
深きが
厭
(
いと
)
わしく、否
寧
(
む
)
しろその非常なる執心の恐ろしさに、おぞ
毛
(
け
)
を
振
(
ふる
)
いて、当時予が家に潜めるをや。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此
(
こ
)
の
度
(
たび
)
の
密月
(
みつゞき
)
の
旅
(
たび
)
の
第一夜
(
だいいちや
)
から、
附絡
(
つきまと
)
ふて、
隣
(
となり
)
の
部屋
(
へや
)
に
何時
(
いつ
)
も
宿
(
やど
)
る……
其
(
それ
)
さへも
恐
(
おそ
)
ろしいのに、つひ
言葉
(
ことば
)
のはづみから、
双六谷
(
すごろくだに
)
に
分入
(
わけい
)
つて、
二世
(
にせ
)
の
契
(
ちぎり
)
を
賭
(
か
)
けやうとする、
聞
(
き
)
けば
名高
(
なだか
)
い
神秘
(
しんぴ
)
の
山奥
(
やまおく
)
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
可
(
よし
)
、
何
(
なん
)
とでも言へ、
昨日
(
きのふ
)
今日
(
けふ
)
二世
(
にせ
)
かけて
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
んだ
恋女房
(
こひにようばう
)
がフト
掻消
(
かきけ
)
すやうに
行衛
(
ゆくゑ
)
が
知
(
し
)
れない。
其
(
それ
)
を
捜
(
さが
)
すのが
狂人
(
きちがひ
)
なら、
飯
(
めし
)
を
食
(
く
)
ふものは
皆
(
みな
)
狂気
(
きちがひ
)
、
火
(
ひ
)
が
熱
(
あつ
)
いと
言
(
い
)
ふのも
変
(
へん
)
で、
水
(
みづ
)
が
冷
(
つめた
)
いと
思
(
おも
)
ふも
可笑
(
をか
)
しい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夫婦
(
ふうふ
)
は
二世
(
にせ
)
の
契
(
ちぎり
)
と
聞
(
き
)
く……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
契
常用漢字
中学
部首:⼤
9画
“契”を含む語句
契約
契機
黙契
契丹
契沖
契合
契冲
釈契沖
契情
心契
密契
契約書
道契
桃林契悟禅師
情契
印契
地契
地契廟
若契
秘契
...