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大樹
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たいじゆ
棟近き
山の
端かけて、
一陣風が
渡つて、まだ
幽に
影の
殘つた
裏櫺子の
竹がさら/\と
立騷ぎ、
前庭の
大樹の
楓の
濃い
緑を
壓へて
雲が
黒い。
深い
罪惡を
包藏して
居ない
其の
夜の
事件はそれで
濟んだ。
勘次は
依然おつぎには
只一つしか
無い
大樹の
陰であつた。
修復の
度毎に
棟札あり、今猶
歴然と
存す。毘沙門の
御丈三尺五六寸、
往古椿沢といふ村に椿の
大樹ありしを伐て
尊像を作りしとぞ。
作名は
伝らずときゝぬ。
乃ち
大樹を
斫り
白げて、
之に
書して
曰く、『
龐涓、
此樹の
下に
死せん』と。
扨は
園内の
手入れを
賞めなどして、
逍遙の
端に
若し
其人見ゆるやと、
垣根の
隣さしのぞけど、
園生廣くして
家遠く、
萱ぶきの
軒ば
半ば
掩ふ
大樹の
松の
滴たる
如き
緑の
色の
目に
立て
見ゆるばか
日出雄少年は、
其泉の
流に
美麗なる
小魚を
見出したとて、
魚を
追ふに
餘念なき
間、
私は
唯ある
大樹の
蔭に
横つたが、いつか
睡魔に
襲はれて、
夢となく
現となく、いろ/\の
想に
包まれて
居る
時
燦らかにごむの
大樹に
射す光
燦らかに
円く
眠る
正覚坊
修復の
度毎に
棟札あり、今猶
歴然と
存す。毘沙門の
御丈三尺五六寸、
往古椿沢といふ村に椿の
大樹ありしを伐て
尊像を作りしとぞ。
作名は
伝らずときゝぬ。
洋燈も
珍しいが、
座敷もまだ
塗立ての
生壁で、
木の
香は
高し、
高縁の
前は、すぐに
樫、
槻の
大木大樹鬱然として、
樹の
根を
繞つて、
山清水が
潺々と
音を
寂に
流れる。
更にくすんだ
赭い
欅の
梢にも
微妙な
色彩を
發揮せしめて、
殊に
其の
間に
交つた
槭の
大樹は
此も
冴えない
梢に
日は
全力を
傾注して
驚くべき
莊嚴で
且つ
鮮麗な
光を
放射せしめた。
傍に一
本、
榎を
植ゆ、
年經る
大樹鬱蒼と
繁茂りて、
晝も
梟の
威を
扶けて
鴉に
塒を
貸さず、
夜陰人靜まりて
一陣の
風枝を
拂へば、
愁然たる
聲ありておうおうと
唸くが
如し。
岩壁の
裾又は
大樹の
根などに
蔵蟄たるを
捕には
圧といふ
術を
用ふ、
天井釣ともいふ。
白帆あちこち、
處々煙突の
煙たなびけり、
振さけ
見れば
雲もなきに、
傍には
大樹蒼空を
蔽ひて
物ぐらく、
呪の
釘もあるべき
幹なり。おなじ
臺に
向顱卷したる
子守女三人あり。
たゞ、
惜しい
哉。
中の
丸の
大樹の
枝垂櫻がもう
見えぬ。
新館の
新潮社の
下に、
吉田屋と
云ふ
料理店がある。
丁度あの
前あたり——
其後、
晝間通つた
時、
切株ばかり、
根が
殘つたやうに
見た。
楢、
桂、
山毛欅、
樫、
槻、
大木大樹の
其の
齢幾干なるを
知れないのが、
蘚苔、
蘿蔦を、
烏金に、
青銅に、
錬鉄に、
刻んで
掛け、
鋳て
絡うて、
左右も、
前後も、
森は
山を
包み、
山は
巌を
畳み