よび)” の例文
よび右の話をなしたるに上方の衆は關東者とちがねんいれ候へば物をかたくする心ならんとて松葉屋桐屋共に立出たちいで對面たいめんに及びしかば大金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
▲小野寺松美君 水彩『花』はよびかけるなつかしみのある画で、考慮の深いすぐれた何物かを握つてゐる人だから勉強次第だと思はれる。
つてこの金色夜叉夫人こんじきやしやふじん電話口でんわぐちでそのひとよびだすのをくと、「あゝ、もし/\御支配人ごしはいにん、……」だから御支配人ごしはいにんであつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其処そこへ飛行機を専門に写す写真師が自転車で遣つて来たのをよび止めて、記念の為に若鳥号を引出させてその前で三人が撮影した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
○さて口上いひ出て寺へ寄進きしんの物、あるひは役者へ贈物おくるもの、餅酒のるゐ一々人の名をあげしなよび披露ひろうし、此処忠臣蔵七段目はじまりといひてまくひらく
それとも一応は理性で濾過ろかして、つまり劉子姉さまといふよびかけと対照させてさう呼ぶことに決めて来たのだらうか。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
徒士かち大臣たいしんに対しては、ただちにその名をいうを許さず、一様に旦那様だんなさまよびて、その交際はまさしく主僕の間のごとし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかるに汝等は餌をくらひ、年へし敵の魚釣はりにかゝりてその許に曳かれ、くつわよびも殆んど益なし 一四五—一四七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
らうかりふでずさびに、此樣このやうよびよいものいてれたるまちといふをば引出ひきいだしぬ、をんな容貌きりようきにこそ諸人しよにんあいけて果報くわほうこのうへものなれ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だから、よびに行く時は大病人といった方が一番いいと誰やらがいったことを覚えていたのでそういった。
黄色い晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
先に云わんけりゃ(谷)居ました居ましたけれど昨夜三十四五の男がよびに来てそれに連られ直帰るとて出たッ切り今以て帰らず今朝から探して居るけれど行衛も知れぬと申ます
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
気も絶えいらんほどにおどろき惑ひしが、走り還りて泣き叫びつゝ、近隣の人をよびければ、漸く其筋の人も来りて死躰の始末は終りしが、殺せし人のまゝしき中にもあらぬ母の身にてありながら
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
それで安直みせと来ていますから滅法な流行りかた、このうち小主水こもんどと呼ばれて全盛な娼妓がある、生れはなんでも京阪けいはん地方だと申すことで、お客を大切だいじにするが一つのよびものになっています。
被害者ひがいしゃ刈谷音吉老人かりやおときちろうじんは、もと高利貸こうりかしでへんくつで、昼日中ひるひなかでももんしまりをしていて、よびりんをさないと、ひと門内もんないとおさなかつたというほどに用心ようじんぶかく、それに妻子さいしはなく女中じょちゅうもおかず
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
どうぞあの知れ渡った鬼どもをおよびなさいますな。
夫人おくさん!。』とわたくししづか夫人ふじんよびかけた。
「おい。」と屠犬児をよび近附け、「呉れたろう。」「もらったよ。姉御の先見露違つゆたがわずだ。」と先刻の包を取出だして、「あててみさっし。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
然程さるほどに大岡越前守殿には段右衞門前名ぜんみやう畔倉重四郎一けんに付享保きやうほ十一年十二月みぎかゝり合の者共一どう白洲しらすよび出され夫々それ/″\に其罪科ざいくわを申渡されける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
マドレエヌがよび止めて「あゝ好い夕日が窓からす。少し今日けふは気分も好いから話も出来る。お前そこへお掛け」と云ふ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
○さて口上いひ出て寺へ寄進きしんの物、あるひは役者へ贈物おくるもの、餅酒のるゐ一々人の名をあげしなよび披露ひろうし、此処忠臣蔵七段目はじまりといひてまくひらく
小兒ちごうつくしきさまるべきを、格子かうしそとよりうかゞふに燈火ともしびぼんやりとして障子しようじうるるかげもし、お美尾みを美尾みをよびながらるに、こたへはとなりかたきこえて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いずれ長崎のせがれ壹岐の方から打合うちあわせのあったものと見えて、その隠居が従兄の藤本をよびに来て、隠居の申すに、諭吉を呼還よびかえせ、アレが居ては倅壹岐の妨げになるから早々そうそう呼還せ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
折角よびやったけれど君を迎えるほどの事件ではなかッたよ目
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
よびになったわ。あの敷居の上におたちになって。
多「ヒエヽおよびなせいやしたか」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
よびて其方は天一坊召捕方めしとりかた手配てくばりを致べしと仰付られ池田大助には天一坊召取方めしとりかたを申付らる是によつて三五郎は以前の如く江戸出口十三ヶ所へ人數にんず
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まぢくないの高聲たかごゑみんないとよびつれておもて出合頭であいがしら正太しようた夕飯ゆふめしなぜべぬ、あそびにほうけて先刻さつきにからぶをもらぬか、誰樣どなたまたのちほどあそばせてくだされ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
同年、江戸の奥平おくだいらやしきから、御用ごようがあるから来いといって、私をよびに来た。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
如何いかに、ところひとはわたりさふらふか。——番頭ばんとうよびだすもどくだ。手近てぢかなのは——閑靜期かんせいきとかできやくがないので、わたしどもが一番いちばん座敷ざしきだから——一番いちばんさん、受持うけもち女中ぢよちうだが、……そも/\これにはよわつた。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一老夫いちらうふこゝに来り主人を拱手てをさげて礼をなし後園うらのかたへ行んとせしを、あるじよびとめらう夫をゆびさしていふやう、此叟父おやぢ壮年時わかきとき熊に助られたる人也、あやふいのちをたすかり今年八十二まですこやか長生ながいきするは可賀めでたき老人也
小声で一寸およびになると、すぐ帰って参ります。
もうおわかれ申ますと風呂敷ふろしきさげておもていづれば、はやくゆけ/\とてよびかへしてはれざりし。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
或時あるときねここゑをなして猫をよびいだしていんかつくらふ。
此裂これでおすげなされとよびかくることもせず、これも立盡たちつくして降雨ふるあめそでわびしきを、いとひもあへず小隱こかくれてうかゞひしが、さりともらぬはゝおやはるかにこゑけて、のしのおこりましたぞえ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此雜沓このざつとうなかといひれもおもらぬことなれば日暮ひくれよりはにもつまじと思案しあんして、晝間ひるま花屋はなや女房にようぼう手傳てつだはせ、りては自身みづからをりたちよびたつるに、よくなれやいつしかはづかしさもせて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)