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剥
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はが
ふりがな文庫
“
剥
(
はが
)” の例文
皮肉の拷問 その拷問の仕方は、まず割竹を指の肉と爪の間に刺し込んで爪を
剥
(
はが
)
して、そうしてまた肉と皮との間へ割竹を刺すのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「三輪の親分もすご/\と引揚げましたよ。床下も天井も
剥
(
はが
)
し、井戸を覗いて庭まで掘つたが、
口惜
(
くや
)
しさうでしたよ、三輪の親分の顏が」
銭形平次捕物控:141 二枚の小判
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
翌年
(
よくとし
)
になり權官は
或
(
ある
)
罪
(
つみ
)
を以て
職
(
しよく
)
を
剥
(
はが
)
れて
了
(
しま
)
い、
尋
(
つい
)
で
死亡
(
しばう
)
したので、
僕
(
ぼく
)
が
竊
(
ひそ
)
かに石を
偸
(
ぬす
)
み出して
賣
(
う
)
りに
出
(
で
)
たのが恰も八月二日の朝であつた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
揚句
(
あげく
)
の
果
(
はて
)
に彼と夫人との間にできた
胎児
(
たいじ
)
が、ポロッと
子宮壁
(
しきゅうへき
)
から
剥
(
はが
)
れおちて外部へ流れ出し、完全に堕胎の目的を達しようというのだった。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
幡随院の和尚から魔除の御札を裏窓へ貼付けて置いて幽霊の
這入
(
はい
)
れない様にした所から、伴藏さんが幽霊に百両の金を貰って其の御札を
剥
(
はが
)
し
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
峯々に雲がかかっているときは、翁は
憂
(
うれた
)
げな眼を伏せてはまた開いて眺めた。藍墨の曇りの
掃毛目
(
はけめ
)
の見える大空から雲は
剥
(
はが
)
れてまくれ立った。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「死ねと云つても死ぬものか」と腹の中で反抗しながら、母が
剥
(
はが
)
してたゝんで置いた張物を風呂敷に包むと、直ぐ店を出た。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
大掃除
(
おほさうぢ
)
の
時
(
とき
)
に、
床板
(
ゆかいた
)
を
剥
(
はが
)
すと、
下
(
した
)
は
水溜
(
みづたまり
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
て、
溢
(
あふ
)
れたのがちよろ/\と
蜘蛛手
(
くもで
)
に
走
(
はし
)
つたのだから
可恐
(
おそろし
)
い。
此
(
こ
)
の
邸
(
やしき
)
……いや
此
(
こ
)
の
座敷
(
ざしき
)
へ
茸
(
きのこ
)
が
出
(
で
)
た。
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
御恩借
(
ごおんしゃく
)
の
金子
(
きんす
)
は三月頃上京の節是非御返しをするつもりだとある。手紙は山鳥の血で堅まって容易に
剥
(
はが
)
れなかった。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
多分は村の外の林に
棲
(
す
)
む
梟
(
ふくろう
)
のしわざだったろう。屋根の板を
剥
(
はが
)
し割って夜の中に荒して行ったのである。大屋も
店子
(
たなこ
)
も共にこの危険には無智であった。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
剥
(
はが
)
れしかば天も
漸々
(
やう/\
)
受納
(
じゆなふ
)
有てや是より
雨
(
あめ
)
降
(
ふり
)
出して三日三晩
小止
(
こやみ
)
なく因て草木も
緑
(
みどり
)
の色を生ぜしとかや趙氏が妻とお菊が孝心は和漢一
對
(
つゐ
)
の
美談
(
びだん
)
と
謂
(
いつ
)
つべし
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
二人
(
ふたり
)
は
藁
(
わら
)
で
縛
(
くゝ
)
つた
大
(
おほ
)
きな
束
(
たば
)
を
解
(
と
)
いては
粘
(
ねば
)
つた
物
(
もの
)
でも
引
(
ひ
)
き
剥
(
はが
)
す
樣
(
やう
)
に
攫
(
つか
)
み
取
(
と
)
つて
熱心
(
ねつしん
)
に
忙
(
せは
)
しく
臼
(
うす
)
の
腹
(
はら
)
へ
叩
(
たゝ
)
きつけた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
私はよく汗のついた手首に、その繪の女王や昆虫の彩色を
痒
(
かゆ
)
いほど押しては貼り、
剥
(
はが
)
してはそつと貼りつけて、水路の小舟に
伊蘇普
(
いそつぷ
)
物語の
奇
(
あや
)
しい頁を
飜
(
か
)
へした。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「ほんとうのユアンは、一週間ほど前からヴァレンシアの母親のところへまいっています」そしてユアンはにっと口許に笑みを泛べて、
顳顬
(
こめかみ
)
の
痣
(
あざ
)
を
剥
(
はが
)
して見せた。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
新三郎の
家
(
うち
)
の裏の小さい窓へ貼ってあるお札を
剥
(
はが
)
してくれと云って頼むので、明日剥しておくと云って約束したが、其の日は畑へ往ってすっかり忘れていたところで
円朝の牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
随分
生皮
(
いきがわ
)
も
剥
(
はが
)
れよう、
傷
(
て
)
を負うた
脚
(
あし
)
を
火炙
(
ひあぶり
)
にもされよう……それしきは
未
(
まだ
)
な事、こういう事にかけては頗る思付の
好
(
い
)
い
渠奴等
(
きゃつら
)
の事、
如何
(
どん
)
な事をするか
知
(
しれ
)
たものでない。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
西洋料理の道具といえば先日の御意見で台所は
悉
(
ことごと
)
く西洋鍋ばかりに致しましたが白い
琺瑯
(
ほうろう
)
を敷いてある西洋鍋の
中
(
うち
)
で底の方の琺瑯がポツポツと
剥
(
はが
)
れるのが出来ました。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
吹き筆の軸も
煙管
(
きせる
)
の
羅宇
(
らお
)
もべたべた
粘
(
ねば
)
り障子の紙はたるんで
隙漏
(
ひまも
)
る風に
剥
(
はが
)
れはせぬかと思われた。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
われ
実
(
まこと
)
に
爾
(
なんじ
)
に
誑
(
たばか
)
られて、
去
(
いぬ
)
る日
人間
(
ひと
)
の家に踏み込み、
太
(
いた
)
く
打擲
(
ちょうちゃく
)
されし上に、裏の
槐
(
えんじゅ
)
の
樹
(
き
)
に
繋
(
つな
)
がれて、明けなば皮も
剥
(
はが
)
れんずるを、この鷲郎に救ひ
出
(
いだ
)
され、
危急
(
あやう
)
き命は辛く拾ひつ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
そこは壊れた敷石の所々に、水溜りの出来ている
見窄
(
みすぼ
)
らしい
家並
(
やなみ
)
のつゞいた町であった。玄関の
円柱
(
はしら
)
に塗った
漆喰
(
しっくい
)
が醜く
剥
(
はが
)
れている家や、壁に大きな
亀裂
(
ひび
)
のいっている家もあった。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
「化膿しちゃうわ。……歯ぐきと頬っぺたの肉がすっかり
剥
(
はが
)
れちゃってるんだもの」
刻々
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
安政五年の四月の二十三日は、暦を束にして先に
剥
(
はが
)
したような麗かな陽気だった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それ以来あの通り金網を張って警戒し、半紙百枚以上の凧は
御法度
(
ごはっと
)
になりました。金助の
剥
(
はが
)
したのは右の
雌鯱
(
めじゃち
)
で、その遠眼鏡で御覧になると一枚足らなくなっているところがよく分ります
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
中身に縦横
格子形
(
こうしがた
)
に筋をつけ、なるべく底を
疵附
(
きずつ
)
けぬようにして、そこへ
好
(
よ
)
い油を少し引き、網を乗せた炭火にかけ、煮立ち始めると、
蒂
(
へた
)
を左の指で持って、
箸
(
はし
)
で廻りからそろそろ
剥
(
はが
)
します。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
風吹き
荒
(
すさ
)
み熱砂顔にぶつかる時
眼
(
め
)
を
閉
(
ふさ
)
ぎてあゆめば、
邪見
(
じゃけん
)
の
喇叭
(
らっぱ
)
気
(
き
)
を
注
(
つ
)
けろがら/\の馬車に
胆
(
きも
)
ちゞみあがり、雨降り
切
(
しき
)
りては
新道
(
しんどう
)
のさくれ石足を
噛
(
か
)
むに
生爪
(
なまづめ
)
を
剥
(
はが
)
し悩むを
胴慾
(
どうよく
)
の車夫法外の
価
(
ね
)
を
貪
(
むさぼ
)
り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ソレカラ段々
年
(
とし
)
を取るに従て仕事も多くなって、
固
(
もと
)
より
貧士族
(
ひんしぞく
)
のことであるから、自分で色々工風して、
下駄
(
げた
)
の
鼻緒
(
はなお
)
もたてれば
雪駄
(
せった
)
の
剥
(
はが
)
れたのも縫うと
云
(
い
)
うことは私の
引受
(
ひきう
)
けで、自分のばかりでない
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
羽交
(
はが
)
ひ
締
(
じめ
)
にしたまゝ、欄干から引き
剥
(
はが
)
さうとしましたが、この身投男は思ひの外の剛力で、容易に八五郎の手に了へません。
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
御覧なさい、こうやって、五体の満足なはいうまでもない、谷へも落ちなけりゃ、
巌
(
いわ
)
にも
躓
(
つまず
)
かず、
衣物
(
きもの
)
に
綻
(
ほころび
)
が切れようじゃなし、
生爪
(
なまづめ
)
一つ
剥
(
はが
)
しやしない。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
毎晩
上
(
あが
)
りまして御迷惑の事を願い、誠に恐れ入りまするが、
未
(
ま
)
だ今晩も萩原様の裏窓のお札が
剥
(
はが
)
れて居りませんから、どうかお剥しなすって下さいまし
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自分はチョコレートの銀紙を
剥
(
はが
)
しながら、敷居の上に立って、遠くからその様子を
偸
(
ぬす
)
むように眺めていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さて寺の男に水運ばせ
苔
(
こけ
)
を洗ひ
蘿
(
つた
)
を
剥
(
はが
)
して
漫漶
(
まんかん
)
せる墓誌なぞ読みまた写さんとすれば、衰へたる日影の
蚤
(
はや
)
くも
舂
(
うすつ
)
きて
蜩
(
ひぐらし
)
の
啼
(
な
)
きしきる声
一際
(
ひときわ
)
耳につき、読難き文字更に読難きに苦しむべし。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
輝
(
かがや
)
く蒼空をいま
漉
(
す
)
き出すように頭上の
薄膜
(
はくまく
)
の雲は見る見る
剥
(
はが
)
れつつあった。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
体の皮を
剥
(
はが
)
れた者、腹を裂かれた者、手を切られた者、足を切られた者、眼を
剔
(
えぐ
)
られた者、舌を抜かれた者、それはもう人間の感情を持っていては、ふた眼と見ることのできないものばかりであった。
令狐生冥夢録
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
音松は空家の奧の六疊の押入に首を突つ込み、床板を
剥
(
はが
)
したまゝ背中から
匕首
(
あひくち
)
を突つ立てられてこと切れて居たのです。
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
どうしても
這入
(
はい
)
ることが出来ませんから、お
情
(
なさけ
)
に其の御札を
剥
(
はが
)
してくださいましというから、
明日
(
あした
)
屹度
(
きっと
)
剥して置きましょう、
明晩
(
みょうばん
)
屹度お願い申しますと云ってずっと
帰
(
けえ
)
った
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
座敷の
硝子戸
(
ガラスど
)
はたいてい二重に
鎖
(
とざ
)
されて、庭の
苔
(
こけ
)
を残酷に地面から引き
剥
(
はが
)
す
霜
(
しも
)
が一面に降っていた。今はその外側の
仕切
(
しきり
)
がことごとく戸袋の
中
(
うち
)
に
収
(
おさ
)
められてしまった。内側も左右に開かれていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
戸を
剥
(
はが
)
して入る。女、飛び上り、窓を破って逃げ、竹藪に入る。
狐
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
袷の裏まで
剥
(
はが
)
して賣る有樣、妹のお雪は二十一二のすぐれた
容貌
(
きりやう
)
ですが、これも、尾羽打枯して見る影もありません。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
新吉は
能
(
い
)
い気になりまして、
種々
(
いろ/\
)
な物を持出しては売払い、布団どころではない、
遂
(
つい
)
には
根太板
(
ねだいた
)
まで
剥
(
はが
)
して持出すような事でございますから、お累は泣入っておりますが、三藏は兄妹の
情
(
じょう
)
で
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「いいとこね。まるで古い油絵を
剥
(
はが
)
してもって来たようね」
呼ばれし乙女
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
燈籠の笠石の
苔
(
こけ
)
を
剥
(
はが
)
したのは、念入な細工だが、燈籠は少し遠くにあるし、笠石には
角
(
かど
)
があるから、實はそんな仕掛けは出來さうで出來ないことだ。
銭形平次捕物控:252 敵持ち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ヴァイオリンの胴を
剥
(
はが
)
して、中を見ると、なめし革と
膠
(
にかわ
)
で、胴裏に貼り付けたのは、
夥
(
おびただ
)
しい宝石です。
天才兄妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
昨夜
(
ゆうべ
)
、坊やの着て居た着物の襟を
剥
(
はが
)
して、こんな手紙と一緒に店へ投り込んで行つた者があります」
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「伊八の娘の
信乃
(
しの
)
はこれを三枚持つて居りました。御勝手の
土竈
(
へつゝひ
)
の上の、荒神樣のところに貼つてあつたのを
剥
(
はが
)
したものです。
煤
(
すゝ
)
けたり、破けたりして居りますが」
銭形平次捕物控:303 娘の守袋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「天井裏は見通しですよ、二人で搜したんだから、このうへは屋根を
剥
(
はが
)
すよりほかに
術
(
て
)
はありません」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
剥
部首:⼑
10画
“剥”を含む語句
引剥
皮剥
追剥
剥取
擦剥
赤剥
逆剥
生剥
剥落
剥出
剥奪
摺剥
剥啄
落剥
剥製
剥身
臭剥
剥脱
剥離
剥繰
...