朝飯がすんで、雑役が監房の前を雑巾がけしている。駒込署は古い建物で木造なのである。手拭を引さいた細紐を帯がわりにして、縞の着物を尻はし折りにした与太者の雑役が、ズブズブに濡らした雑巾で出来るだけゆっくり鉄格子のこま一つ一つを拭いたりして動い …
| 著者 | 宮本百合子 |
| ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
| ジャンル | 文学 > 日本文学 > 記録 手記 ルポルタージュ |
| 初出 | 「中央公論」1951(昭和26)年3月号 |
| 文字種別 | 新字新仮名 |
| 読書目安時間 | 約1時間13分(500文字/分) |
| 朗読目安時間 | 約2時間2分(300文字/分) |