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許
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ばか
ふりがな文庫
“
許
(
ばか
)” の例文
いくたびもそっと床を離れては窓際に来たが、しーんと寝静まった村の中に、自分ひとり落ちつかないのが不安に感ぜられる
許
(
ばか
)
りだ。
続スウィス日記(千九百二十三年稿)
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
小火
(
ぼや
)
で済めば、発見者として、辰公の鼻も高かったのに、生憎、統々本物になった
許
(
ばか
)
りに、彼にとっても、迷惑な事になって了った。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
「そう俯向いて
許
(
ばか
)
りいないで
偶
(
たま
)
にはこっちをごらんよ、私はまだ妻の顔さえよく知らない良人だ、——これは少し変則だと思うがね」
山椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
呆然たる松吉の方を、それ見たかといわん
許
(
ばか
)
りの眼つきで睨んで、北鳴四郎は
沛然
(
はいぜん
)
たる雨の中を、稲田老人と共に駈けだしていった。
雷
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
此方
(
こちら
)
には葡萄棚もあり其の他
種々
(
いろ/\
)
な
菓物
(
くだもの
)
も作ってありまして、彼是一町
許
(
ばか
)
り入ると、屋根は
瓦葺
(
かわらぶき
)
だが至って風流な
家作
(
やづく
)
りがあります。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
私には暗い/\日
許
(
ばか
)
り続いて居ます。もう幾日経つたのか忘れて了ひました。此処に
斯
(
か
)
うして居ると堪らなく世の中が恋しくなります。
獄中の女より男に
(新字旧仮名)
/
原田皐月
(著)
實際
(
じつさい
)
地質學
(
ちしつがく
)
で
研究
(
けんきゆう
)
してゐる
地層
(
ちそう
)
の
深
(
ふか
)
さは
地表下
(
ちひようか
)
二三里内
(
にさんりない
)
に
横
(
よこ
)
たはつてゐるもの
許
(
ばか
)
りであつて、
醫學上
(
いがくじよう
)
の
皮膚科
(
ひふか
)
にも
及
(
およ
)
ばないものである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
聴かない
許
(
ばか
)
りでなく李如松は怒って之を斬ろうとさえしたが、参謀が惟敬をして行長を偽り油断させる策を説いたので命
丈
(
だけ
)
は助かった。
碧蹄館の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
体を
圧
(
おも
)
しにして無理に押分けて行く、不意に針蕗が搦み付いてチクチク刺すには弱った。黒木の繁った二つ
許
(
ばか
)
りの突起が前面に現れる。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
尤
(
もっとも
)
此十年
許
(
ばか
)
りは余程中風めきて危く見え、
且
(
かつ
)
耳も遠くなり居られ候故、長くは持つまじと思ひ/\
是迄
(
これまで
)
無事なりしは不幸中の幸なりき。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そして二週間
許
(
ばか
)
り、ポーター先生や引退した英国の老法律家夫妻と、ツーン湖畔のオーベルホッフェンといふ小村で暮したことがあつた。
ツーン湖のほとり
(新字旧仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
今日
(
けふ
)
を
晴
(
はれ
)
にと
裝飾
(
よそほ
)
ひて
綺羅星
(
きらほし
)
の如く
連
(
つらな
)
りたる有樣、
燦然
(
さんぜん
)
として
眩
(
まばゆ
)
き
許
(
ばか
)
り、さしも善美を盡せる
虹梁鴛瓦
(
こうりやうゑんぐわ
)
の
砌
(
いしだゝみ
)
も
影薄
(
かげうす
)
げにぞ見えし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
良人は四十も過ぎているし、私はやっと二十二の春を迎えた
許
(
ばか
)
りですし、誰が見ても順当に運んだ新郎新婦とは受取りますまい。
扉の彼方へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして、これも、同様の経験から四、五日前にツェレリナを逃げ出して来た
許
(
ばか
)
りだという、かのロジェル・エ・ギャレに会ったのである。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
葭
(
よし
)
の間を潜ツて、その小川の内に穴(釣れさうな場処)を見つけ、竿のさきか何かで、氷を叩きこわし、一尺四方
許
(
ばか
)
りの穴を明けるです。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
類焼
(
るいしょう
)
の跡にてその灰を
掻
(
か
)
き、
仮
(
かり
)
に松板を以て高さ二間
許
(
ばか
)
りに五百間の
外囲
(
そとがこい
)
をなすに、
天保
(
てんぽう
)
時代の金にておよそ三千両なりという。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
然
(
しか
)
るに
政府
(
せいふ
)
の
海外
(
かいぐわい
)
に
保有
(
ほいう
)
して
居
(
ゐ
)
る
對外資金
(
たいぐわいしきん
)
が
段々
(
だん/\
)
減少
(
げんせう
)
して
來
(
き
)
て、六千
萬圓
(
まんゑん
)
許
(
ばか
)
りになつた
爲
(
ため
)
に
段々
(
だん/\
)
爲替相場
(
かはせさうば
)
は
下
(
さが
)
つて
來
(
き
)
たのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
いつでもヘマ
許
(
ばか
)
りさ。荷物を担ぎ込んだ所を突き留て飛び込むと、本人がいる所か、ホンの荷物の中置所にしたに過ぎないのだ。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
宗助
(
そうすけ
)
と
小六
(
ころく
)
の
間
(
あひだ
)
には、まだ
二人
(
ふたり
)
程
(
ほど
)
男
(
をとこ
)
の
子
(
こ
)
が
挾
(
はさ
)
まつてゐたが、
何
(
いづ
)
れも
早世
(
さうせい
)
して
仕舞
(
しま
)
つたので、
兄弟
(
きやうだい
)
とは
云
(
い
)
ひながら、
年
(
とし
)
は
十
(
とを
)
許
(
ばか
)
り
違
(
ちが
)
つてゐる。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
不思議なのは、雷狩をした年の夏は、
屹度
(
きつと
)
雷鳴
(
かみなり
)
が少いといふ事だ。この雷狩は山や野原でする
許
(
ばか
)
りでなく、また
海
(
うみ
)
つ
辺
(
ぱた
)
でもやる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
予が書いたものの中に小説というようなものは、僅に四つ程あって、それが皆
極
(
ごく
)
の短篇で、三四枚のものから二十枚
許
(
ばか
)
りのものに過ぎない。
鴎外漁史とは誰ぞ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それは二枚折の時代のついた金屏風で、極彩色の六歌仙が描かれていたが、その丁度
小野
(
おの
)
の
小町
(
こまち
)
の顔の所が、無惨にも
一寸
(
いっすん
)
許
(
ばか
)
り破れたのだ。
心理試験
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
読者に
完璧
(
かんぺき
)
の印象を与え、傑作の
眩惑
(
げんわく
)
を感じさせようとしたらしいが、私たちは、ただ、この
畸形
(
きけい
)
的な鶴の醜さに顔をそむける
許
(
ばか
)
りである。
猿面冠者
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それは床から五
呎
(
フィート
)
許
(
ばか
)
りの壁に設えた
龕
(
ずし
)
の中に納められてあった。淡い間接照明の光は、奥深い洞穴の様な感じを与えていた。
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
浅田家の方の側は、ずっと門構えのしもたや
許
(
ばか
)
りであるが、向い側は市外の発展を見込んで二三年前に出来た
店舗
(
みせや
)
が、とびとびに並んでいた。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
だから、三月
許
(
ばか
)
りたつて、修一が小宮町へ顔を見せると、いそいそとして迎へたが、修一はお茶も飲まぬうちに、いきなり
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
其
周囲
(
まはり
)
には村の若者が頬かぶりに尻はしよりといふ
体
(
てい
)
で、その数
大凡
(
およそ
)
三十人
許
(
ばか
)
り、全く
一群
(
ひとむれ
)
に
為
(
な
)
つて、
頻
(
しき
)
りにそれを練習して居る様子である。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
だつてあの方が五分
許
(
ばか
)
り前こゝにゐらして、一ヶ月以内にあなたがあの方の奧さまにおなりになると仰しやつたに違ひないらしいのですもの。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
あと一丈
許
(
ばか
)
りもあろうかと思われる白い処を両手で一気に繰り拡げながら、ほんの
申訳
(
もうしわけ
)
同様に追いかけ追いかけ見て行った。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
只
(
ただ
)
ごうっと吹く風の音、ばらばらっと板屋を打つ雨の音に
許
(
ばか
)
り神経は
昂進
(
たかぶ
)
るのである。新聞も読掛けてよした。雑誌も読掛けた
儘
(
まま
)
投げてやった。
大雨の前日
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
驚いたのは、左京路之助
許
(
ばか
)
りではありません。名探偵花房一郎が、老古銭家に化けて入りこもうとは、誰だって気が付くわけはなかったのです。
古銭の謎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
蕎麦
(
そば
)
もこの頃は
止
(
や
)
めました、
粥
(
かゆ
)
と
野菜
(
やさい
)
少し
許
(
ばか
)
り、
牛乳
(
ぎゅうにゅう
)
二合ほどつとめて
呑
(
の
)
みます、すべて
営養上
(
えいようじょう
)
の
嗜好
(
しこう
)
はありませんと。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
求むれば、彼の仔細は、毛利小平太の仔細と同一だ、即ち臆病風に襲はれて、一命が惜しき
許
(
ばか
)
りに逃亡したといふことだ
寺坂吉右衛門の逃亡
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
彼の人は、自分では決して嫌な思ひをしないで済す事
許
(
ばか
)
り考へてゐるんだ。逸子は、夫に種々な例を一人で挙げてゐた。
惑ひ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
気の置け
相
(
さう
)
にない
連中
(
れんぢゆう
)
だが、まだ
馴染
(
なじみ
)
が浅いので食堂で顔を合す
許
(
ばか
)
り、僕は相
変
(
かは
)
らず二等室へ出掛けて日を
暮
(
くら
)
して居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
職員室には、十人
許
(
ばか
)
りの
男女
(
をとこをんな
)
——何れも
穢
(
きたな
)
い
扮装
(
みなり
)
をした百姓達が、物に
怖
(
おび
)
えた様にキヨロ/\してゐる尋常科の新入生を、一人づゝ伴れて来てゐた。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「当り前じゃアありませんか。きょう
棟上
(
むねあ
)
げをした
許
(
ばか
)
りですもの。そんなにすぐ屋台骨がぐらついて耐るもんですか」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
鸚鵡
(
おうむ
)
返しの声が終らぬ
中
(
うち
)
に、忠一の持った松明の
火先
(
ひさき
)
が左へ揺れると、一
間
(
けん
)
許
(
ばか
)
り下の大岩の
間
(
あいだ
)
に又もや
金色
(
こんじき
)
が閃いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
先づ入る者は主と爲るとか十七字三十一字と古き世より定まれるが故に耳も口も此調に
許
(
ばか
)
り馴れたるものとおぼし。
字余りの和歌俳句
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
お糸さんの用事つてのは
詰
(
つま
)
らないことであつた。品川のある小新聞社の社員が
艶種
(
つやだね
)
を売りに来たので、少し
許
(
ばか
)
りの金を「桔梗」のお
上
(
かみ
)
がくれてやつた。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「
旦那
(
だんな
)
ぢや、
〆粕
(
しめかす
)
許
(
ばか
)
り
使
(
つか
)
あんだつぺか」おつぎは
自分
(
じぶん
)
の
知
(
し
)
らぬ
不廉
(
ふれん
)
な
肥料
(
ひれう
)
のことに
就
(
つ
)
いて
聞
(
き
)
いた。
勘次
(
かんじ
)
は
氣
(
き
)
がついて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
長男の竜一が
漸
(
やうや
)
く小学校に上つた
許
(
ばか
)
りであり、次の昌平は
悪戯
(
いたづら
)
盛りで、晩年のお産のためか軍治は発育が悪く、無事に育てばよいがと思はれる程だつた。
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
此の作者は今年大学を出た
許
(
ばか
)
りであつた。そして単に食ふことの必要上
此処
(
こゝ
)
に入つて匿名で連鎖劇を書いてゐた。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
恋愛は唯に人類が社会の新しき一員を得るの衝動となる
許
(
ばか
)
りではない、それは人類が更らに密接なる関係を結び
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
罪亡
(
つみほろぼ
)
しになる人もありましょうし、中にはまた貴い身分のお方が有名な美人だったある公使夫人にお会いになりたい
許
(
ばか
)
りに、坊さんに扮して公使館を訪ね
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
田畦
(
たあぜ
)
数町を隔てゝ
塩手村
(
しおでむら
)
の山陰に墓所あり。村の
童
(
わらべ
)
にしるべせられて行けば、竹藪の中に柵もてめぐらしたる一坪
許
(
ばか
)
りの地あれど、石碑の残欠だに見えず。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
その沈黙のうちに、いま私が少し
許
(
ばか
)
り上ずったような声で云った言葉がいつまでも空虚に響いているような気がして、急に胸がしめつけられるようになった。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「後ろを
引詰
(
ひっつ
)
め、たぼは上の方へあげて水髪にふつくりと少し出し」た姿は、「
他所
(
よそ
)
へ出してもあたま
許
(
ばか
)
りで辰巳仕入と見えたり」と『
船頭深話
(
せんどうしんわ
)
』はいっている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
何事か面白相に語らい行くに我もお辰と
会話
(
はなし
)
仕度
(
したく
)
なって心なく
一間
(
いっけん
)
許
(
ばか
)
り
戻
(
もど
)
りしを、
愚
(
おろか
)
なりと悟って半町歩めば我しらず
迷
(
まよい
)
に三間もどり、
十足
(
とあし
)
あるけば
四足
(
よあし
)
戻りて
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
室
(
へや
)
は十
畳
(
じょう
)
許
(
ばか
)
りの
青畳
(
あおだたみ
)
を
敷
(
し
)
きつめた
日本間
(
にほんま
)
でございましたが、さりとて
日本風
(
にほんふう
)
の
白木造
(
しらきづく
)
りでもありませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
許
常用漢字
小5
部首:⾔
11画
“許”を含む語句
幾許
少許
許多
其許
御許
許嫁
許可
心許
許婚
聴許
許容
許諾
許六
許婚者
奥許
免許
国許
耳許
勝手許
差許
...