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見向
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みむ
ふりがな文庫
“
見向
(
みむ
)” の例文
「そんぢや
爺
(
ぢい
)
が
砂糖
(
さたう
)
でも
嘗
(
な
)
めろ」とおつぎは
與吉
(
よきち
)
を
抱
(
だい
)
て
籰棚
(
わくだな
)
の
袋
(
ふくろ
)
をとつた。
寡言
(
むくち
)
な
卯平
(
うへい
)
は
一寸
(
ちよつと
)
見向
(
みむ
)
いたきりで
歸
(
かへ
)
つたかともいはない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ロチスター氏は聞いたが、しかし
見向
(
みむ
)
きもしなかつた。彼はたゞ私の手をとるより外には身動きもせず、頑固にじつと立つてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
しかし、そこを
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
りがけに、
自分
(
じぶん
)
の
顔
(
かお
)
は、そんなにみにくいのであるかと、つい
鏡
(
かがみ
)
の
方
(
ほう
)
を
見向
(
みむ
)
かずにいられませんでした。
だまされた娘とちょうの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
たとい自分の口が裂けようと
呑
(
の
)
みこみますが、死んでいるものはどんなうまそうなものでも
見向
(
みむ
)
きもしないという
美食家
(
びしょくか
)
です。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
狭い
一室
(
ひとま
)
に、
束髪
(
たばねがみ
)
の
引
(
ひっ
)
かけ
帯
(
おび
)
で、ふつくりした
美
(
い
)
い女が、糸車を廻して居たが、燭台につけた
蝋燭
(
ろうそく
)
の
灯影
(
ほかげ
)
に、横顔で、
旅商人
(
たびあきうど
)
、私の其の縁続きの美男を
見向
(
みむ
)
いて
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
其
(
そ
)
の
教頭
(
けうとう
)
は
隨分頑固
(
ずゐぶんぐわんこ
)
な
男
(
をとこ
)
で、こんな
不都合
(
ふつがふ
)
な
示威運動
(
じゐうんどう
)
に
讓歩
(
ぢやうほ
)
しては
學校
(
がくかう
)
の
威嚴
(
ゐげん
)
が
保
(
たも
)
たれないと
云
(
い
)
つて、
葉書
(
はがき
)
が
何
(
なん
)
百
枚
(
まい
)
來
(
き
)
ようと
見向
(
みむ
)
きもしなかつたが、
其
(
そ
)
の
状態
(
じやうたい
)
が
一月
(
ひとつき
)
ばかりも
續
(
つゞ
)
いて
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
傍
(
そば
)
にどんな
人
(
ひと
)
がゐるか
見向
(
みむ
)
きもしなかつた。
如何
(
いか
)
なるものが
外
(
そと
)
から
入
(
はひ
)
つて
來
(
き
)
ても、
全
(
まつた
)
く
注意
(
ちゆうい
)
しなかつた。
彼等
(
かれら
)
は
活
(
い
)
きた
彫刻
(
てうこく
)
の
樣
(
やう
)
に
己
(
おの
)
れを
持
(
ぢ
)
して、
火
(
ひ
)
の
氣
(
け
)
のない
室
(
へや
)
に
肅然
(
しゆくぜん
)
と
坐
(
すわ
)
つてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其中
(
そのうち
)
腹
(
はら
)
が
空
(
すい
)
て
來
(
き
)
たと
見
(
み
)
えてラクダルは
面倒臭
(
めんだうくさ
)
さうに手を
伸
(
のば
)
して
無花果
(
いちじく
)
を
採
(
とつ
)
て
口
(
くち
)
に
入
(
い
)
れた。
然
(
しか
)
し
少年
(
こども
)
は
見向
(
みむ
)
きもしないし
手
(
て
)
も
伸
(
のば
)
さないばかりか、
木實
(
このみ
)
が
身體
(
からだ
)
の
傍
(
そば
)
に
落
(
お
)
ちてすら
頭
(
あたま
)
もあげなかつた。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
捨
(
す
)
てた
燐寸
(
マツチ
)
の
燃
(
も
)
えさしが
道端
(
みちばた
)
の
枯草
(
かれくさ
)
に
火
(
ひ
)
を
點
(
つ
)
けて
愚弄
(
ぐろう
)
するやうな
火
(
ひ
)
がべろ/\と
擴
(
ひろ
)
がつても、
見向
(
みむ
)
かうともせぬ
程
(
ほど
)
彼
(
かれ
)
は
懶
(
ものう
)
げである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
百
姓
(
しょう
)
は、
金
(
かね
)
を
受
(
う
)
け
取
(
と
)
ると、
長年
(
ながねん
)
苦労
(
くろう
)
を一つにしてきた
牛
(
うし
)
が、さびしそうに
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
されているのを
見向
(
みむ
)
きもせずに、さっさと
出
(
で
)
ていってしまいました。
百姓の夢
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
(
否
(
いゝえ
)
、
存
(
ぞん
)
じません。)といふ
時
(
とき
)
忽
(
たちま
)
ち
犯
(
をか
)
すべからざる
者
(
もの
)
になつたから、
私
(
わし
)
は
口
(
くち
)
をつぐむと、
婦人
(
をんな
)
は、
匙
(
さぢ
)
を
投
(
な
)
げて
衣
(
きぬ
)
の
塵
(
ちり
)
を
払
(
はら
)
ふて
居
(
ゐ
)
る
馬
(
うま
)
の
前足
(
まへあし
)
の
下
(
した
)
に
小
(
ちい
)
さな
親仁
(
おやぢ
)
を
見向
(
みむ
)
いて
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
美
(
うつく
)
しいふうをした
女
(
おんな
)
や、
男
(
おとこ
)
は
道
(
みち
)
ばたに、こうして、
哀
(
あわ
)
れな
女
(
おんな
)
が、
救
(
すく
)
いを
求
(
もと
)
めているということを、
見向
(
みむ
)
きもせずに、さっさとゆきすぎてしまったのです。
ある冬の晩のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ちよいと
見向
(
みむ
)
いて、
清
(
すゞし
)
い
眼
(
め
)
で
御覧
(
ごらん
)
なすつて
莞爾
(
につこり
)
してお
俯向
(
うつむ
)
きで、せつせと
縫
(
ぬ
)
つて
居
(
ゐ
)
らつしやる。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
キヤツと
叫
(
さけ
)
びて
倒
(
たふ
)
るゝを、
見向
(
みむ
)
きもやらず
通
(
とほ
)
りしは、
優
(
いう
)
にやさしき
人
(
ひと
)
の、
黄楊
(
つげ
)
の
櫛
(
くし
)
を
唇
(
くちびる
)
に
銜
(
くは
)
へしなり。うらぶれし
良家
(
りやうか
)
の
女
(
むすめ
)
の、
父
(
ちゝ
)
の
病氣
(
いたつき
)
なるに、
夜半
(
よは
)
に
醫
(
い
)
を
乞
(
こ
)
へる
道
(
みち
)
なりけり。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
英
(
ひで
)
ちゃんは、はるか
上
(
うえ
)
のやまがらの
方
(
ほう
)
に
向
(
む
)
かって、できるだけ
高
(
たか
)
く
手
(
て
)
を
上
(
あ
)
げて、
小
(
ちい
)
さな
指
(
ゆび
)
を
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せました。しかし、やまがらは、もうそんなものには
見向
(
みむ
)
きもしませんでした。
山へ帰ったやまがら
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
……そして、
肩越
(
かたご
)
しに
此方
(
こなた
)
を
見向
(
みむ
)
いた、
薄手
(
うすで
)
の、
中
(
なか
)
だかに、すつと
鼻筋
(
はなすぢ
)
の
通
(
とほ
)
つた
横顏
(
よこがほ
)
。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
圃
(
はたけ
)
には、
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
いていましたから、その
花
(
はな
)
を
訪
(
たず
)
ねて、
山
(
やま
)
から
小鳥
(
ことり
)
が
飛
(
と
)
んできたのだろうと
思
(
おも
)
って、いいなき
声
(
ごえ
)
のする
方
(
ほう
)
を
見向
(
みむ
)
きますと、おじいさんが、たくさんの
鳥
(
とり
)
かごをさおの
両方
(
りょうほう
)
にぶらさげて
酔っぱらい星
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
トタンに
框
(
かまち
)
の
取着
(
とツつき
)
の
柱
(
はしら
)
に
凭
(
もた
)
れた
淺黄
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
が
此方
(
こつち
)
を
見向
(
みむ
)
く、うら
少
(
わかい
)
のと
面
(
おもて
)
を
合
(
あ
)
はせた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
又
(
また
)
一ツ
背中
(
せなか
)
を
叩
(
たゝ
)
いた、
親仁
(
おやぢ
)
は
鯉
(
こひ
)
を
提
(
さ
)
げたまゝ
見向
(
みむ
)
きもしないで、
山路
(
やまぢ
)
を
上
(
うへ
)
の
方
(
かた
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「あぶ、あぶ、あツぷう。」と、
圓
(
まる
)
い
面
(
つら
)
を、べろりといたいけな
手
(
て
)
で
撫
(
な
)
でて、
頭
(
あたま
)
から
浴
(
あ
)
びた
其
(
そ
)
の
雫
(
しづく
)
を
切
(
き
)
つたのは、
五歳
(
いつゝ
)
ばかりの
腕白
(
わんぱく
)
で、きよろりとした
目
(
め
)
でひよいと
見
(
み
)
て、
又
(
また
)
父親
(
おやぢ
)
を
見向
(
みむ
)
いた。
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此
(
こ
)
の
樣子
(
やうす
)
を、
間近
(
まぢか
)
に
視
(
み
)
ながら、
毒
(
どく
)
のある
目
(
め
)
も
見向
(
みむ
)
けず、
呪詛
(
のろひ
)
らしき
咳
(
しはぶき
)
もしないで、ずべりと
窓
(
まど
)
に
仰向
(
あふむ
)
いて、
病
(
やまひ
)
の
顏
(
かほ
)
の、
泥濘
(
ぬかるみ
)
から
上
(
あ
)
げた
石臼
(
いしうす
)
ほどの
重
(
おも
)
いのを、ぢつと
支
(
さゝ
)
へて
居
(
ゐ
)
る
病人
(
びやうにん
)
は
奇特
(
きどく
)
である。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
きよろりと
見向
(
みむ
)
いて
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見透
見做
見当