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葬
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ほうむ
ふりがな文庫
“
葬
(
ほうむ
)” の例文
髪の毛でも送って来なければ、
葬
(
ほうむ
)
りようがなかった。
倅
(
せがれ
)
が
夭死
(
ようし
)
して、頼みの綱の孫がまた、戦死した祖父の
家
(
うち
)
は、寂しそうであった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
素
(
もと
)
より赤の他人には相違ありませんが、一と月でも半月でも、離屋に置いたお半を、このまま犬猫のように
葬
(
ほうむ
)
るわけにも行きません。
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
延陵
(
えんりょう
)
の
季子
(
きし
)
、その長子を
葬
(
ほうむ
)
りて、『骨肉は上に帰復す
命
(
さだめ
)
なり。魂気の若きは、すなわち
之
(
ゆ
)
かざるなし、
之
(
ゆ
)
かざるなし』と
曰
(
のたま
)
いし、
云云
(
うんぬん
)
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
秀吉は、変を知ると、中国高松城の水攻めを、毛利家との
和睦
(
わぼく
)
に中止して、疾風のごとく陣を返し、山崎の一戦に、光秀を
葬
(
ほうむ
)
り去った。
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふぐの特質は、こんな一片のシャレで
葬
(
ほうむ
)
り去られるものではなかろう。ふぐの味の特質は、もっともっと
吟味
(
ぎんみ
)
されるべきだと私は考える。
河豚は毒魚か
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
▼ もっと見る
昔は
一遍
(
いっぺん
)
社会から
葬
(
ほうむ
)
られた者は、容易に恢復する事が出来なかったが、今日では人の噂も七十五日という如く寛大となったのであります。
教育と文芸
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
良吉
(
りょうきち
)
は
悲
(
かな
)
しさのあまり
泣
(
な
)
きあかしました。
文雄
(
ふみお
)
は
村
(
むら
)
のお
寺
(
てら
)
の
墓地
(
ぼち
)
に
葬
(
ほうむ
)
られました。
良吉
(
りょうきち
)
は
文雄
(
ふみお
)
のお
葬式
(
そうしき
)
のときにも
泣
(
な
)
いてついてゆきました。
星の世界から
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして、お
涙
(
なみだ
)
のうちに、やっと、女神のおなきがらを、
出雲
(
いずも
)
の国と
伯耆
(
ほうき
)
の国とのさかいにある
比婆
(
ひば
)
の山にお
葬
(
ほうむ
)
りになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
けれどもこれほどのえらい
将軍
(
しょうぐん
)
をただ
葬
(
ほうむ
)
ってしまうのは
惜
(
お
)
しいので、そのなきがらに
鎧
(
よろい
)
を
着
(
き
)
せ、
兜
(
かぶと
)
をかぶせたまま、
棺
(
ひつぎ
)
の中に
立
(
た
)
たせました。
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
妨
(
さまた
)
げてもって死を送らんとすることを恐る。死者知るなしと言わんとすれば、まさに不孝の子その親を
棄
(
す
)
てて
葬
(
ほうむ
)
らざらんとすることを恐る。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「そんなに苦労してとったフィルムが、いつ世界の人の眼にとまるのだ。永久にこの宝島に
葬
(
ほうむ
)
りさられるとも限らないのだよ」
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
首級
(
おしるし
)
などあらば
葬
(
ほうむ
)
らうものと、このようにお探しいたしても、かけた火に焼かれてそれさえない。悲しやな、オーオーオー
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
大隅国加治木
(
おおすみのくにかじき
)
に
長念寺
(
ちょうねんじ
)
という寺がある。
其寺
(
そこ
)
に、
或
(
ある
)
人が死んで
葬
(
ほうむ
)
られた。生前の名は忘れました。四十九日
経
(
た
)
ってから家族が墓石を建てたんです。
□本居士
(新字新仮名)
/
本田親二
(著)
主君の
紂
(
ちゅう
)
を討つ時、彼らは父が死んで
葬
(
ほうむ
)
らぬ間に
干戈
(
かんか
)
を起すは孝行でなく、臣が君を
弑
(
しい
)
するは仁でないといって武王を
諫
(
いさ
)
めたが用いられなかった。
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
葬
(
ほうむ
)
りをしてから雨にも逢わないので、ほんの新らしいままで、
力紙
(
ちからがみ
)
なども今結んだ様である。お祖母さんが先に出でて
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
賽児
(
さいじ
)
は
蒲台府
(
ほだいふ
)
の
民
(
たみ
)
林三
(
りんさん
)
の妻、
少
(
わか
)
きより仏を好み経を
誦
(
しょう
)
せるのみ、別に異ありしにあらず。林三死して
之
(
これ
)
を郊外に
葬
(
ほうむ
)
る。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
永劫
(
えいごう
)
の
暗黒
(
やみ
)
に
葬
(
ほうむ
)
り去られることになった——とこういう因果話のはしはしが、お露の亡霊からいつ果てるともなく、壁へ向って
呟
(
つぶや
)
かれるのであった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
現に隣の
嫂
(
ねえ
)
さんは娘時代に父無し児を生んだのを、家同志の情けから、その子をそんなにして
闇
(
やみ
)
に
葬
(
ほうむ
)
ってしまったのよ
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「仲よく
葬
(
ほうむ
)
りてやりましょう。子供というものは死ぬまで面倒を見てやらなければならんことも
漸
(
ようや
)
く知り申した。」
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
随ってこの事件は、一精神異常者の奇怪なる幻想として、深く取調べることもなく
葬
(
ほうむ
)
り去られたことに相違ない。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その
後
(
ご
)
の伝吉の一生はほとんどこの怒のために終始したと云ってもよい。伝吉は父を
葬
(
ほうむ
)
った
後
(
のち
)
、
長窪
(
ながくぼ
)
にいる
叔父
(
おじ
)
のもとに
下男
(
げなん
)
同様に住みこむことになった。
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昔から
船艦
(
せんかん
)
の中で死んで印度洋の水底に
葬
(
ほうむ
)
られた人は数知れぬ。印度洋で死んだ日本人も一人や二人では無い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
……だから今までにドレ程の数学家が、自分の天才を発見し得ずに、闇から闇に
葬
(
ほうむ
)
られ去ったことであろう。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
総監が
云
(
い
)
うのには、この位なことで、
貴方
(
あなた
)
を社会的に
葬
(
ほうむ
)
ってしまうことは、何とも遺憾なことなので告訴を取り下げるように
懇々
(
こんこん
)
云って見たが、頑として聴かない。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
チベットのいわゆる鳥葬というのは仏法の方では風葬というもので、チベットでは屍骸をチャ・ゴエ(禿鷲)に食わせるのをもって一番良い
葬
(
ほうむ
)
り方として居るです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「ありがとうございます。
就
(
つい
)
ては敵の
死骸
(
しがい
)
を
葬
(
ほうむ
)
りたいとおもいますが、お許し下さいましょうか。」
烏の北斗七星
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
われわれは彼を船旗に包み、足もとに三十二ポンド弾を置いて、その日の午後に彼を
葬
(
ほうむ
)
った。わたしが
弔辞
(
ちょうじ
)
を読んだとき、荒らくれた水夫はみな子供のように泣いた。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
「閣下、いよいよ御子息にそういありませんならば、
更
(
あらた
)
めて山寺へお
葬
(
ほうむ
)
りになるが
宜
(
よろ
)
しゅうございましょう、そのうえで、私から閣下に申しあげたいことがございます」
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
杜国
(
とこく
)
亡びてクルーゲル今また
歿
(
ぼっ
)
す。
瑞西
(
すいっつる
)
の山中に肺に
斃
(
たお
)
れたるかれの
遺体
(
いたい
)
は、
故郷
(
ふるさと
)
のかれが妻の側に
葬
(
ほうむ
)
らるべし。英雄の
末路
(
ばつろ
)
、言は
陳腐
(
ちんぷ
)
なれど、事実はつねに新たなり。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
アリス・バアナムは、こうして
良人
(
おっと
)
アウネスト・ブラドンの「涙」のうちに
葬
(
ほうむ
)
られたのだった。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
有耶無耶
(
うやむや
)
に
葬
(
ほうむ
)
ってまたいつの
間
(
ま
)
にか平気な顔で佐助に
手曳
(
てび
)
きさせながら稽古に通っていたもうその時分彼女と佐助との関係はほとんど公然の秘密になっていたらしいそれを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ほと/\
堪
(
た
)
えられぬ
臭氣
(
しゆうき
)
、
氣
(
き
)
も、
魂
(
たましひ
)
も、
遠
(
とう
)
くなる
程
(
ほど
)
で、
最早
(
もはや
)
此
(
この
)
腐
(
くさ
)
つた
魚
(
さかな
)
とは
一刻
(
いつこく
)
も
同居
(
どうきよ
)
し
難
(
がた
)
く、
無限
(
むげん
)
の
恨
(
うらみ
)
を
飮
(
の
)
んで、
少年
(
せうねん
)
と
二人
(
ふたり
)
で、
沙魚
(
ふか
)
の
死骸
(
しがい
)
をば
海底
(
かいてい
)
深
(
ふか
)
く
葬
(
ほうむ
)
つてしまつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
草庵の裏山に眺望ひらけた中腹の平地を探しもとめて、涙ながらに友のなきがらを
葬
(
ほうむ
)
った。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
此時
(
このとき
)
余
(
よ
)
は一
種
(
しゆ
)
言
(
い
)
ふ
可
(
べか
)
らざるの
凄氣
(
せいき
)
に
打
(
う
)
たれたのである。
此所
(
こゝ
)
は
是
(
これ
)
、千
數
(
すう
)
百
年前
(
ねんぜん
)
の
人
(
ひと
)
を
葬
(
ほうむ
)
つた
墳墓
(
ふんぼ
)
である。
其
(
その
)
内部
(
ないぶ
)
に
余
(
よ
)
は
生
(
い
)
きながら
入
(
い
)
つて
立
(
た
)
つのである。
白骨
(
はくこつ
)
生
(
い
)
けるにあらぬか。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
死人に
六文銭
(
ろくもんせん
)
を添へて
葬
(
ほうむ
)
るのが
古来
(
こらい
)
の
習
(
ならい
)
である。その六文銭のある間、母はわが子を養育するために毎日一文づつの飴を買つてゐたのであるが、けふは六日目でその銭も尽きた。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いかなる前生の
悪業
(
あくごう
)
ありてかかる
憂目
(
うきめ
)
に遭うかと生きる望も消えて、菊之助を
葬
(
ほうむ
)
った後には共にわずらい寝たきりになって、猿の吉兵衛は夜も眠らずまめまめしく二人を看護し
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「そりゃあ、あるとも。多分学校といっしょになって秘密に
葬
(
ほうむ
)
ろうとするだろうね。」
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
自分で自分を
葬
(
ほうむ
)
る気持は、生涯何度も繰返したので、一向めづらしいことではない。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
子供は
産
(
うま
)
れたが、婦人は死んでしまった所密通をした
廉
(
かど
)
と子を
堕胎
(
おろ
)
した廉が有るから、
拠
(
よんどころ
)
なく其の死骸を旅荷に
拵
(
こしら
)
え、女の在所へ持って
往
(
ゆ
)
き、親達と相談の上で
菩提所
(
ぼだいしょ
)
へ
葬
(
ほうむ
)
る積りだが
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私が六年間この浦和町につくした志は全然
葬
(
ほうむ
)
られてしまうことになる、諸君は学生の分を知らなければならん、学生は決して俗世界のことに指を
染
(
そ
)
めてはならん、ただ、私は諸君にいう
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
巨男
(
おおおとこ
)
のむくろは
月桂樹
(
げっけいじゅ
)
の葉でおおわれて都の東にある
沙丘
(
さきゅう
)
に
葬
(
ほうむ
)
られました。
巨男の話
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
まだ退役の辞令を受けていなかったため、軍葬の礼をもって
葬
(
ほうむ
)
られた。カテリーナ・イワーノヴナは姉や伯母といっしょに、父の
葬
(
とむら
)
いが済み次第、十日ばかりして、モスクワへ立ってしまった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あの人は西へも東へも、遠くにも近くにも
葬
(
ほうむ
)
られているのですもの。
セメント樽の中の手紙
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
ロレ
前
(
まへ
)
のを
墓
(
はか
)
に
葬
(
ほうむ
)
って、
別
(
べつ
)
のを
掘出
(
ほりだ
)
せとは
曾
(
つひ
)
ぞ
言
(
い
)
はぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
三峰の奉納試合に、梅軒が八重垣流の
鎖鎌
(
くさりがま
)
の秘を尽して坂東の剣術者をほとんど
総薙
(
そうな
)
ぎに
葬
(
ほうむ
)
ったおととしの記憶などを思いうかべていた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただし受け入れる事のできない人に与えるくらいなら、私はむしろ私の経験を私の
生命
(
いのち
)
と共に
葬
(
ほうむ
)
った方が
好
(
い
)
いと思います。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
最期
(
さいご
)
も立派であったと部落の人達に
褒
(
ほ
)
められもし、憐れみの掛かることもあろう、
葬
(
ほうむ
)
ってくださるお方もあろうに、おめおめ刑死しようものなら
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
王
(
おう
)
さまは、
泣
(
な
)
いて、
妃
(
きさき
)
をふじの
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
く
山
(
やま
)
のふもとに
葬
(
ほうむ
)
られました。
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
されたたくさんの
青
(
あお
)
い
珠
(
たま
)
は、むなしく
御殿
(
ごてん
)
の
中
(
なか
)
にさびしい
光
(
ひかり
)
を
放
(
はな
)
っていました。
ひすいを愛された妃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あの女房がお前の教えに従って、不用な一人の命を、
暗
(
やみ
)
から暗へ
葬
(
ほうむ
)
ったとて、それがどうして罪悪になるのだ。私は理窟ではそんな風に考えることが出来た。
毒草
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おお、
可哀
(
かわい
)
そうな人であります。わたくし、こうして置いて、後で
手篤
(
てあつ
)
く
葬
(
ほうむ
)
ってやります。たいへんたいへん、気の毒な人です。みな、あの○○獣のせいです
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“葬”の意味
《名詞》
(そう)死者を葬ること。
(出典:Wiktionary)
葬
常用漢字
中学
部首:⾋
12画
“葬”を含む語句
葬式
埋葬
葬礼
火葬
火葬場
葬儀
送葬
御葬
葬送
水葬
埋葬地
御葬式
葬送行進曲
葬龕
葬具
空葬
葬頭河
仮葬
葬儀屋
土葬
...