菓子かし)” の例文
「ありがとう。」と、れいをいって、自分じぶんってきたものをして、二人ふたりは、ならんではなしながら、お菓子かしや、果物くだものべたのでした。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おとなしい新らしい白、みどりの中だから、そして外光の中だから大へんいいんだ。天竺木綿てんじくもめん、その菓子かしつつみはいて行ってもいい。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それからまだ少しのこっていたので、わたしはそれを四つにちぎって、てんでに一きれずつ分けた。それが食後のお菓子かしであった。
お雪はひなでも養うように、二人の子供を前に置いて、そのジャムをめさせるやら、菓子かし麺包パンにつけて分けてくれるやらした。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いままでお菓子かしにつかったおかねを、これからは使つかわずにためておいて、しんたのむねのしたに、人々ひとびとのための井戸いどろうというのでありました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
第三 さけちや菓子かしるゐ食時しよくじせつ少々せう/\もちゐて飮食いんしよく消化せうくわたすくるはがいなしといへども、その時限じげんほか退屈たいくつときもちゆとうがいあること
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
それからまた、いつもちがいのあるいいもの、菓子かしとかとかめずらしい玩具などを持っててくれるから、きだった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
口々くちぐちにそんなことさけんで。それからみんなもっとたくさんのパンやお菓子かしもらってて、みずれました。そして
くやしまぎれに一寸法師いっすんぼうしは、そっとおひめさまが昼寝ひるねをしておいでになるすきをうかがって、自分じぶん殿とのさまからいただいたお菓子かしのこらずべてしまって
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
花前は、ついに自分で菓子かしなどうてきて、民子にやるようになった。ときにはさびしいわらいようをして、タアちゃんと一ことくらいよぶのであった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そんな次第ゆえ諸方からの到来物は一々自ら吟味ぎんみして菓子かしの折まで開けて調べるという風で月々の収入支出等も佐助を呼びつけて珠算盤そろばんを置かせ決算を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
好きなお菓子かしをいただいたこどもが、すぐかぶりつけばよさそうなのに、なかなか食べないのと同じような心理で。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
おまけにおいしい果物くだもの菓子かしまで食べられるのだから、まるで天国てんごくのようだったよ。からだもあたたまり、はらごしらえもできると、にわかにねむくなったんだ。
「あんたたちはどうしてそんなにあわてているの? 雨は、パンやお菓子かしじゃないの。それがわからないの?」
忍剣の口へ、ふしぎなあじのするものを入れた——木のでもない、穀物こくもつでもない、菓子かしでもない、もちでもない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兄とは無論仲がよくないけれども、兄に隠して清から菓子かしや色鉛筆を貰いたくはない。なぜ、おれ一人にくれて、兄さんにはらないのかと清に聞く事がある。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あのたいそうあまい、しろこな……砂糖さとうとやらもうすものは、もちろん私達わたくしたち時代じだいにはなかったもので、そのころのお菓子かしというのは、おもこめこなかためた打菓子うちがしでございました。
ふたりがこやのすぐそばまで行ってみますと、まあこのかわいいこやは、パンでできていて、屋根はお菓子かしでふいてありました。おまけに、窓はぴかぴかするお砂糖さとうでした。
ワーフルという菓子かしき居たりしを先生見て、これは至極しごく面白おもしろし、予もこの器械きかい借用しゃくようして一ツやってたしとのことにつき、翌日これを老僕ろうぼくたせつかわしければ、先生おおいに喜び
わたくしはなしられてゐたので、お料理れうり大抵たいていべはぐしてしまつた。おいしさうなスープも、んばしい饅頭風まんじうふうのお菓子かしも、それに時々とき/″\機械的きかいてきくちにするウオツカのよいた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
すると、またそこにも、ガラスの向こうに部屋へやがあって、やっぱりクリスマス・ツリーが立っている。プラムのはいったのや、赤いのや、いろいのや、いろんなお菓子かしならんでいる。
現在はたいていお菓子かしもちを与えて帰すだけだが、かたい家では表口おもてぐちたわらをならべその上に花嫁をすわらせて、しりを打つまねをしてもらう土地も他県にはあり、または子のないのをなげく女が
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
こめ菓子かし 秋付録 米料理百種「西洋料理の部」の「第三十八 米のソフレ」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
噂が耳に入るほど余計に昭青年は用心します。すきうかがい折を見ては苫船へ通います。その度に自分がもらった菓子かし、果物など、食べたりをしてそでに忍ばせ、姫にそっと持って行ってやります。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
聞く所によると、東京のある場所では、菓子かし蟾蜍ひきがえる、虫、蜘蛛等のいやらしい物の形につくっているそうである。それは実に完全に出来ていて、ひるまずに食った人が勝負に勝つのだという。
菓子かしなどをあたえて、ごきげんをとりながら、名まえをたずねたらしいのですが、「木村きむらサチ子」と、おかあさんに教えられているとおり答えますと、怪物は、きゅうにあらあらしくなって
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
異存いぞんのあろうはずもなく、本読ほんよみもんで、いよいよ稽古けいこにかかった四五にちは、をつめても、つぎひかえて、ちゃ菓子かしよと、女房にょうぼうつとめに、さらさら手落ておちはなくぎたのであったが
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
としちゃんが、あるとしなつ、おかあさんにつれられて田舎いなかへいったときには、このバスケットにりんごや、お菓子かしれてってゆきました。
古いてさげかご (新字新仮名) / 小川未明(著)
お医者さんはかくしに安いお菓子かしをいつも入れているし、看護婦かんごふあまさんたちがそれはやさしく話をしてくれるよ。こう言うんだ。
そして一人ひとりずつ石段いしだんをあがってつくのだが、一人ひとりのつくかずは三つにきめられた。お菓子かし配給はいきゅうのときのことをおもいして、ぼくはおかしかった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
なんだ、やっぱりこいつはお菓子かしだ。チョコレートよりも、もっとおいしいけれども、こんな雁が飛んでいるもんか。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
きんいろのりんごだの、みつのお菓子かしだの、おもちゃだの、それから、なん百とも知れないろうそくだので、それはそれは、きれいにかざられていたっけ。
殿とのさまはびっくりして、おひめさまのお部屋へやへ行ってごらんになりますと、おひめさまはくちのはたにいっぱいお菓子かしこなをつけて、ねむっておいでになりました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あおい駿河するがの海岸線の一たんには、家康いえやす居城きょじょうが、松葉でつつんだ一菓子かしのごとく小さくのぞまれる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、上のたなに目をやったとき、ニールスは、はっとわれにかえりました。そこには、ひからびた大きな菓子かしパンが二つ、くしにささっているではありませんか。
下女の話によると、タアちゃんはこれまでもときどき、花前、花前といって花前のところへいき、花前もタアちゃんの持っていったお菓子かしべたようすであったという。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
さあ、ちょいといらっしゃい、赤ずきんちゃん、ここにお菓子かしがひとつと、ぶどうしゅがひとびんあります。これを赤ずきんちゃん、おばあさんのところへもっていらっしゃい。
コルンスタッチの菓子かし 秋 第二百五十 牛の尾
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「まあ、ぼっちゃん、お一人ひとりで、えらいですこと。」と、お菓子屋かしやのおばさんは、ほめて、お菓子かしをふろしきにつつんでくれました。
小さな年ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうなればもう寝台ねだいもなければ、クリームもない。お菓子かしもなけれは、テーブルを取りいた楽しい夜会もなくなるのだ。
だが、ごんごろがね最後さいごに三つずつらさせてもらうこの「配給はいきゅう」は、お菓子かし配給はいきゅう以上いじょうにみんなに満足まんぞくをあたえた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ハチみつのはいったお菓子かしや、おもちゃや、それから、何百っていうろうそくで、きれいにかざられていたよ!
「おひめさまがわたくしをぶって、殿とのさまからいただいたお菓子かしをみんなってべておしまいになりました。」
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
なんだ、やっぱりこいつはお菓子かしだ。チョコレートよりも、もっとおいしいけれども、こんながんんでいるもんか。この男は、どこかそこらの野原の菓子屋かしやだ。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
やあたいへんな説教せっきょうをやったね。茶が冷えてしまう菓子かしでもやりたまえ。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
南禅寺から貰って来た菓子かしなど与え、しばしこの少年と戯れた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ターツ菓子かし 冬 第三百十九 ターツ菓子
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
けれど、まだやっとがあいたばかりで、いぬはただちいさなをぴちぴち左右さゆうるばかり、かたいお菓子かしべることができませんでした。
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれどもぼくは、このひとをばかにしながら、この人のお菓子かしをたべているのは、たいへんきのどくだ
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
海蔵かいぞうさんは、昨日きのうまではよくげんさんと、それをやったものでした。二人ふたり競争きょうそうをやって、けそこなったかずのすくないものが、相手あいてべつ菓子かしわせたりしたものでした。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)