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脱
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のが
ふりがな文庫
“
脱
(
のが
)” の例文
そして一刻も早くこのような幽鬼の形相から
脱
(
のが
)
れたいと思った。そのために彼は、隣の化粧室の扉を蹴るようにして中へ飛び込んだ。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
飛行機は、あのとおり無惨な姿になってしまったから、いくら暴れても、この島を
脱
(
のが
)
れることは出来ないだろう。どうだ。
和睦
(
わぼく
)
せぬか。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
その翌日は非常に
厳
(
きつ
)
い坂で
三途
(
さんず
)
の
脱
(
のが
)
れ坂というのを
踰
(
こ
)
えねばならん。ところが幹事は誠に親切な人でヤクを貸して上げましょうという。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
磯村はそれらの雑念から
脱
(
のが
)
れようとして、
強
(
し
)
ひて机に坐り返して、原稿紙のうへの
埃
(
ほこり
)
を軽く吹きながら、
漸
(
やつ
)
とのことでペンを動かしはじめた。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は微力を測らずして一躍男子の圧抑から
脱
(
のが
)
れようとする
痩
(
やせ
)
我慢を恥じねばならなかった。私は
瞭然
(
はっきり
)
と女性の
蒼白
(
そうはく
)
な裸体を見ることが出来た。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
が、騒々しい酒宴の席から、身を
脱
(
のが
)
れた欣びは、
直
(
す
)
ぐ消えてしまって、芸の苦心が再びひしひしと胸に迫って来る。明日からは
稽古
(
けいこ
)
が始まる。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
今羅摩が牲にせんとせる馬、
脱
(
のが
)
れて私陀の二児の住所へ来たので、二児
甫
(
はじ
)
めて五歳ながら勇力絶倫故、その馬を
捉
(
とら
)
え
留
(
とど
)
めた。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
あの座の雰囲気から
脱
(
のが
)
れて来たのではない。だが彼には、ああなった以上彼らの気持がどの方向に動くかは目に見えていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
殺さば殺さるゝ其條目は
脱
(
のが
)
れ難し如何はせんと計りにて
霎時
(
しばし
)
思案
(
しあん
)
に
暮
(
くれ
)
たるがやう/\思ひ
附
(
つく
)
ことありてや
一個
(
ひとり
)
點頭
(
うなづき
)
有司
(
いうし
)
に命じ庄兵衞の母お
勝
(
かつ
)
。
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
広い宇宙に生きて思わぬ
桎梏
(
かせ
)
にわが愛をすら縛らるるを、歯がゆしと思えど、武男は
脱
(
のが
)
るる
路
(
みち
)
を知らず、やる
方
(
かた
)
なき
懊悩
(
おうのう
)
に日また日を送りつつ
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
もし
暴
(
あらび
)
とは、
強
(
し
)
ひらるゝ人いさゝかも強ふる人に
與
(
くみ
)
せざる時生ずるものゝ
謂
(
いひ
)
ならば、これらの魂はこれによりて罪を
脱
(
のが
)
るゝことをえじ 七三—七五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
頼もしい力もおのずから授けられつつある気もあそばされたし、源氏の情火から
脱
(
のが
)
れえられたことにもお
悦
(
よろこ
)
びがあった。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
又かれが
産
(
うみ
)
おきたるはらゝごをとればその家
断絶
(
だんぜつ
)
すといひつたふ。鮏の大なるは三尺四五寸にあまるもあり、
之
(
これ
)
は
年々
(
とし/″\
)
網
(
あみ
)
を
脱
(
のが
)
れて長じたるならん。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
しかし、はちは
危
(
あぶ
)
ないところを
脱
(
のが
)
れて
飛
(
と
)
び
立
(
た
)
ちました。その
後
(
あと
)
で、
石炭
(
せきたん
)
がとばっちりを
食
(
く
)
って
大騒
(
おおさわ
)
ぎをしていました。
雪くる前の高原の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
然
(
しか
)
れども
韓非
(
かんぴ
)
は
説
(
ぜい
)
の
難
(
かた
)
きを
知
(
し
)
り、
説難
(
ぜいなん
)
の
書
(
しよ
)
を
爲
(
つく
)
ること
甚
(
はなは
)
だ
具
(
そな
)
はれるも、
終
(
つひ
)
に
秦
(
しん
)
に
死
(
し
)
し、
自
(
みづか
)
ら
脱
(
のが
)
るること
能
(
あた
)
はざりき。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
後
(
あと
)
で
御伺
(
おうかが
)
いすると、あの
場合
(
ばあい
)
、
命
(
みこと
)
が
御難儀
(
ごなんぎ
)
を
脱
(
のが
)
れ
得
(
え
)
たのは、
矢張
(
やは
)
りあの
御神剣
(
ごしんけん
)
のお
蔭
(
かげ
)
だったそうで、
燃
(
も
)
ゆる
火
(
ひ
)
の
中
(
なか
)
で
命
(
みこと
)
がその
御鞘
(
おんさや
)
を
払
(
は
)
われると
同時
(
どうじ
)
に
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その時
他
(
た
)
の二個の怪物はメヂューサの死骸を見て
大
(
おほひ
)
に怒り
忽
(
たちま
)
ち跡を追つかけたけれども、伝令神の沓には及ばず、パーシユーズは首尾よく虎口を
脱
(
のが
)
れた。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
今しがた見えずなりたる、美人の
小腕
(
こがいな
)
を
邪慳
(
じゃけん
)
に
掴
(
つか
)
みて、身を
脱
(
のが
)
れんと
悶
(
もだ
)
えあせるを
容赦
(
ようしゃ
)
なく
引出
(
ひきいだ
)
しぬ。美人は両手に顔を押えて身を
縮
(
すく
)
まして
戦
(
おのの
)
きいたり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
喧騒
(
どよめき
)
が公衆のうちに起こって、ほとんど陪審員にまでおよんだ。その男がもはや
脱
(
のが
)
れられないのは明白であった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一人だけ繩目を
脱
(
のが
)
れて、今でも人もなげに御府内を荒し廻り、この平次を
白痴
(
こけ
)
にして喜んで居る。俺はこの房吉を縛つて、江戸中の人を安心させたいのだよ
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ロレ まア、お
待
(
ま
)
ちゃれ。
助
(
たす
)
かる
術
(
すべ
)
を
思
(
おも
)
ひついたわ。
必死
(
ひっし
)
の
厄
(
やく
)
を
脱
(
のが
)
れうためゆゑ
必死
(
ひっし
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
をもせねばならぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
よくぞ思い切って
脱
(
のが
)
れてきたと、自分で自分の勇気を
宥
(
いた
)
わるのであった。しいんと、冬の夜は冴え返っている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
英国より渡来し来った者は、本国における宗教上の圧迫を
脱
(
のが
)
れ自由の新天地を拓かんとして渡来した者なるが故に、概してみんな家族を率いて移住して来た。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
人の力を
以
(
もっ
)
て過去の事実を消すことの出来ない限り、人は到底運命の力より
脱
(
のが
)
るゝことは出来ないでしょう。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
転身後のそんな空虚な自己に堪へられない作家は、たいてい沈黙してしまつたが、中には、自殺によつてその苦を
脱
(
のが
)
れたものもある。芥川龍之介がその一人だ。
百万人のそして唯一人の文学
(新字旧仮名)
/
青野季吉
(著)
そのコース以外には
脱
(
のが
)
れる気遣いのない白襟嬢に、
廻
(
めぐ
)
り合うことすら、仲々天日に恵まれないのだから、思えば昔の仇討ちなんて、余程精神修養を積まないと
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
なよたけ 待って! (
抱擁
(
ほうよう
)
から
脱
(
のが
)
れる)ねえ、文麻呂! 聞えない?……わらべ達があたしを呼んでるんだわ! あたしを見失ったわらべ達が呼んでるんだわ!
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
東町奉行所で
白刃
(
はくじん
)
の
下
(
した
)
を
脱
(
のが
)
れて、瀬田
済之助
(
せいのすけ
)
が此屋敷に駆け込んで来た時の屋敷は、決して此出来事を
青天
(
せいてん
)
の
霹靂
(
へきれき
)
として聞くやうな、平穏無事の
光景
(
ありさま
)
ではなかつた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
参木はこれらの膨脹する群衆から
脱
(
のが
)
れながら、再び昨日のように秋蘭の姿を探している自分を感じた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ためらひ勝ちな足取りで、心は忙がしくその場を
脱
(
のが
)
れる方法を見附けようとし乍ら私は彼に從つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
命有らん限は此の
苦艱
(
くげん
)
を
脱
(
のが
)
れ
候事
(
さふらふこと
)
愜
(
かな
)
はぬ身の悲しさは、如何に
致候
(
いたしさふら
)
はば
宜
(
よろし
)
きやら、御推量
被下度候
(
くだされたくさふらふ
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それを
見
(
み
)
ると、
継母
(
ままはは
)
は
急
(
きゅう
)
に
恐
(
おそ
)
ろしくなって、「どうしたら、
脱
(
のが
)
れられるだろう?」と
思
(
おも
)
いました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
此の金を得て
密
(
ひそか
)
に家を
脱
(
のが
)
れ出で、袖なるものを
倶
(
ぐ
)
して、
京
(
みやこ
)
の方へ逃げのぼりける。かくまでたばかられしかば、今はひたすらにうらみ歎きて、
遂
(
つひ
)
に重き病に臥しにけり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
自分には
脱
(
のが
)
れることの出来ない単調なこれらの出来事と手を切ってしまいたいと私に思わせた。
ある自殺者の手記
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
「役人を殺しては大変です、早く舟を雇うて逃げてください、逃げたうえで、七日の間、門を閉じて出入りしないようにするなら、きっとこの禍を
脱
(
のが
)
れることができます」
蘇生
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
風の
洩
(
も
)
るほどの
隙間
(
すきま
)
でもあれば、悟空は身をけし粒と化して
脱
(
のが
)
れ出るのだが、それもできない。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それがまた、半ば泥に埋もれて、
脱
(
のが
)
れ出ようともがいているようなのや、お互いにからみ合い、もつれ合って、最期の
苦悶
(
くもん
)
の姿をそのままにとどめているようなのもある。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
確
(
しつか
)
と押へ漸く蕎麥責を
脱
(
のが
)
れしが此時露伴子は七椀と退治和田の
牡丹餅
(
ぼたもち
)
に梅花道人が辭してより久しく誰人の手にも落ちざりし豪傑號を得たりしは目ざましかりける振舞なり
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
妻子しばらく
御匿
(
おかくま
)
い願入る。
脱
(
のが
)
れ難き
寃罪
(
えんざい
)
にて暫時退国仕る。寃罪晴れ次第帰国。それまで。
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
執念深
(
しふねんぶか
)
く
附
(
つ
)
き
纏
(
まつ
)
はる蛇から
脱
(
のが
)
れて、大阪に待つてゐる叔母の前に坐りたいと思はれて來た。早く東京の家へ
遁
(
のが
)
れ込んで、蛇から受けた毒氣を洗ひ落したいとまで思はれて來た。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
それに反して利口なは、間瀬金三郎とか云う男、泣き付いて拝み倒し、自分の
科
(
とが
)
を
他人
(
ひと
)
になすり、うまうま罪科を
脱
(
のが
)
れたとは、正に当世でこちらの畑。出世をしているに違えねえ
村井長庵記名の傘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私はそれらから
脱
(
のが
)
れるために服量を加速度に増して行かなければならなかったのです。
歪んだ夢
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
瞰上
(
みあぐ
)
れば我が頭の上には、高さ幾丈の絶壁が
峭立
(
きった
)
っていて、そこは
彼
(
か
)
の虎ヶ窟なることを思い
当
(
あた
)
った。若い男と女とが社会の
煩
(
うる
)
さい圧迫を
脱
(
のが
)
れて、自由なる恋を
楽
(
たのし
)
んだ
故蹟
(
こせき
)
である。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そういう人間自身の弱さに古典が
恰好
(
かっこう
)
の化粧となり、しかも徹底してこの惑いから
脱
(
のが
)
れるのは至難なのである。誰しも古典の
峻厳
(
しゅんげん
)
について言う。だがその峻厳さはつねに無言である。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
そして、あれだけの大罪を犯しながら、永久に法網を
脱
(
のが
)
れてしまったかも知れぬ。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その不満足の苦を
脱
(
のが
)
れようと気をあせるから、
健康
(
すこやか
)
な智識は縮んで、出過た
妄想
(
ぼうそう
)
が我から
荒出
(
あれだ
)
し、抑えても抑え切れなくなッて、遂にはまだどうしてという手順をも思附き得ぬうちに
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
信に由つて、私は私の苦しみから
脱
(
のが
)
るゝことが出来た。また欲する心を捨て去つたことに由つて、世間を救ふといふ心持ちを起し、真に芸術といふものゝ位置の如何を知ることが出来た。
心理の縦断と横断
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
此岸
(
しがん
)
にいる限りはどんなものといえども
生滅
(
しょうめつ
)
の二から
脱
(
のが
)
れ得ないのである。かくして矛盾や反目や闘争が果しなく続いてくる。何ものも永遠ではない。一切が限界のうちに沈んでしまう。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
脱
(
のが
)
れられぬ最後の場に、すこしずつ、じりじりと、運命の環がちぢまって行く。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
孤独な夜をのがれ、闇の
寂寥
(
せきりょう
)
から
脱
(
のが
)
れようと、彼女が心おどらせてやっとたどりついたこの窓こそ、じつはもう一つのけっして終ることのない彼女の夜、永遠の彼女の闇につづく扉なのだ。
非情な男
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
脱
常用漢字
中学
部首:⾁
11画
“脱”を含む語句
脱出
脱落
解脱
大肌脱
脱走
洒脱
膚脱
肌脱
脱衣場
脱然
脱衣婆
沓脱
脱兎
沓脱石
脱殻
蝉脱
藻脱
脱捨
脱棄
靴脱
...