相場さうば)” の例文
うですね、年少としわか田舍ゐなか大盡だいじんが、相場さうばかゝつて失敗しつぱいでもしたか、をんな引掛ひつかゝつてひど費消つかひぎた……とでもふのかとえる樣子やうすです。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ばうなはが七せんまうで一そく草鞋わらぢが一せんりんといふ相場さうばだからどつちにしても一にち熱心ねつしんうごかせばかれは六七せんまうけるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
御拂おはらひになるなら」とすこかんがへて、「六ゑんいたゞいてきませう」と否々いや/\さうにけた。御米およねには道具屋だうぐやけた相場さうば至當したうやうおもはれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは下町したまち相場さうばとてをりかへしてるはなかりき、さるほどにこのほどのあさまだき四十しじふちかかるべき年輩としごろをとこ紡績織ばうせきおり浴衣ゆかたすこいろのさめたるを
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けつしてういふ相場さうばるものではいとべんふるつていてたが、かぬ。
對米爲替相場たいべいかはせさうば金解禁後きんかいきんご今日こんにちおいては四十九ドルぶんの一に騰貴とうきしたから、今日こんにち日本にほんおい昨年さくねんぐわつおなじ千三百二十ゑん相場さうばとすれば、これは六百五十ドルセント相當さうたうするので
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
あたひ高下かうげおよそはさだめあれども、その年々とし/″\によりてすこしづゝのたがひあり。市の日にその相場年の気運きうんにつれて自然おのづからさだまる。相場さうばよければ三ばんのちゞみ二ばんにのぼり、二ばんは一ばんにくらゐす。
勿論もちろん飛騨越ひだごゑめいつたには、七に一けんに五けんといふ相場さうば其処そこあはめしにありつけば都合つがふじやうはうといふことになつてります。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みなみでは養蠶やうさん結果けつくわかつたのとすこしばかりあまつたくは意外いぐわい相場さうばんだのとで、一ゑんばかりのさけ奮發ふんぱつしたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
大抵たいてい五十年ごじふねんさだまつたいのち相場さうば黄金こがねもつくるはせるわけにはかず、花降はなふがくきこえて紫雲しうん來迎らいがうするあかつきには代人料だいにんれうにてこと調とゝのはずとはたれもかねてれたるはなし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「だつて、近頃ちかごろ相場さうばなら、捨賣すてうりにしたつて、あのとき叔父をぢこしらへてれたかねばいにはなるんだもの。あんまり馬鹿々々ばか/\しいからね」と宗助そうすけすと、御米およねさみしさうにわらつて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
松麁朶まつそだで卅五ぢや相場さうばはさうでもねえが、商人あきんどがまるきなほすんだからちひさくもなるはずだな」勘次かんじくびかたむけていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
むかしから、落人おちうど七騎しちき相場さうばきまつたが、これは大國たいこく討手うつてである。五十萬石ごじふまんごくたゝかふに、きりもちひとつはなさけない。が、討死うちじに覺悟かくごもせずに、血氣けつきまかせて馳向はせむかつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うま銀袋ぎんたいんでたくらゐ、人參にんじん價値あたひおもふべしである。が、一寸ちよつと素人しろうとには相場さうばわからぬ。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
樣子やうすうも、ふびんや、あま小遣こづかひがなかつたらしい。もつとものはりぞくがうするてあひは、懷中くわいちう如何いかんかゝはらず、うしたさもしい料簡れうけんと、むかしから相場さうばづけにめてある。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おつなことをいふやうだがなにかねなかをんな出来できねえと相場さうばきまつて、すつぺら坊主ばうずになつても矢張やツぱ生命いのちしいのかね、不思議ふしぎぢやあねえか、あらそはれねもんだ、ねえさんねえ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蔦屋つたやは、若主人わかしゆじん——およねさんのあに——が相場さうばにかゝつて退轉たいてんをしたさうです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おや/\前勘まへかんか。いなうでない。……とくいち三等さんとう相場さうばづけである。温泉をんせんあめたなごころにぎつて、がものにした豪儀ごうぎきやくも、ギヨツとして、れは悄氣しよげる……はずところを……またうでない。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其處そこ相場さうばぢやあるまいか。」
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)