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當人
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たうにん
知ぬとは
扨々可笑や/\と笑ひ狂ふにぞ越前守殿
然も有べし
當人は如何にも
亂心の
體ゆゑ入牢申付ると
云渡されけり其後又奉行所へ梅を
お
可愛想なことをと
少し
涙くんでお
作をかばふに、それは
貴孃が
當人を
見ぬゆゑ
可愛想とも
思ふか
知らねど、お
作よりは
我れの
方を
憐れんでくれて
宜い
筈
叔父さんが
居なさらない、
今にしたつて、
此方の
都合さへ
好ければ、
燒けた
家と
同じ
丈のものを、
小六に
返すか、それでなくつても、
當人の
卒業する
迄位は
折ふし
鵞鳥のやうな
聲で
唱ひ
出す
歌の
調べは
左迄妙手とも
思はれぬのに、
唱ふ
當人は
非常の
得色で、やがて
彈奏が
終ると
小鼻を
蠢かし、
孔雀のやうに
裳を
飜へして
席に
歸つた。
も
勤むる
身分として
其儘に
召仕ひ
置たるぞや
假令當人より申出ずとも
其方より
暇を出すべき
筈なり此故に何か
樣子有んと申せしなり
定て
不義を
愚な
話しではあるが
一月のうちに
生命が
危いとか
言つたさうな、
聞いて
見ると
餘り
快くもないに
當人も
頻りと
嫌がる
樣子なり、ま、
引移りをするが
宜からうとて
此處を
搜させては
來たが
元より
當人は、
資本主ではなかつたのだけれども、
愈といふ
曉に、
勘定して
見ると
大きな
缺損と
事が
極つたので、
無論事業は
繼續する
譯に
行かず、
當人は
必然の
結果、
地位を
失つたぎりになつた。
其方儀松五郎
尋ねの所未だ
行衞相知れざる趣き
空せみ事千代
存命も是れ有らば入牢の上
屹度被仰付之處
當人空せみ相果候上は一等を
減じられ
江戸構へ申付る
似つこらしい
嘘を
言ふと
奧さま
爪はじき
遊ばせば、あれ
何しに
嘘を
申ませう、
左りながらこれをお
耳に
入れたといふと
少し
私が
困りの
筋、これは
當人の
口から
聞いたので
御座りますと
言へば
其の
事は、
私が
今まで
居た
所へ、
當人から
懸けた、
符牒ばかりの
電話で
知れて、
實際、
氣も
顛倒して
急ぐんです。
行かないで
何うしますか、
行つては
惡いんですか。
對手もなければ
小遣もなく、まさか
小盜賊をするほどに、
當人氣位が
高いから
身を
棄てられず。
床几——といふ
處だが、(——
親類の
家で——)
其の
用意がないから、
踏臺に
嵬然として
腰を
掛けた……んぢや、と
笑つて、
當人が
私に
話した。
夫人、
及び
學生さん
方には
内證らしい。
髮は
束髮に、
白いリボンを
大きく
掛けたが、
美子も
喜いちやんも
爲なる
折から、
當人何の
氣もなしに
世とゝもに
押移つたものらしい。が、
天の
爲せる
下町の
娘風は、
件の
髮が
廂に
見えぬ。
餘り
仔細のない
事を、
聞いて
飽氣なく
思ふほど、
唯吉は
尚氣に
掛る……
昔から
語繼ぎ
言傳へる
例によると、
誰にも
言ふ
勿と
頼まるゝ、
其の
當人が……
實は
見ては
成らない
姿である
場合が
多い。
……たとひ、
恁して、
貴女が
拾つて
下さるのが、
丁と
極つた
運命で、
當人其を
知つて
居て、
芝居をする
氣で、
唯遺失したと
思ふだけの
事をして
見ろ、と
言はれても、
可厭です。
金輪際出來ません。
「
私も
頓と
解せねえだ、
處で、
當人の
婦に
尋ねた。」