當人たうにん)” の例文
新字:当人
知ぬとは扨々さて/\可笑や/\と笑ひ狂ふにぞ越前守殿も有べし當人たうにんは如何にも亂心らんしんていゆゑ入牢申付ると云渡いひわたされけり其後又奉行所へ梅を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
當人たうにんをんなにかけてはのつもりで下開山したかいざんした藤吉とうきち一番鎗いちばんやり一番乘いちばんのり一番首いちばんくび功名こうみやうをしてつた了簡れうけん
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
可愛想かわいそうなことをとすこなみだくんでおさくをかばふに、それは貴孃あなた當人たうにんぬゆゑ可愛想かわいさうともおもふからねど、おさくよりはれのほうあはれんでくれてはづ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
叔父をぢさんがなさらない、いまにしたつて、此方こつち都合つがふさへければ、けたうちおなだけのものを、小六ころくかへすか、それでなくつても、當人たうにん卒業そつげふするまでぐらゐ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
をりふし鵞鳥がてうのやうなこゑうたうた調しらべは左迄さまで妙手じやうずともおもはれぬのに、うた當人たうにん非常ひじやう得色とくしよくで、やがて彈奏だんそうをはると小鼻こばなうごめかし、孔雀くじやくのやうにもすそひるがへしてせきかへつた。
つとむる身分みぶんとして其儘そのまゝ召仕めしつかおきたるぞや假令たとへ當人たうにんより申出ずとも其方そのはうよりいとまを出すべきはずなり此故に何か樣子やうすあらんと申せしなりさだめ不義ふぎ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
當人たうにんをんなにかけてはのつもりで下開山したかいざん木下藤吉きのしたとうきち一番槍いちばんやり一番乘いちばんのり一番首いちばんくび功名こうみやうをしてつた了簡れうけん
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はなしではあるが一月ひとつきのうちに生命せいめいあやふいとかつたさうな、いてるとあまこゝろよくもないに當人たうにんしきりといやがる樣子やうすなり、ま、引移ひきうつりをするがからうとて此處こゝさがさせてはたが
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もとより當人たうにんは、資本主しほんぬしではなかつたのだけれども、いよ/\といふあかつきに、勘定かんぢやうしてるとおほきな缺損けつそんこときまつたので、無論むろん事業じげふ繼續けいぞくするわけかず、當人たうにん必然ひつぜん結果けつくわ地位ちゐうしなつたぎりになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其方儀松五郎たづねの所未だ行衞ゆくゑ相知れざる趣きうつせみ事千代存命ぞんめいも是れ有らば入牢の上屹度きつと被仰付之處當人たうにんうつせみ相果候上は一等をげんじられ江戸構えどかまへ申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
頼母たのもしいのと、當人たうにん自慢じまん生白なまじろところへ、足駄あしだをひつくりかへしたのは、門内もんない團右衞門だんゑもんとは隣合となりあはせの當家たうけ家老からう山田宇兵衞やまだうへゑ召使めしつかひの、葛西かさい飯炊めしたき
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つこらしいうそふとおくさまつまはじきあそばせば、あれなにしにうそまをしませう、りながらこれをおみゝれたといふとすこわたしこまりのすぢ、これは當人たうにんくちからいたので御座ござりますとへば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ことは、わたしいままでところへ、當人たうにんからけた、符牒ふてふばかりの電話でんわれて、實際じつさい顛倒てんだうしていそぐんです。かないでうしますか、つてはわるいんですか。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
對手あひてもなければ小遣こづかひもなく、まさか小盜賊こどろばうをするほどに、當人たうにん氣位きぐらゐたかいからてられず。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
頼母たのもしいのと當人たうにん自慢じまんだけの生白なまじろところへ、足駄あしだをひつくりかへしたのは、門内もんない團右衞門だんゑもんとは隣合となりあはせの當家たうけ家老からう山田宇兵衞やまだうへゑ召仕めしつかへの、まはり葛西かさい飯炊めしたき
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
床几しやうぎ——といふところだが、(——親類しんるゐいへで——)用意よういがないから、踏臺ふみだい嵬然くわいぜんとしてこしけた……んぢや、とわらつて、當人たうにんわたしはなした。夫人ふじんおよ學生がくせいさんがたには内證ないしようらしい。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かみ束髮そくはつに、しろいリボンをおほきくけたが、美子みいこいちやんもなるをりから、當人たうにんなにもなしにとゝもに押移おしうつつたものらしい。が、てんせる下町したまち娘風むすめふうは、くだんかみひさしえぬ。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あま仔細しさいのないことを、いて飽氣あつけなくおもふほど、唯吉たゞきちなほかゝる……むかしから語繼かたりつ言傳いひつたへるれいによると、たれにもたのまるゝ、當人たうにんが……じつてはらない姿すがたである場合ばあひおほい。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……たとひ、かうして、貴女あなたひろつてくださるのが、ちやんきまつた運命うんめいで、當人たうにんそれつてて、芝居しばゐをするで、たゞ遺失おとしたとおもふだけのことをしてろ、とはれても、可厭いやです。金輪際こんりんざい出來できません。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わしとんせねえだ、ところで、當人たうにんをんなたづねた。」
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)