)” の例文
堀江のにはたくさんの雁が降りる、そのなかに白い雁のむらがっているのは珍らしくないが、稀には入りの雁がまじっている。
半七捕物帳:61 吉良の脇指 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
宮川と汐合川しおあいがわの流れ出したところが長くになっていました。大湊の町の町並はともしつらねた人家の丁字形ていじがたになっていました。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
猫のひたひほどの入江に、はしけが這入つてから、やつと、船の動揺はをさまつた。白い砂のが、雨で洗はれたやうにしめつてゐる。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
この朝の彩雲さいうんはすばらしい。いちめんなあしは、紫金青銀しこんせいぎんの花を持つかと疑われ、水は色なくして無限色をたたえる瑠璃るりに似ていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「猟場が変わったのもたしかだ、の鼻の千本杭から内湖うちうみのしりへかけて、去年はだいぶ捕れたというはなしだ、えさが片寄るからだろう」
蜆谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
を呑みなぎさを犯し、見渡す沖の方は中高に張り膨らみて、禦ぎ止む可からざるの勢を以て寄せ來る状の如きは、實に張る氣のすがたである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
い景色だと云ってい処もある。同じ湖水でも、洞庭湖どうていこは駄目だ。冬って見たからかも知れないが、ばかりあって一向湖水らしくない
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
祇園のには官軍戦没者の墓地がある。それを態〻わざわざ弔いに行ったのではなかったが、結果は要するにそんなことに帰着した。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
雪の夜より七日なのか余り経ちぬ。夕日影あざやかに照り四国地遠く波の上に浮かびて見ゆ。鶴見崎のあたり真帆片帆まほかたほ白し。川口のには千鳥飛べり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
と、私たちの小舟は小豆あずき色のひろびろとしたの浅みに沿って、いきれたつあしすすきのあいだにすれすれと横になってとまった。四季の里である。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
第一、羽田稲荷なんてやしろは無かった。鈴木新田すずきしんでんという土地が開けていなくって、潮の満干のあるあしに過ぎなかった。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
右手は、あしの上に漁家の見える台地で、湖の他方の岐入と、湖水の唯一ゆいいつの吐け口のS川の根元とを分っている。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
河原かわらのいちばん下流かりゅうの方へのようになって出たところに人のあつまりがくっきりまっ黒に立っていました。ジョバンニはどんどんそっちへ走りました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
尾生は水際から歩をめぐらせて、今度は広くもないの上を、あちらこちらと歩きながら、おもむろに暮色を加えて行く、あたりの静かさに耳を傾けた。
尾生の信 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そうするとあっちのに止まりこっちの崖に止まることもなく、魚もまた食い易いからということであります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
中央ちうあうおほきなからつゞ淺瀬あさせさゝへられてふねいつもところへはけられなくつてる。たゞ一人ひとり乘客じようかくである勘次かんじ船頭せんどう勝手かつてところへおろされたやうにおもつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
蘇西スエズ河口かこうの上に建てられたこの市街は狭いながらも欧洲の入口だけ余程よほど東洋の諸港とちがつた感がした。どの酒舗バアにも茶店カフエエにも早天から客が詰め掛けて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
岬も、も、潟も、山も、峰の松も、名所一つずつ一ヶ所一体の魔がりょうしているように見えたのですから。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は軽い貧血を起したやうなぼんやりした気持で、無心に川を見下ろしてゐた。川は両岸から丁度同じ程の距離にあるあたりが、土がむき出してになつてゐる。
赤蛙 (新字旧仮名) / 島木健作(著)
高崎から平久里へぐりに滞在してさき、白浜、野島の嶮路けんろ跋渉ばっしょうして鏡ヶ浦に出るやはるかに富岳を望み見た。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かわりばんこに罐詰の水菓子や、ケ—キの折などもって見舞がてら遊びに来る、うちの抱えや本家の養女たちでにぎわい、かわに工場をもっている罐詰屋の野良子息のらむすこ
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そのかみの東国、武蔵の国の、浅草川の河尻かわじりのなかでも、この一角はもとからの森であったのかもしれない。ともかく、かなりの太さの杉の木立ちも残っていた。
いやそれならばきこの町のはずれから向う岸の橋本へわたす渡船とせんがござります、渡船とは申しましても川幅が広うござりましてまん中に大きながござりますので
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そうすれば東京湾にのぞんだ姉ヶ崎附近だろうとせられて居る。一首の意は、海上潟の沖にあるのところに、船をめよう、今夜はもうけてしまった、というのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
小さいのが走りといつて、此奴は釣れないが、オボコとなるともう四五寸あるから、夕方の上げ潮なら何処どこの川口でも釣れる。それ以上になるとイナ、ハシリボラが交る。
夏と魚 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
つまり湾は、水平にだけでなく垂直にも陸地内への水の拡大をなし、内湾もしくは独立した池を形づくる傾きがあり、二つの突角の方向は水面下のを示しているのであった。
のあらわれた河原には白いさぎがおりて、納戸色なんどいろになった水には寒い風が吹きわたった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
上出来のがっちりした船でしたが、ニューファウンドランドのにさしかかったとき、あのあたりによくおこるひどいガスがかかって、遠くのほうはまるで見えなくなったんです。
船旅 (新字新仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
悲痛のに乗り上げ、最も悲惨な難破者となり、激越な情緒に浸され、もはや最後が近づいたことを感じて、人が自ら甘受する最期の時間の前に常に来る幻覚的な惘然ぼうぜんさのうちに
普寧県に竜葬のあり、父老いう竜この洲において蛻骨す、その水今なお竜骨多し、按ずるに山阜岡岫こうしゅう、竜雲雨を興すもの皆竜骨あり、あるいは深くあるいは浅く多く土中にあり
休茶屋を出て川の岸近く立って眺めると上高井の山脈、菅平すがだいらの高原、高社山たかしろやま、その他の山々は遠く隠れ、対岸の蘆荻ろてきも枯れ潜み、の形した河心の砂の盛上ったのも雪に埋もれていた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
川面の處々にがあツた。洲には枯葦が淋しく凋落の影をせてゐて、ごみあくたもどツさり流寄ツてゐた。其の芥を二三羽の鴉がつゝき𢌞し、影は霧にぼかされてぽーツと浮いたやうになツて見えた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
川中島のめぐる疎林や、丘の草にも、ほのかな緑がえ出して、信濃の春は、雪解ゆきげを流す千曲ちくま川の早瀬のように、いっさんに訪れて来た。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この島はもとだったのである、大川から吐きだされる土砂がたまって洲となり、そこへ土入れをして島にしたものだ。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あるいはカムパネルラがどこかの人の知らないにでもいて立っていてだれかの来るのをっているかというような気がしてしかたないらしいのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ブラツクウツドの「柳」と云ふ小説を読むと、ダニウブ河へボオト旅行に出かけた二人ふたりの青年が、河の中のに茂つてゐる柳のエレメンタルスに悩まされる。
近頃の幽霊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
初秋しよしう洪水こうずゐ以來いらいかは中央ちうあうにはおほきな堆積たいせきされたので、ふね周圍しうゐうてとほ彎曲わんきよくゑがかねばらぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
汐が引いていたと見えて、岸に寄った方は浅いになっている。牛はそこへ飛び降りて一息ついていると、追って来た連中は上からいろいろの物を投げつける。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一面いちめんくさしげつて、曠野あらのつた場所ばしよで、何故なぜ一度いちど人家じんかにはだつたか、とおもはれたとふのに、ぬま眞中まんなかこしらへたやうな中島なかじまひとつたからです。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この笠松はその昔「あし」ととなえた蘆荻ろてきの三角洲で、氾濫する大洪水のたびごとにひたった。この狐狸こり巣窟そうくつあばいて初めてひらいたのがの漂流民だと伝えている。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
その川の中には珠のような小磧こいしやら銀のような砂でできて居る美しいのあったれば、長者は興に乗じて一尋ひとひろばかりの流れを無造作に飛び越え、あなたこなたを見廻せば
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
河口に近く流れを二つに分けているの方に、人家のがちらちらしており、水のうえにほのかな空明りが差して、幾軒かの汽船会社の倉庫が寒々と黒い影を岸に並べていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
池の胴を挟んでゐる杉木立と青あしとは、両脇からび込む腐蝕ふしょくのやうにくろずんで来た。
過去世 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
芦やよしへたばかりだと思ふと大違ひの賑はしいところであつたのだ。
花火と大川端 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
野を散歩すうららかにして小春の季節なり。櫨紅葉はじもみじは半ば散りて半ば枝に残りたる、風吹くごとにひらめき飛ぶ。海近き河口に至る。潮退きてあらわれ鳥のぐん、飛び回る。水門をろす童子どうじあり。
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
嫩江のの柳原分けたらば必ず君を見んここちする
その間に船津橋をくぐってすぐに左の三角、えびす島の船番所で、川支配の役人から定例じょうれいのとおりな船検ふなあらためをされる。この間が約半刻はんとき
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そのとおり」安宅はにっと微笑した、「——珂知川の上流に十三のがある、水はその洲にさまたげられて、離れたり合ったりしながら流れている」
滝口 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
はやゝけた。はなれの十疊じふでふ奧座敷おくざしきは、圓山川まるやまがは一處ひとところりたほど、森閑しんかんとものさびしい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いつかもこゝをのぼって行った。いゝや、此処ここぢゃない。けれどもずゐぶんよく似てゐるぞ。川の広さも両岸の崖、ところどころのの青草。もう平らだ。みんな大分溯ったな。
台川 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)