トップ
>
機嫌
>
きげん
ふりがな文庫
“
機嫌
(
きげん
)” の例文
「バケツさん、どうぞご
機嫌
(
きげん
)
ようお
暮
(
く
)
らしなさい。」と、ねずみは
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げて、ふたたびさびしい
町裏
(
まちうら
)
の
方
(
ほう
)
を
指
(
さ
)
して
出
(
で
)
かけました。
ねずみとバケツの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今は誰一人源を振返って見るものがないのです。殿下は御
機嫌
(
きげん
)
麗しく、人々に丁寧な御言葉を賜りまして、御車に召させられました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
先生はこの頃になって酒を
被
(
こうむ
)
ること
益々
(
ますます
)
甚
(
はなは
)
だしく倉蔵の言った通りその言語が益々荒ら荒らしくその
機嫌
(
きげん
)
が
愈々
(
いよいよ
)
難
(
むず
)
かしくなって来た。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
せめて父親の手前だけは
機嫌
(
きげん
)
よくして、夫の処置に任せてくれたら、———それくらいは夫婦らしく、気を
揃
(
そろ
)
えてくれたらいいのに。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一番目の兄も、
機嫌
(
きげん
)
の好い時は、わざわざ奥から玄関まで
出張
(
でば
)
って来る。そうしてみんないっしょになって、益さんに
調戯
(
からか
)
い始める。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「ああ見たよ。」とクリストフは上
機嫌
(
きげん
)
で言った。「君たちは道化役者だ。たがいに怒鳴り合いながら、心の底では皆一致してる。」
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
申入れる権利があるまい、ハヽヽヽヽ山木、君の様な
爺
(
おやち
)
の
機嫌
(
きげん
)
取つて日蔭の花で暮らさせるは、ぽん子の為めに可哀さうでならぬぢや
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「大層
機嫌
(
きげん
)
の惡い蟲だね。ぢや、三輪の兄哥がびつくりするやうな手柄を立ててよ、お神樂の清吉が目を廻すやうな女房を貰ふんだね」
銭形平次捕物控:124 唖娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
みんなは七つ森の
機嫌
(
きげん
)
の悪い暁の脚まで来た。道が
俄
(
には
)
かに青々と曲る。その曲り角におれはまた空にうかぶ
巨
(
おほ
)
きな
草穂
(
くさぼ
)
を見るのだ。
秋田街道
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
良人の言葉はいいかげんな言葉であると思いながらも
機嫌
(
きげん
)
が直ってゆくのを、哀れに思いながらも、大将の心は一条の宮へ飛んでいた。
源氏物語:40 夕霧二
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
マンチュアに
蟄
(
ちっ
)
してござれ、
忠實
(
まめやか
)
な
僕
(
をとこ
)
を
求
(
もと
)
め、
時折
(
ときおり
)
、
其
(
その
)
男
(
をとこ
)
して
此方
(
こなた
)
の
吉左右
(
きッさう
)
を
知
(
し
)
らせう。さ、
手
(
て
)
を。もう
晩
(
おそ
)
い。さらばぢゃ、
機嫌
(
きげん
)
よう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
少しは母の
機嫌
(
きげん
)
も取って、だんだん家事向きの勉強もしてもらわなきゃなるまいと思うがね。それに君は
田舎
(
いなか
)
が好きだと言っていたね。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
機嫌
(
きげん
)
を取りながら、餌刺の役を勤めてゝ呉れたが、二三時間の後には、
堤根腹
(
ねはら
)
に昼寝して仕舞ひ、僕は結句気儘に釣ツてたです。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
たとえばご三男様と
相撲
(
すもう
)
を取る場合、遠慮なく
投
(
ほう
)
り出してやるようならよろしい。しかしもしご
機嫌
(
きげん
)
を取る
料簡
(
りょうけん
)
でいくようなら大反対です
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼らの
機嫌
(
きげん
)
次第でたいていはただ見せかけだけの成果をあげたり、あるいはそれすら手に入れられない、などという目にあう必要はない。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
と常にない文治郎は
微酔
(
ほろよい
)
機嫌
(
きげん
)
で、お村の膝へ手をつきますから、お村は胸がどき/\して、
平常
(
ふだん
)
からお村は文治郎に惚れて居りましたが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
支考
(
しこう
)
、
乙州
(
いっしゅう
)
ら、
去来
(
きょらい
)
に何かささやきければ、去来心得て、病床の
機嫌
(
きげん
)
をはからい申していう。古来より
鴻名
(
こうめい
)
の
宗師
(
そうし
)
、多く
大期
(
たいご
)
に
辞世
(
じせい
)
有り。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
折角いい
機嫌
(
きげん
)
で帰って来た八助の
酔
(
えい
)
をすっかりさまして、秦野屋の足はまた何処へ向ってゆくか、宙を飛んで寺町の
暗
(
やみ
)
へ消え去りました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
代
(
かわ
)
り
機嫌
(
きげん
)
よくにこにこしている
時
(
とき
)
は、三つ四つの
子供
(
こども
)
もなついて、ひざに
抱
(
だ
)
かれてすやすやと
眠
(
ねむ
)
るというほどの人でした。
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
貴嬢のご
機嫌
(
きげん
)
奉仕をつかまつる。じゃ待っていてくれるか…………そいつはありがたい。香料は今晩はミモザがよかあないか。
職業婦人気質
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
博士の
機嫌
(
きげん
)
は、
斜
(
なな
)
めならず、フォークとナイフとを使いながら、何かしきりに
呟
(
つぶや
)
いている様子が、たいへん楽しそうに見えた。
大使館の始末機関:――金博士シリーズ・7――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
産院に千円の金をあずけて、三日目にまた与平のところへ相談に戻って来たが、与平はひどく
機嫌
(
きげん
)
をそこねて、いっとき口も
利
(
き
)
かなかった。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
お前にそれを着せるとお父さんの
機嫌
(
きげん
)
が悪うてな、其の時分はわしも丁度今のお前と同じやうな苦労が絶えなんだぞよ……。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
なし酒の
機嫌
(
きげん
)
に
古
(
いにし
)
への物語りなどして品川より
藝者
(
げいしや
)
を
呼
(
よび
)
大酒盛となりて騷ぎ散す中
早
(
はや
)
日
(
ひ
)
も
暮相
(
くれあひ
)
と成ければ仁左衞門は
頓
(
やが
)
て身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
三杯目には、耳をぴく/\動かしてみせました。海賊はその
度
(
たび
)
に
大笑
(
おほわらひ
)
をして、すつかり
機嫌
(
きげん
)
よくなつて、酔つ払ひました。
金の猫の鬼
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その猪口が
空
(
から
)
になると、客は
隙
(
す
)
かさず露柴の猪口へ客自身の罎の酒をついだ。それから
側目
(
はため
)
には
可笑
(
おか
)
しいほど、露柴の
機嫌
(
きげん
)
を
窺
(
うかが
)
い出した。………
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
物言
(
ものい
)
ふは
用事
(
ようじ
)
のある
時
(
とき
)
慳貪
(
けんどん
)
に
申
(
まをし
)
つけられるばかり、
朝起
(
あさおき
)
まして
機嫌
(
きげん
)
をきけば
不圖
(
ふと
)
脇
(
わき
)
を
向
(
む
)
ひて
庭
(
には
)
の
草花
(
くさばな
)
を
態
(
わざ
)
とらしき
褒
(
ほ
)
め
詞
(
ことば
)
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
古賀の
機嫌
(
きげん
)
が悪い。病気かと思えばそうでもない。或日一しょに散歩に出て、池の端を歩いていると、古賀がこう云った。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
腹
(
はら
)
に
在
(
あ
)
るだけのことをいはして
畢
(
しま
)
へば
彼等
(
かれら
)
はそれだけ
心
(
こゝろ
)
が
晴々
(
せいせい
)
として
勢
(
いきほひ
)
が
段々
(
だん/\
)
鈍
(
にぶ
)
つて
來
(
く
)
るので、
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
は
機嫌
(
きげん
)
もとつて
見
(
み
)
て
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
黒一楽
(
くろいちらく
)
の
三紋
(
みつもん
)
付けたる
綿入羽織
(
わたいればおり
)
の
衣紋
(
えもん
)
を直して、彼は
機嫌
(
きげん
)
好く
火鉢
(
ひばち
)
の
傍
(
そば
)
に歩み寄る時、直道は
漸
(
やうや
)
く
面
(
おもて
)
を
抗
(
あ
)
げて礼を
作
(
な
)
せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
などと
機嫌
(
きげん
)
のいい時には、手さぐりで下の男の子と遊んでいる様を見て、もし、こんな状態のままで来襲があったら、と思うと、また
慄然
(
りつぜん
)
とした。
薄明
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
藤十郎の心に、そうした屈託があろうとは、夢にも気付かない若太夫は、芝居国の国王たる藤十郎の
機嫌
(
きげん
)
を、
如何
(
いか
)
にもして取結ぼうと思ったらしく
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「何よりの
幸
(
さいわい
)
です。しかし、それはあくまで今日の天候のことでございましょうな。それとも上様の御
機嫌
(
きげん
)
——」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
かれこれ四五十日がほどは帰省の
機会
(
おり
)
を得ざるべく、しばしの
告別
(
いとま
)
かたがた、
一夜
(
あるよ
)
帰京して母の
機嫌
(
きげん
)
を伺いたり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
けれど、膨れたとて、
機嫌
(
きげん
)
を取られれば、それだけ
畢竟
(
つまり
)
安目にされる道理。どうしても、こうしても、
敵
(
かな
)
わない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
さう
答
(
こた
)
へて
玄関
(
げんくわん
)
にあがると、
機嫌
(
きげん
)
のいい
時
(
とき
)
にするいつもの
癖
(
くせ
)
で、青木さんは小
柄
(
がら
)
な
奧
(
おく
)
さんの
體
(
からだ
)
を
軽
(
かる
)
く
引
(
ひ
)
き
寄
(
よ
)
せながら、そのくちびるに
短
(
みじか
)
い
接
(
せつ
)
ぷんを
與
(
あた
)
へた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
これには五年生たちも、すつかり
機嫌
(
きげん
)
をなほしました。すぐ、「行かう/\!」と云ふ者が二三人ありました。
掃除当番
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
彼は
機嫌
(
きげん
)
をとるやうに事務員の方を向いてさう云ひ乍ら封印を切つた。中からは巻尺がもとのまゝで出て来た。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
文字の霊が、この
讒謗者
(
ざんぼうしゃ
)
をただで置く訳が無い。ナブ・アヘ・エリバの報告は、いたく大王のご
機嫌
(
きげん
)
を損じた。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ルピック氏は、それでも、
機嫌
(
きげん
)
のいい時には、自分から子供たちの相手になって遊ぶようなこともある。裏庭の
小径
(
こみち
)
でいろんな
噺
(
はなし
)
をして聞かせるのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
ロパーヒン じゃ君、ご
機嫌
(
きげん
)
よう。もう出かける時刻だ。われわれお互いに、高慢そうな鼻つき合せちゃいるけれど、時は遠慮なく、どんどん過ぎて行く。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「伊吹屋へ上がり込んで、みんなの
機嫌
(
きげん
)
を取るような坊主だ。お城から、誰に何を云いつかって来てるか、知れたもんじゃねえから、抜かっちゃならねえぜ」
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
もう矢も
楯
(
たて
)
もたまらず、直ちに大島氏の家に行って、右の趣を述べ、大島老人は物の能く分る人
故
(
ゆえ
)
、引き留めもせず、誠に
御尤
(
ごもっとも
)
だといって
機嫌
(
きげん
)
よく暇をもらい
幕末維新懐古談:37 鋳物の仕事をしたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
聴
(
き
)
かぬ気のお吉顔ふり上げ何か云い出したげなりしが、
自己
(
おのれ
)
よりは一倍きかぬ気の夫の制するものを、押し返して何ほど云うとも
機嫌
(
きげん
)
を損ずることこそはあれ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
小さなバスケットに着がえを一組いれて、彼女は
颯爽
(
さっそう
)
と旅立ったのである。船着場まで見おくってきた妹たちにも
機嫌
(
きげん
)
よく、
土産
(
みやげ
)
を買ってくると指切りなどした。
風
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
いい
機嫌
(
きげん
)
になって
鼻唄
(
はなうた
)
か何かで湯へ出かけると、じき湯屋の
上
(
かみ
)
さんが飛んで来て、お前さんとこの
阿父
(
おとっ
)
さんがこれこれだと言うから、びっくらして行って見ると
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
父はよく
枕
(
まくら
)
もとでお
鮨
(
すし
)
の折などをひらきながら、「そんなことをするの、お
止
(
よ
)
しなさいてば。……」と母が止めるのもきかずに、
機嫌
(
きげん
)
よさそうに私の口のなかへ
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
とは
知
(
し
)
らぬので
貝
(
かい
)
を
揚
(
あ
)
げるのに
邪魔
(
じやま
)
だから、
其所
(
そこ
)
を
退
(
ど
)
いて
呉
(
く
)
れなんて
威張
(
ゐば
)
り
散
(
ち
)
らして、
後
(
あと
)
で
地主
(
ぢぬし
)
と
分
(
わか
)
つて、
有合
(
ありあは
)
せの
駄菓子
(
だぐわし
)
を
出
(
だ
)
して、
機嫌
(
きげん
)
を
取
(
と
)
つた
事
(
こと
)
などである。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
婆さんはそれを見ると
機嫌
(
きげん
)
をなほして、いつものとほり
柴
(
しば
)
を刈つて、たばねてやつてから言ひました。
豆小僧の冒険
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
紳士は
微酔
(
ほろよ
)
い
機嫌
(
きげん
)
でよほど興奮しているものと見えて、私のいうことをさらに耳に入れない。行きなり疾走をはじめた二等室を追いかけて飛び乗りをしようとする。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
機
常用漢字
小4
部首:⽊
16画
嫌
常用漢字
中学
部首:⼥
13画
“機嫌”で始まる語句
機嫌伺
機嫌能
機嫌買
機嫌気褄
機嫌克
機嫌取
機嫌様