“機嫌買”の読み方と例文
読み方割合
きげんかい100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
健三はそうした必要にせまられた過去の自分を記憶している。しかし機嫌買きげんかいな彼がどの位綿密な程度で細君に説明してやったか、その点になると彼はもう忘れていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
男の唇の上にはまたさっきの微笑ほほえみが現われた。「なんでもないよ。そんな事を聞くものじゃない。おれ機嫌買きげんかいな事は、お前知っているはずじゃないか。それともまだ知らないのかい。」
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
兄の機嫌買きげんかいを子供のうちから知り抜いている彼らにも、近頃の兄は不思議だったのである。陰欝いんうつな彼の調子は、自分が下宿する前後から今日こんにちまで少しの晴間なく続いたのである。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)