じん)” の例文
じん、時々飛々とびとびに数えるほどで、自動車の音は高く立ちながら、鳴くはもとより、ともすると、驚いて飛ぶ鳥の羽音が聞こえた。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
月野博士はかせはロウエル教授けうじゆおなかんがへで 火星くわせいは水がすくない そこで運河うんがへは火星じんが大仕掛じかけ給水きふすゐポンプで水をくばるといふのぢや
それやこれやの關係かんけいで、日本につぽん地震學ぢしんがく開發かいはつくにといはれてゐるのであるが、しか其開發者そのかいはつしやおも人々じんこう外國人がいこくじんとくにイギリスじんであつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「きょうは人中じんちゅうじんを見た。一世を率いる宰相も国の宝だが、一畝いっせの田を守るかれの如きもひとしく土の宝じゃ。愚鈍はまま神にも近い」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
したがつてそれ以前いぜん原始人げんしじんだとか、ハイデルベルグじんだとかにいたつては何萬年前なんまんねんまへであるか、にはかに見當けんとうがつかないくらゐです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そんなことをイギリスじんはしりませんから、行列ぎょうれつをよこぎろうとしたのです。それを、ぶれいものというので、きりころしてしまいました。
わが日本民族にほんみんぞく靈智れいち靈能れいのうつてゐる。炳乎へいこたる獨特どくとく文化ぶんくわいうしてゐる。もとより拓拔氏たくばつし印度人いんどじんやトルコじんではない。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
振返ってみると、なるほど、梅ヶ谷のような大女おおおんな、顔を真白まっしろに塗立てたじんばけ七が、しきりに手招きしながら追っ掛けて来る。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
これがフランスじんの会合であったならば、雄弁ゆうべん能弁のうべんジェスチュアその他ドラマチックの動作どうさがさだめしみごとなものであったろうと想像さる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
尤も長崎から上方かみがたに来たのはかなり古い時代で、西鶴の作にも軽焼の名が見えるから天和てんな貞享じょうきょう頃には最う上方じんに賞翫されていたものと見える。
仕止めたは、正しく古中条流の秘伝、火竜、小波さざなみ、飛電の組太刀と見た。姿こそ下郎なれども尋常のじんではござるまい。仔細しさいお聞かせ下さらぬか
半化け又平 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
妻は、模様も分らなくなった風呂敷ふろしきを三角に折って露西亜ロシアじんのようにほおかむりをして、赤坊を背中に背負いこんで、せっせと小枝や根っこを拾った。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
また、ぼうさんのあげる、おいのりをおききなさい。——インドじんのやもめは、火葬かそうのたきぎのつまれた上に、ながい赤いマントをまとって立っています。
このひとは ながさきで うまれたのですが、おとうさんは オランダじんでした。いまで いえば アイノコです。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
それにつづいては小体こがらな、元気げんきな、頤鬚あごひげとがった、かみくろいネグルじんのようにちぢれた、すこしも落着おちつかぬ老人ろうじん
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
と云いながら見ると、肩巾の広い、筋骨のたくましい、色が真黒まっくろで、毛むくじゃらでございます。実に鍾馗しょうきさまか北海道のアイノじんが出たような様子で有ります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
二十めんそうは、フランスじんがはつめいした、そらのとべるきかいをもっています。はこのようなものをせなかにつけると、それについているプロペラがまわるのです。
かいじん二十めんそう (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
やがて、朝になってから、何かたべるものがほしくなったので、島のおくの方へ歩いて行きました。大して歩きもしないうちに、まっ黒な、やばんじんのむれに行きあいました。
「此のじんは猥談と惚気のろけ話がすこぶる得意なんですが、一席こゝでやって貰おうじゃないですか」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
群衆ぐんしゅうはさっそくってしまった。二、三人ひまじんのこっていまの事件じけんろんじ合っていた。
大原の父は少しく不平の色あり「イイエ悴に限って決してそんな事はない、大丈夫だ。あの通りぼくねんじんだもの」老人「それがあてにならねいだよ」ととかく何事にも反対する癖あり。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そのおんなは、なんでも、魔術まじゅつをインドじんからおそわったということです。人間にんげんをはとにしたり、からすにしたり、また、はとをさらにしたり、りんごにしたりする不思議ふしぎじゅつっていました。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
純粋じゅんすいのフランスじんすじをうけたひとで、するどい知力ちりょくをもっています。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
大日本だいにほん妾宅用せふたくよう制限せいげんされた狆君ちんくんが、コスモポリタン動物どうぶつでないこと亦無論またむろんである。日本主義者にほんしゆぎしや帝國主義者ていこくしゆぎしや國家主義者こくかしゆぎしや愛國者あいこくしや國自慢者くにじまんしやなどがコスモポリタンじんでないことじつ無論むろんである。
○『ホトトギス』第五巻第十号にある虚子きょし選句の三座はじん
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「天地人三才のその中でも、じんが一番ビリッけつじゃないか」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「奥さん、先生のところへ水島寒月と云うじんが来ますか」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
じんさん い人さん
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
法月弦之丞というじんの力を借りて、再度、阿波へまいる支度のために、お千絵殿を尋ねて行ったということでござります……
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第十五圖だいじゆうごずをごらんなさい。たゞひとつの下顎骨かがくこつから想像そう/″\してると、こんな人間にんげん出來上できあがるのです。これを『ハイデルベルグじん』といつてゐます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
それより中絶をしていますに因って、手馴てなれねば覚束おぼつかない、……この与五郎が、さて覚束のうては、余はいずれも若いじん、まだ小児こどもでござる。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ただ、ドクトル=ズーフというオランダじんのつくった、おおきな「ハルマ」という字引じびきをひいて、自分じぶんでかんがえるのでした。
それつゞいては小體こがらな、元氣げんきな、※鬚あごひげとがつた、かみくろいネグルじんのやうにちゞれた、すこしも落着おちつかぬ老人らうじん
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
インドにおいては、地理ちり歴史れきし關係くわんけいから、北部ほくぶ南部なんぶとでは根本こんぽんから言語げんごがちがふので、インドじん同士どうし英語えいごもつ會話くわいわこゝろみてゐるのをてインドが到底たうてい獨立どくりつざるゆゑんをさとつた。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
火星じんつくつたものだといふんですな
さらに『クロマニヨン』じんは、彫刻ちようこくをしたばかりでなく、おほきないたのです。その今日こんにちまでのこつてをりますが、あちらのかべ御覽ごらんなさい。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
また、いろいろのあつまりで、アメリカじんが、おとこおんなをくんでダンスをやるのをみて、びっくりしました。
それわかればこそまをすのなり、あのじんへとひます……てますか、わたしが。……つても大事だいじない。けて爾々しか/″\とおひなされ。お前樣まへさまをなごひに
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その無沙汰も心苦しく思うておるが、時雨堂しぐれどうの騒ぎの後、半斎殿にもさだめし迷惑がかかったことであろう。あのじんは、その後もつつがなくお暮らしであるか。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
アルカージナ おすわり。(彼の頭から包帯をとる)まるでターバンをしてるみたいだねえ。きのう、よそ者が台所へ来て、お前のことをなにじんかと聞いていたっけ。
『いやいや、じんなればふしぎはないし、又、腹も立たぬが……惣右衛門どの、御存じないか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其處そこじんも。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「御当家の一弟子、北条新蔵と申さるるじんが、仔細あって、ご存じの刀ぎ耕介の家に救われて、療養中にござりますゆえ、右まで、耕介の依頼に依って、おらせにうかがいました」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何にせよ、あのじんには、他にも深い事情わけがらのある女がござってのう……」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あのじんなら、武鑑を見るまでもございませぬ。人斬り健吉で通るくらい」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(あれは神経のあらいじんだ。先に釈の信空と、聖覚法印が信の座へ着いたので、それで、自分も追従ついしょうしたに過ぎない)こう見ているのであろう、むしろ彼の態度を、軽蔑けいべつするように、じろじろ眺めて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ふム、何という者か、そのじんの名は」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御案内のじんはいかがなされた」
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そこもとはいずれのじんか」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「べつじんかもしれませぬが」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)